見守りカメラを置きましょうか、という話。
する側でも、される側でも、なんとなく気まずくなったまま流れてしまった方は多いのではないでしょうか。
そのカメラを置かずに済むかもしれない機械が、9月にアメリカで発表されましたよ。
見守りのやり方は、実はいくつもあります
見守りと聞いて最初に浮かぶのは、たいていカメラですよね。
でも今、日本で選べるやり方はそれだけではありません。
よく見かけるのは、この4つです。
- 部屋にカメラを置いて、家族がスマホから様子を見る
- 人が通ると反応する小さな機械を置いて、動きがあったかどうかだけを知らせる
- 何かあったときにボタンを押すと、警備会社の方が駆けつけてくれる
- 決まった曜日に電話がかかってきたり、人が訪ねてきたりする
どれもよくできていますし、合う方には本当によく合います。
ただ、こうして並べてみると、抜けているところが見えてくるんです。
1と2は、本人が何もしなくていい代わりに、本人の気持ちが置いてけぼりになります。
3と4は、本人が動くか、誰かの手間が要ります。
本人が嫌がらなくて、しかも人の手も要らない。
そんな都合のいいものがあるのかしら、と思いますよね。
カメラを嫌がる気持ちには、ちゃんと理由があります
カメラを渋る親御さんの話は、あちこちで聞きます。
心配してくれているのは分かるのよ、と言いながら、首は縦に振らない。
あの気持ちには、よく挙げられる理由が3つあります。
- 一人で過ごしている時間まで見られてしまう
- 誰も見ていないときでも、レンズがこちらを向いていると見られている気がする
- まだ自分でやれる、と思っていたい
いちばん大きいのは、3番目だと思っています。
カメラを受け入れるということは、もう一人では危ない人なのだと、自分で認めるようなものですものね。
置く側は安心を贈っているつもりでも、置かれる側には「もう任せられません」という知らせに見えてしまう。
すれ違いの正体は、たぶんここです。
だから、映像を撮らない見守りが要るんですね。
置いて話しかけるだけの、画面のない機械が出てきました
アメリカのサンフランシスコにある、できて間もない会社が、9月2日に新しい機械を発表しました。
Ato という名前で、今回のものは2代目にあたります。
見た目は置き時計か、昔のラジオのような形をしています。
大きな特徴は、画面がないこと。
そして、カメラも付いていないことです。
することは、コンセントに挿して家のWi-Fiにつなぐだけ。
あとは話しかけると、返事が返ってきます。
声で返事をするスピーカーなら日本にもありますが、この機械はそこが少し違うんです。
こちらが黙っていても、向こうから話しかけてくるんですって。
家族の名前や、何時ごろお茶にするかといったことを、話しているうちに覚えていくそうです。
昨日話していたお孫さんの運動会はどうでしたか、と向こうから聞いてくる。
そういう相手だと思ってください。
この1年で、2,500人を超える方が、お試しという形で暮らしの中で使ってきたそうです。
少し前の発表では、使っている方の平均年齢は82歳とありましたよ。
家族に届くのは映像ではなく、今日も話せましたという知らせです
私がいちばん感心したのは、家族側の作りでした。
離れて暮らすご家族は、スマホに専用のアプリを入れます。
そこに届くのは、映像ではありません。
- 今日はどれくらい話したか、元気に話せていたか、という短い報告
- 家族が送った文章を、機械が声に出して読んでくれる仕組み
- お薬の時間や病院の予定を、声で知らせてもらう設定
会話の中身そのものは、家族には届きません。
家族が会話を見ることも聞くこともできない、と会社がはっきり書いています。
伝わるのは、今日も話せました、ということだけ。
何を話したかまでは伝わらない。
言葉にすると小さな違いに見えますが、置かれる側からすると、この差はとても大きいんですよ。
暮らしぶりを覗かれないまま、元気であることだけを渡せるのですから。
値段の仕組みも、日本の見守りサービスとは違います
日本の見守りサービスは、月々いくら、という形が多いですよね。
安いものだと月に数百円から、駆けつけまで付くものだと月に5,000円を超えるあたりまで、幅があります。
こちらは、本体を買い切る形が中心です。
値段の書いてあるページによると、本体は179ドル。
日本円にすると、2万7千円ほどですね。
そのうえで月に29ドル、4千円と少しの会員になると、機械のほうから話しかけてくる回数が増える仕組みです。
この月々の分は、入らなくても使えると書いてありました。
新しいほうは、12月から順に届くそうです。
3つのやり方を見比べると、こんな具合になります。
いちばん下の右の欄は、正直に書いておきたいところです。
声で見守るということは、本人が黙っていたら何も伝わらない、ということでもありますから。
日本語も話せると書いてありました。ただし気をつけたいこともあります
ここが大事なところなので、分かっていることをそのまま書きますね。
会社のよくあるご質問には、50を超える言葉を話せます、主なものは英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、中国語、そして日本語です、と書いてありました。
外国にも送ってもらえますか、という質問には、はい、カリフォルニアから世界中へお送りします、とありました。
あらまあ、と思いましたよ。
ただ、喜ぶ前に確かめておきたいことが、いくつかあります。
- 家族が使うほうのアプリは、今のところ英語とスペイン語だけです
- 海外から届きますから、関税などが別にかかることがあります
- Wi-Fiが要ります。最初の設定のときだけ、ご家族のスマホを一度お借りします
- 医療の道具ではありません。物忘れが少し出てきた方に向けたもので、認知症が進んだ方のためのものではない、とされています
本体が日本語を話せると書いてあるのは、大きいです。
でも、報告を受け取る家族の画面が日本語でない以上、日本のご家庭にどうぞ、とまでは言えませんね。
私は、もう少し様子を見てからにします。
どんな見守りなら嫌でないか、家族で決めておきませんか
見守りの相談は、たいてい何かあってから始まります。
転んだ、鍋を焦がした、そんな出来事のあとで話すと、決まって「心配だから」と「まだ大丈夫」のぶつかり合いになるんですね。
そうなる前に、決めておけることがあります。
自分は、どんな見守りなら嫌でないか。
カメラは嫌だけれど、話し相手なら置いてもいい。
映像はいらない、元気かどうかだけ伝わるならいい。
そういう線引きを、元気なうちに自分の言葉で言っておくんです。
言われたご家族のほうも、そのほうがずっと動きやすいですよ。
お茶のついでにでも構いません。
こういう見守りなら私は嫌じゃないわ、というひと言があるだけで、次の相談はずいぶん穏やかなものになります。



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