上司やAIに出す相談がまとまらないときは、出す前に普段使っているチャットAIに点検させると、何を聞きたいのか決まっているかが分かります。下の依頼文を貼ると、いまの形で出してよいかが判定され、足りない事実は、自分で確かめて埋める【要確認】の空欄にした相談文ができます。用件が決まっていない段階なら、相談文を書かずに1問だけ聞き返すよう、依頼文で決めてあります。
相談がまとまらないまま出すと、なぜ答えまでぼやけるのか?
「ちょっと相談があって」と切り出したあと、話しながら自分でも何を聞きたいのか分からなくなったことはありませんか? 聞いた側は、まず聞き返しますね。「それで、教えてほしいんですか、決めてほしいんですか」。ここで答えられないと、返ってくるのは一般論です。
相談は、中身より先に形を見ておきます。形が悪いと答えも悪くなるのは、上司に出す相談でもAIに出す相談でも同じです。
私は、AIのほうが厄介だと思っています。上司なら聞き返してくれますが、AIは聞き返さず、それらしい答えで埋めてしまうことがあるからです。整った文章が返ってくるぶん、相談の形が悪かったことに気づきにくくなります。
そこで、出す前に一度、聞き返す役をAIにやってもらいます。相談の中身には答えさせず、形だけを点検させる。この依頼文の要はそこです。
相談を出す前に、AIに点検させる依頼文
依頼文は、末尾の「題材の例(架空)」も含めて全文そのまま貼ります。中の「ここに〜」の行は触らずに残し、あなたの相談は、依頼文の一番後ろに入力の3つ(相談の材料、相談する相手、相手の事情)として書き足して渡します。
題材の例は、判断基準の当てはめ方の見本です。本物の相談は、後ろに書き足した入力のほうになります。例には「段階2になるはず」と答えまで書いてあるので、あなたの相談が別の判定になっても不具合ではありません。
あなたは、相談を受け付ける窓口の担当者として振る舞ってください。私がこれから出そうとしている相談(上司への相談、またはAIへの相談)を、相手に出す前に点検します。いまの形のまま出してよいかを判定し、段階に応じて止める・聞き返す・整えるのどれかを行い、最後に相手へそのまま渡せる文面を作ってください。
## 入力
1. 相談の材料:ここに、手元のメモや走り書きをそのまま貼る(断片、箇条書き、話し言葉のままでかまいません)
2. 相談する相手:ここに「上司(役職)」か「AI」かを書く
3. 相手の事情:ここに、相手に使ってもらえる時間や、相手について分かっていることを書く(例:専務、立ち話で5分ほど)
## 手順
1. メモの断片を一つずつ取り出し、次の4種類に仕分けてください。
- 確かめた事実:自分で見た・数えた・言われたこと
- 見立て:「〜な気がする」「〜そう」など、本人の印象
- 心配:費用や手間など、引っかかっていること
- 用件の芽:「〜したほうがいいのかな」など、相手に何かを求めそうな部分
2. 用件の芽から、相手に求めていることがどれに当たるかを決めてください。
- 教えてほしい(情報)
- 一緒に考えてほしい(意見)
- 決めてほしい、許可してほしい(判断)
決めきれない場合は、決めずに次へ進んでください。
3. その用件は、この相手に出すものかを確かめてください。自分で調べれば分かること(料金、製品の仕様など)は、相手に出すものではありません。
4. 下の判断基準で、相談がいまどの段階にあるかを判定してください。
5. 判定した段階で決められた対応だけを行い、出力の形に沿って出してください。
## 判断基準
段階は次の4つです。上から順に当てはめ、最初に当てはまったものを判定にしてください。迷ったときは、上の段階の側に判定してください。
- 段階1 宛先違い:用件の中心が、自分で調べれば分かることになっている。対応は「出さずに止める」。相手宛ての相談文は作らず、先に自分で調べることを箇条書きにし、調べるための問い合わせ文(AIや販売元に聞く文面)を出す。聞き返しはしない。
- 段階2 用件未定:用件が一文で言えない、または求めているのが情報・意見・判断のどれか決まっていない。対応は「聞き返す」。聞くのは用件を決める1問だけで、情報・意見・判断の選択肢に、メモに沿った具体的な言い方を添えて示す。相談文は、選択肢ごとの冒頭1文だけを並べ、本文は私の答えを待ってから作る。
- 段階3 事実待ち:用件は言えるが、それを支えるのが見立てと心配だけで、確かめた事実が一つもない。または判断を求めているのに、期限か金額の見当のどちらも書かれていない。対応は「整えて、空けたまま出す」。聞き返しはせず、足りない事実を【要確認:〜】で空けた相談文を作る。あわせて、空欄を埋めてから出す場合と、見立てであることを明記して意見だけ先にもらう場合の2通りの文面を出す。
