商工会議所でAI講師やSNS運用の仕事を受けるには?

はるの
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商工会議所経由でAIやSNSの仕事を受ける入口は、生成AIセミナーの講師登録、会議所が事業者さんのもとへ専門家を送るエキスパートバンク、小規模事業者向けの持続化補助金の計画づくりの3つです。「補助金があるのだから予算もあるはず」と見積もりを出すと、この仕事は止まりやすくなります。補助金は後払いで、事業者さんは一度全額を立て替えるからです。見積もりは、補助の対象になる制作や運用と、対象になりにくい相談や研修を分けて組んでおくと、話が前に進みます。

事業者さんの財布から見た持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、販路を広げるためにかけた経費の3分の2を、上限50万円まで補助する制度です。インボイスと賃上げの特例を両方満たせば上限は250万円まで上がります。ただ、特例を希望して申請したあとに要件を1つでも欠くと、上乗せ分だけでなく補助金の全体が対象外になります。外の人が気軽に勧めてよい上乗せではありません。

補助金は先に出ないんです

補助金が出るなら相手の財布は心配いらない、と思っていませんか? 公募要領には「補助金は後払いです」とはっきり書かれています。事業者さんは自分のお金で発注して支払いまで済ませ、実績報告を出したあとで補助の分が戻ってきます。

たとえば本則課税の事業者さんが、ほかの経費とあわせて申請し、そのうちSNS広告と運用代行に税抜45万円をかけるとします。消費税を除いた額で計算するので、この分の補助は45万円の3分の2で30万円です。それでも最初に口座から出ていくのは消費税込みの49万5,000円で、30万円が戻るのは事業を終えて報告したあとになります。

私は、見積もりを出す側がいちばん気にしておくべきなのは、金額よりこの入金の時期だと考えています。立替の重さが見えていない見積もりは、相手の机の上で止まってしまうんです。

申請しても、約半分は通りません

第19回は申請16,576件のうち採択が7,819件で、採択率は47.2%でした。第18回も48.1%なので、ここ数回はおよそ2社に1社です。

外から見積もりを出す側は、その半分近くが仕事にならない前提で動くことになります。採択されなかったら規模を縮めて自費でやるのか、見送るのか。それを見積もりの段階で事業者さんと決めておくと、結果が出たあとに慌てません。この縮めた版は、あとで見積書の3枚目として組みます。

持続化補助金の第20回公募、見積もりと発注はいつか?

持続化補助金の第20回公募の流れ。11月5日に受付開始、12月4日が様式4の発行依頼の締切、12月15日が申請締切、2027年3月頃に採択発表、その後の交付決定を待ってから発注と契約ができる

見積もりをいつ出していいのか、迷いますよね。見積もりは申請の前に出してかまいません。発注と契約を受けてよいのは、交付決定のあとです。

時期
起きること
外の人が関われること
2026年11月5日
申請受付の開始
申請するのは事業者さん本人
12月4日
様式4の発行依頼の締切。事業者さんが様式2と3を入力して商工会議所に頼む
計画の中身づくり、概算の見積もり
12月15日17時
申請受付の締切
見積もりの金額を固めておく
2027年3月頃
採択発表。その後に見積書などを提出する
正式な見積書を用意する
採択発表から概ね1〜2か月(目安)
交付決定
ここで初めて発注と契約を受けられる
2028年3月31日まで
補助事業の実施期間(発注から支払いまで)
制作、運用、請求
2028年4月10日まで
実績報告の提出期限
請求書や成果物の控えを渡す

つまり、12月4日までは計画づくりと概算の見積もりで関わる時期で、制作や運用の仕事が始まるのは交付決定のあとです。

商工会議所が出す計画書は、事業者さん本人が頼むもの

様式4(事業支援計画書)は地域の商工会議所や商工会だけが発行する書類で、これがないと申請を完了できません。12月4日を過ぎた依頼は、どんな理由があっても受け付けられません。しかも公募要領には、社外の代理人だけで相談や発行依頼はできないと書かれています。

外の人にできるのは、様式2と3(経営計画と補助事業計画)の中身を一緒に詰めて、事業者さんが余裕を持って窓口に行ける状態にしておくことです。ただし、その手伝いは様式2に書く対象になります。事業者さんは、商工会や商工会議所以外の第三者から受けた助言の相手と金額(着手金や成功報酬を含む)を書かなければならず、無料の手伝いでも同じです。書かないと虚偽の報告として不採択や交付決定の取消になるので、関わる前に事業者さんと確認しておきます。

