絵が描けなくてもLINEスタンプは作れる?AIで16個そろえて販売を始められるまで

宮坂沙耶
宮坂沙耶

@saya_msk ・ 1本

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絵が描けなくても、AIでLINEスタンプは作れます。静止画は190円からで、LINE STOREで1セット買われたときの分配は66.5円(源泉所得税の前)です。手で描く工程はなく、16枚の生成は約3分でした。チャットAIで言葉とポーズを決め、画像AIにキャラの設定表(同じキャラを並べた1枚の絵)を描かせて、それを見本に1枚ずつ描かせます。緑の背景はスクリプトで抜き、370×320px以内の透過PNGにそろえます。この流れで、同じ柴犬に見える静止画16個をそろえました。

ただ、LINE Creators Marketへの登録も申請も販売もしていません。進めたのは、画像16個と販売画面の文面がそろった、始められる状態までです。キャラの「まるい柴犬(まるしば)」は試すために作った架空のもので、途中の採点もAIに買い手の役を頼んだものです。本物の購入者の声ではありません。

16個そろえるのに、時間と費用はどれくらい?

画像AIに使ったのはOpenAIの gpt-image-2 です。3枚ずつ並行で描かせて、設定表1枚が約25秒、16枚が約3分でした。8枚で試した回は約1分半、5枚の描き直しは約1分、緑の背景を抜いてサイズをそろえるスクリプトは8枚で約2秒です。

文字を入れて描いた28枚で、文字の誤りは0でした(30枚のうち、設定表と、文字なしで描いた16個目の2枚は数えていません)。費用は1枚約0.05ドル(コマンドの表示)で、30枚で約1.5ドル、1ドル155円で換算すると約230円です。参照画像として渡した設定表の分の費用は含みません。

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人の作業時間は計っておらず、見積もりでは1セット約1時間45分です。内訳は有料エリアに載せていて、上のAIの生成時間とは別の数字です。

買い手役の採点で崩れたのはどこ?

採点役のAIには、白と黒の背景に並べた画像、トークで小さく表示した画像、販売画面の文面、ライバル3件の説明を渡しました。役は「家族や友達とのLINEで毎日スタンプを使っている人」で、190円で買うかを判定してもらっています。

1回目(8個)は「直せば買う」でした。絵が描けない人がいちばん心配な、同じ柴犬に見えるか、小さく表示しても読めるかの2点は通ったんです。

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崩れたのは表情でした。「ちょっとまって」はイラッとして見え、「いまから帰る」は眉の寄った真顔で怒って帰ってくる人みたい。「おやすみ」は半目でだるそうです。原因は、描く前にチャットAIが決めた「眉を寄せた真剣な顔」という指定でした。家族に送ると不機嫌に映ります。

「いまから帰る」に怒った顔の犬が付いてきたら、受け取った家族は何かあったのかと身構えます。家族や友達に送る人の目で見てもらったから出た指摘で、条件を足して直すと、2回目では表情の指摘が消えました。

2回目(16個)は、買う寄りの「直せば買う」でした。指の本数や文字化けのような崩れはなく、指摘は16個目に文字がないこと、手を上げるポーズが3つ重なること、笑う・驚くといった反応のスタンプがないことでした。

2回目の指摘を入れた指示文の3版目(v3)では5枚を描き直しましたが、v3は採点していません。

いちばん重かったのは、言い回しは違っても2回とも出た指摘です。柴犬のあいさつはよくある企画で、選ぶ理由が絵のかわいさしか残らない、というものでした。

16個の絵がそろっても、最後まで引っかかったのは絵ではなく企画でした。

8個で出すか、16個で出すか?

1セットの個数は8・16・24・32・40個から選べます(制作ガイドライン)。最初は一番少ない8個で作ると、1回目の採点で「毎日使うと2〜3日で繰り返しになる。190円なら16個はほしい」と言われました。

「8個なら120円に」という案も出ましたが、2026年7月1日から静止画はLINE STOREで190円から(税込)に改定されていて(LINEの告知)、120円では出せません。なので値段は下げず、16個に増やしました。

190円のLINEスタンプ、手元にいくら残る?

LINE STOREの人気上位は、静止画が190円、動くスタンプが250円の表示でした(2026年10月13日)。

個別に買われたときの分配は「(売上 − ストアの手数料)× 50%」です(LINEヘルプ)。手数料はLINE STOREとGoogle Playが30%、App Storeは2026年1月1日以降に日本で買われた場合に26%です。下の金額は、この式に税込の190円をそのまま当てはめた試算です。売上を税込と税抜のどちらで数えるかはヘルプに書かれていないので、税抜で数える場合は1セット約60円になります。

買われた場所
190円のスタンプ1セットの分配
LINE STORE、Google Play
(190円 − 30%) × 50% = 66.5円
App Store(日本での購入)
(190円 − 26%) × 50% = 約70円

送金されるのは、ここから源泉所得税を引いた額です。仮にLINE STOREで100セット買われると分配は約6,650円(源泉所得税の前)ですが、100という数に根拠はありません。

定額のLINEスタンプ プレミアムからの分配は、2026年7月から「加入者数 × 12円(税別)× 送信の割合」です。送信の割合が分からないので、試算はできません。

AIで作ったLINEスタンプは、規約で止められる?

審査ガイドラインに、AIについての記述はありません。承認されない例は、視認性が悪いもの(横長の画像、8頭身キャラの全身など)、スタンプ内の文字の誤り、既に販売されているスタンプの複製、権利の所在が明確でないもの、などです。

変わったのは表示です。LINE Creators Market利用規約の第8.13条(2026年7月1日改定)で、LINEはクリエイターの申告があったときのほか、AI生成またはその可能性があると判断したときも、AIで作った旨を表示することがあるとしています。LINEヘルプでは、AIを補助に使っただけでも対象です。商品ページには「AI情報あり」と出て、採点で比べたライバル3件もすべて表示ありでした。

LINEの判断で表示されることがあるので、説明文には「生成AIで作ったイラストのスタンプです」と書きました。なお、申請画面でAIの利用をどう申告するかは、ログインが必要なので確かめていません。

有料エリアの先頭は、この企画の弱点に自分の題材でどう向き合うかを決める手順です。続けて、ひな形、プロンプト3本の全文、緑の背景を抜いて規格にそろえるPythonのスクリプト全文、販売画面の文面を載せています。

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