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AIに「ソニーと任天堂、どっちに投資すべき?」と聞いたら有報を読んで自分で検証して答えてきた話

AI脱社畜
AI脱社畜

2026/03/29

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「気になる銘柄があるけど、有価証券報告書を読む時間がない」「AIアプリのスコアだけじゃ、なぜその評価なのかわからない」——そんな経験、ありませんか?

私もまさにそうでした。

投資先を選ぶために企業の財務データを調べたいけど、有報は100ページ超え。

証券会社の「AI銘柄スコア」は便利だけど、なぜその点数なのか根拠がわからない。

ChatGPTに聞いてみても「最新の財務データは持っていません」と返される。

そんなとき見つけたのが、AI株式分析を自動化してくれるエージェント「dexter-jp」です。

試しに「この2社、どっちに投資すべき?」と聞いてみたら、AIが勝手に有価証券報告書を読みに行って、財務データを引っ張ってきて、自分で検証して、レポートにまとめて返してきました。

しかも52秒で。

正直、震えました。

今回は、この「dexter-jp」を実際に使ってみた体験をもとに、何ができるのか、どうやって使うのか、普通のAI投資アプリとどう違うのかを、非エンジニアの私の視点でお伝えします。

そもそも「dexter-jp」って何?30秒でわかる説明

dexter-jpは、日本の個人投資家向けに日本株のAI株式分析を自動化してくれる自律型エージェントです。

「エージェント」という言葉がポイントで、普通のAIチャットとは根本的に動き方が違います。

ChatGPTに「ソニーの業績どう?」と聞くと、学習済みのデータ(しかも少し古い)をもとに答えてくれますよね。

dexter-jpは違います。

質問を受け取ると、自分で「どのデータが必要か」を考えて、EDINETやJ-Quantsといった公的データベースにアクセスして、最新の有価証券報告書や株価データをリアルタイムで取ってきます。

そして取ってきたデータを自分で読み込んで、分析して、比較して、レポートとしてまとめてくれる。

つまり、人間のアナリストがやる作業を、AIが自律的にやってくれるイメージです。

次のセクションで「普通のAI株ツールとどう違うのか」をもう少し掘り下げます。

普通のAI株ツールとの決定的な違い

ここがめちゃくちゃ重要です。

証券会社が提供している「AI銘柄ナビ」や「AIスコア」は、基本的に予測型です。

過去のデータをもとに「この銘柄は上がりそう/下がりそう」をスコアで出してくれる。

便利だけど、ブラックボックスなんですよね。

「なぜそのスコアなのか」がわからない。

dexter-jpは自律リサーチ型です。

「なぜそう判断したのか」を、取得したデータと一緒にレポートとして出してくれます。

つまり、結論だけでなく「思考プロセス」が見えるんです。

これ、個人投資家にとってはめちゃくちゃ大きい差だと思っています。

自分で「なるほど、この根拠で◎なのか」と腹落ちした上で判断できる——これがどれだけ大事か、使ってみて初めて実感しました。

元ネタは海外約20,000スター超えのOSS

dexter-jpは、海外で大バズりしているAIエージェント「dexter」の日本株特化版です。

本家のdexterはGitHubで約20,000スターを獲得している(2026年3月時点)超人気OSSで、米国株の分析に使われています。

これを日本株向けにカスタマイズして、EDINETやJ-Quantsといった日本の金融データベースに対応させたのがdexter-jpです。

開発元はEDINET DBというサービスを運営しているチームで、日本の企業開示データを扱うプロフェッショナルです。

つまり、海外の実績あるAIエージェント × 日本の金融データの専門家という組み合わせ。

しかもOSS(オープンソースソフトウェア)なので、完全無料で使えます。

「無料でこのクオリティか……」と思うのは、実際に動かしてみてからです。

AIが自動でやってくれること——実際の分析結果を見せます

説明だけだとピンとこないと思うので、実際に私がdexter-jpに投げた質問と、返ってきた分析結果をお見せします。

「PKSHAとAI inside、どっちが有望?」52秒で出た答え

私が投げたプロンプトはこれです。

PKSHAとAI insideを投資先として比較して。 どちらが今後の成長性で優れているか、財務データとリスク要因を踏まえて分析してほしい。
記事の画像
記事の画像

