診察で言い忘れや聞き忘れが出るなら、受診の前にAIに質問してもらいながら、症状の経過と医師に聞きたいことをスマホの受診メモ1枚にまとめておくと楽です。AIは診断をしません。話を聞き出して並べ直す、伝える準備の係です。
診察室に入ると、言おうと思っていたことの半分くらいが消えるんですよね。仕事で図面の打ち合わせをするときと同じで、紙が一枚あると話がそこに戻ってこられます。帰り道に「あ、あれ聞いてない」と思い出したこと、ありませんか?
長引く咳で内科に初診でかかるときも、親の整形外科に付き添うときも、診察室で言い忘れが出やすいのは同じです。そのための依頼文と、試しに通した出来上がりをそのまま載せます。
AIと作った受診メモは、こんな1枚
先に出来上がりを見てください。題材は架空で、38歳の男性が9月下旬の風邪のあと咳が3週間ほど続き、近所の内科に初診でかかる、という設定です。Claudeで試しました。
受診メモ本体のうち、今の様子の部分はこうなりました。
■ 今の様子 ・週2〜3回、夜中2〜3時に咳で目が覚める ・朝起きた直後と、乾燥した印刷室でむせる ・痰は少し。透明か白っぽい 色がついたことはない(たぶん) ・熱のぶり返しなし(朝36.4〜36.7度)
短い行で区切られているので、スマホの画面でも目で追いやすい形です。メモの下には、待合室で読み返す用の1文も付きます。
最初のひとこと:「風邪の熱が下がったあと、咳だけが3週間くらい続いていて、夜中に目が覚めることがあります」
見てほしいのは数字です。体温や回数、日付は入れた材料のとおりで、今回は材料に無い数字が1つもありませんでした。AIに任せると「それっぽい数字」が混ざるのが一番こわいところなので、ここが守られていたのは大きいです。
もう1つは、「たぶん」が「たぶん」のまま残ったことです。痰の色の行がそうで、言い切りに直されていません。病名の推測もしませんでした。材料に入れておいた、病気になりかけているのかという不安は、医師に聞く質問の形に言い換えられていました。
受診メモの依頼文と、自分の話を書き込む場所
使い方は、依頼文の「入力」にある【ここに書く】を自分の話に書き換えて、全文をAIに貼るだけです。書き込む欄は5つあります。
- 誰の受診か。自分か、家族の付き添いか。家族なら続柄と年齢
- かかる科と、初診か再診か
- 気になっていること。思いつく順に、話し言葉のままで大丈夫です
- 飲んでいる薬や、ほかに通っている病院。市販薬や整骨院も入れておきます
- 付き添いの場合の、本人の言っていることと自分が見ていた様子
うまく書けない項目は「分からない」と書けば、分からないまま残す決まりになっています。日付があいまいなら「9月下旬ごろ」のように、覚えている幅で書いておけば足ります。
末尾の「題材の例」は架空の人物の話です。消さずに残したまま貼っても、書き込んだ自分の話のほうでメモが作られました。
自分の受診なら、5の付き添いの欄は空けておいて構いません。試した出来上がりでは、メモに「付き添いの場合」の欄が出て「なし」と書かれていました。そのときは削れば済みます。
病院に行く前に、診察室でスマホの画面を医師に見せながら話せる「受診メモ」を1枚作ってください。私の話はまとまっていないので、質問しながら整理してほしいです。
## 入力
- 誰の受診か: 【ここに書く(自分/家族の付き添い。家族なら続柄と年齢)】
- かかる科と、初診か再診か: 【ここに書く】
- 気になっていること(思いつく順、箇条書きでも話し言葉でもよい): 【ここに書く】
- 飲んでいる薬・ほかに通っている病院や整骨院など(分かる範囲で): 【ここに書く】
- 付き添いの場合、本人が言っていることと、自分が見ていた様子: 【ここに書く】
