返事を速くするより、決めることを減らす。朝のメールをAIで仕分ける

堂前
堂前

@domae_bunbo ・ 1本

サムネイル

今朝のメールを貼れば、仕分けした上で、自分で決めないといけないものの一覧と、それぞれのおすすめの答え、確認してそのまま送れる返信の下書きまでAIが出してくれる依頼文を載せます。依頼文とは、AIに渡す指示文のことです。コピーして貼るだけです。

返信を早くしたいんじゃないんです。僕が決めないといけないことだけ、朝に見えればいい。

朝の受信トレイ、重いのは返信の数ですか?

朝の机に積まれた封筒の山のイラスト

お客さんの問い合わせ、仕入れ先の請求書、学校や地域の連絡。全部が同じ受信トレイに入ってくると、朝いちばんに困るのは「どれから手を付けるか」なんですよ。開いては閉じて、また最初から眺め直す。そんな朝になりがちです。お礼や受け取りの返事なら、書く手はそれほど止まりません。

止まるのは、決める場面です。値上げを受け入れるか、頼まれごとを引き受けるか、返品の送料をどちらが持つか。こういうメールが何通か混ざっているだけで、返信をいくら速く書けても朝は軽くなりません。

だから仕分けの基準は「急ぎかどうか」より「自分の判断が要るかどうか」に置きます。決めることだけが並んでいれば、あとは上から順に片づければいい。つまり、受信トレイ全部と向き合う朝が、決めることの一覧を見る朝に変わるわけです。今朝の受信トレイに、自分で決めないといけないメールは何通ありましたか?

メールをAIで仕分ける依頼文

下の依頼文をそのままコピーして、AIとの会話に貼ってください。メールを4つに分け、決めるものにはおすすめを1つ付け、返信の下書きまで書くように頼んでいます。文章を自分で考える必要はなく、やることは貼り替えだけです。

毎朝の受信メールの中から、私が自分で決めないといけないものだけを拾い出してください。決めることごとに、どうするのがよさそうかの答えを1つ出し、そのまま送れる返信の下書きも作ってください。返信を早くしたいのではなく、朝に私が決めることだけが見えればいいのです。

【入力】
今日は【今日の日付を書く】です。
今朝のメール(1通ずつ「---」で区切って貼ります。差出人、件名、本文をそのまま入れます):
【ここに今朝のメール本文をすべて貼る】
あれば、私の立場や、今朝使える時間:【なければこの行は消す】

【手順】
1. 貼ったメールに上から番号を付け、全部で何通か数えて最初に書いてください。
2. 1通ずつ、次の4つのどれかに分けてください。
 A. 私が決める(お金、契約、期限、値段や条件の変更、受ける・断るの判断、困りごとの相談)
 B. 返信だけ要る(日程の確認、お礼、受け取りの連絡など、答えが決まっているもの)
 C. 読むだけでいい(お知らせ、広告、自動通知)
 D. 判断できない
3. Aは、決める内容を一文で書き、続けて「おすすめ」を1つ、理由を1行つけて書いてください。選択肢の並べ比べで終わらせないでください。期限があれば日付も添えてください。
4. AとBの全部について、そのまま送れる返信の下書きを、中身まで書いてください。Aの下書きは、手順3のおすすめに沿った内容にします。私に先に決めた内容を聞く必要はありません。私が読んで直す前提です。
5. 最後に、分けた件数を数え直し、貼ったメールの通数と合っているか確認してください。

【おすすめの決め方】
- メールの中に根拠がある選択肢を選んでください(期限、金額、相手が示した条件、これまでのやりとり)。
- 根拠がメールにないときは、無理に決めず、おすすめを「決められないので相手に聞く」にしてください。この場合の下書きは、足りない点を尋ねる返信にしてください。
- お金を払う、契約する、条件を飲むの返事は、メールに書かれた条件だけで足りるときに限って「受ける」をおすすめにしてください。足りなければ「聞く」にしてください。

【分け方の基準】
- 迷ったら軽い側ではなく重い側(A)に入れてください。
- お金(請求、値上げ、支払い、返金、料金の改定)と契約のメールは、広告に見えても、必ずAかDに入れてください。Cにしてはいけません。
- 困っている人が書いたメール(クレーム、トラブル、体調や安全の相談)もAに入れてください。
- 件名と本文の言うことが違うときは本文を信じ、そのことを書いてください。