すると、dexter-jpは即座に動き始めました。

まず、3つのデータソース(EDINET、J-Quants、ウェブ検索)に同時並行でアクセス。

2.7〜2.8秒で必要なデータをすべて取得しました。

ここからがすごくて、AIが自律的に有価証券報告書を読み込んで、財務データを抽出して、2社の比較分析を始めます。

そして52秒後、38,528トークンの分析レポートが出てきました。

ChatGPTに同じ質問をしても、ここまでの分析は絶対に出てきません。

なぜなら、dexter-jpは「最新の実データ」を使っているからです。

AIが自律的に踏む4ステップ:計画→調査→検証→レポート

dexter-jpの分析プロセスを整理すると、こうなります。

  1. 計画:質問を受け取り、「どのデータが必要か」「どのソースから取るか」を自分で判断
  2. 調査:EDINETから有価証券報告書、J-Quantsから株価データ、必要に応じてウェブ検索も実行
  3. 検証:取得したデータに矛盾や誤りがないかチェック(これが本当にすごい。後述します)
  4. レポート:分析結果を構造化されたレポートにまとめて出力

この「検証」のステップで、興味深いことが起きました。

AIがPKSHA Technologyの銘柄コード「3993」でEDINETにデータを取りに行ったんですが、返ってきたのは「アスア株式会社」という別会社のデータでした。

3993はPKSHAの正しいコードなのに、なぜかEDINET側で別の会社がヒットしたんです。

ここからがAIらしい展開で、dexter-jpは「返ってきたデータの会社名が違う」と気づきました。

ここまでは素晴らしい。

ところが、その訂正として「正しい銘柄コードは3937」と言い出したんです。

実は3993が正しいのに、AIが間違った"訂正"をしてしまった——いわゆるハルシネーション(AIの思い込み)ですね。

でも面白いのは、最終的な分析結果は正しかったということ。

PKSHAの財務データはEDINETからうまく取れなかったものの、AIが公知情報で補完して分析を完了させていました。

これが「自律型エージェント」の面白さであり、怖さでもあります。

間違いに気づく力はある。

でも、その訂正自体が間違っていることもある。

だからこそ、AIの出力を鵜呑みにせず、自分の目で確認する姿勢が大事なんです。

使えるデータソース:EDINET + J-Quantsで日本株3,800社を分析

dexter-jpが分析に使うデータソースは主に2つです。

EDINET(エディネット)は、金融庁が運営する電子開示システムです。

上場企業の有価証券報告書、半期報告書、大量保有報告書などが公開されています。

dexter-jpは、このEDINETのデータを使いやすくした「EDINET DB」というサービスのAPIを通じてアクセスします。

J-Quants(ジェイクオンツ)は、日本取引所グループが提供する株価データAPIです。

株価の時系列データや財務情報を取得できます。

この2つを組み合わせることで、「企業の開示情報(有報)」と「市場の評価(株価)」の両面から分析できるわけです。

しかも、EDINET DBには日本の上場企業約3,800社以上のデータが入っているので、理論上はすべての日本株を分析対象にできます。

「自分が気になっているあの銘柄も分析できる」という安心感、ありますよね。

証券会社の「AI銘柄ナビ」とは別モノです

ここまで読んで、「楽天証券やマネックスにもAI分析あるじゃん」と思った方もいるかもしれません。

確かにそうなんですが、中身がまったく違います。

予測スコア型 vs 自律リサーチ型

比較項目
証券会社のAI(予測スコア型)
dexter-jp(自律リサーチ型)
分析方式
過去データから将来を予測
最新データを自律的に取得・分析
出力
スコア(数値)のみ
根拠付きの分析レポート
判断根拠
ブラックボックス
データソースとともに明示
カスタマイズ
不可(固定のスコア)
質問を自由に設定可能
2社比較
基本的に不可
自然言語で依頼可能
料金
証券口座が必要
完全無料(OSS)

