外壁塗装の見積書を3社分そのまま依頼文に貼ると、AIが足場や下塗りといった作業ごとの同じ行にそろえた比較表を作り、見積書に書いていない作業を「確認が要る」として挙げ、各社へ電話で読み上げる質問の一覧まで出してきます。依頼文は記事の中ほどに全文を載せておきます。
合計がいちばん安い社に気持ちが傾きつつ、何か抜けていないか引っかかっていませんか? その引っかかりは、3社の行をそろえると数字で見えてきます。
3社の合計を並べた相見積もりの表
見積書を貼った家は、築20年の木造2階建てで、延床(各階の床面積の合計)およそ105平方メートル、外壁はセメントを主な原料にした板を張る窯業系サイディングです。見積もりを出したのは、地元の塗装店の青葉塗装さん、リフォーム会社のみどり住設さん、訪問営業で来たサンライズ外装さんの3社。どれも試すために用意した架空の見積書です。
出てきた合計の比較がこちらです(金額は円)。
1つだけ空欄があります。理由はこう書いてありました。
サンライズ外装を空欄にしたのは、高圧洗浄・養生・シーリング・下塗り・廃材処分・諸経費などの行がなく、他の2社とそろえるには書いていない作業の金額を補う必要があるからです。
書いていない金額を推測で埋めず、空けたまま理由を添えてあります。だから表に並んだ数字は、どれも見積書から足し引きしただけのものとして読めます。
屋根の塗装が入っているのは、みどり住設さんだけでした。小計1,224,000円から屋根の255,000円を引いた969,000円に、消費税96,900円を足して1,065,900円です。各行の数量×単価、小計、消費税、合計、屋根を外した額まで、元の見積書の数字と照らして検算しました。すべて合っていました。
訪問営業の1社の備考にあった「契約時に全額振り込みでさらに20,000円値引き」は、表に入っていません。入れていないことも、AIのほうから書き添えてきました。
いちばん安い外壁塗装の見積書に、書いていなかった作業
732,600円と1,209,450円では、476,850円の差があります。ただ、差の中身は見積書だけでは決められません。まず、食い違いの一覧から気になる2行を抜き出しておきます(差の理由とは限りません)。
- 足場の数量が違う:青葉塗装は210平方メートル、サンライズ外装は180平方メートル、みどり住設は「1式」で面積の記載なし。 - 下地補修は3社とも行がない。北側のひびをどう直すのか、3社とも書いていない。
同じ家なのに、足場の面積が30平方メートル違います。いちばん安い見積書は、足場、外壁塗装、付帯部の3行と値引きだけでした。高圧洗浄・養生・シーリング・廃材処分・諸経費の行はありません。
ここでAIは「含まれていない」と決めつけず、「書いていないので確認が要る」として挙げました。保証が見積書になく、営業の方が口頭で「10年」と言っただけという点も、同じ調子で並んでいます。責める言葉が出てこないので、電話をかけるこちらも落ち着いて聞けます。
お手元の見積書に、「一式」とだけ書かれた行はいくつありますか? 試走では、青葉塗装さんに4行、みどり住設さんに3行、サンライズ外装さんに1行ありました。どれも、中身の内訳とどこまで含むかを聞く質問に変わります。
外壁塗装の見積書の食い違いは、電話で何と聞けばいい?
