離れて暮らす親の詐欺対策、AIで見下さない話し方と家族の合言葉を決める

沖田
沖田

@okita_4t ・ 1本

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帰省して親に詐欺の話をすると「私は大丈夫」と嫌がられるなら、親を直そうとせず、「お金の話が出た電話は一度切る、という家の決まりを一緒に決めておきたい」と頼む形で切り出します。説得の話にしないのがコツです。親の暮らしや電話の環境をAIに書いて渡せば、帰省で話す台本と、電話のそばに貼る1枚の紙ができます。

親の詐欺対策、電話のそばに貼る1枚はこの5行

電話の前で迷ったとき、親が目をやるのは長い説明より壁の1枚でしょう。例として架空の母の暮らしを書いて、AIに作らせたA4の紙です。見出し1行と箇条書き5行に収まりました。

電話で お金の話が出たら いったん切る
- お金・カード・暗証番号・ATMの話は、電話では決めない
- 「今日まで」と急がされても、「かけ直します」と言って切ってよい
- かけ直すのは この紙の番号だけ 息子【ここに息子の番号】 妹【ここに妹の番号】
- 信用金庫【ここに信用金庫の番号】 郵便局【ここに郵便局の番号】 市役所【ここに市役所の番号】
- 迷ったら 警察相談専用電話 #9110 / 消費者ホットライン 188

家族や金融機関の番号は空欄で、AIが書いた実在の番号は #9110 と 188 だけです。空欄は、自分で手元の書類から調べて埋めます。紙に番号があれば、相手が電話口で言った番号ではなく、紙の番号にかけ直すという動きが取りやすくなります。

あなたの実家の電話のそばには、今どんな紙が貼ってありますか? カレンダーとゴミ出しの表くらいなら、そこにもう1枚足すところから始められます。

詐欺の話を嫌がる親に、どう切り出すか?

実家のこたつで、帰省した息子と母がテレビを消して向かい合い、お茶を前に穏やかに話しているイラスト

台本で自分が一番感心したのは、母を「教わる側」に置かず、「答える側」に回したところです。材料に「元郵便局の窓口のパート」と書いたら、AIはそこを拾ってきました。

私: 本物なら、かけ直しても困らないんだって。手続きがあるなら、また向こうから書類が来るし。母さんは郵便局の窓口にいたから分かると思うけど、本物の窓口は「今日中にATMへ」なんて言わないでしょう。 母: 言わないわね。お金のことは窓口で、書類で、っていうのが普通よ。

本物の窓口がどう動くかは、母のほうが詳しい。だから息子が教えるのでなく、母の口から言ってもらう。これなら子ども扱いの逆になります。

嫌がられたときの返し方は2通り出ました。材料に書いた母の口ぐせのうち、「町内会の電話もあるのに」への返しがこれです。

私: 町内会の連絡は、そのまま話していいんだよ。切るのは、お金とカードと暗証番号とATMの話が出たときだけ。町内会の人は、電話でATMの話なんてしないでしょう。

電話を全部疑えと言われたら、町内会や親戚との付き合いまで回らなくなります。切る条件を4つの言葉に絞れば、ほかの電話はいつもどおりで構いません。

細かい気配りも入っていました。母は耳が少し遠いと書いたら、台本の冒頭に「テレビを消すか音を小さく、向かい合ってゆっくり」とあります。先月の還付金の電話は妹から聞いた話で、母は息子に言っていない、という材料も読んでいて、台本では母が自分から話したときだけ触れる形にしていました。質問でも「妹から聞いたと分かる形で出してよいか」を確かめてきています。

なぜ「気をつけて」という話にしないのか。電話一本で人もお金も動くからこそ、受けた人の注意力に頼る形にはしたくないんですよ。この決まりは、切る、紙の番号にかけ直す、という動作で止まれる作りです。だから親の判断力を話題にしなくて済みます。

家族の合言葉は、親の詐欺対策のどこで使うか

お金の話が出たら一度切り、紙の番号にかけ直す流れと、家族を名乗る電話のときだけ合言葉を聞く分かれ道の図

決まりごとは3つに絞られました。

1. 電話でお金・カード・暗証番号・ATMの話が出たら、相手が誰でも「かけ直します」と言って一度切る。
2. かけ直すのは紙に書いてある番号だけで、相手が言った番号にはかけない。
3. 息子や妹を名乗る電話で、声がいつもと違う・番号が変わったと言われたら、家族の合言葉を聞く。

合言葉は3番目で、しかも息子や妹を名乗る電話に限っています。家族の合言葉は詐欺対策の定番に聞こえますが、役所や銀行を名乗る相手に合言葉を聞いても始まらないでしょう。どの型の電話にも効くのは、1と2の「一度切る」「紙の番号にかけ直す」です。