## 手順
1. 入力を読み、足りない点を質問にして返す。質問は一度に5つまで。答えやすいように「いつから」「1日のうちいつ」「何をすると」の形で聞く。私が「分からない」と答えた項目は、分からないまま残す。
2. 話を時系列に並べ直す。始まった時期、変わった時期、今の状態の3点を軸にする。日付があいまいなら「9月下旬ごろ」のように、私が言った幅のまま書く。
3. 今日いちばん伝えたいことを1つ決めるため、候補を2〜3個出して私に選ばせる。
4. 医師に聞きたいことを私から引き出す。口に出しにくそうな心配(「重い病気だったらどうしよう」など)が入力ににじんでいたら、「聞いてもいい質問」として言い換えた案を出す。
5. 下の「出力の形」でメモを作る。作ったあと、診察室で読み上げて1分ほどで済む量かを見直し、長ければ削る候補を示す。
## 判断基準
- 項目が多くて入りきらないとき: 「今いちばん困っていること」と「前回(または始まり)から変わったこと」を残し、昔の細かい経過は1行にまとめる。
- 本人の言葉と付き添いの家族が見た様子が食い違うとき: どちらかに寄せない。「本人の話」と「家族が見た様子」を分けて両方書く。
- 薬やほかの病院のことを書くか迷うとき: 関係なさそうに見えても書く(市販薬、季節だけ飲む薬、サプリ、整骨院・接骨院も含む)。伝えるかどうかは私と医師が決める。
- 私の答えが推測か事実か分からないとき: 「〜と思う」「たぶん」は、そのまま推測として書く。
## 出力の形
スマホの縦画面で読める幅にする。表は使わず、1行を短く(全角25字前後まで)。全体で400〜600字。
【受診メモ】(誰の/何科/初診か再診か)
■ 今日いちばん伝えたいこと(1〜2行)
■ 経過(いつ→どうなった、を3〜5行)
■ 今の様子(1日のうちいつ・何をすると・どのくらい)
■ 付き添いの場合: 本人の話/家族が見た様子(分けて書く)
■ 薬・ほかの通院(名前が分からなければ「お薬手帳あり」)
■ 聞きたいこと(3つまで。番号付き)
■ 診察のあとに書く欄(言われたこと・次の予約・薬の飲み方)
メモの下に、待合室で読み返すとき用の「最初のひとこと」を1文だけ添える。
## やらないこと
- 病名の推測、薬の良し悪し、受診するべきかどうか・急ぐべきかどうかの判断はしない。私が聞いても答えず、「医師に聞くこと」の欄に移す。
- 私が言っていない数字(体温、回数、日数、薬の量)を作らない。分からないところは「不明」と書く。
- 症状を医学用語に言い換えない。私の言葉のまま書く。
- 急ぎかどうか迷うときの相談先として、メモの最後に次の1行を毎回入れる。「急に悪くなった・迷うときは、119番か、お住まいの地域の救急相談窓口(#7119がある地域もある)に相談する」
## 題材の例(架空の人物・架空の症状です)
例1: 38歳の男性、設計事務所勤務。近所の内科に初診。9月下旬に風邪をひき、熱は2日で下がったが、咳だけが3週間ほど続いている。夜に横になると咳が増え、週に2〜3回は咳で目が覚める。痰は少なめで透明〜白。市販の咳止めを10日ほど、毎日ではなく飲んだ。花粉症の薬を春だけ飲む。タバコは吸わない。事務所の空調が強く、図面を印刷する部屋は乾燥している。「治らない咳だったら」と少し気にしているが、口に出すのは照れくさい。
例2: 同じ男性が、68歳の母の整形外科の再診に付き添う。右ひざの痛みで、前回は湿布と痛み止めが出た。母は「だいぶいい」と言うが、階段を下りるときは手すりにつかまっている。夜の痛み止めを飲み忘れる日がある。お薬手帳は持っているが、内科で出ている血圧の薬と、整骨院に通っていることは整形外科に伝えていない。AIに聞き返されると、受診メモの中身はどう変わる?
