競合に負ける商談、原因は資料の長さでは?30秒で読める比較カード

クロージング師匠
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@closingmaster ・ 18本

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営業の現場で、商談の直前に資料を読み返す時間がなく、競合の名前が出たとたんに言葉に詰まる。そんな場面に心当たりはありませんか?競合に負ける商談が続くなら、比較資料が長すぎて、商談の直前に読めていないのかもしれません。自社と競合2社の情報をAIに貼れば、30秒で目を通せることを目標にした比較カードが作れます。比較表の各項目に事実か推論か仮定かの印が付き、言ってはいけないことの一覧まで入った1枚です。

AIへの依頼文は全文載せたので、自分の商談の情報に差し替えて使えます。例は架空のオフィスコーヒーサービス3社で作りました。

商談の直前に目を通せる競合比較カードの完成形

スマホに表示した自社とA社とB社の3列比較表。各セルに事実・推論・仮定の印が付いた比較カードのイメージ

試したAIはClaudeです。自社が「マメノキ・オフィスコーヒー」、競合A社が「ブリュードック」、B社が「カフェポケット」で、会社名も数字もすべて作りもので、商談の相手は従業員60名のIT企業の総務課長です。

3社を並べた比較表

自社
A社
B社
料金
約100杯4,800円、2箱目4,300円[事実]
月3,000円+1杯42円、最低1,000杯[事実]
要見積[事実]
強み
縛りなし、メンテ月1回無料[事実]
全国対応、大手12社[事実]
紅茶・スープ対応[事実]
弱み
関東1都6県のみ[事実]
2年縛り[事実]、少杯数は割高[推論]
首都圏のみ[事実]
導入の手間
初期0円、マシン無料[事実]
設置1万円、2年契約[事実]
不明[不明]
サポート
故障は営業日2日以内訪問[事実]
24時間電話[事実]、翌日訪問は伝聞[仮定]
平日9〜18時[事実]

各セル末尾のラベルは、主張の確かさを表します。料金ページやカタログにそのまま書いてあれば[事実]、そこから導いたものは[推論]、伝聞や記憶しか裏付けがないものは[仮定]です。[不明]は、貼られた情報に書いていない項目です。

B社の列では、料金は「要見積」、導入の手間は「不明」のままで、AIがそれらしい数字で埋めていません。貼っていない情報は作らせない。それがこの依頼文の芯です。

月額の比較は相手の使う量で分かれた

根拠一覧には、自社とA社の月額がこう整理されていました。

月500杯なら当社22,000円・A社24,000円、月2,500杯で並ぶ(推論)

月500杯なら、自社は4,800円+4,300円×4箱で22,000円、A社は3,000円+42円×500杯で24,000円です(最低注文の条件は含めない単純計算です)。

相手の使う量を聞く前に、「うちの方が安いです」と言っていませんか?杯数しだいで逆転します。この題材で先に聞くべきは「1日に何杯飲まれますか」で、カードの「聞いてよい質問」の1行目にも、この質問が入りました。自分の商材なら、相手の使う量を決める質問に置き換わります。

反論への返しは根拠の番号つきで出る

表の下の「こう言われたら」の節から、「全国対応がよい」への1行です。

「全国対応がよい」→ 当社は関東1都6県、A社は全国。本社分は縛りなしで先に始められます(5・15・3)

末尾の(5・15・3)は根拠一覧の番号です。

競合に負ける商談は、資料の長さが原因か?

長い資料が負ける原因とは言い切れません。ただ、商談の直前に読めない資料は、競合の名前が出たときに使えません。

機能の丸バツ表、導入事例、料金表と足していくほど、資料は作った本人にも読めない長さになります。

商談の直前に読めるのは1画面

私は、商談の直前に頭に入るのは1画面ぶんまでだと考えています。そこで依頼文では、カード本体を根拠一覧を除いて600字以内としました。直前に読むのは比較表と「言わないこと」の2か所だけにして、残りは前日に目を通す、という分け方もあります。

競合の話が事実か伝聞か分からなくなる

長い資料のもう1つの弱点は、事実と伝聞が同じ文字の大きさで並ぶことです。商談メモの「A社は故障のとき翌日に来てくれるらしい」も、何度も見ているうちに事実のように見えてしまいがちです。そこで「A社さんは翌日対応ですよね」と口にして相手のほうが詳しければ、信用を落とします。主張ごとにラベルを付ける理由はここにあります。

比較カードを作る依頼文

下の依頼文を、使っているAIのチャット欄に貼ります。

依頼文で差し替える5つの欄

次の5つの欄を自分の情報に差し替えます。依頼文の中にある記入例の4行(カチカチ勤怠など)は、貼る前に消してください。

  • 【自社の情報】料金ページの写し、カタログの要点、提案書の抜粋
  • 【競合A社の情報】料金ページの写し、カタログの要点、自分の商談メモ
  • 【競合B社の情報】A社と同じ3点
  • 【商談の前提】相手の業種と役職、よく言われる反論、過去の失注理由(今回の例では反論2つ)
  • 【今日の日付】確認日と、1か月後の次の確認日の計算に使われます

