転職や引っ越しをほぼ決めかけて、周りに話しても「いいじゃん」しか返ってこないなら、AIをわざと反対の立場に立たせてみてください。自分が書いた事実だけを根拠にした反対意見と、起きたら一番痛い穴、それを今週のうちに確かめる方法が返ってきます。そのまま貼れる依頼文と、架空の転職の例で出た結果を載せます。
賛成ばかりの転職相談に、AIの反対意見を足す
たとえば内定が出て、回答期限は2週間後。家族も友人も「いいじゃん」と言ってくれます。ありがたいのですが、賛成ばかりもらうと、かえって不安になるんです。誰もまだ穴を確かめていないからです。
あなたの周りも、賛成の声ばかりではありませんか?
欲しいのは、決断を止める声とは違います。決める前に、起きたら一番痛いところを先に知っておきたい。人に頼むと角が立つこの役を、AIに任せます。
AIには、反対意見を自分が入力した事実からしか出させません。「やめたほうがいい」「進むべき」の結論も、励ましも言わせない。決めるのは自分です。
転職の内定に出たAIの反対意見は、こういう形でした
試しに、こんな架空の相談を入れてみました。市役所で9年働く32歳の技師が、東京の建設コンサルから内定をもらった。年収は約520万円から約600万円に上がるが、実家を出て家賃9万円前後の部屋に移る。父の通院に、ときどき車を出している。
AIが返してきた反対意見は4つ。たとえばお金については、こう指摘されました。
計算に使っているのは、自分が入れた数字だけです。
一番痛い穴は、年収より「決めたい理由」
ただ、4つのうち「一番痛い」と選ばれたのは、お金ではありませんでした。この相談で転職したい理由は、道路の維持管理だけでなく設計そのものに関わりたい、というものです。AIは、その理由自体が入社しても手に入らないかもしれない、と指摘しました。起きたら市役所に戻るのも難しいのに、相談のどこにも担当する仕事の中身を確かめた形跡がない、というのがその根拠です。
転職しても設計を担当できなければ、年収が上がっても理由ごと崩れる。言われてみれば当たり前ですが、自分の決断だと一番見たくない場所でもあります。
AIの返答では、このあとに今週の確かめ方が表で続きます。誰に・何で聞くかと、「こうなら予定どおり進んでいい」「こうなら考え直す」の分かれ目まで並ぶ形です。
あなたの決断で、「決めたい理由」が本当に手に入るかを確かめたことはありますか?
AIに反対意見を出させる依頼文
AIのチャット欄に、そのまま貼れます。
あなたは、私がほぼ決めかけている大きな決断に、あえて反対の立場から意見を出す相手です。応援や励ましは要りません。決める前に、私が見落としている一番痛いところと、それを今週のうちに確かめる方法を教えてください。決断をやめさせるのが目的ではなく、決める前に穴を先に知るのが目的です。
## 入力
【決めかけていること】
(ここに、何をどう決めかけているかを1〜3行で貼る。例: 〇〇社に転職して、△△に引っ越す)
【期限】
(ここに、返事や契約の期限を貼る。なければ「なし」)
【いまの状況】
(ここに、仕事・お金・住まい・家族・健康など、関係しそうなことを箇条書きで貼る。分かる範囲の数字も。求人票・内定通知・見積もりの要点を貼ってもよい)
【決めたい理由】
(ここに、なぜそうしたいのかを正直に貼る)
【自分でも少し気になっていること】
(ここに、引っかかっていることがあれば貼る。なければ「特になし」)
## 手順
1. 入力を読み、私の決断を「何を手放して、何を手に入れるか」の形で2〜3行に言い直してください。ここでは止まらず、そのまま手順2以降に進んでください。言い直しが私の意図とずれていたら、手順6のあとに私が訂正するので、そのときは訂正した内容で手順3〜5をやり直してください。
2. 決断の中身を、「あとから戻せること」と「戻すのに大きなお金・時間・人間関係の損が出ること」に分けてください。戻しにくいものほど、あとの反対意見で重く扱います。
3. 反対の立場から、まっとうな反対意見を5つまで出してください。それぞれ、次の3つを書きます。
- 何が起きうるか(具体的な場面で)
- 入力のどこからそう考えたか(私が書いた言葉を引く)
- 起きたときの痛さ(大・中・小)と、その理由
4. 5つの中から、「起きたら一番痛く、しかも私がまだ確かめていないもの」を1つ選び、なぜそれを選んだかを書いてください。
5. 選んだ1つと、残りのうち痛さが大か中のものについて、今週のうちにできる確かめ方を出してください。誰に・何を・どう聞くか、何を見ればいいかまで書きます。確かめた結果、「こうなら予定どおり進んでいい」「こうなら考え直す」の分かれ目も添えます。
6. 最後に、私に反論の機会をください。「この反対意見に、事実で言い返せるものはありますか」と1行で聞いて止まってください。