依頼文には、親が覚えにくそうなら合言葉より「一度切って紙の番号にかけ直す」を優先する、という分かれ目を入れてあります。合言葉は紙に書かせません。電話のそばに貼れば、家に上がった人なら誰でも読めてしまいますから。

親が新しい言葉を覚えにくいほうなら、合言葉は候補だけ用意しておき、決めるのは帰省の場で親と一緒にすれば十分です。

親の詐欺対策をAIに頼む依頼文

帰省の前の晩に、これを丸ごと貼ります。【ここに書く】の7か所に、自分の親のことを書き込んでください。年齢と暮らし方、電話の環境、最近あった怪しい電話、お金まわり、家族の連絡体制、性格と機嫌を損ねる言い方、帰省で話せそうな時間と場面の7つです。

離れて暮らす親が電話の詐欺に遭わないよう、次の帰省で親と話すときの台本と、実家の電話のそばに貼るA4一枚の紙を一緒に作ってください。親を子ども扱いせず、「しっかりしている親だからこそ、家族で決まりごとを作っておく」という話の運び方にしてください。

# 入力
- 親の年齢と暮らし方(一人暮らしか、誰と住んでいるか):【ここに書く】
- 電話の環境(固定電話・携帯・スマホで何を使っているか、留守番電話の設定):【ここに書く】
- 最近あった怪しい電話や出来事(なければ「なし」):【ここに書く】
- お金まわり(使っている金融機関の種類、ATMに行く頻度。金額や口座番号は書かなくてよい):【ここに書く】
- 家族の連絡体制(自分、きょうだい、近所の頼れる人。会える頻度):【ここに書く】
- 親の性格と、こういう言い方をすると機嫌を損ねる、という心当たり:【ここに書く】
- 次の帰省で話せそうな時間と場面(食事のあと10分、など):【ここに書く】

# 手順
1. 入力を読み、足りない点があれば、最大5つまで質問してください。私が答えてから先に進んでください。
2. 最近の出来事が「お金を渡した・振り込んだ・カードを渡した・暗証番号を教えた」に当たるかを先に確かめてください。当たる場合は、台本づくりを止めて、下の「やらないこと」にある連絡先と、すぐやること(金融機関への連絡、警察への相談)だけを短く示してください。
3. 親の暮らしから、狙われやすい電話の種類を2〜3個に絞ってください。日本で多い型は、役所を名乗る還付金の電話、息子や孫を名乗る電話、警察・銀行・百貨店を名乗ってカードや暗証番号を聞き出す電話、SNSで知り合った人からの投資の誘いです。親が使っていない道具(例: SNSをしていない)に関わる型は外してください。
4. 家族の決まりごとを3つまでに絞って提案してください。注意力や気合いに頼らず、「この言葉が出たら、この手順」と決められるものにします。例:
   - お金・カード・暗証番号・ATMの話が出た電話は、その場で一度切る
   - 切ったあと、紙に書いてある番号へ自分からかけ直す(相手が言った番号にはかけない)
   - 家族を名乗る電話には、家族だけが知る合言葉を聞く
5. 決まりごとを親に伝える台本を作ってください。親が嫌がりそうな言い方は入力から読み取り、避けてください。
6. 電話のそばに貼るA4一枚の紙の文面を作ってください。
7. 帰省までに私が準備しておくことを、短い箇条書きで出してください。

# 判断の分かれ目
- 最近怪しい電話があった場合: その出来事を責める材料にしない。「止まれてよかった」「相手が手慣れていた」と、親ではなく相手の手口の話にする。なかった場合は、ニュースや近所で聞いた話から入る
- 親が「自分は大丈夫」と言いそうな場合: 説得しようとせず、「自分が電話を受けたときにも使う決まりだから、一緒に決めておきたい」と、子ども側の都合として頼む形にする
- 合言葉: 親が覚えにくそうなら、合言葉より「一度切って紙の番号にかけ直す」を優先する。合言葉は紙に書かない
- 決まりごとが3つを超えそうなら、親が一番受けやすい電話に関わるものを残す

# 出力の形
1. 狙われやすい電話の型: 表(列は「型」「よくある言い回し」「決まりごとの番号」の3列まで)
2. 決まりごと: 番号付きで3つまで、それぞれ1文
3. 帰省の台本: 私のセリフと、親の予想される返事を交互に書く。話し始め、決まりごとを一緒に決める部分、親が嫌がったときの返し方2通り、終わり方。声に出して5〜10分で終わる長さ
4. A4の紙: 大きな字で読めるよう、見出し1行と箇条書き5行以内。かけ直す先の電話番号は【ここに家族の番号】のように空欄にする
5. 帰省までの準備: 箇条書き5つまで

