提出前の提案書、上司に出す前にAIで穴を探せたら助かりますよね。Google Deep Reviewは週2回まで無料で文書の弱点を探してくれるAIですが、会社の文書を入れるなら、データの扱いの書き方が公式ブログとポータルで違う点を先に知っておきたいところです。ブログは「学習には一切使わない」と言い切り、ポータルは「許可なしには学習に使わない」と書いたうえで、研究チームにデータの利用を許可する選択肢を用意しています。
Google Deep Reviewは、文書の弱点を探すAI
Deep Reviewは、Google Researchが10月14日に一般公開した文書レビューのAIです。名前は似ていますが、Geminiで調べものをする「Deep Research」とは別のサービスです。書き上がった文書を読んで、論理の弱いところや足りない説明、事実の正確さを指摘してくれます。
公式ブログによると、文書を区切って部分ごとに複数のエージェントが並行して確かめ、最後に全体の整合をとる仕組みです。一般公開の前には、4つの学会に投稿された論文1万6,000本以上で試されていました。
費用の仕組みは、表のとおりです。
円は1ドル158円(10月15日の終値)で換算しました。目安の幅はポータルのFAQに書かれた軽い設定と重い設定の差で、Deep Review自体の利用料はかからないと説明されています。
10月17日にポータルを開くと、FAQはログインしなくても読めました。画面の上には「Sign in with Google」のボタンがあり、ログインするまでは「Upload Document for Review」のボタンがグレーのままで押せません。文書を入れるには、Googleアカウントでのログインが必要です。
Deep Reviewは、本当に学習に使わない?
会社の文書を入れるかどうかで一番気になるのは、ここですよね。公式ブログとポータルの文言を並べると、こうなります。日本語は私の訳です。
ブログの原文は「never used to train, fine-tune, or improve Google models」です。一方でポータルのFAQには「You can opt in to give the research team permission to use your data to improve Deep Review」とあり、表の2行目はこの一文の訳です。
厳密に読むと、ブログが話しているのは「Googleのモデル」、ポータルのオプトインは「Deep Reviewの改善」なので、正面から矛盾しているとまでは言えません。それでも「許可なしには」という書き方は、許可すれば使われる道があることを示しています。「絶対に使われない」と思って入れるのと、「自分が許可しなければ使われない」と分かって入れるのとでは、確かめる場所が変わるんです。
見るべきは、ログインしたあとの画面で、この許可の設定がどこにあり、最初からオンなのかオフなのか。ここさえ押さえれば、入れるかどうかの判断がぐっと具体的になります。
対応形式も、ブログとポータルで書き方が違う
ブログは対応形式を「PDFとプレーンテキスト」としています。ところがポータルのFAQは「PDFs, text, Google Docs, and Google Slides」、つまりGoogleドキュメントとGoogleスライドにも対応すると書いています。
画面のアップロード欄にあるのは「Upload document」と「Paste text」の2つのタブで、FAQの使い方の説明も「PDFを選んでアップロードする」流れです。GoogleドキュメントやGoogleスライドをどう渡すのかは、ログイン前の画面からは読み取れませんでした。
提案書、Googleスライドで作っていませんか? その場合は、PDFに書き出して渡すのが、ブログとFAQのどちらにも沿うやり方です。なおFAQには、レビューの途中で関連する資料を探すためにWeb検索をすることがあり、文書そのものは非公開のまま、とも書かれています。
Deep Reviewのログイン前の画面で、分からなかったこと
私が読んだのはログイン前の画面とFAQまでで、ログインはしていません。そのため、次の6点はまだ確かめられていません。
- 研究チームへのデータ提供を許可する設定が、どの画面にあるか
- その設定が、最初からオンかオフか
- 1年の保存期間を待たずに、自分で文書を消せるか
- 週2回の数え方と、週の区切りがいつか
- 会社のGoogle Workspaceのアカウントで使えるか
- 日本語の文書をどこまで読めるか(公式ブログに言語の記載はありません)
ログイン前の画面には、利用規約やプライバシーポリシーへのリンクも、データ提供に同意するチェック欄も見当たりませんでした。ログインしたあとで同意の画面が出るのかどうかも、今の時点では分かりません。
会社の提案書を入れる前に、決めておくこと
あなたの会社に、AIツールの使い方の決まりはありますか? 会社の文書を扱うなら、Deep Reviewの文言より先に見るものがあります。
1: 社内のルールを先に見る。社外秘の文書を外部のAIサービスに入れてよいかは、会社の決まりで決まります。情報システム部門の案内や、AI利用のガイドラインがあれば、そこが出発点です。
2: ログインしたら、文書を送る前にデータ提供の設定を探す。場所と初期値は、私はまだ確認できていません。最初の1本を入れる前に設定まわりを一通り見て、オンになっていたら外しておきます。
3: どのアカウントで入れるかを決める。個人のGoogleアカウントで会社の文書を扱うこと自体が、社内規定に触れる会社もあります。
4: 社名、金額、人名を伏せた版を作る。論理のつながりを見てもらうだけなら、取引先を「A社」、金額を比率に置き換えても、指摘の材料は残ります。
5: 補足の入力欄にも社外秘を書かない。アップロード欄には「Add custom context (optional)」という欄があり、重点的に見てほしい箇所や提出先を書けます。本文を伏せても、ここに案件名を書いてしまったら意味がありません。
6: 1年残るつもりで入れる。それより早く消せるかは分かっていないので、1年後に誰かの目に触れて困る文書は入れない、と線を引いておくと迷いません。
週2回の無料枠は、伏せても困らない提案書に使う
ポータルのFAQは「密度が高く、難しく、複雑な文書ほど送ってほしい」と呼びかけていて、対象には研究だけでなく法務や財務も挙がっています。補足欄に提出先の学会を書けるあたり、もともとは論文を想定した作りです。それでも、論理の筋や数字の正確さを確かめる仕組みは、提案書の穴探しにも向くはずだと私は見ています。
私は試すつもりで、社名も数字もすべて架空の提案書を1本用意しました。費用の内訳を足すと合計と合わない、並行運用が終わる前に本稼働日が来る、結論が目的に答えていない、といった穴を6つ入れてあります。ログインの手前で止めたので、Deep Reviewがこのうちいくつ拾うかはまだ分かりません。
自分で確かめるなら、この形はおすすめです。答えの分かっている穴を入れた架空の提案書なら、データ提供の設定がどうなっていても困りませんし、何が見つかって何が見落とされたかを数えられます。無料枠の1回目をそこに使えば、設定画面の中身と指摘の精度を、会社の文書を1文字も出さずに確かめられます。
Deep Reviewに会社の提案書を入れてよいかを決めるのは、ブログの「never」の一語ではなく、ログインしたあとの設定画面です。
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