7. 私が反論を書いたら、1通の中に主張がいくつあっても、主張を1つずつに分けて判定してください。それぞれ「確かめた事実」「まだ確かめていない見込み」「気持ち」のどれに当たるかを決めます。
- 事実で、反対意見の前提を崩すもの: その反対意見を取り下げる
- 事実だが、反対意見の前提を崩さないもの(話が別の点に移っている、痛さを少し下げるだけ、など): 取り下げない。痛さが下がるなら下げ直し、どこが崩れていないかを1行で返す
- 見込みや気持ち: 取り下げずに、何を確かめれば事実になるかを1行で返す
## 判断基準
- 反対意見は、私の入力にある事実や数字から出すこと。誰の決断にも当てはまる一般論(「環境が変わるとストレスがかかる」「慎重に考えましょう」など)は出さない。入力から言えないなら、その意見は出さないか、「入力からは分からない」と書く。
- 痛さは、起きる確率よりも「起きたときに戻せるか」で決める。戻せないお金・住まい・家族の事情に関わるものは大、数か月で取り返せるものは中、気分の問題で済むものは小。
- 私が「決めたい理由」に書いたことが、実際には決断で手に入らない可能性があるなら、それを最優先で反対意見に入れる。理由そのものが崩れると、他の条件がよくても後悔につながるため。
- 期限があるときは、期限までに確かめられることを優先する。期限内に確かめようがないものは「確かめられないまま決めることになる点」として分けて書く。
- 確かめ方は、問い合わせ・書類の確認・身近な人への質問・実際に行って見る、のように今週動けるものにする。「よく考える」「情報を集める」のような動作の見えないものは出さない。
- 私が手順7で言い返しても、事実でなければ反対意見を取り下げない。ただし、言い方は責めずに淡々と。
- 反対意見が出しきれず、私の決断に大きな穴が見当たらないときは、無理に作らず「入力の範囲では大きな穴は見当たらない」と書き、そのうえで確かめていない前提を挙げる。
## 出力の形
次の順で出してください。全体で1,500字前後まで。
1. 決断の言い直し(2〜3行)
2. 戻せること・戻しにくいこと(箇条書き、それぞれ3つまで)
3. 反対意見の表(列: 番号/何が起きうるか/入力のどこから/痛さ)
4. 一番痛い穴(1つ。選んだ理由を2〜3行)
5. 今週の確かめ方(表。列: 確かめること/誰に・何で/進んでいい分かれ目/考え直す分かれ目)
6. 確かめられないまま決めることになる点(あれば箇条書き)
7. 反論を求める1行
手順7の判定は、反論の中の主張1つにつき1行で、「主張の要約/事実・見込み・気持ちのどれか/前提を崩すか/反対意見をどうするか(取り下げ・痛さを下げて残す・そのまま残す)」を短く返してください。
## やらないこと
- 入力にない数字・制度・会社の評判・相場を作らない。必要なのに分からない数字は「要確認」と書き、確かめ方に回す。
- 「やめたほうがいい」「進むべき」と結論を出さない。決めるのは私です。
- 励まし・応援・「あなたなら大丈夫」のような言葉を入れない。
- 私の性格や能力を推測して反対意見にしない。反対意見は状況と条件から出す。
- 法律・税金・ローン・健康などの判断が要る点は、断定せずに「専門の窓口で確かめる」と書く。
## 題材の例(架空)
以下は使い方を示すための架空の例です。
【決めかけていること】
いまの市役所(地方の人口8万人ほどの市)を辞めて、東京の建設コンサル会社「架空の北辰設計」に転職し、都内に引っ越す。
【期限】
内定の回答期限は2週間後。
【いまの状況】
- 32歳。市役所の土木課で技師をして9年目。年収は約520万円
- 内定先の提示年収は約600万円。残業代込みかどうかは内定通知からは読み取れない
- いまは実家から車で15分。家賃はかかっていない
- 都内で考えている部屋は家賃9万円前後。通勤は電車で40分ほどの見込み
- 父が去年から通院している。母が付き添っているが、ときどき僕が車を出している
- 技術士の資格はまだ持っていない
【決めたい理由】
道路の維持管理だけでなく、設計そのものに関わりたい。いまのままだと10年後の自分が想像できてしまう。
【自分でも少し気になっていること】
特になし。周りに話すと「いいじゃん」としか言われない。自分の題材で使うときは、【】 の5つの欄にある「(ここに〜)」の行を、自分の内容に書き換えます。末尾の架空の例は、欄の埋め方の見本です。
いちばん効くのは【いまの状況】の欄です。年収・家賃・通勤時間・家族の事情のように、数字と固有の事情を箇条書きで入れてください。求人票や内定通知は、全文でなく要点だけで足ります。反対意見は入力した事実からしか出ない作りなので、ここが薄いと反対意見も薄くなります。
【自分でも少し気になっていること】は「特になし」でもかまいません。例の主人公もそう書いていて、それでも穴は出ました。
反対意見が一般論で終わらないのはなぜ?
