CLAUDE.mdはいずれ不要になるのか。Anthropic社員の発言を読む

コードを読まないAIエンジニア
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CLAUDE.mdに行を足したことはあっても、最後に消したのはいつでしょうか? AnthropicでClaude Codeを担当しているThariq Shihiparさんは、9月29日公開のインタビューで、CLAUDE.mdはいずれ不要になるという見方を話しました。発言を原文で確かめたうえで、自分のCLAUDE.mdから何を消して何を残すかを決めるところまでやります。

CLAUDE.mdについて、Thariqさんが言ったことと言っていないこと

発言が出たのは、Latent Spaceのインタビュー「Claude Code's Next Era」です。2026年9月29日の公開で、収録は約1時間32分あります。

28分ごろ、聞き手のswyxさんが「Claude.mdはなくなるのか」と尋ね、Thariqさんはこう答えています。

I do think in the limit, Claude.md goes away

突き詰めれば、CLAUDE.mdはなくなると思う。続けて "right now it might be better to start a new project without a Claude.md" とも言っていて、今は新しいプロジェクトをCLAUDE.mdなしで始めるほうがいいかもしれない、という話です。「かもしれない」が付いているところは読み飛ばさないでおきたいですね。

理由に挙げていたのは、モデルが良くなるほど単純な作業の出来の底が上がること。もう1つは、失敗の癖がモデルごとに違うことです。原文は "this changes per model" で、Fable 5と5.1のあいだでも違うと言っています。前のモデル向けに足した失敗の対処は "over constrain Claude"、つまりClaudeを縛りすぎるだろう、という見立てです。

一方で、CLAUDE.mdを書くなとは言っていません。同じ失敗が何度も繰り返されるならCLAUDE.mdに足す、という使い方は本人が認めています。

Claude Codeのハーネスは、どこが古くなるのか?

44分ごろには、モデルを動かす周りの仕組み、つまりハーネスの寿命の話が出ます。Thariqさんは "harnesses go out of date very quickly" と言いつつ、ここでBitter Lessonを持ち出すのは少し誤用だと自分で断っています。Bitter Lessonは本来、計算量のスケールが人の作り込みに勝つという話です。ハーネスはすぐ古くなり、しかも変わり方が直感に反する、と言いたいときの近似として使っている、という説明でした。

変わらない側の話もしています。モデルができることが増えるほど "the core harness has to be like quite complex and very secure"。エージェントループやサンドボックスといった核は複雑で安全でなければならず、大きく変わるのは人がそれとどう関わるかのほうだ、と続けています。

私はこの話から、CLAUDE.mdは「関わり方」の側に入ると読みました。15分ごろのプロンプトの話も、同じ方向を指しています。

It's like public speaking, like, or writing or something, and for a specific audience, and that audience is Claude.

プロンプトは特定の聴衆に向けたスピーチのようなもので、その聴衆がClaudeだ、という発言です。聴衆が入れ替われば、前の聴衆に向けて書いた原稿はずれてきます。

あなたのCLAUDE.mdは、どのモデルに向けて書いた原稿でしょうか?

CLAUDE.mdの行は、モデルの癖か事情かで4つに分ける

判定に使う問いは「この行はモデルの癖のためにあるのか、このプロジェクトの事情のためにあるのか」だけです。

分類
当てはまる行
判断の根拠
消す
前のモデルの失敗の癖に合わせて足した行
癖はモデルごとに違い、残すと縛りすぎる
様子見
癖のためか事情のためか判断がつかない行
外してみて、同じ失敗が繰り返されるかで決める
残す
ビルドやテストのコマンド、独自の規約、そう決めた理由
コードを読んでも分からない事情
外に出す
必ず守らせたい禁止事項
CLAUDE.mdは強制ではないので、フックや設定へ

消す候補の典型は、「長いファイルは全部読んでから編集すること」「確認を挟まず最後まで実装すること」のような、ある時期のモデルの振る舞いへの注意書きです。あなたのCLAUDE.mdに、書いたときのモデル名を思い出せる行は何行ありますか?

残す側の考え方は、Thariqさんの序盤の発言と重なります。自分にとっての未知を洗い出すことは "will forever be, like, a skill in agentic coding"、エージェントでのコーディングでずっと必要な技術だ、という話です。目標や制約、なぜそう決めたかは本人しか知らないので、モデルが賢くなっても書く価値が残ります。

外に出すのは、たとえば本番DBへの書き込み禁止のような行です。公式ドキュメントも、CLAUDE.mdは強制される設定ではなく文脈として扱われるとし、何があっても止めたい操作はPreToolUseフックで止めるよう案内しています。N+1を出さない、のような品質のルールも、文章で頼むより検出ツールとテストに任せたほうが、モデルが替わっても効き方がぶれにくいと私は見ています。

棚卸しには公式の道具もあります。Claude Codeのメモリのドキュメントによると、v2.1.283以降の /doctor prompt-audit は、古いモデル向けに書かれた指示、存在しないファイルやコマンドへの参照、ファイル同士の矛盾を探して修正案を出します。頼むまでファイルは書き換えません。同じページには、1ファイル200行未満という目安も載っています。

消したあと、同じ仕事でClaude Codeの差を見る

消すかどうかは、手元の仕事で比べれば決められます。最小の手順はこうです。

  1. 最近の仕事から、テストが付いているものを2〜3件選ぶ
  2. ブランチを切り、消す候補と様子見の行を削る
  3. 同じ依頼をそのまま投げ、テストが通るか、自分が何回口を挟んだかを前と比べる
  4. 外した行が防いでいた失敗が2回出たら、その行だけ戻す

4の基準は公式ドキュメントとも合っていて、CLAUDE.mdに足すタイミングを「Claudeが同じ間違いを2回したとき」としています。削った版が新しいセッションで読み込まれているかは、/context の Memory files の一覧で確かめられます。

新しいプロジェクトなら、もっと安く試せます。CLAUDE.mdを置かずに数件の作業を回し、同じ失敗が2回目に出たところで1行足す。Thariqさんの言う「なしで始める」を、小さな実験に落としたものです。

比べる2〜3件、あなたならどの仕事を選びますか?

CLAUDE.mdを削る前に、よく出る疑問

今のCLAUDE.mdは全部消すべき?

全部を消す必要はありません。Thariqさんの発言は「突き詰めれば」と「新しいプロジェクトなら」という条件付きの話で、育ててきたCLAUDE.mdを一度に捨てろとは言っていません。消すのは癖の対処の行からで足ります。

モデルを替えるたびに見直すの?

見直すなら、モデル更新の直後です。/doctor prompt-audit を流し、同じ仕事で1回比べるくらいの手間で済みます。

CLAUDE.mdを消すとAGENTS.mdはどうなる?

インタビューでAGENTS.mdへの対応を聞かれたThariqさんは、やると答えています。公式ドキュメントでは、v2.1.277以降、CLAUDE.mdもCLAUDE.local.mdも無いプロジェクトではAGENTS.mdを読む仕様です。CLAUDE.mdを丸ごと消すと、AGENTS.mdがあるリポジトリではそちらが読まれ始めるので、消す前に置いてあるかを確かめておくと混乱しません。

CLAUDE.mdが要らなくなる日について、Thariqさんは「そう遠くないかもしれない」とも付け加えていました。それまでは、モデルが替わるたびに「この行は誰の癖のためにあるのか」と問い直す。私がこの発言から持ち帰ったのは、この1つの問いです。