- 段階4 受付可:用件が一文で言え、それを支える事実が少なくとも一つあり、相手が何を答えればよいか分かる。対応は「整えるだけ」。中身は足さず、言い回しと順番だけを直す。
判断を求める相談なのに「どちらがいいと思いますか」で終わっている場合は、段階4でも段階3として扱ってください。
## 出力の形
次の見出しで、この順に出してください。
1. 判定:段階の番号と名前、その理由を2文以内で
2. メモの仕分け:表にする(列は「メモの断片」「種類」「相手に出せるか(そのまま/確かめてから/出さない)」)
3. 段階ごとの対応:段階1は先に調べることの箇条書き、段階2は用件を決める1問、段階3は【要確認】にした項目の一覧、段階4は直した箇所の一覧
4. 文面:段階で決めた文面を出す(段階1は問い合わせ文、段階2は冒頭1文の候補、段階3は2通りの相談文、段階4は整えた相談文)
- 相手が上司の場合:冒頭の1文で用件と、求めていること(情報・意見・判断)を言う。全体で300字以内。最後に「いつまでに、どんな返事がほしいか」を書く
- 相手がAIの場合:前提、聞きたいこと、出してほしい答えの形(比較表、3案など)を見出しなしの段落で書く。600字以内
## やらないこと
- 私が書いていない事実や数字(費用、年数、人数、不満の件数など)を作らない。必要なら【要確認:〜】で空ける
- 相談の中身そのもの(乗り換えるべきかなど)に答えを出さない。ここでは相談の形を整えるだけにする
- 私の見立てを事実のように書き換えない。「古い気がする」は、確かめるまでは「古いと感じている」と書く
- 判定した段階で決めた対応以外のことをしない(段階4で聞き返す、段階2で相談文の本文まで書く、など)
## 題材の例(架空)
次は説明のために作った架空の例です。実在の会社とは関係ありません。
地方の工務店「中野工務店」で事務を担当している人が、上司の専務に相談したい。手元のメモは「見積もりソフトがもう古い気がする」「若い人が使いにくそう」「乗り換えたほうがいいのかな」「でもお金もかかるし」の4つだけ。専務は現場に出ていることが多く、話せるのは事務所に戻った数分だけ。
この例では、用件の芽「乗り換えたほうがいいのかな」が、検討を始めてよいかの判断を求めるものか、意見を聞きたいものかがまだ決まっていません。上から当てはめると、乗り換えるかどうかは自分で調べて決まることではないので段階1ではなく、段階2になるはずです。その場合は、用件を決める1問から始めてください。依頼文の後ろには、たとえば次のように書き足します。
1. 相談の材料:見積もりソフトがもう古い気がする/若い人が使いにくそう/乗り換えたほうがいいのかな/でもお金もかかるし
2. 相談する相手:上司(専務)
3. 相手の事情:現場に出ていることが多く、話せるのは事務所に戻った数分だけ自分のメモは、整えずに走り書きのまま貼っておきます。断片を仕分けるのは依頼文の仕事です。
メモ4行を貼ると、AIは相談文を書かずに1問だけ返した
試した題材は、依頼文の例と同じ架空の工務店の相談です。貼ったメモは、上の入力例と同じ4行だけ。例には「段階2になるはず」と書いてあるので、1往復目は例どおりの結果で、見どころは2往復目になります。1往復目は約32秒で返ってきました。
判定は「段階2 用件未定」で、理由はこう書かれていました。
「乗り換えたほうがいいのかな」という用件の芽はありますが、専務に教えてほしいのか、意見がほしいのか、検討を始める許可がほしいのかが決まっておらず、用件が一文で言えないためです。
メモ4行の仕分けは次のとおりです。確かめた事実は0でした。
「古い気がする」も「使いにくそう」も、本人の印象です。書いた本人は根拠のつもりでいるので、表に並べられて初めて、事実の欄が空だと分かります。あなたのメモなら、事実の欄にいくつ入りそうですか?
目を引いたのは、AIが相談文の本文を書かなかったことです。出てきたのは、専務に求めるのが情報・意見・判断のどれかを番号で選ぶ3択の1問でした。選択肢には「乗り換えを考えたほうがよいのか、専務の考えを聞きたい」のように、メモに沿った言い方が添えてあります。あわせて、選んだ場合の冒頭1文の候補が3つ出ました。判断を選んだ場合の候補はこうです。
専務、見積もりソフトの乗り換えを検討するために、他のソフトの情報集めを始めてよいか判断をいただけますか。
気を利かせて全部書いてくれるより、本文を書かずに止まってくれるほうが助かります。用件が決まらないまま整った文面が出てくると、そのまま出してしまいますから。
何を聞きたいのかを1つ選ぶと、上司への相談文はどう変わるか?
