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この1年でAIを使うシニアがほぼ倍に増えた理由と、今から始めても遅くない話

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「まわりに使っている人なんて、ひとりもいませんよ」。

同じ年ごろの方と話すと、たいていこう返ってきます。

ところが海の向こうでは、この1年で65歳以上の使い手がほぼ倍に増えていました。

アメリカでは65歳以上の5人に1人が使っています

アメリカの調査機関ピュー・リサーチ・センターが、今年2月に5,119人の大人にたずねた結果を6月に発表しました。

65歳以上でChatGPTを使ったことがある人は19%。

およそ5人に1人です。

去年の同じ調査では10%でした。

1年で、ほぼ倍になっています。

年代
去年の調査
今年の調査
18歳から29歳
58%
61%
50歳から64歳
25%
37%
65歳以上
10%
19%
アメリカの大人全体
34%
44%

若い世代の欄を見てください。

ほとんど動いていません。

伸びているのは、下の段のほうです。

別の団体の調べでも、同じ向きの数字が出ています。

アメリカの高齢者団体AARP(エーエーアールピー)が50歳以上にたずねた調査では、ChatGPTのように文章で答えてくれるAIを使ったことがある人は2023年に9%、2024年に18%、2025年には30%。

こちらも毎年のように、倍に近い増え方をしています。

では、増えた分の方々は、若い家族に手取り足取り教わったのでしょうか。

数字を細かく見ていくと、どうもそうではなさそうです。

止めていたのは、操作の難しさではありませんでした

縁側の小さな机に置かれたスマホと湯呑みの水彩イラスト

先ほどのピュー・リサーチ・センターの調査では、こうしたアプリを使っていない人に、その理由もたずねています。

いちばん多かったのは「興味がない」で83%。

次が「個人情報が心配」の79%、「答えが正しいかどうか心配」の76%と続きます。

「使い方が分からない」は55%で、4番目でした。

この順番が大事です。

手を止めていた一番の理由は、操作を覚えられないことではなく「自分には関係がない」という気持ちのほうだったわけです。

AARPの調査でも、ChatGPTのようなAIに関心がないと答えた50歳以上は59%いました。

だとすると、この1年で増えたのは操作を覚えた人ではありません。

自分の用事とAIが結びついた人です。

きっかけは、たいてい大したことではないはずです。

献立が思いつかない。

案内文の書き出しで手が止まる。

届いた通知の意味が分からない。

その程度の、日々のちいさな困りごとからです。

夜中に思い出した話を、誰も起こさずに話せます

夜の台所で灯りをひとつだけつけてスマホを見ている様子の水彩イラスト

AARPが50歳以上にたずねた別の調べには、こんな数字もありました。

AIが広まると「人と人との関わりが減るのではないか」と心配している人が68%。

7割近くです。

気持ちはよく分かります。

ただ、私はここを逆に受け取っています。

減るのは人と話す時間ではありません。

人に言うほどでもない話を、ひとりで抱えている時間のほうです。

夜中にふと思い出したこと。

また同じ話かと思われそうで飲み込んだこと。

孫のことで少し引っかかっているけれど、娘に言うと大ごとになりそうなこと。

そういうものの置き場所が、ひとつ増えるだけの話です。

誰かを起こす必要もありませんし、あとで蒸し返される心配もありません。

読んだ本の感想を打ち込むと、それについて質問が返ってきます。

答えているうちに、自分がどこを面白いと思ったのかがはっきりしてくる。

それだけのことですが、けっこう楽しいものですよ。

孫のために保育園を千か所調べた人もいます

もうすぐ孫が生まれるという年配の男性が、AIを使って千か所を超える保育園の一覧を作っていたそうです。

アメリカの記事で紹介されていた話です。

特別な技術がいる話ではありません。

条件を並べて「表にしてください」と頼むだけです。

人間なら途中で嫌になる作業ほど、頼む値打ちがあります。

たとえば、こんな頼み方になります。

「娘の家から車で20分以内の保育園を探しています。0歳から預かってくれるところと、園庭があるところが分かるように、表にしてください」

条件が抜けていても構いません。

あとから「土曜日もやっているところだけにしてください」と足せば、その場で作り直してくれます。

保育園でなくても同じです。

通える範囲の病院を比べるとき、法事の宿を選ぶとき、リフォームの見積もりを並べるとき。

たくさんある中から条件で絞り込む場面は、AIがいちばん得意にしているところです。

私たちが今日できるのは、ひとつだけです

アメリカの数字を見て「向こうは進んでいる」と思う必要はありません。

65歳以上で19%ということは、裏を返せば8割はまだ使っていないということです。

去年は9割が使っていませんでした。

それが8割になった。

動いたのは、その差の分だけです。

面白いのはここからで、使っていない方に「これから1年のうちに使いそうですか」とたずねると、7割は「たぶん使わない」と答えています。

そう答える人がこれだけいる一方で、数字のほうは毎年動いています。

使わないつもりでいることと、実際に始めるかどうかは、あまり関係がないのかもしれません。

ですから、今日やることもひとつで足ります。

いま気になっていることを、思ったままの言葉で打ち込んでみてください。

上手な聞き方を覚えてからにしよう、と思わなくて大丈夫です。

数字が倍になったのは、誰かが号令をかけたからではありません。

ひとりずつ、自分の用事から始めただけです。

その順番でいいのなら、今日でも遅くはありませんよ。

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