依頼文の全文

あなたは法人営業の準備を手伝う相棒です。下に貼る情報だけを材料に、商談の直前に30秒で読める「3社比較カード」を1枚作ってください。目的は、私が商談で言ってよいことと、言ってはいけないことを一目で分けられるようにすることです。

## 貼る情報

【自社の情報】ここに自社の料金ページの写し・カタログの要点・提案書の抜粋を貼る
【競合A社の情報】ここにA社の料金ページの写し・カタログの要点・自分の商談メモを貼る
【競合B社の情報】ここにB社の料金ページの写し・カタログの要点・自分の商談メモを貼る
【商談の前提】ここに相手の業種・役職・よく言われる反論・過去の失注理由を貼る
【今日の日付】ここに今日の日付を書く

(記入例。会社も商材も架空です)
自社: 架空の勤怠管理ソフト「カチカチ勤怠」。月額300円/人、初期費用0円、打刻はICカードとスマホ。
A社: 架空の「タイムキーパー」。料金ページには「要見積」とだけ記載。導入事例のページに製造業が3件。
B社: 架空の「シフトメイト」。月額400円/人、初期費用5万円。商談メモに「シフト作成の評判がよいと聞いた」。
前提: 製造業・総務部長。よく言われるのは「今のタイムカードで困っていない」。失注理由は先輩の記憶では「値段」。

## 進め方

1. 貼られた情報を読み、自社・A社・B社それぞれについて「料金」「強み」「弱み」「導入の手間」「サポート」の5項目を拾い出す。貼られた情報に書いていない項目は「不明」と書く。
2. 拾った1つ1つの主張に、次の3種類のどれかのラベルを付ける。
   - 事実: 貼られた情報の中にそのまま書いてある(料金ページの数字、カタログの機能名、導入事例の件数など)
   - 推論: 貼られた情報から導いたが、本文には直接書いていない(例: 初期費用0円という事実から「小規模の導入が多そうだ」と読む)
   - 仮定: 貼られた情報に裏付けがない(社内の伝聞、先輩の記憶、失注理由の推測、商談メモの「聞いた」「らしい」)
   ラベルと一緒に、出典(貼られた情報のどの部分か)と確認日(今日の日付)を書く。
3. 商談の前提にある反論ごとに、根拠つきの返しを用意する。根拠が「事実」か「推論」のときだけ載せ、「仮定」しか無い反論は「根拠が取れなかった項目」に回す。
4. 相手に投げる質問を考える。答えの裏付けが貼られた情報の中にあるものだけ残し、それ以外は捨てる。
5. 「言ってはいけないこと」を、裏付けの無い比較の言い切り・古い伝聞・相手に反論の口実を与える言い方、の3つの角度で拾う。
6. 全部をカードの形にまとめ、字数を数えて上限に収める。

## 迷ったときの決め方

- 貼られていないことは作らない。料金の数字、機能の有無、導入社数、顧客の声の引用、値引き幅、サポートの対応時間、今後の開発予定は、貼られた情報に無ければ「不明」と書き、それらしい数字や言葉で埋めない。
- 競合の料金が「要見積」なら「要見積」とだけ書く。「うちの方が安い」のような比較の言い切りは、比べる相手の公開価格が貼られているときだけ使ってよい。
- 商談メモの印象や「評判がよいと聞いた」は「推論」止まり。商談では「〜ではこう言われています」と根拠の形のまま言い、「〜は弱い」と言い切らない。
- 出典が取れないものは消さずに「仮定」として残す。商談で触れるなら「私が確認した範囲では」「持ち帰って確認し、お戻しします」のどちらかを添える。
- 「根拠が取れなかった項目」に添える商談での言い回しは、そのまま口に出せる1文で書く(例: 「料金は私が確認した範囲では月額制と聞いていますが、持ち帰って確認し、お戻しします」)。「値引きは言わない」のようなメモの形にはしない。
- 事実と推論がぶつかったら事実を優先し、その推論は根拠一覧から外す。

## 出力の形

カード本体は、根拠一覧を除いて600字以内(空白と記号は数えない)に収め、1画面で読めるようにしてください。最後に、カード本体の字数を1行で書き添えてください。節は次の順で並べます。

1. 確認日/次の確認日(1か月後の日付)/商談の前提(業種・役職・想定の反論)
2. どちらが強い商談か(相手が強い場面を1行、自社が強い場面を1行)
3. この商談の一言(1文)
4. 3列の比較表(行: 料金・強み・弱み・導入の手間・サポート、列: 自社/A社/B社。各セルの末尾に[事実][推論][仮定][不明]のどれかを付ける)
5. こう言われたら(反論→返し→根拠の番号)
6. 聞いてよい質問(質問→答えの根拠の番号)
7. 言ってはいけないこと
8. 根拠が取れなかった項目(仮定→商談での言い回し)
9. 根拠一覧(番号/主張/ラベル/出典/確認日の表。この表は字数の上限に含めない)