申請にはGビズIDプライムというアカウントも要り、取得に数週間かかることがあります。11月を待たずに、事業者さんに一声かけておきたいところです。

補助金が正式に決まる前の発注は対象外です

採択(審査に通ったという通知)が届いても、まだ発注は受けられません。補助金が正式に決まるのは、そのあとの交付決定です。その日より前の発注、契約、支払いは補助の対象外だと、公募要領に明記されています。

「採択されたから、すぐ始めましょう」と言われても、交付決定の通知が届くまでは契約を交わさない。それが、事業者さんに戻るはずの30万円を守ることになります。

補助金でSNS運用に払えるもの、払えないもの

持続化補助金の経費の区分。広報費はSNS広告や運用代行、ウェブサイト関連費はサイト制作やSEO対策で、どちらも上限30万円で単独申請は不可。コンサル費用、研修の参加費、成功報酬型、申請書類の作成費は対象外

AIやSNSの仕事が補助金に乗るとしたら、入る先はほぼ広報費とウェブサイト関連費の2つです。第20回の公募要領では、どちらも補助金の申請額で上限30万円(税込)が経費ごとに決まっていて、その経費だけでの申請はできません。

区分
補助対象の例
決まり
広報費
SNS広告と運用代行費、チラシ、インターネット広告、SNSやチラシ向けの宣伝用の画像や動画の作成
上限30万円(税込)、広報費だけの申請は不可
ウェブサイト関連費
商品を売るためのウェブサイトの作成や更新、作業内容が明確なSEO対策、自社サイトやECサイトに載せる動画や写真の制作
上限30万円(税込)、この経費だけの申請は不可
対象外
コンサルティングやアドバイスの費用、講習会やセミナー研修の参加費、売上などに応じた成功報酬型の費用、申請書類の作成や手続きの費用
補助金では払えない

第19回までは、ウェブサイト関連費の上限が申請額の4分の1(最大50万円)でした。インターネット広告も第19回まではウェブサイト関連費の例で、第20回から広報費に移っています。前の回の解説をもとに見積もると、費目も上限もずれてしまいます。

AI活用の相談や研修は補助金に乗りにくい

AIの使い方を教える研修は、補助金に乗せにくい仕事です。公募要領の対象外の例には、コンサルティングやアドバイスの費用、講習会やセミナー研修の参加費が並んでいます。教えるのが得意な人ほど、ここで提案がずれやすくなります。

補助金に乗るのは、広告を出す、投稿を代わりに運用する、SNSなどで使う宣伝用の画像や動画を作るといった、形が残る制作と作業です。教える部分は補助金とは別の入口から入れる、と分けて考えると整理がつきます。その2つを見積書の上でどう分けるかは、次のセクションで形にします。

持続化補助金でSNS運用の見積もりはどう分けるか?

SNS運用の見積書を3枚に分ける考え方。1枚目は補助対象の広告と運用代行と制作、2枚目は対象外の相談と研修と計画書づくり、3枚目は採択されなかったときの縮小版

広報費だけでは申請できないので、SNSの見積もりは事業者さんの計画全体の一部になります。そのうえで、見積書は3通りに分けておくと、事業者さんが計画書に写すときに迷いません。

  1. 補助対象の見積もり。SNS広告、運用代行、SNSなどで使う宣伝用の画像や動画の制作を、作業内容と税抜金額で並べる
  2. 補助対象外の見積もり。AI活用の相談、社内向けの研修、運用のやり方を教える時間、計画書づくりの手伝いをまとめる
  3. 採択されなかったときの見積もり。期間や本数を絞った、自費で払える規模の版

補助対象の見積もりでは、料金の決め方にも気をつけます。売上や販売数に応じて課金する成功報酬型の料金は、対象外です。運用代行を月額にするなら、補助事業の実施期間のうちに支払いまで終わるよう月数を区切ります。支払いは銀行振込が原則で、1回の取引が10万円(税抜)を超える現金払いは認められません。

1件の発注が税込50万円を超えると、事業者さんは2者以上から見積もりを取り、より安価な発注先を選ぶ決まりです。作業内容を細かく書いておけば、比べられたときに説明がつきます。

対象外の見積もりは、事業者さんが自分の財布から払うものです。申請書類の作成や手続きの費用も補助の対象外なので、計画書づくりを手伝うならこちらに入れます。金額が小さくても別の紙にすれば、計画書を見直すときに補助の分と混ざりません。採択されなかったときの版も最初から渡せば、結果が出た日にそのまま次の話ができます。

商工会議所の講師やエキスパートバンクには、どう入るのか?

