RentAHumanの副業は、募集として成り立つのか?

フルイ
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RentAHumanに登録した人は、公式サイトの表記で75万人を超えています。副業先として気になるのは、その人数に見合う仕事が出ているかどうかなんですよね。Amazonの小口作業市場Mechanical Turkが終了日の9月30日を過ぎたいま、AIに雇われる副業が募集として成り立つのか、仕事を出す側の数字から確かめます。

RentAHumanは、AIエージェントが人間に現実世界の用事を頼むための市場です。2026年2月に公開され、荷物の受け取りや配達、現地の確認など、AIだけでは片づかない作業を人間に発注できるようにしています。

RentAHumanの登録者数は、いつの数字か?

日本語で読めるRentAHumanの記事は、2月の公開直後に書かれたものがほとんどです。そのころの数字と今の数字を、日付と出所つきで並べてみます。

時点
登録者
仕事を出す側の数字
出所
2026年2月6日
16万人超
仕事を出すAIエージェント81
Storyboard18
2月8日
約7万人
接続中のAIエージェント約70
ギズモード・ジャパン
2月19日
20万人超
AIエージェント約70
spiked
3月11日
約59万人
募集中の仕事1万1,300件
Built In
10月2日
75万人以上
公表なし
公式サイト

引っかかるのは、2月の数字が7万人から20万人まで揺れていることです。8日付のギズモード・ジャパンのほうが、6日付のStoryboard18より小さい数字を載せています。登録者は数えやすい数字なのに、いつ誰が数えたかが記事ごとにばらばらなんです。

もう1つ、仕事を出す側の指標が途中で入れ替わっています。2月の「81」や「約70」は、仕事を出していたAIエージェントの数でした。3月の1万1,300件は募集中の仕事の件数で、エージェント1つが何件でも募集を出せるので、81から1万件に増えたと1本の線で読むことはできません。

2月19日のspikedには、完了したタスクを数える道具がない、と創業者が認めたことも書かれています。登録者の数は早くから発表され、仕事の数はあとから出てくる。市場の姿を読むとき、審査をしていた側がまず確かめたいのは後者のほうですよ。

あなたが最後に見たRentAHumanの数字は、どの時点のものだったでしょうか?

1件の仕事に50人、RentAHumanの競争率

3月11日付のBuilt Inは、募集中の仕事1万1,300件に対して働き手が約59万人、比率にして約50対1だと伝えています。同じ記事によれば、共同創業者のパトリシア・タニさんがWIREDに答えた数字で、完了した仕事は5,500件を超えたところでした。

完了5,500件を約59万人で割ると、1人1件ずつ回っても、仕事に当たるのは100人に1人に届きません。公式サイトの今の表記は、登録者75万人以上、人間への支払い総額50万ドル(1ドル150円換算で約7,500万円)以上です。これで割っても1人あたり1ドル(約150円)に届かず、どちらも「以上」の表記なので大まかな割り算ですが、桁の感覚はつかめます。

あなたが応募する側なら、50人の列のどのあたりに並べそうでしょうか?

応募が集中する募集は、かえって条件が崩れやすいという見方があります。spikedの記事には、サンフランシスコ中心部で荷物を受け取る40ドル(約6,000円)の仕事に30件の応募が集まり、2日たっても終わっていなかった例が出てきます。人が多すぎて決まらない募集を見たとき、審査の目でまず疑うのは、依頼側の選び方と連絡の段取りなんです。

AIに雇われた記者の2日間は、0円で終わった

実際に働き手として登録した人の記録でいちばん細かいのは、WIREDの記者リース・ロジャースさんのものです。2月半ばに公開された体験記の要点は、The Decoderがまとめています。

ロジャースさんは時給を5ドル(約750円)に設定しましたが、AIエージェントから声はかかりませんでした。自分から応募した、ポッドキャストを聞いて投稿する10ドル(約1,500円)の仕事は返事がないまま。Adiと名乗るエージェントからは、AIスタートアップのために花とマーケティング資料をAnthropicへ届ける110ドル(約1万6,500円)の仕事が届き、迷っていると24時間で10通のメッセージに加えてメールまで来たそうです。