正直、用途が違うので「どっちが優れている」という話ではありません。

でも、「なぜこの銘柄が良いのか、自分で納得して判断したい」という人には、dexter-jpのほうが圧倒的に向いています。

無料OSSなのに機関投資家レベルの分析

dexter-jpが出してきた分析レポートの一部をお見せします。

AI inside(4488)の財務サマリーです。

項目
FY2021
FY2025
売上高
4,597百万円
4,400百万円
営業利益率
51.3%
8.8%

営業利益率が51.3%から8.8%に下落。

さらに、のれん減損6.8億円が発生していることまで指摘してきました。

「こんな数字、自分で有報を漁ったら何時間かかるんだろう……」と思ってしまいました。

成長性の比較もこんな感じです。

観点
PKSHA Technology
AI inside
事業モデル
アルゴリズムライセンス+SaaS
AI-OCR/LLM基盤
収益安定性
安定成長型
波が大きい
総合判断
安定成長を重視するなら◎
急回復に賭けるなら◎

※事業モデルの記述はdexter-jpが生成した分析結果です。最新の公式事業区分とは異なる場合があります。

最終的な結論として「成長性で優れているのはPKSHA Technology」と判断しつつ、「安定成長ならPKSHA、急回復に賭けるならAI inside」と、投資スタンス別の整理まで出してきました。

ここまでの分析が52秒です(実行環境やネットワーク状況により異なります)。

人間が同じことをやろうとしたら、有報を2社分読んで、財務データをExcelにまとめて、比較表を作って……少なくとも数時間はかかるはずです。

この差を体感してしまうと、もう戻れません。

セットアップしてみた——正直、ちょっとハマった

ここからは、実際にdexter-jpを動かすまでの手順と、私がハマったポイントを正直にお伝えします。

「難しそうだな」と感じた方、安心してください。

やることは思ったよりシンプルです。

必要なものは3つだけ

dexter-jpを使うために必要なものは以下の3つです。

  1. EDINET DB APIキー(無料。Googleアカウントがあれば取得可能 https://edinetdb.jp/
  2. AI用のAPIキー(Claude等。有料だが1回の分析で約$0.15=約22円)
  3. Bun(JavaScriptの実行環境。インストールは1コマンド)

EDINET DB APIキーの取得は本当にかんたんで、Googleアカウントでログインするだけです。

クレジットカードも不要で、1日100リクエストまで無料で使えます。

ただし、正直に言います。

ターミナル(黒い画面)の操作は必要です。

「完全にノーコード」とは言えません。

でも、やることはファイルをコピーして、APIキーを貼り付けて、コマンドを1つ実行するだけ。

プログラミングの知識は不要です。

「黒い画面はちょっと……」という方も、手順どおりに進めれば大丈夫。

.envの罠:使わないAPIキーのダミー値が悪さをする

私がいちばんハマったのがここです。

dexter-jpには設定ファイルのテンプレート(env.example)が用意されていて、これをコピーして自分のAPIキーを入れるんですが、テンプレートには使わないサービスのAPIキー欄にも「your-openai-api-key」みたいなダミーの値が入っています。

普通は「ダミーだから無視されるでしょ」と思いますよね?

私もそう思いました。

ところが、dexter-jpの内部で使われているAI記憶機能が、このダミー値を「本物のAPIキーが設定されている」と勘違いして、実際にそのサービスに接続しようとしてエラーになります。

解決策はシンプルで、自分が使うAPIキー以外の行は削除する

これだけです。

知っていれば30秒で済む話なんですが、知らないとエラーの原因がわからずに30分は溶かします。

私は溶かしました。

Geminiだと動かない(2026年3月時点)