質問は社ごとに分かれていて、青葉塗装さんに9問、みどり住設さんに10問、サンライズ外装さんに10問でした。どれも電話口でそのまま読み上げられる形です。抜き出すのは、サンライズ外装さんあての2問です。
2. 外壁塗装の「2回塗り」に下塗りは入っていますか。入っていない場合、下塗りはしますか。 7. 営業の方から保証は10年と聞きました。保証の対象と条件を書いた書面を、契約の前に出してもらえますか。
みどり住設さんについては、屋根を外した合計の注記に、こんな確認が添えてありました。
ただし足場の220,000に屋根の分が入っているかは分からないので、屋根をやめたときに足場代が変わるかは確認が要ります。
足場の面積が社ごとに違っても、AIはどちらが正しいかを決めません。判断基準でそう縛ってあるからです。代わりに「足場の180平方メートルは、どこを測って出した数字ですか。」のように、何を測ってその数字にしたかを聞く質問にしてあります。
材料には「10年くらい先にまた塗り替えるとしたら、どこが結局安いのか知りたい」というひとことも添えてありました。答えは「ここでは比べられない」でした。次の塗り替えの時期と費用が、どの見積書にも書いていないからです。その代わり、各社に同じ聞き方で確かめる質問に入れてありました。
塗料の耐用年数は、AIが一般的な目安として並べた値がシリコン系でおよそ10〜15年、フッ素系でおよそ15〜20年でした。見積書の備考にあるメーカー説明の値(青葉塗装さん12〜15年、みどり住設さん15〜20年)とは出どころが別です。どちらもこの家で何年もつかの約束ではないので、10年先の家計に書き込むのは、電話で聞いた次の塗り替えの時期のほうにしておきます。
外壁塗装の見積書を3社そろえる依頼文の全文
コピーして、【ここに書く】と【ここに貼る】の欄を埋めれば使えます。末尾の「題材の例(架空)」は、自分の見積書で使うときは消しておきます。
これから、自宅の工事(外壁や屋根の塗装、浴室・トイレのリフォームなど)について複数の業者から取った見積書を渡します。社ごとに項目の分け方や単位が違うので、同じ条件にそろえて並べた比較と、契約の前に各社へ電話で確かめることの一覧を作ってください。
# 入力
- 工事の内容と家のこと:【ここに書く(例:外壁塗装/木造2階建て/築年数/延床面積)】
- 見積書(社ごとに区切って貼る。写真やPDFを添付してもよい):
- 1社目(社名):【ここに貼る】
- 2社目(社名):【ここに貼る】
- 3社目(社名):【ここに貼る】
- 気になっていること:【ここに書く(例:「今月中なら値引き」と言われている/10年後にまた塗り替えが要るのか知りたい)】
# 手順
1. 見積書を読み取ったら、比較を始める前に、社ごとの項目・数量・単位・単価・金額を表に書き出して私に見せてください。写真やPDFから読んだ文字、私が手で打ち直した数字には誤りが混ざることがあります。読み取れなかった所、桁がおかしく見える所(数量×単価が金額と合わない、など)は「要確認」と印を付け、推測で埋めないでください。私が直したら、直した表で次へ進みます。
2. 3社の項目を、作業ごとの同じ行にそろえます(例:足場、高圧洗浄、下地補修、養生、下塗り・中塗り・上塗り、付帯部〔雨どい・軒天など〕、屋根、廃材処分、諸経費)。社によって名前が違っても同じ作業なら同じ行に入れ、どの項目をまとめたかを書いてください。
3. 次の食い違いを探して、1つずつ挙げてください。
- 同じ作業なのに数量が違う(足場や塗る面積の平方メートル数など)
- ある社にだけ書いてない作業
- ある社だけ範囲が広い(屋根まで入っている、など)
- 「一式」とだけ書かれて中身が分からない項目
- 塗料の種類・製品名・塗る回数の違い
- 保証の年数と中身、支払いの時期と回数、追加料金がかかる条件の書き方の違い
4. 書いてない作業がある社は、「含まれていない」と決めつけず「書いていないので確認が要る」として扱ってください。
5. 合計金額の比較は2つ出します。見積書の金額そのままの比較と、「範囲をそろえるとどうなるか」の比較です。後者は、例えば1社だけ入っている屋根の金額を外す、のように見積書に書いてある数字の足し引きだけで作れる場合に限ります。書いてない作業の金額を補わないと比べられない場合は、そこを空欄にして理由を書いてください。
6. 塗料の違いについては、見積書に書いてある塗料名と、塗料の種類として一般に言われている耐用年数の目安の幅を並べ、目安であることと、家の状態や立地で変わることを書いてください。そのうえで、次の塗り替えの時期をどう聞けばよいかを電話の質問に入れてください。
7. 最後に、各社に電話で確かめることの一覧を作ってください。社ごとに分け、私がそのまま読み上げられる問いの形にします。
8. 分からないことがあれば、途中で私に質問してください。
