メールの仕分けやダウンロードフォルダの整理を毎回クラウドのAIに投げるのって、中身を外に出すのが引っかかりますよね。2026年10月13日にLiquid AIが公開したLFM2.5-24B-A2Bは、この「手元でツールを呼ぶ作業」を狙ったオープンウェイトのモデルです。結論から言うと、決めたルールでツールを呼ぶ作業には向き、知識やコード修正が要る作業には向きません。
この記事の数字は、特に断りがなければLiquid AIの公表値とHugging Faceのモデルカードの記載です。速度もベンチマークも同社の計測で、第三者の検証はまだ見当たりません。
LFM2.5-24B-A2Bはどんなローカルモデルか
パラメータは全体で24B、1トークンを出すときに実際に計算に使うのは2.45Bです(ブログでは「2B」と丸めています)。64個の専門家から4個を選んで計算する、いわゆるMoE(混合エキスパート)の作りで、文脈は131,072トークンまで読めます。
対応言語は16で、日本語も入っています。もう1つの特徴が、答える前に必ず考えを書き出す推論専用モデルだという点です。この性質は定型作業では裏目に出ることもあるので、後半で触れます。
メール仕分けやファイル整理は、LFM2.5-24B-A2Bに任せられる?
公表されたベンチマークを、身近な作業に置き換えて判定するとこうなります。判定は公表値からの僕の読みです。
「このメールは請求書だから経理フォルダへ」のように、判断の基準を人が渡して、あとはツールを呼ぶだけの作業が一番の得意分野です。逆に「この会社の住所を調べて」のような、モデルの中の知識に頼る作業は苦手です。
あなたの作業は、ルールを渡せば済むものですか?それとも、知識や調べ物が要るものですか?前者なら候補に入れる価値があります。
Qwen3.6-35B-A3Bに勝つ項目と負ける項目
比較相手として公表されているのは、同じくMoEのQwen3.6-35B-A3Bなどです。モデルカードの表から、判定に使った項目を抜き出します。
AutomationBenchの差は3倍以上で、ここはマジで目を引きます。Liquid AIは、ツール利用とエージェント系の8項目のうち5項目で首位か同等だとしています。
ただしPinchBenchやWebArena Verifiedのように負けている項目もあります。ツールを呼ぶ作業なら何でも勝つわけではありません。
アクティブ2Bでも、メモリは24B分が要る
ここ、MoEで一番勘違いしやすいところです。計算に使うのは2.45B分でも、どの専門家が選ばれるかはトークンごとに変わるので、24B分の重みは全部メモリに載せておく必要があります。速さは小さいモデル寄り、メモリは24Bのモデル並み、と考えるとつかみやすいです。
量子化済みのGGUFファイルのサイズは次のとおりです。
公式は必要なメモリ量を書いていません。ここから先は僕の推定ですが、ファイルの大きさに加えて、読んだ文脈を保持する分とOSの分が乗るので、16GBのマシンでは厳しく、32GBあれば余裕を持って動かせるはずです。Q4_0は量子化で落ちる精度を取り戻すように蒸留した版だと説明されていて、メモリが苦しいときの第一候補になります。
手元のPC、メモリは何GB積んでいますか?16GB以下なら、ここで一度立ち止まったほうがいいです。
llama.cppとOllamaで動かすには
GGUFのモデルカードに、llama.cpp用のコマンドが載っています。推奨のサンプリング値(温度0.1、top-k 50、繰り返しペナルティ1.05)も含めた形です。
llama-cli -hf LiquidAI/LFM2.5-24B-A2B-GGUF --temp 0.1 --top-k 50 --repeat-penalty 1.05Ollamaなら、量子化の種類を指定して1行で取ってこられます。
ollama run hf.co/LiquidAI/LFM2.5-24B-A2B-GGUF:Q4_K_MMacならMLX、GPUサーバーならvLLMやSGLangにも対応しています。速度はApple M5 Maxで毎秒184トークン、AMD Ryzen AI Max+ 395で毎秒114トークンと公表されていますが、これもLiquid AIの自社計測です。
毎回考えてから答える点は定型作業の罠になる
推論専用モデルなので、返事の前に必ず考えを書き出します。メール100通を「請求書かどうか」で仕分けるだけでも、1通ごとに思考の文章が出るわけです。考える分だけ出力が長くなるので、1件あたりの待ち時間は、考えずに答えるモデルより長くなると見ておくのが安全です(ここは僕の見立てです)。
その作業、1件に数秒かかっても困りませんか?夜のうちに回しておく仕分けなら気になりませんが、チャットの返事を待つ使い方だと遅さが目立つはずです。
ツール呼び出しの形式も確認が要ります。標準ではPythonの関数呼び出しのような書き方を専用の記号で囲んで出し、JSONで出させたいときはシステムプロンプトで指定します。自作スクリプトから使うなら、どちらの形式を受け取るかを先に決めておかないと、ここで詰みます。
日本語は対応言語に入っていますが、モデルカードの表に日本語に絞った数字はありません。日本語のメールを仕分けたいなら、10通ほどで分類が合うかを確かめてから本番に回すのが確実です。
手元に置くか、APIで呼ぶか
メモリが足りないなら、APIで呼ぶ手もあります。Liquid AIの公表価格は100万トークンあたり入力が約15円(0.10ドル)、出力が約150円(1.00ドル)です。ただしAPIだと中身は外に出るので、「外に出したくない」が動機なら手元で動かすしかありません。
商用で使うならライセンスも見ておきましょう。ライセンスは独自のLFM Open License v1.0で、商用利用はできますが、年間売上が1,000万ドル(約15億円)以上の会社は別途ライセンスが必要です。改変したモデルを配るときは著作権表示を残す条件もあります。個人の副業や小さな会社なら、売上の条件に当たることはまずないはずです。
ルールを渡せば済む作業があって、メモリが32GB前後あるなら、試す候補の筆頭です。まずはQ4_0かQ4_K_Mを落として、普段手でやっている仕分けを10件だけ任せてみてください。
-oOdUn61bDRSykk4H951SoDOHzqoOe1.png)
コメント
ログイン か 会員登録 するとコメントできます