Claude Codeの確認ダイアログやサブエージェント、プランモードを前に「これ全部、毎回要るのかな」と思ったことはありませんか? 2026年10月1日(日本では2日の早朝)に出たPi 1.0は、既定で使うツールが read、bash、edit、write の4つだけのコーディングエージェントです。4つで済む仕事と済まない仕事を、公式ドキュメントで確かめられる範囲で仕分けてみます。
Piの作者はマリオ・ゼクナーさんで、2026年4月にFlaskの作者アーミン・ローナッハーさんらのEarendilが取得しました。GitHubのスターは10月3日時点で111,857、npmの週間ダウンロードは新しいパッケージ名だけで約477万(9月25日〜10月1日、CIなどの自動取得を含む)あります。
Pi 1.0の標準ツールは、MCPが入っても4つのまま
組込みツールには grep、find、ls、Windows向けの powershell もありますが、既定ではオフです。使うときは設定の defaultTools に "+grep" のように + 付きで足し、外したいものには - を付けます。
よく混ざるのがMCPの扱いですね。「PiはMCPを入れない」という紹介がまだ残っていますが、MCPは9月29日公開の0.99.0から組込み拡張として入っています。Codemodeも同じ0.99.0からで、1.0の新機能ではありません。Codemodeは、モデルが書いたJavaScriptをQuickJSという隔離された実行環境で動かし、そこから他のツールをまとめて呼ぶ仕組みです。
1.0で変わったのは、全画面表示が既定になったこと、Codemodeのプロンプトが約40%軽くなったこと(既定ツールでGPTへのリクエストが約5,300トークンから約3,300トークンへ)、Codemodeから画像生成モデルを呼べるようになったことなどです。全画面が合わなければ、tuiMode を "regular" にすると従来の表示に戻ります。
MCPが入っても4つのままなのは、codemode とツール検索の tool_search が既定でオフになっていて、MCPサーバーが必要としたときだけ有効になるからです。組込みの仕事だと、使うか分からない機能を常駐させれば、そのぶんのメモリを毎回払うことになります。モデルに見せる道具を必要になるまで増やさないPiの組み方は、それと同じ発想かなと思います。
Claude Codeの仕事を、Piの4つで仕分ける
Claude Codeの主な仕事について、Pi 1.0の標準4つで足りるか、足りないなら公式がどう補うと書いているかを表にしました。
read edit writebashbash から grepgrep findmcp.json で設定TODO.md読んで、直して、コマンドを回す。普段の修正作業の多くはこの往復なので、ここは4つでそのまま代われると思います。検索と外部サービス連携も、設定ファイルに書き足せば届きます。
プランモードやサブエージェントに対するPiの答えは「ファイルとtmuxに出す」です。手間は増えますが、何をしているかがファイルとターミナルに全部残るので、後から追いやすいですね。
代わらせるべきでないのは、実行前の確認を安全装置にしている仕事です。この行だけは、設定を足す前に動かす場所を変える必要があります。
あなたが毎日Claude Codeに頼んでいる仕事は、この表のどの行に入りますか?
確認ポップアップが無いPi 1.0は、どこで動かすか?
Piのセキュリティ文書には、起動したアカウントの権限でファイルを読み書き・実行し、ツールを呼ぶたびに承認は求めない、とはっきり書かれています。フォルダを信頼するかを聞く「project trust」もありますが、これはフォルダに置かれた拡張を勝手に読み込ませないための仕組みです。ツールが触れる範囲は制限しません。
いまお使いのマシンに、本番の認証情報やSSHの鍵は置いてありませんか? 文書が勧めているのはコンテナやVMの中で丸ごと動かすことで、「たいていは最も強い現実的な選択肢」とされています。渡すファイルは作業に要るものだけ、認証情報はできるだけ外に置き、ネットワークも必要なときだけ開ける、という方針です。
試すなら、作業フォルダだけを渡したコンテナから始めるのが手軽です。PiはNode.js 22.19以上が必要です。
# 作業フォルダだけをマウントしたコンテナに入る
docker run --rm -it -v "$PWD":/work -w /work node:22 bash
# コンテナの中でPiを入れて起動する
npm install -g --ignore-scripts @earendil-works/pi-coding-agent
piモデルの認証は起動後に /login から行います。1.0ではAnthropicのログインが、別の端末のブラウザで認証してコードを貼り付ける方式にも対応しました。ただ、Claudeのモデルをサブスクの契約で使えるのか、API課金になるのかは、Anthropic側の最新の規約で確かめてください。
Pi Durableは、piコマンドの再開機能ではない
1.0と同じ日に、Pi Durableという別パッケージも出ています。名前から「Piが落ちても続きから再開できる機能」に見えますが、TypeScriptでエージェントアプリを組むためのライブラリで、発表文にも「Piのコーディングエージェントを置き換えるものではない」とあります。
会話、モデルの応答、ツール呼び出し、アプリ側の状態を、画面に出す前にストレージへ書き込むのが基本の動きです。プロセスが落ちても未完了の処理は残り、harness.resume() で続きから再開できます。保存先はメモリ、SQLite、JSONLから選べて、Node.jsのほかBunやCloudflare Durable Objectsでも動きます。
想定されているのは、Slackボットや、GitHubのissueを仕分けるボットのように、複数の人や画面から触られて長く動くエージェントです。READMEの冒頭は「Experimental」で、APIはリリース間で予告なく変わると書かれています。npmの週間ダウンロードも約2,000で、CLIとは桁が違います。
CLIの自動化にPiを使いたいなら、手を付けるのは pi 本体のほうです。-p は最終的な回答だけを標準出力に出して終了し、--mode json はイベントをJSONLで流し、--mode rpc は標準入出力越しに操作を受け付けます。シェルスクリプトやCIに組み込むなら、この3つで足ります。
Pi 1.0とClaude Code、どちらに任せるかの決め方
- その機能は、毎回常駐させたいものか。プランモードやサブエージェントを週に何回使っているか数えると、ファイルやtmuxで足りるかが見えてきます
- 後から足せるか。MCPや検索のように設定で足せるものなら、最初から入っていなくても困りません
- 失敗したとき、誰が止めるのか。確認ダイアログに止めてもらっていた仕事は、コンテナに入れるまで移さないほうが安全です
試し方は単純で、コンテナの中のPiに、普段Claude Codeに頼んでいる小さな修正を1つだけ頼んでみてください。手が止まった箇所を表の行に当てはめれば、自分の仕事のうち4つで代われる範囲が見えます。
足りないものを足すより、要らないものを削るほうが難しいんですよね。Pi 1.0はMCPを抱えても、既定の道具を4つから増やしませんでした。何を常駐させるかは、自分の仕事で表を埋めてから決めても遅くないと思います。


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