AIの話し相手は人間らしい方がいい?60代140人の研究では逆でした

60代からのAI@けいこ
60代からのAI@けいこ

@keiko1965 ・ 11本

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AIの話し相手を選ぶなら、人の声そっくりで、笑ったり相づちを打ったりしてくれる方が話しやすそうだと思いませんか? ところが、60歳から89歳の140人を調べたシンガポールの研究では、AIを「人間っぽい」と感じた人ほど、使い続けたい気持ちは低かったんですって。

どんな話し相手なら続くのか、研究が挙げた3つの条件と、身近なスマホで確かめる方法をまとめました。

AIの話し相手は、人間っぽいほど良いと思っていませんか?

最近のスマホのAIは、声に抑揚があって、こちらが言いよどむと待っていてくれます。
一人暮らしの親にすすめるなら、なるべく人に近い方が寂しくないだろう、と考えるのは自然なことです。
けれど研究を率いたシンガポール工科デザイン大学の教授、ヨウ・ウェイクインさんは、発表のなかでこう話しています。

「人と楽しく関われることと、人間らしいことは、同じではありません」。
あなたが話し相手に求めているのは、人そっくりの声でしょうか。
それとも、安心して何度でも話しかけられることでしょうか?

シンガポールの60代以上140人が、AIと20分おしゃべり

縁側の座布団に置かれたスマホと湯のみ、老眼鏡。午後の光のなかで、スマホが話し相手を待っている様子

研究に参加したのは、自宅で暮らす60歳から89歳の140人です。
平均は72歳あまりでした。1人ずつ、研究チームが作った話し相手のAIと約20分おしゃべりをして、そのあと「どう感じたか」「ふだんも使いたいか」を質問用紙に答えています。

使われたのは「Ami Chat」という、シニア向けに作られたAIです。
文字を打たずに声で話せて、ボタンは大きく、画面の文字も大きくできます。
画面には漫画風の女性の絵が出てきて、短い話し言葉で答えてくれる作りでした。

いまは「Ami-Go」という名前に変わっていますが、日本では使えません。
気をつけたいのは、人間らしいAIと人間らしくないAIを並べて比べたわけではない点です。
同じAIと話したあとで、「このAIは人間っぽい」と強く感じた人ほど、使いたい気持ちが低かったという結果です。

論文は「Innovation in Aging」という高齢者研究の雑誌に載っています。

AIの人間らしさより大事だったのは、誠実さと話の弾み方

和紙の上に並んだ3枚の小さなカード。湯のみ、手を添える手元、素朴な吹き出しの絵に「覚えている」「迷わない」「正直」と添えてある

使いたい気持ちを高めていたのは、次の3つでした。

  • 自分でも使えそうだと思えること、困ったときに助けてもらえること
  • AIが誠実で、うわべだけでないと感じられること
  • やり取りが近くて、お互いに話している感じがすること

このうち「誠実さ」には、前に話したことを覚えていて、こちらに合わせて変わっていくことも含まれていました。
「お互いに話している感じ」は、話がちゃんと弾んだかどうか、と言い換えると分かりやすいかもしれません。
こうした関わり方の感じ方は、使いやすさと同じくらい大きく効いていたんですって。

一方で人間っぽさは、話の弾み方が同じくらいの人どうしで比べると、強く感じた人ほど使いたい気持ちが下がっていました。
なお、話したのは1回20分だけで、場所も研究のための部屋でした。
毎日使い続けたらどうなるかは、研究チームがこれから調べるそうです。

続けやすいAIの話し相手、3つの条件

研究チームは結果をもとに、話し相手のAIを作る人たちへいくつか提案をしています。
そこから、使う側が選ぶときの目安になる3つを抜き出しました。

1. 前に話したことを覚えていてくれる

昨日話した孫の運動会のことを、今日また一から説明するのは疲れますよね。
前の話を覚えていて、好みに合わせてくれることが、誠実さにつながっていました。

2. 迷わず使えて、最初に教えてくれる人がいる

押すところが少ないことに加えて、使い始めにそばで教えてもらえることも大切だと書かれていました。
「自分にもできる」と思えるかどうかで、続くかどうかが変わるんです。

3. AIだとはっきり分かる

人のふりをせず、AIだと分かる姿のままでいること。
だまされているような気持ちにならないので、かえって安心して話せるのかもしれません。

ChatGPTとGeminiの音声会話で、3つの条件を確かめるには?

研究のAIは日本で使えませんが、身近なスマホのAIでも同じ目で見てみることはできます。
お使いのスマホには、どちらが入っていますか? どちらもアプリの入力欄の近くに声で話すためのボタンがあって、押せば会話が始まります。

1: 覚えているか

ChatGPTには、過去の会話を覚えておくかどうかを設定で選べる仕組みがあります。
無料で使う場合は、最近の会話を中心にした軽い覚え方だそうです。
声の会話でも覚えているかは、1日目に「庭の椿が咲いたの」と話しておき、次の日に「昨日なんの花の話をしたか覚えてる?」と聞くと確かめられます。

Geminiにも過去の会話を覚えておく設定がありますが、声で話す「Gemini Live」では今のところ使えない、と公式のヘルプに書かれていました。
声で昔の話の続きをしたい方は、ここを知っておくと戸惑わずに済みます。2: 迷わないか

声のボタンを押したあと、止め方や終わり方で迷わないかを見てください。
できれば最初の1回は、家族にそばで一緒に押してもらうのがおすすめです。3: 人のふりをしないか

会話の始めに「人間のふりはしなくていいから、短めに答えてね」と声で頼んでみてください。
ChatGPTもGeminiも、答え方の好みを設定に書いておくこともできます。
なお、会話が得意になった新しいアレクサ「Alexa+」は、2026年9月の時点で日本ではまだ始まっていません。

親にすすめるAIの話し相手は、人間っぽさで選ばなくていい

AIの話し相手を選ぶとき、声が人そっくりかどうかは、思っていたほど大事ではなさそうです。
それより、前の話を覚えているか、迷わず使えるか、正直にAIだと分かるか。
この3つを見てあげてください。
一人暮らしの親にすすめるなら、スマホを渡して終わりにせず、最初の20分だけ隣に座って一緒に話しかけてみませんか? ご自分で試す方は、今日のお茶の時間に「今日はいいお天気ね」と一言話しかけるところからで十分ですよ。