数字に出ない仕事の自己評価は、半年分の雑なメモをAIに渡し、聞き返される質問に答えていくと書けます。出来上がるのは、成果欄にそのまま貼れる文章と、面談の前に上司と確かめることの一覧です。そのための依頼文を、この記事に全文載せました。
やったことはたくさんあるのに、書こうとすると「対応しました」しか出てこないんですよね。成果欄、去年は何を書きましたか?「いつも通り対応しました」に近い一文だったなら、足りなかったのは文章の上手さより、材料の並べ方かなと思います。
自己評価の成果欄が、メモ13行からこう書けた
元のメモの1行はこうでした。
5月 ○○総合病院向けの内視鏡の部品、メーカー欠品で納期が3週間遅れそうだった件。代替品を探して営業のAさんと先方に説明、結局1週間遅れで済んだ。メールは残ってる
AIの質問に答えたあと、成果欄にはこう入りました。
5月、○○総合病院向けの内視鏡の部品がメーカー欠品になり、納期が3週間遅れる見込みになりました。私は代替品を探し、先方への説明には営業のAさんと一緒に入りました。納期の遅れは1週間で済みました。
「何が困っていたか」「私がしたこと」「どう変わったか」が、この順で3文に並んでいます。メモでは「Aさんと先方に説明」とひとまとめだった部分も、自分の受け持ちとAさんとの共同部分に分けて書かれています。
これは営業事務を想定した架空のメモ13行で試したもので、AIの質問への返事も架空です。「当期の主な成果」の欄は272字/上限400字に収まり、メモにも返事にも無い数字は1つも出てきませんでした。メモに書いてあったことを、読める順に並べ直しただけの文章です。
数字に出ない仕事の自己評価は、メモを5つに分けるところから
材料は、手帳やカレンダー、送信済みメール、チャットを見返して書き出した箇条書きで足ります。「7月 課の飲み会の幹事」のような1行も、消さずに入れておいて大丈夫です。載せるかどうかは、あとでAIが理由をつけて仕分けてくれます。
依頼文では、まずメモを1行ずつ次の5つに分けてもらいます。
- 数字あり: 件数や日数がメモに言い切りで書いてある
- あいまいな数字: 「〜な気がする」「〜くらい?」と自信なく書いた数字
- 数字なし: やったことはあるが、量や変化が書いていない
- 裏付けなし: メールや記録が手元にあるか、メモから分からない
- 共同: 他の人と一緒にやった
分類表は「メモ」「分類」「聞きたいこと」の3列で返ってきます。13行のうち、たとえばこの1行です。
支える側の仕事は、ミスが出なかった、遅れなかった、のように「何も起きなかった」ことが成果になりがちです。そういう仕事ほどメモには数字が無く、あっても「気がする」止まりなんですよね。あなたのメモに、数字のない行は何行ありますか? 半分を超えていても、この分け方なら1行ずつ扱いが決まるので心配いりません。
自己評価をAIに聞き取ってもらう依頼文
【ここに書く】の欄は5つです。仕事と立場、評価期間、シートの欄名と字数の上限、上司が普段よく口にすること、そして半年分のメモ。分からない欄は「分からない」「なし」と書いておけば進みます。
取引先や同僚の名前、社内の金額は、「A病院」「Bさん」のように置き換えてから貼ってください。【ここに書く。例: …】は、例の部分ごと自分の内容に書き換えます。1回目の返答は分類表と質問だけで止まるようにしてあるので、質問の番号に沿って答えを送り返すと、2回目で文章が出てきます。
これから、私の半年分の仕事メモを渡します。自己評価シートの成果欄にそのまま貼れる文章に直してください。あわせて、面談の前に上司と確かめておくことも出してください。
## 入力
- 私の仕事と立場: 【ここに書く。例: 営業担当4人のサポートをする営業事務。受発注と問い合わせ窓口】
- 評価期間: 【ここに書く。例: 2026年4月〜9月】
- シートの欄名と字数の上限: 【ここに書く。例: 「今期の成果」400字以内 / 「来期の課題」200字以内】
- 上司が普段よく口にすること(分かれば): 【ここに書く。なければ「なし」】
- 半年分のメモ(箇条書き。雑なままでよい):
【ここに書く】
メモの取引先名・同僚の名前・社内の金額は、「A病院」「Bさん」「〇〇万円」のように置き換えてから貼ります。置き換え忘れの実名を見つけたら、本文には使わず、私に置き換えるよう伝えてください。
## 手順
1. メモを1行ずつ読み、次の5つに分けて表にしてください。
- 数字あり(件数・回数・日数・時間などがメモに言い切りで書いてある)