教える仕事の入口は、講師登録とエキスパートバンクです。補助金の計画づくりと並べると、誰が選ぶかがそれぞれ違います。

入口
誰が選ぶか
事業者さんの費用
外の人の仕事
セミナーの講師登録
商工会議所が講師を選ぶ
参加無料のセミナーの例がある
企画と登壇
エキスパートバンク(東京商工会議所の例)
商工会議所が専門家を選ぶ。指名はできない
無料(謝金は会議所が負担)
個別の相談と助言
持続化補助金の計画づくり
事業者さんが依頼先を選ぶ
補助されない分(原則、経費の3分の1)を負担し、一度全額を立て替える
計画の中身づくり、交付決定後の制作と運用

セミナー講師は企画書1枚から

京都商工会議所は、公開セミナーや企業向け研修の講師を随時募集していて、会員でなくても登録フォームから応募できます。A4の企画書(PDFかZIPで2MBまで)と、200字以内の自己紹介を添える形です。登録すれば仕事が来るとは限りませんが、窓口がはっきりしているのは助かります。講師の謝礼は公式ページに載っていないので、登録する前に聞いておくと慌てません。

企画の中身は、生成AIセミナーの実例が参考になります。東京商工会議所は2026年5月に「実演特化の生成AI活用・営業DXセミナー」をZoomで無料開催しました。燕商工会議所は2025年11月に生成AI活用セミナーを無料で開いています(全4回、最終回は個別相談会)。小浜商工会議所の「生成AI×SNSで実現 販路開拓&業務効率化セミナー」も、生成AIの操作実演を交えると案内されています。

東京と小浜は営業や販路開拓という事業者さんの困りごとと組み合わせ、燕は資料作成など日々の業務での使い方を扱っています。企画書には、誰のどんな困りごとを、何を実演して解決するかを1枚に収めます。

もう1つ、セミナーの場で自分のサービスを売り込まないことです。参加者は、商工会議所の名前を信用して集まった事業者さんです。その信用を借りて売り込めば担当者の顔をつぶし、次からは呼ばれにくくなります。個別に相談を受けたいなら、どう案内してよいかを先に担当者に聞きます。

エキスパートバンクは会議所が専門家を選びます

東京商工会議所のエキスパートバンクは、専門家への謝金を会議所が負担するので、事業者さんは無料で相談できます。対象は、商業・サービス業なら従業員5名以下、それ以外は20名以下の事業者です。

公式ページには「専門家の選定は当商工会議所が行います。指名はできません。」とあります。事業者さんに名指しで呼ばれて仕事になる経路ではありません。専門家としての登録方法も公式ページには載っていないので、管轄の商工会議所の担当者に直接聞くことになります。

持続化補助金の条件は、公募回と地域で変わります

この記事の数字は、2026年10月10日時点の第20回公募要領(第8版)と、各商工会議所の公式ページで確かめたものです。第19回から第20回でウェブサイト関連費の上限が変わったように、次の公募回では条件が変わることがあります。45万円の例は本則課税の場合の計算で、簡易課税や2割特例の事業者さんは消費税を含めた額で申請できます。

エキスパートバンクの対象や費用、講師登録のやり方も会議所ごとに違います。SNSの運用代行がどこまで広報費に入るかは公募要領に細かい定義がないので、見積もりを出す前に管轄の商工会議所に確かめてください。公募要領は、商工会議所地区の事務局サイトから読めます。町村など商工会の地区は事務局サイトが別なので、管轄の商工会に確かめます。

商工会議所の窓口に行く前に決めておくこと

  1. 管轄の会議所を確かめる。商工会議所は全国516地域にあり、市や東京23区は商工会議所、町村は商工会が原則です。例外もあるので、検索ページで管轄を確かめます
  2. 会員になるかを決める。東京商工会議所は加入金3,000円、個人事業主の年会費は10,000円からです。大阪商工会議所は加入金5,000円、個人会員の年会費は1口10,000円。どちらの案内でも、全額を損金または必要経費にできるとされています
  3. 企画書を1枚作る。誰のどんな困りごとを、何を実演して解決するかを書く
  4. 見積もりのひな形を3通り用意する。補助対象、対象外、採択されなかったとき
  5. 窓口で聞くことをまとめる。講師や専門家の登録の窓口と、SNSの運用代行がどこまで広報費に入るか

窓口に持っていくのは、企画書1枚と、分けて組んだ見積もりです。この2つがあれば、「補助金があるから」で止まりがちな話が、立替と不採択まで含めた数字で前に進みます。

様式4の締切は12月4日です。そこから逆算すると、事業者さんと計画を詰める時間やGビズIDの取得を考えて、10月のうちに動き出しておきたいところです。まずは検索ページで、管轄の商工会議所を確かめるところから始めてください。