【出力の形】
最初に表を作ってください。列は「番号/差出人/分類(A〜D)/理由(20字以内)」です。
次に「私が決めること」という見出しで、Aだけを期限が近い順に並べてください。1件につき、決める内容、おすすめ、理由(1行)、期限の4点で5行以内です。
次に「返信の下書き」という見出しで、AとBのメールごとに宛名から署名までを書いてください。丁寧だが短く、1通150字以内です。
最後に「分けられなかったもの」という見出しで、Dと、読み取れなかった点を書いてください。

【やらないこと】
- メールにない数字、日付、相手の名前を作らないでください。
- 返信を送ったことにしないでください。下書きまでです。
- 広告やお知らせを理由なく捨てたことにしないでください。Cにも1行で理由を付けてください。
- 下書きに空欄や「ここに〇〇」を残さないでください。

【題材の例】
次は架空の文具店の話で、実在の店や人とは関係ありません。
---
差出人:○○文具卸(架空)
件名:来月からの価格改定のお知らせ
本文:11月1日納品分より、ノート類を一律5%値上げします。ご了承の返信をお願いします。
---
この場合は値上げという金額の話なので、Aにします。条件が値上げ率だけで、他社との比較など判断材料がメールにないため、おすすめは「決められないので聞く」にして、据え置き期間や数量割引の有無を尋ねる返信を書いてもらえれば合格です。

貼るときに書き換える場所

書き換えるのは3か所だけですよ。

  1. 「【今日の日付を書く】」を今日の日付にします。期限が近い順に並べるときの基準になります。
  2. 「【ここに今朝のメール本文をすべて貼る】」の行を消して、そこに今朝のメールを貼ります。1通ずつ「---」で区切り、差出人、件名、本文をそのまま入れてください。
  3. 末尾の「【題材の例】」から下は、自分のメールを貼るときは消してください。架空の値上げメールなので、残すと本物のメールに混ざってしまいます。

「あれば、私の立場や、今朝使える時間」の行は、書くことがなければ行ごと消してかまいません。

架空の文具店に届いた12通のメール、AIの仕分けはこう出ました

封筒が小さな箱に分けられているイラスト

架空の文具店の月曜朝を想定して12通のメールを用意し、Claudeで試しました。常連さんの問い合わせから広告、返事の来ない見積もりまで混ざった朝です。何通か抜き出すとこうなります。

  • 仕入れ先A社「10月請求書」 請求額184,600円、支払期日10月31日、添付PDFあり
  • 小学校のPTA会長「秋のバザー、模擬店のお願い」 文具コーナーを出してほしい。返事は今週中に。去年は断った
  • 初めてのお客さん「ご注文について」 名入れペンを30本、来月の記念品に使いたい。納期と値段を教えて
  • ネットショップの買い手「返品のお願い」 先週届いた手帳のカバーに傷。返品したい、送料は誰が?
  • 「税務署からのお知らせ(電子申告)」 差出人が公的機関名に見えるが、リンクを押すよう促している

AIはまず12通に番号を振って表に分け、最後に件数を足して12通と合っているかまで確かめてくれました。決めるもの6件、返信だけのもの1件、読むだけでいいもの3件、判断できないもの2件。答えが出るまで1分かかりませんでした。12通を眺めて「どれが自分の仕事か」を考える代わりに、この一覧を見ればよくなります。

決めることの一覧とおすすめ

一覧は期限が近い順に並びます。最初の2件を抜き出すとこうです。

1. PTAの秋のバザーに文具コーナーを出すか(メール4)
- 決める内容: 文具コーナーを出すか断るか。
- おすすめ: 決められないので相手に聞く。
- 理由: 日時、場所、規模、費用がメールになく、去年断った理由もメールからは分からないため。
- 期限: 今週中(10月19日の週)。

2. A社の10月分請求書を払うか(メール2)
- 決める内容: 請求額184,600円を支払うか。
- おすすめ: 期日の10月31日までに支払う。
- 理由: 金額と支払期日がメールに示されているため。
- 期限: 10月31日。

正直に書いておくと、はっきりしたおすすめが出たのは、この請求書の1件だけでした。バザー、値上げ、返品、名入れペン、見守り活動の当番の5件は、どれも「決められないので相手に聞く」です。