- あいまいな数字(「〜な気がする」「〜くらい?」「たぶん〜」のように、私が自信なく書いた数字)
- 数字なし(やったことは書いてあるが、量や変化が書いていない)
- 裏付けなし(メールや記録が手元にあるか、メモから分からない)
- 共同(他の人と一緒にやった)
1行が2つに当てはまるときは両方書きます。
2. 表を出し終えてから、表のすぐ下に、私への質問を5つまで出してください。表より先に質問を書かないでください。あいまいな数字の行は、質問に優先して入れます。1つの質問で聞くのは1つのことだけにします。聞くのは次のようなことです。
- その仕事の前と後で、何が変わったか(問い合わせの数、やり直しの回数、待ち時間など)
- 誰が助かったか(営業担当、お客さん、別の部署)
- 共同の仕事のうち、私が受け持った部分はどこか
- あとで見せられる記録(メール、表、チャット)があるか
ここで止まって、私の答えを待ってください。
3. 私の答えを受けて、成果欄に載せる仕事を選んでください。選び方は下の「判断基準」に従います。選ばなかった仕事も、理由を一言つけて並べてください。
4. 選んだ仕事を、欄ごとに文章にしてください。1つの仕事は「何が困っていたか → 私がしたこと → どう変わったか」の順で書きます。
5. 最後に、面談の前に上司と確かめておくことを並べてください。
## 判断基準
- 数字がない仕事: 私が手順2で前後の違いを答えられたら、その違いを書く。答えられなかったら、数字を入れずに起きた変化だけを書く(「〜の確認の電話が来なくなった」など)。
- 何も起きなかったことが成果の仕事(ミスや遅れを防いだ、など): 放っておくと何が起きそうだったか、私が何をしたか、結果どうだったか、の3つをそろえて書く。3つのうち1つでも私が言えないなら、確認リストに回す。
- あいまいな数字: 私が手順2で記録を見て言い切れたら、数字ありとして使う。言い切れなかったら、成果欄には数字を書かず、起きた変化だけを書く。「約」「〜ほど」をつけて残すこともしない。その数字は確認リストに入れる。
- 材料が無い欄(「来期の課題」「目標」など、メモにも私の答えにも書く中身が無い欄): 文章の頭に【案・本人が確かめる】と付けて出す。メモから読み取れる範囲の案にとどめ、私の意思や目標として言い切らない(「〜を目指します」「〜に挑戦します」と書かない)。
- 共同の仕事: 私の受け持ちを分けて書けるなら、その部分だけを私の成果として書く。分けられないなら「〇〇の一員として」と書き、確認リストにも入れる。
- 裏付けなしの仕事: 欄に書いてよいが、確認リストに必ず入れる。
- いつもの仕事か、変えた仕事か: 「成果」の欄には、やり方を変えた仕事・新しく引き受けた仕事を先に置く。いつもの仕事は、量や正確さを数字か具体的な変化で示せるときだけ入れる。
- 字数が足りないとき: 上司が普段よく口にすることに近いものを残す。それがなければ、変化がはっきり書けるものを残す。
## 出力の形
必ず次の順番で出してください。1回目の返答は1と2だけで、2の質問は1の表の下に置きます。3〜5は私が答えたあとの2回目の返答で出します。
1. 分類表(列は「メモ」「分類」「聞きたいこと」の3つだけ)
2. 質問(番号つき、5つまで。表の下に置く)
ここで止まる
3. 選んだ仕事と選ばなかった仕事(箇条書き、理由は一言)
4. 欄ごとの文章。欄名を見出しにし、材料が無い欄は文章の頭に【案・本人が確かめる】を付け、最後に字数を「(〇〇字/上限〇〇字)」と書く。上限を超えない
5. 面談前の確認リスト(箇条書き。1行に「何を」「誰に」確かめるかを書く)
文章は「です・ます」で書きます。
## やらないこと
- メモにも私の答えにもない数字を作らない。「約」「〜%改善」を推測でつけない
- メモにない仕事を足さない
- 共同の仕事を、私ひとりの成果として書かない
- 「頑張りました」「尽力しました」「貢献しました」だけで終わる文にしない
- 「大幅に」「劇的に」など、量の分からない強い言葉を使わない
- 評価の点数や昇格の見込みを予想しない。評価の付け方や会社の決まりの質問が出たら、上司か人事の担当に聞くよう伝える
## 題材の例(架空)
架空の会社の総務担当(社員80人)。メモの一部はこうです。
- 備品の発注をスプレッドシートにまとめた
- 4月の入社手続き、Cさんと分担
- 会議室の予約が重なる件、ルールを作った。その後ほぼなくなった?