「環境が変わるとストレスがかかる」のような、誰の決断にも当てはまる反対意見は、聞いても次に何をすればいいか分かりません。依頼文ではこれを名指しで禁じ、反対意見ごとに「入力のどこからそう考えたか」を、こちらが書いた言葉の引用で示させています。根拠を引けない意見は出せないので、さっきの例では5つまで出せるところ、4つで止まりました。
痛さの付け方も決めてあります。起きる確率でなく、起きたときに戻せるかで測ります。戻せないお金・住まい・家族の事情は大、数か月で取り返せるものは中。お金の反対意見が中だったのは、住まいを変えれば調整できるからでした。
もう1つが「決めたい理由」の扱いです。理由そのものが手に入らない可能性があれば、最優先で反対意見に入れるよう書いてあります。一番痛い穴に「設計の仕事が手に入らないかもしれない」が選ばれたのは、この一文が効いたからだと僕は見ています。
反対意見に言い返すと、AIは何を取り下げたか
反対意見の最後に、AIは「この反対意見に、事実で言い返せるものはありますか」と1行だけ聞いて止まります。ここで言い返せるのが、この依頼文のいいところです。
4つの反対意見には、さっきのお金と設計の仕事のほかに、「父の通院で車が要る日に誰も出せず、母1人で抱える」というものもありました。これらに対して、5つの言い分を1通に混ぜた架空の反論を貼りました。残業代は別だと人事から返事があった。配属は道路設計部と内定通知にある。弟が実家の近くに住んでいる。何とかなると思う。本気なので乗り越えられる。
AIは言い分を1つずつ判定して、表で返してきます。そのうち、事実を出したのに反対意見が取り下げられなかった2つを抜き出します。
反対意見を一部崩せたのは「残業代は別」だけで、お金の反対意見は痛さを中から小に下げて残りました。「何とかなると思う」は見込み、「本気なので」は気持ちとして扱われ、どちらも取り下げにはなっていません。
事実を出しても、話がずれていれば取り下げない。人に相談するときとの一番の違いはここだと思います。家族なら「弟がいるなら大丈夫だね」で終わっていたかもしれません。
あなたが言い返したくなる反対意見は、事実で崩せるものでしょうか?
AIの反対意見でも分からないこと
この依頼文はClaudeで2回試し、末尾の架空の例を入れたまま、反論の判定まで通しました。反対意見の返事は1,500字を少し超えるくらいで、反論の判定まで含めても2分かかりませんでした。
AIが見ているのは、こちらが入力した事実だけです。内定先で実際に設計を任されるか、家族がどこまで手を貸せるかは、人に聞いて確かめるしかありません。依頼文が出すのは、その聞き方と聞く相手までです。法律・税金・ローン・健康が絡む点は、AIも「専門の窓口で確かめる」と書く作りなので、そこは窓口で確かめてください。
まだ候補を集めている段階だと、入力できる事実が少なく、反対意見も薄くなります。向いているのは、転職・引っ越し・家を買う・独立のように、ほぼ決めかけていて回答期限が見えている決断です。
期限の前に、今夜5つの欄を埋めるところから始めてみてください。
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