もうひとつハマったのが、AIモデルの選択です。

「Google Geminiなら無料枠もあるし、これで動かそう」と思ったんですが、2026年3月時点ではGemini系のモデルでは動きませんでした。

原因は技術的な話になりますが、ざっくり言うと「dexter-jpが内部で使っている部品の形式と、Geminiが受け付ける形式が合わない」という互換性の問題です。

Gemini側がまだ対応していないデータ形式があって、処理の途中でエラーになります。

私はAnthropicのClaude(Sonnet 4.6)で動作確認できました。

ClaudeのAPIは従量課金ですが、実際に2社比較の分析を1回実行したところ、かかった費用は約$0.15(約22円)でした。

お試しで使う分にはほぼ負担にならない金額です。

今後Gemini側がアップデートすれば対応される可能性はありますが、現時点ではClaude推奨です。

使ってみた感想(正直レビュー)

良かった3つ

1. スピードが異次元

52秒で2社の比較分析が完了する体験は、正直衝撃でした。

しかもデータの取得を並列で行うので、1社でも2社でもほとんど時間が変わりません。

「え、もう終わった?」と思わずつぶやいてしまうくらいです。

2. 「なぜそう判断したか」が全部見える

これが私にとっていちばん価値が高かったポイントです。

証券会社のAIスコアは「この銘柄は★4です」としか言ってくれないけど、dexter-jpは「売上はこうで、利益率はこうで、リスクはこうだから、こう判断しました」と全部見せてくれます。

自分の投資判断の材料として、圧倒的に使いやすい。

3. 質問を自由に設定できる

「2社を比較して」「リスク要因を重点的に」「財務データだけで判断して」など、自分が知りたいことをそのまま聞ける自由度はすごいです。

「こういうことが聞きたいんだけど……」がそのままプロンプトになる感覚、一度味わったら手放せません。

気になった点:ティッカーコードの取り違え等

完璧ではありません。

正直に気になった点も書きます。

データ取得のミスとAIの誤訂正が起きました。

前述のとおり、正しい銘柄コードで問い合わせたのに別会社のデータが返ってくるケースがあり、さらにAIがその訂正を試みて逆に間違えるという二重のミスが発生しました。

最終的な分析結果は正しかったものの、途中のプロセスを人間が確認する必要があることは覚えておくべきです。

セットアップのハードルがあるのは事実です。

ターミナルを使ったことがない人にとっては、「Bunをインストールして」「.envを編集して」「コマンドを実行して」という手順は少しハードルが高いかもしれません。

Geminiが使えないのも現時点ではマイナスポイントです。

無料でサクッと試したい人にとって、Claude APIの従量課金は心理的なハードルになるかもしれません。

ただ、これらの注意点を踏まえても、「AIが自律的に有報を読んで分析してくれる」という体験の価値は非常に大きいと感じました。

細かい不満を吹き飛ばすくらいの衝撃があります。

まとめ:AIに投資判断を「丸投げ」するな。でも「下調べ」は任せろ

dexter-jpは、投資の「答え」を教えてくれるツールではありません。

「この株を買え」「今が売り時だ」——そういうことは言ってくれないし、言ってくれるツールがあったとしても信じるべきではないと私は思います。

dexter-jpが本当にすごいのは、投資判断の「下調べ」を圧倒的に効率化してくれるところです。

有価証券報告書を読んで、財務データを抽出して、2社を比較して、リスク要因を整理して——これまで数時間かかっていた作業を、52秒でやってくれる。

しかも、根拠となるデータも一緒に出してくれるから、自分で確認できる。

最終的な投資判断は自分でする。

でも、その判断材料を集める作業はAIに任せる。

これが、2026年の個人投資家にとっての「AI株式分析の正しい使い方」なんじゃないかと思っています。

興味がある方は、まずGitHubのリポジトリを覗いてみてください。

READMEを読むだけでも、「こんなことができるのか」と発見があるはずです。

最後にひとつだけ。

この記事は特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。

記事中で取り上げた企業名・分析結果はdexter-jpの機能を紹介するためのサンプルであり、投資助言ではありません。

投資は自己責任でお願いします。

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