この場合、手順2では「会議室の予約が重なるのは、ルールの前に月に何回くらいありましたか」「入社手続きのうち、どこを受け持ちましたか」などを聞きます。答えが「前は月3回くらい、5月からは0回。予約表で確かめられる」なら、成果欄はたとえば次のようになります。
「会議室の予約が月3回ほど重なり、そのたびに打ち合わせが遅れていました。5月に予約のルールを決めたところ、5月以降の重なりは0回です。」
確認リストには「会議室の重なりの回数を予約表で数え直したか、自分で」「入社手続きの分担をどう書くか、上司に」のように入れます。あいまいな数字は、自己評価に書く前に記録で数え直す
質問は5つ届き、あいまいな数字の行から先に並んでいました。受注入力のミスの件数、8月の残業時間、電話の一次受けの件数、Bさんに教えた期間。残りの質問が、欠品の件でAさんと分けたときの私の受け持ちです。
受注入力のミスには、「受注システムのエラー記録で数えたら、昨年4〜9月は月平均5件、今年4〜9月は6か月で合計7件」と返しました。記録で言い切れたので、この数字は成果欄にそのまま入っています。メモの「月1件くらいになった気がする」より、あとで記録を見せて説明できる一文です。
電話のほうは「数えていないので分かりません」と答えました。すると電話の件数は成果欄に入らず、確認リストに「記録で数えられるか、自分で」として回されました。「約20件」と丸めて残すこともしない決まりにしてあります。
この「あいまいな数字」という分け方は、最初の依頼文にはありませんでした。1回目は「月1件くらい」が数字なしに、「1日20件くらい?」が数字ありに入って、分類が揺れたんです。分類を1つ足して、記録で言い切れたときだけ数字として使う、と決めてからは、この2行も同じ「あいまいな数字」に入りました。
あなたのメモの「〜くらい」は、どの行ですか? 見つけたら、AIに渡す前にその行だけ記録を開いて、数えられるか見ておくと質問にすぐ答えられます。
何も起きなかった仕事を、自己評価にどう書くか?
依頼文の判断基準には、放っておくと何が起きそうだったか、私が何をしたか、結果どうだったか、の3つをそろえて書く、と入れてあります。1つでも言えなければ、成果欄には書かず確認リストに回します。
欠品の件は3つがそろいました。3週間遅れそうだった、代替品を探した、1週間で済んだ。共同の仕事でしたが、返事で「代替品を探したのは私、説明はAさんが主」と分けたので私の部分だけが成果になり、確認リストには「この書き方でよいか、Aさんに」が入りました。
そろわなかった例もあります。出荷の締め時間が15時から14時に変わったのを周知した件は、周知しなかったら何が起きたか、結果どうだったかが言えず、選ばれませんでした。受注ミスも件数は書けたものの、メモに減った理由が無いので「私がしたこと」が空いたままです。この2つは確認リストに回り、倉庫の担当や上司に聞いて埋める形になりました。
材料の無い「来期に向けて」の欄は、頭に印が付いて返ってきます。書き出しはこうでした。
【案・本人が確かめる】注文書がFAXのままの代理店が3社残っています。この3社に共通様式をお願いするかどうか、進め方を上司と相談する案です。
この印は、手順を直してから付くようになりました。直す前の1回目は、FAXの3社にもお願いして全社そろえる、というメモに無い目標を私の意思として言い切っていて、確認リストにも入っていなかったんです。自分で言っていない目標が面談のシートに載るのは、さすがに困りますよね。
面談前に上司と確かめる自己評価の一覧
確認リストは13行で、どの行にも「何を」と「誰に」が書いてありました。たとえばこの2行です。
- 受注入力のミスが減った理由を成果欄でどう書くか(何をしたから減ったと言えるか)、上司に - 電話の一次受けの件数を記録で数えられるか、自分で
「誰に」は上司だけでなく、自分、Aさん、倉庫の担当、と分かれていました。おかげで、面談の前に自分で片付ける行と、面談で聞く行が最初から分かれています。評価の付け方や会社の決まりに関わる質問は、上司か人事の担当に聞くよう回されていました。
「業務改善・チームへの貢献」の欄は88字/上限300字でした。問い合わせ一覧を共有フォルダに置いた件と、見積書の期限チェックが「前後の変化が分からない」として外れたためです。この短さ、物足りなく見えますか? 作文で埋めなかった代わりに、リストには「ほかに載せる仕事があるか、上司に」が入りました。
自己評価にAIを使う前の注意
ここまでは、Claudeで、架空のメモと架空の返事を使い、手順を直して2回通した結果です。本物のメモで使うときは、出来上がりをそのまま貼る前に、自分の記録と照らしてください。
実名の置き換えは、貼る前に自分で済ませておくのが確実です。依頼文には置き換え忘れを伝えるよう書いてありますが、そこに頼らず、取引先名と同僚の名前を一度見直してから貼りましょう。
数字は、メモか返事にあるものしか使われませんでした。それでも最後に記録と照らすのは自分なので、確認リストの「数え直したか、自分で」の行は面談の前に片付けておきたいところです。評価の点数や昇格の見込みはAIに聞かず、上司か人事の担当に聞きましょう。
まずは手帳とカレンダーを開いて、半年分を雑に書き出すところからで十分かなと思います。



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