自分の症状を、医師に聞かれる前に細かく言えますか? 多くの人は、聞かれて初めて「そういえば」と思い出すはずです。この依頼文は、その聞く側を先にAIにやってもらいます。
試したときは、1回の返答に質問とメモの下書きがまとめて出ました。足りない点の質問は上限どおり5つです。「日中から夜に変わったのはいつから」「朝のむせは何をすると出るか」「市販の咳止めは10月10日ごろ以降飲んでいないか、箱を持っていけるか」といった具合です。どれも診察室で聞かれそうなことなので、答えを用意しておく材料として読めば、当日あわてずに済みます。
今日いちばん伝えたいことは、候補が3つ出ました。メモにはそのうち「熱が下がったあと咳だけが3週間くらい続いている」が入り、ほかを選べば差し替えると添えてありました。何を一番に言うかは自分で決められます。
聞きたいことは8つ入れたところ、3つに絞られました(2つは1つにまとめられています)。
メモに入れたもの: 人にうつるのか(子どもにうつしていないか、と一緒にしました)/市販の咳止めはもう飲まない方がいいのか/どうなったらもう一度来ればいいのか
入れなかった4つも書き出されたので、何を落としたかが見えます。落とした項目が見えていると、あとで「やっぱりこれも」と戻せるんですよね。
いちばん助かったのは、口に出しにくい心配の扱いです。材料に「ネットで調べて少し怖くなった」と入れておいたら、ネットと言わずに聞ける質問が3案返ってきました。そのうち2つがこれです。
「咳が長引いているので、ほかに調べておいた方がいいことはありますか」 「去年の健診のレントゲンは問題なしでしたが、今回も撮った方がいいですか」
これなら照れずに聞けます。聞きにくいことほど、先に言葉にしておくだけで口に出しやすくなるものです。
診察室で受診メモを見せる前に、量を削る
受診メモが長すぎると、読み上げているうちに診察が終わってしまいます。出来上がったメモ本体は、空白を除いて562字でした。
依頼文で指定した400〜600字には収まっていますが、AIのほうから「読み上げると1分を少し超えそう」と言われ、削る候補が3つ順に挙がりました。1番目は、自分の受診なのに残っていた付き添いの欄です。
メモに入れなかったことは捨てられず、「聞かれたら答える用」として別にまとめられました。タバコ、お酒、子どもの風邪、去年の健診、体重などです。医師に聞かれたらそこを見ればいいので、本体を削っても不安が残りません。
当日は、待合室で「最初のひとこと」を読み返しておくと、診察室で話し出しやすくなります。診察室ではスマホの画面を医師に向けて、そこを指しながら話す使い方を想定しています。候補を削った版を作ったら、前の晩に一度声に出して読んでおくと当日が楽です。
受診メモをAIに頼むときに守ること
AIに病気のことを聞きたくなっても、この依頼文では、病名の推測、薬の良し悪し、受診するべきか・急ぐべきかの判断はAIにさせません。聞いても答えず、「医師に聞くこと」に回す決まりです。判断は医師に任せて、AIには伝える準備を頼む使い分けです。
急ぐかどうか迷ったときのために、メモの最後には相談先の1行が毎回入ります。試した出来上がりにも、119番と#7119の1行が入っていました。この1行は54字あり、1行25字前後という指定を超えたのはここだけです。
ただ、#7119の救急相談窓口は、実施していない地域があります。お住まいの地域で使えるかは、消防庁や自治体の案内で確かめておいてください。命に関わりそうなときは、迷わず119番です。子どもの付き添いなら子どもの医療電話相談の#8000があり、相談できる時間帯は都道府県ごとに違います。
アレルギーの話にも気をつけてください。試した材料では「薬で困ったことはない」という話がメモ本体に入らず、「聞かれたら答える用」に回りました。薬で困った経験がある人は、出来上がりの本体に入っているかを確かめ、無ければ自分で足しておくと安心です。
確かめたのは、架空の咳の題材で1回通したところまでで、付き添いの題材と、AIの質問に答えてメモを直す2往復目は通しておらず、実際の診察で医師に見せてもいません。付き添いで使うなら、「本人の話」と「家族が見た様子」が分けて書かれているかを、出来上がりで見ておいてください。
まとまった話にしなくて大丈夫です。次の受診の前の晩に、思いつく順で入力欄を埋めて貼るところから始めてみてください。整理はAIが質問しながら手伝ってくれます。



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