2往復目に返したのは1通だけです。「3の判断でお願いします。調べ始めてよいかを専務に決めてほしい。来月の頭には専務に話したい」。情報・意見・判断のうち、判断を選びました。
判定は「段階3 事実待ち」に上がりました。用件は一文で言えるようになったものの、支えているのが見立てと心配だけだからです。
費用も年数も、入力には書いていません。AIはそれを推測で埋めず、すべて空欄のまま残しました。ここは安心して見ていられたところですね。空欄を埋めてから出す版(219字)は、次のとおりです。【要確認:〜】の部分が、自分で確かめて書き込む空欄になります。
専務、見積もりソフトの乗り換えに向けて、他のソフトを調べ始めてよいか判断をいただけますか。いまのソフトは【要確認:入れた時期、または使っている年数】で、若い人が【要確認:使いにくそうにしていた具体的な場面】でした。費用は【要確認:乗り換えにかかる費用のおおよその見当】と見ています。まずは【要確認:調べる範囲と、かかる時間の見当】で比べるだけのつもりです。来月の頭にお話しする際に、調べ始めてよいかどうか、お返事をいただけると助かります。
空欄は4か所。入れた時期、使いにくそうにしていた場面、費用の見当、調べる範囲と時間です。専務に聞かれたら詰まる箇所の一覧にもなります。
もう1通は、見立てであることを明記して意見だけ先にもらう版(165字)で、空欄はありません。
専務、見積もりソフトの乗り換えについて、調べ始める前にご意見だけ先にいただけますか。まだ確かめてはいないのですが、いまのソフトが古いと感じていて、若い人も使いにくそうに見えています。一方で、費用がかかることも気になっています。この段階で調べ始める価値がありそうか、来月の頭にお話しする際に、ひとことご意見をいただけると助かります。
メモの「古い気がする」は「古いと感じていて」になり、前に「まだ確かめてはいないのですが」が付いています。見立てが事実に化けていません。
どちらも上限の300字に収まり、冒頭の1文で用件を言い、最後に「来月の頭にお話しする際に」と返事がほしい場面を書いています。専務は何を答えればいいかがすぐ分かります。
上司に出す相談とAIに出す相談は、締め方が違います
この節は、試した結果ではなく、依頼文に書いた決まりの説明です。
依頼文では、相手によって文面の形を分けています。上司宛ては300字以内で、冒頭の1文に用件と求めていること(情報・意見・判断)を置き、最後に「いつまでに、どんな返事がほしいか」を書きます。AI宛ては600字以内で、前提、聞きたいこと、出してほしい答えの形(比較表、3案など)を見出しなしの段落で書きます。
上司は返事をする人なので、期限と返事の種類で締めます。AIは答えを作る側なので、答えの形を指定して締めます。何を聞きたいのかが決まっていなければ、どちらの締めも書けません。
もう1つ、依頼文には止める段階も入れてあります。用件の中心が料金や製品の仕様のように自分で調べれば分かることなら、相談文は作らず、先に調べることを並べて止めます。上司の数分を、調べれば済む話に使わないための決まりです。
手元の相談を一つ思い浮かべてください。料金や仕様の話なら、上司の数分に載せる前に、調べる側に回します。
相談の点検をAIに任せるときの注意
2往復目で、小さなズレが1つありました。「来月の頭には専務に話したい」が、メモの仕分けで「確かめた事実」に入ったのです。本人が決めた予定という注記つきで、判定には影響しませんでした。ただ、AIが「確かめた事実」に入れたものは、自分が見た・数えた・言われたことかどうか、自分の目で見直しておきます。
この依頼文は相談の形を整えるだけで、乗り換えるべきかどうかのような中身には答えません。答えを出すのは、相談を受けた上司です。
Claudeで1回試しました。架空の工務店の相談1件で、1問に答えを1通返す2往復です。Web検索やファイルの読み込みは使わず、会話だけで動かしています。相手がAIの場合の相談文と、段階1・段階4に当たる相談は試していません。1回の結果なので、毎回同じ判定になるとは限りません。
次に上司へ声をかける前に、メモを走り書きのまま貼ってみてください。まず1回貼れば、今の形で出してよいかが分かります。1問だけ返ってきたら、それはまだ出す段階ではないという合図です。選択肢の番号で用件を選び、いつ話したいかを添えて1通返します。私の2往復目はそれで、空欄つきの相談文と、意見だけ先にもらう相談文が出てきました。



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