# やらないこと
- 親の判断力や年齢を理由にした言い方(「年だから」「騙されやすいから」など)は使わない
- 被害の金額や件数などの数字を作らない。確かでないことは書かない
- 実際にかかってきた電話が詐欺かどうかを、AIが断定しない
- 電話番号は、下の2つ以外を作らない。家族や金融機関の番号は空欄にする
  - 警察相談専用電話 #9110(すぐ危ないときは110番)
  - 消費者ホットライン 188
- お金を渡してしまった・振り込んでしまった場合は、台本より先に、金融機関と警察への連絡を案内する

# 題材の例(架空)
隣県で一人暮らしの78歳の母。父は3年前に亡くなった。家の固定電話が中心で、スマホはLINEと写真だけ。先月「市役所の保険年金課」を名乗る男から「医療費の還付金が2万8千円ある、今日が期限、近くのATMへ」と電話があり、財布を持って玄関まで出たところで隣の人に声をかけられて止まった。本人は「ちょっと確かめに行こうとしただけ」と言っている。年金は月11万円ほど、地元の信用金庫と郵便局に口座。息子の私は月に1回、日曜に帰省する。妹が県外にいる。

末尾の「題材の例(架空)」は書き方の見本です。消してから貼ってもいいし、書き込み方の参考に残しておいてもかまいません。金額や口座番号は書かなくて大丈夫です。

手を抜かずに書きたいのは、機嫌を損ねる言い方の欄でしょう。台本はこの欄を読んで、避ける言い回しを決める作りになっています。足りない点があればAIが最大5つ質問して止まるので、答えてから台本と紙が出てきます。

架空の母で通した、親の詐欺対策の出来上がり

差し込んだのは架空の母の材料です。78歳で隣県に一人暮らし、固定電話のみで留守電の機能は使っていない、先月「市役所の保険年金課」を名乗る還付金2万8千円の電話で財布を持って玄関まで出て、隣の人に止められた。そんな内容で、話せそうな時間と場面は「分からない」のままにしました。

最初に返ってきたのは、足りない点についての質問5つです。答える相手がいない試走だったので、AIは質問を出したあと、材料の範囲で最後まで作りました。

順番の守り方はしっかりしていました。台本に入る前に、先月の出来事が「お金・カード・暗証番号を渡した」に当たるかを確かめ、当たらないと判断してから進んでいます。そのうえで、後からATMの操作などが分かったら信用金庫・郵便局と #9110(すぐ危ないときは110番)へ、と1段落添えてありました。

電話の型は、還付金、息子や孫を名乗る電話、警察や銀行を名乗る電話の3つに絞られました。SNSの投資の誘いは、材料の「Facebookのアカウントはあっても使っていない」を読んで外したと書いてあります。留守番電話の設定は決まりごとに入れず、次の話題に回されました。

出来上がりは全体で約3,400字、うち台本が約1,800字です。帰省までの準備は5つで、妹と言い方をそろえる、番号は手元の書類から調べる、紙を印刷する、留守電や迷惑電話の対策を電話会社や市役所に聞く、合言葉の候補を2つ考える、でした。

あなたの親の場合、外れる型と残る型はどれでしょう? スマホでSNSを使っているなら、投資の誘いも候補に残ります。

親の詐欺対策で、AIに決めさせないこと

相談先の3つの番号。すぐ危ないときは110番、迷ったときは#9110、消費者ホットラインは188。AIは決めないという図

実際にかかってきた電話が詐欺かどうかは、AIに決めさせません。依頼文にも、AIが断定しないと書いてあります。迷ったときに聞く先は、人のいる窓口です。

お金を渡してしまった、振り込んでしまった、カードや暗証番号を教えてしまった。そういうときは台本どころではないので、先に金融機関へ連絡し、警察に相談してください。依頼文も、そう判断した時点で台本づくりを止め、連絡先とすぐやることだけを返す作りです。

相談先は3つ覚えておけば足ります。

  • すぐ危ないときは110番
  • 迷ったときは警察相談専用電話 #9110(受付時間は都道府県で違い、平日の日中が中心)
  • 消費者ホットライン 188(最寄りの消費生活相談窓口を案内してくれる)

今回の紙の5行には、「すぐ危ないときは110番」が入りませんでした。前置きの段落には書いてあったのに、紙からは抜けていたんですよ。貼る前に、迷ったらの行へ自分で書き足してください。#9110 は一部の固定電話やIP電話からつながらないことがあります。最寄りの警察署の番号も空欄の1つに足しておけば、そこで迷いません。

Claudeで試しました。架空の母の材料で依頼文を1回通し、台本と紙の文面ができるところまでで、実際の親とは話していません。次の帰省の前の晩に7か所を埋めて貼れば、話す台本と貼る1枚が手元にそろいます。