副業の下調べやメールのやりとりを、財布ごとAIに預けられたら楽ですよね。9月28日に発表されたManus Cueは、エージェントに専用のメールアドレス、電話番号、財布を持たせる、Manusの新しいアプリです。ただ、お金まわりの肝心な仕様はまだ公開されていないので、招待が届く前に、副業で任せる仕事と任せない仕事を決めておきましょう。
先に言っておくと、私はまだCueを触れていません。ここに書くのは、Manusの公式発表と報道で確かめられた事実と、そこから組んだ線引きです。
Manus Cueは、何ができるアプリなのか?
CueはManus本体に足された機能ではなく、Manus 2.0と同じ日に出た、独立した別のアプリです。Manusの公式ブログによると、Cueではエージェント1体ごとに、自分のメール、電話番号、財布、コンピューターが用意されます。メッセージを送り、あなたが決めた予算の範囲で支払い、自分のコンピューターで作業を最後まで進める作りです。
あなた宛ての電話を代わりに受けて、要約をCueに残す機能もあります。副業目線でアツいのは、複数のエージェントを1つのグループチャットに入れて、仕事をリレーさせられるところです。公式の例では、1体が会場を調べ、1体が候補を絞り、もう1体が資料の下書きを作ります。調べる、絞る、まとめる、のバトンを人がつながなくていい。方向を決めて最後に判断するのは、あくまで人の側です。
使える場所はWeb、デスクトップ、モバイルで、iOS版はApp Storeの審査待ちです。いまは招待コードで入る早期アクセスで、その間は無料です。公式が配った MEETCUE は先着の限定枠なので、もう埋まっている可能性が高いと思います。早期アクセス後の料金は、まだ発表されていません。
Manus Cueの財布、まだ書かれていないことは?
ここ大事だから聞いて。財布について公式が書いているのは、「設定した予算の範囲で支払える」という一文だけです。
いちばん引っかかるのは、受け取りの記述がないことです。納品して、請求して、入金を確認するところまでエージェントに回させる使い方は、今の情報だけでは前提にできません。
あなたが任せたいのは、お金を払う仕事ですか、それとも受け取る仕事ですか?
副業でManus Cueに任せるか、3つの質問で分ける
仕様が見えないなら、仕事の側に線を引けばいい。私は次の3つの質問で分けます。
1: その作業で、お金が動くか
2: 失敗したら、取り返しがつかないか
3: 相手から見て、あなたの名前で話していることになるか
3つとも答えが「いいえ」の仕事だけを、エージェントに渡します。1つでも「はい」があれば、エージェントの担当は下書きまでです。
たとえば「競合ショップの商品ページを20件集めて、価格と売り文句の傾向をまとめる」は3つとも「いいえ」なので、丸ごと任せられます。一方で「取引先に納期を連絡する」は、文面が数行でも相手に届くので下書きまでにします。あなたの副業でいちばん時間を食っている作業は、どちらに入りますか?
Manus Cueに任せる3つ、任せない3つ
副業で任せる3つは、取り消せる下ごしらえ
- 下調べと要約。調べた結果はCueの中に置かせて、外には出さない
- 候補の比較表。仕入れ先、外注先、ツールを並べて絞らせる。公式例と同じリレーの使い方です
- 送る文面の下書き。見積もりの依頼やお礼のメールを用意させて、送信ボタンは自分で押す
3つとも、出来が悪ければ捨ててやり直せば済みます。子供が寝てから毎晩30分かけている下ごしらえを、こちらが寝ている間に進めておいてもらえます。
AIエージェントに任せない3つは、お客さんに届く仕事
- お客さんへの納品メールの送信。誤送信は取り消せないうえ、見慣れないエージェントのアドレスから届けば相手も戸惑います
- 請求と入金の確認。受け取りの仕組みが書かれていないし、請求額を1桁間違えるだけで信用が飛びます
- 取引先との電話での返事。電話口の「大丈夫です」は、そのまま約束として受け取られます。用件と要約を残させるところまでにして、返事は自分でかけ直します
Manus Cueの予算上限は、いくらに置くか?
上限の単位も、上限を超えそうなときの動きも公表されていません。だから額は機能から決めずに、「全部なくなっても家計が揺れない額」から逆算します。
私なら最初は1,000円にします。ランチ1回分なら、仮に全部消えても笑い話で済むからです。1〜2週間動きを見て、支払いの記録をちゃんと追えると分かってから、少しずつ上げます。あなたの家計なら、消えても笑える額はいくらですか?
もう1つ、経費の記録はエージェントの履歴に頼らず、自分の家計簿や帳簿に残してください。確定申告で経費を説明するのは、エージェントではなくあなたです。
メールを読むAIエージェントには、別の穴がある
9月24日、Salt Labsという研究チームが、Manus本体の弱点をDark Readingの記事で公表しました。受け取ったメールに指示を紛れ込ませるとManusがそれを実行してしまい、連携しているGmailやGitHubなどの認証情報まで取れた、という内容です。すでに修正されたと報じられていて、Cueで見つかった問題でもありません。
ただ、Cueのエージェントも自分のメールアドレスを持ち、外から届くメールを読みます。知らない人のメールを読むAIには、同じ種類の穴が開きうると考えておくほうが安全です。
対策は、つなぐアカウントを減らすことです。いま副業で使っているメールアドレス、家族との連絡と同じものになっていませんか?家族の写真やプライベートのメールが入ったアカウントはつながず、副業用のアカウントを別に作って、それだけを渡します。
招待コードが届いたら、Manus Cueで最初に確かめること
1: どの操作に承認が必要か。公式ブログには書かれていないので、設定画面で自分の目で確かめるしかありません
2: 財布の上限を最小にしたうえで、支払いの記録がどこで見られるか
3: 最初の1週間は、3つの質問がすべて「いいえ」の仕事だけを渡せているか
画面を見て、承認や返金、受け取り、日本の電話番号のどれかが分かったら、線引きもそれに合わせて引き直せます。分かるまでは線の内側で使っておけば、失敗しても損を小さく抑えられます。
財布を持てるAIには、正直ワクワクしています。それでも最初に渡すのは、財布より先に、失敗しても取り消せる作業です。



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