そのまま送れる返信の下書き

下書きは、決めるものと返信だけのものを合わせて7通出ました。PTA会長さんあてはこうです。

PTA会長様

秋のバザーへのお声がけ、ありがとうございます。
文具コーナーについて、開催日時、場所、売り場の広さ、出店にかかる費用を教えていただけますか。確認のうえ、今週中にお返事します。

堂前

A社の請求書には、支払いを伝える返信が付きました。

A社 ご担当者様

10月分の請求書(184,600円)を受け取りました。
支払期日の10月31日までにお支払いいたします。よろしくお願いいたします。

堂前

宛名から署名まで入っていて、空欄がありません。読んで引っかかるところがなければ、そのまま送れます。ゼロから文面を考える形ではなく、読んで直す形で使えます。

決められないメールには、足りないことを相手に聞く返信を下書きする

おすすめが出ないのは、メールに判断の根拠がないときです。6件のうち5件が聞くだけでも、仕分けた意味はあります。効いてくるのは、聞く返信の中身です。名入れペンなら「名入れの文字、ご希望のペンの種類、ご希望の納品日、ご予算を教えてください」。何が分かれば決められるのかを、AIが先に拾っています。聞くことを自分で考える手間を減らせます。

この形は、依頼文に次の3点を入れて出るようになりました。入れる前の1回目は、決めることに「受ける場合」「断る場合」が並ぶだけで、どちらがいいかは書かれなかったんです。下書きも「お支払いについては、(下に貼ります)」のような空欄の型で、自分で決めて埋めないと送れませんでした。

入れた3点は次のとおりです。

  1. 決めることごとに、おすすめを1つと理由を1行付けてもらう
  2. 下書きはおすすめに沿って、中身まで書いてもらう
  3. 先に自分の決めた内容を書かせる欄はなくし、空にしそうな欄は「あれば」にする

根拠がメールにないときは無理に決めず「相手に聞く」にする、という決まりも入れてあります。条件を飲む返事より、足りないことを尋ねる返事のほうが、安心して送れます。

請求や値上げ、クレームのメールは、AIに読み流させない

依頼文には、軽く扱わせないための決まりを入れています。請求、値上げ、支払い、返金のメールは、広告に見えても「読むだけ」には入れない。クレームなど、困っている人が書いたメールは、決めるものに入れる。迷ったら重い側に入れる。

試したときも、A社の「価格改定のお知らせ」は読むだけに流れず、決めるものに入りました。付いた返信は「値上げとなる商品と、商品ごとの改定率(5〜12%)の一覧をお送りいただけますか」。件名がお知らせ風でも、値上げは決めるものに入ります。

税務署からのお知らせに見えるメールは、判断できないものに分けられ、返信の下書きは作られませんでした。添えられていたのは「偽装のメールの可能性があります。リンクは開かず、公式サイトや、手元の連絡先から別に確認することをおすすめします」という一文です。

本物かどうかは、AIにも決められません。こういうメールこそ、リンクを開かずに自分で公式の窓口を調べて確かめたいところだなあ。AIは「ここは自分で確かめてください」と線を引き、下書きを作りませんでした。

AIでメールを仕分ける前の注意

試したのは、メール本文を貼る形だけです。

資料は架空の12通を短く要約したもので、「相手に聞く」が多かったのはそのせいもあります。これまでのやりとりや金額が書かれた実際のメールなら、比率は変わってきます。

実在のメールを貼るときは、お客さんの名前や住所、電話番号、口座番号などを伏せてください。下書きは送る前に必ず読むこと。インクの入荷のようにメールから分からないことは「読み取れなかった点」に出てくるので、そこを自分で足して直します。

支払いのおすすめが出ても、添付の明細はAIが見ていません。請求書のPDFは自分で開いて確かめてください。公的機関からに見えるメールのリンクも開かず、公式の窓口で確認するのが安心です。

まずは今朝の受信トレイから、数通だけ貼ってみてください。依頼文はコピーするだけ、書き換えは3か所だけです。決めることが一覧で並んだとき、朝の重さはどれくらい変わるでしょうか?