3度目の応募で引き受けたのは1枚50セント(約75円)のチラシ貼りでしたが、タクシーで受け取り場所へ向かう途中に待ち合わせ場所を変えられています。2日たっても収入は0円で、どの仕事もAIスタートアップの宣伝だった、というのが本人の結論です。

募集を審査する側で読むと、この2日間には止めどころがいくつもあります。作業の名目と依頼の目的がずれていること、迷っている相手に連絡を重ねて急かすこと、作業の途中で条件を変えること。1人が2日のうちにこれだけ出会ったのは、依頼側の質がまだそろっていない表れだと私は読んでいます。

RentAHumanの報酬は、何で受け取るのか?

2月の時点では、報酬の受け取り口は事実上、暗号資産のウォレットだけでした。ロジャースさんは体験記で、Stripe経由で銀行口座に払い出す選択肢はエラーで動かなかったと書いています。2月7日のZennの登録記録でも、受け取りはETHかBTCで、銀行振込やPayPalには対応していないとされていました。

ウォレットをつないだ登録者は、当時13%だけだったとspikedは伝えています。残りの87%は、仕事が決まっても受け取る口がない状態でした。登録者の数字をそのまま働き手の数として読めない理由が、ここにもあるんです。

3月のBuilt Inでは、支払い手段は暗号資産、Stripe、プラットフォームのクレジットと書かれています。いまの公式サイトのトップには、依頼側のお金を運営がいったん預かり、作業の承認後に払う流れ(エスクロー)が載っているだけで、受け取り手段の記載は見当たりませんでした。

会社員の副業として考えるなら、確かめることが2つ増えます。1: 勤務先の副業規程が、海外のプラットフォーム経由の仕事や暗号資産での受け取りをどう扱っているか。2: 税金です。暗号資産の税務上の扱いは国税庁のFAQにまとまっているので、自己判断せず、資料か税理士さんで確認してください。

AIが人間を雇う市場には、詐欺も紛れ込む

Zennの記事では、詐欺の手口が2つ紹介されています。AIの「ガス代」(取引手数料)を貸してほしいと暗号資産を送らせ、日利10%保証をうたう手口。そして、新作のWeb3ゲームを30分遊べば45ドル(約6,750円)払うと誘い、PC用のインストーラーを実行させてパスワードやウォレットの秘密鍵を盗む手口です。

クラウドソーシングの審査なら、どちらも掲載前に止める類いの募集です。働き手にお金を先に払わせる、作業の軽さに対して報酬が高すぎる、自分の端末で実行ファイルを動かさせる。相手がAIでも人間でも、このどれかに当たる募集には応募しないほうが安全ですよ。

Mechanical Turkの後釜を狙うRentAHumanに、まだ見えない数字

AmazonのMechanical Turkは、9月30日で終了すると8月下旬に報じられました。7月には新規顧客の受け付けを止めていて、ピーク時には50万人を超える人が働き、時給が2ドル(約300円)を下回ることもあった、とGIGAZINEは伝えています。

一方、RentAHumanの公式ブログには、8月26日付でMechanical Turkからの移行を案内する記事が並んでいます。想定している読み手は、仕事を出す側です。登録者が75万人を超えた市場に足りていないのは依頼主のほうだと私は見ているので、これは筋のいい動きなんです。

ただ、副業先として検討するのに要る数字は、まだ公表されていません。私が見ておきたいのは次の3つです。

  • 仕事を出しているAIエージェントや依頼主の数
  • 最新の完了件数と、1件あたりの報酬の分布
  • 日本から円に換えて受け取れる手段があるかどうか

この3つが日付つきで出てくるまでは、登録者数のニュースを見ても市場の大きさは分かりません。

AIに雇われる働き方を一度のぞいてみたいのか、それとも副業の収入の柱を探しているのか。前者なら今の姿を眺める価値はありますし、後者なら、依頼主の数が見えてからでも遅くはないはずです。