## やらないこと

- 貼られていない数字・機能・実績を補う
- あなたの知識やWeb上の情報から競合の情報を足す
- 「業界最安」「必ず勝てる」のような言い切り
- 根拠の無い質問を「鋭い質問」として載せる
- 節を増やす、カード本体に解説を書き足す

競合の料金ページと商談メモをそのまま貼る

料金ページは、要約せず本文を写して貼ります。「要見積」や「最低注文1,000杯分から」といった細かい条件こそ、比較表で効くからです。

商談メモは、「らしい」「聞いた」を消さずに貼ってください。今回の2回とも、伝聞の言い回しを残した3件は[仮定]に分かれました。きれいに書き直すと、伝聞が事実として表に入るおそれがあります。

出典が取れない競合情報は、どう書くか?

商談メモの伝聞を、仮定のタグを付けたカードに整理し、商談でそのまま言える1文に変える3段階の流れ

競合の情報が全部そろうことは、まずありません。この依頼文は、取れなかった項目を消さずに「仮定」として残させます。

伝聞は仮定として分けられる

架空の題材には、裏付けのない話を3つ入れておきました。A社の翌日訪問、B社は値引きが大きいという先輩の話、先輩の記憶にある失注理由「月額が高い」です。3つとも「根拠なし(仮定)」の節にまとまりました。

## 根拠なし(仮定)
- A社翌日訪問(伝聞)→「A社の訪問日数は私が確認した範囲では未記載です」
- B社値引き幅(伝聞)→「B社の値引きは私が確認した範囲では非公開です」
- 失注は月額(記憶)→「月額の懸念は持ち帰って確認し、お戻しします」

商談でそのまま言える1文

矢印の右側が、商談で口に出す1文です。「A社さんは翌日来てくれるそうですが」と言われても、言い切らず否定もせず、確認した範囲だけを伝えて受けられます。

カードの下には根拠一覧が付き、28件の主張それぞれにラベル・出典・確認日が並びました。「その数字はどこから?」と聞かれたら、番号をたどって元の資料に戻れます。

商談で競合について言わないこと

言い切り・伝聞・口実の3つの角度で、商談で言わないことを打ち消し線つきで並べたカードのイメージ

「言ってはいけないこと」は、依頼文で言い切り・古い伝聞・反論の口実の3つの角度を指定しています。

## 言わないこと
- 言い切り「A社・B社より安い」「業界最安」(19・21)
- 伝聞「翌日訪問」「値引き大」「失注は月額」
- 口実「全国対応できます」「月1,500円節約」

1行目の「A社・B社より安い」に付いた(19・21)は、杯数しだいで逆転するA社の月額と、要見積のB社の料金です。

「全国対応できます」は、表の弱みに「関東1都6県のみ」とあるので、口にすると事実とずれて反論の口実になります。

自社の数字も相手の反論の口実になる

3行目の「月1,500円節約」は、競合の話ではなく自社の提案書に書いてある数字でした。社員1人が月に何杯飲む前提なのかが提案書に無いため、相手に反論の口実を与える言い方として回されています。

あなたの提案書の数字でも、「その計算、うちには当てはまらないですよね」と返されて答えられないものは、言わない側に置くほうが安全です。

比較カードを商談に持ち込む前に

競合の最新情報は公式ページで確かめる

貼った情報しか使わないよう依頼文で指示してあるので、料金ページが古ければカードも古いままです。冒頭に入る1か月後の次の確認日が来たら、競合の公式ページを開き直してください。

顧客名や社外秘の数字を貼ってよいかは、会社のAI利用ルールに従ってください。

今回Claudeで確かめた範囲

手順を直して2回通した範囲の限界は、次の3点です。

  • 試したのはClaudeだけで、ChatGPTとGeminiでは試していません。題材は架空の3社で、実際の商談では使っていません
  • Web検索を使えない環境だったため、検索つきのAIが情報を足さないかは確かめていません
  • 30秒で目を通せるかの計測と、スマホでの見え方の確認はしていません。伝聞をきれいに書き直した入力でも試していません

1回目はカード本体の上限を500字にしていましたが、表を入れると約610字になり収まりませんでした。上限を600字に直し、言い回しも「そのまま口に出せる1文で書く」と直したのが、上に載せた依頼文です。

2回目のカードは、Claudeの自己申告で約590字、こちらで数えると約650字でした。字数はAIの自己申告とずれることがあるので、目安と考えてください。

600字を超えたら、「根拠なし(仮定)の節を3行に縮めて」と続けて頼む手があります(試してはいません)。

最初の1枚は、次の商談で相手が比べていそうな2社の料金ページを、自社の情報と一緒に貼るところから始められます。「不明」のまま残った欄は、商談の前に調べる場所の一覧になります。競合の名前が出たときに「私が確認した範囲では」と口に出せる言い回しが手元にあれば、言葉に詰まる場面は減るはずです。