# 判断基準
- 数量が社ごとに違うとき:どちらが正しいかはAIが決めない。「何を測ってその数字にしたか」を各社に聞く質問にする。
- 「一式」の項目:中身の内訳と、どこまでが含まれるかを聞く質問にする。
- 1社だけ範囲が広いとき:その分を外した比較を作れるなら作る。作れないなら、その社に「屋根を除いた金額」を聞く質問にする。
- 保証や支払いの書き方が違うとき:有利・不利を決めつけず、条件(何年・何が対象・書面が出るか、いつ・いくら払うか)を同じ並びで表にする。
# 出力の形
1. 読み取り表(手順1。社ごとに「項目/数量・単位/金額」の3列)
2. そろえた比較表(行=作業、列=3社。列が多くなるので、スマホで見やすいよう金額と一言だけにする)
3. 食い違いの一覧(箇条書き。1件1〜2行)
4. 合計の比較(そのまま/範囲をそろえた場合)
5. 電話で確かめることの一覧(社ごとに番号付き。1社5〜10問)
6. 契約前に気をつけたいこと(3行以内)
# やらないこと
- 見積書にない金額・数量・相場の数字を作らない。相場を聞かれても、具体的な金額は出さず「他社にも同じ条件で聞く」形にとどめる。
- どの社と契約すべきかを決めない。業者の良し悪しや信用を評価しない(「怪しい」などの言葉は使わない)。
- 「今月中に契約すれば値引き」と言われていても、急がせる方向の助言はしない。比べ終わる前に決めなくてよいこと、その場で決めずに家族と相談してよいことを書く。
- 契約や法律の判断はしない。訪問販売で契約した場合などに使える決まり(クーリング・オフなど)があること、困ったときは消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センターなどにつながる)に相談できることを伝えるだけにする。
# 題材の例(架空)
以下は架空の例です。私の見積書ではありません。
築20年の木造2階建て(延床およそ105平方メートル)の外壁塗装で、地元の塗装店「青葉塗装」、リフォーム会社「みどり住設」、訪問営業で来た「サンライズ外装」の3社から見積書を取った。足場の面積が社ごとに違い、1社だけ下地補修の行がなく、1社だけ屋根の塗装まで入っている。塗料も3社で違い、保証の年数や支払いの時期の書き方もまちまち。訪問営業の会社からは「今月中なら値引き」と言われている。差し込むのは、工事の内容と家のこと、3社の見積書、気になっていることの3か所です。見積書は社名を添えて社ごとに区切ります。末尾の「題材の例(架空)」は架空の3社の説明なので、消してから貼ると、例と取り違える心配がありません。
見積書をAIに貼ったら、書き写した表を先に確かめる
依頼文の手順1は、比較を始める前に、AIが見積書を書き写した表(読み取り表)を見せ、こちらが直してから先へ進む流れです。手で打ち直した数字には打ち間違いが混ざるので、ここで紙の見積書と1行ずつ突き合わせておきます。試走の読み取り表では、AIが3社とも数量×単価・小計・消費税・合計が合っていると確かめたうえで、「足場が1式で面積がない」「保証が書面にない」といった所に「要確認」を付けていました。
1つ、手順どおりに動かなかった所があります。試走では、AIは最初に確認の質問を3つ出し、返事を待たずに最後まで作りました。チャットで使うと、表を出したところで止まることもあります。止まったら「このまま進めて」と返せば続きます。
比較表にも、目を通しておきたい行が1つあります。みどり住設さんの「外壁塗装工事(フッ素樹脂塗料 3回塗り・洗浄含む)」609,000円は、洗浄から上塗りまでを1行にした項目で、比較表では中塗り・上塗りの行にまとめて入っていました。まとめたことは注記にありますが、行ごとの金額を横に並べると、この行だけ中身が違います。注記には、青葉塗装さんの下塗りと中塗り・上塗りを足すと外壁の塗装は450,000円、とも書いてありました。
今月中なら値引きと言われても、外壁塗装の契約は比べ終わってから
有効期限が2026年10月31日、今月中の契約でキャンペーン価格。サンライズ外装さんの見積書は、そういう書き方でした。期限を区切られても、比べ終わる前に返事をする必要はありません。
出来上がりの最後には、比べ終わる前に決めなくてよいこと、その場で決めずに家族と相談してよいことが書いてありました。訪問販売で契約した場合などにはクーリング・オフなど使える決まりがあること、困ったときは消費者ホットライン「188」に相談できることも、同じ3行に入っています。
どの社がよいかは、AIは最後まで決めませんでした。依頼文の「やらないこと」で、契約先を決めない、業者の良し悪しを評価しない、と縛ってあるからです。電話で答えを聞き、行をそろえ直した表を家族と見てから決めても遅くありません。
試したのはClaudeで、架空の3社の外壁塗装の見積書をテキストで貼り、依頼文を直さずに1回通しました。



コメント
ログイン か 会員登録 するとコメントできます