「一式」ばかりの葬儀の見積もりを、AIに並べ直してもらう

松浦典子
松浦典子

@matsuura_n52 ・ 1本

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葬儀社の見積もりが「一式」や「プランに含む」ばかりで比較できないときは、合計を見比べる前に、同じ中身の項目を表の同じ行に並べ直すのが先です。この並べ直しをAIに頼むと、今夜葬儀社に聞くことと、家族に見せる比べ方の文章までそろいます。依頼文はこの記事にそのまま載せてあります。

項目名がそろっていない、「一式」の中身が読めない、家族に金額の話を切り出しにくい。悲しみの最中にこれが重なると、見積もりを開くだけで気が重くなります。片方の社は霊柩車が別料金で、もう片方はセットに含む。そんな見積もりを2枚並べて、どちらが高いか決められるでしょうか? 決められません。その差が、プランに含まれる範囲の違いから来ているかもしれないからです。

葬儀の見積もりは、なぜ横に並べても比べられないのか?

葬儀の見積もりは、なぜ横に並べても比べられないのか?

名前の違う見積もり項目

葬儀社によって、同じものを違う名前で書くことがあります。「寝台車」と「搬送」、「遺影写真」と「遺影」、「安置施設」と「安置料」。並べて読めば同じものに見えても、本当に同じ中身なのかは書類だけでは言い切れません。

片方の社では別料金の項目が、もう片方ではセットに入っていることもあります。項目の順番もそろっていません。2枚を見比べるたびに行を探すことになります。

「一式」の中身が見えない

「式場使用料 一式」「マイクロバス 一式」のように、金額の横に「一式」とだけ書かれた行は、何が入っているのかが分かりません。会場を何時間使えるのか、バスは何人乗りでどこからどこまでか。書いていない以上、比べる手がかりがないんですよね。

「プランに含む」にも落とし穴があります。安置の日数、ドライアイスの日数、搬送の距離、料理や返礼品の人数分には上限が決まっていることがあり、超えた分の追加費用が書かれていないこともあります。その「プランに含む」、何日分まででしょうか? 火葬場の空きを待って日数が延びると、ここが効いてきます。

葬儀の見積もりをAIに貼る前に、手元にそろえるもの

AIに渡すのは、社名ごとに分けた項目名と金額を、書いてあるとおりに文字で写したものです。この依頼文は見積もりに書かれた単価と人数だけで計算するので、合計に丸めると比べる材料が減ります。

依頼文と写した見積もりは、そのままAIの入力欄に貼ります。試した入力にも故人や喪主の氏名、住所は入れていません。並べ直しに要らないので、省いて構いません。

見積もりのほかに、分かる範囲で書いておくものは次のとおりです。

  • 宗派と、お寺とのつきあいの有無
  • 呼ぶ人数の見込み
  • 火葬場の予約状況
  • 互助会の積立の有無
  • 家族や親戚に言われて、気になっていること

呼ぶ人数は、まだ決まっていなくても見込みで書いておきます。料理と返礼品を計算し直すときの基準になるからです。3社目の見積もりや互助会のパンフレットがあれば、同じ形で足せます。

葬儀の見積もりを並べ直す依頼文

下の依頼文を丸ごと貼り、その後ろに、手元の見積もりと状況を【貼るもの】の1〜3の順で続けて貼ってください。試したときもこの形で、末尾の「題材の例」(架空の話)は消さずに残したままにしました。

【お願い】
家族が亡くなり、葬儀社の見積もりを2〜3社分もらいました。家族で相談する前に、見積もりの項目をそろえて並べ、葬儀社に聞くことと、家族に見せる比べ方を整理してください。どこに頼むかを決めるのは家族なので、決める材料をそろえる手伝いをお願いします。

【貼るもの】
1. 見積もり(社名ごとに分けて、項目名と金額を書いてあるとおりに)
 A社:ここにA社の見積もりやプランの内容を貼る
 B社:ここにB社の見積もりやプランの内容を貼る
 (C社や互助会のパンフレットがあれば同じ形で足す)
2. 分かっている状況:ここに、宗派やお寺とのつきあいの有無、呼ぶ人数の見込み、火葬場の予約状況、互助会の積立の有無などを、分かる範囲で書く
3. 気になっていること:ここに、家族や親戚に言われたこと、心配なことを書く(なければ「なし」)

【手順】
1. 各社の項目を、同じ中身どうしが同じ行に来るように並べ直す。名前が違っても中身が同じなら同じ行にする(例:「寝台車」と「搬送」)。中身が同じか分からないときは、別の行にして「同じか確認」と書く。
2. 片方の社にしかない項目に印をつける。もう片方では「プランに含む」のか「別料金」なのか「書いていない」のかを分けて書く。
3. 「プランに含む」と書かれた項目のうち、日数・回数・距離・人数に上限があるもの(安置の日数、ドライアイスの日数、搬送の距離、料理や返礼品の人数分など)を抜き出し、上限を超えたらいくらかかるのかを聞く項目にする。
4. 「一式」としか書かれていない項目を抜き出し、中身を聞く項目にする。
5. 人数で金額が変わる項目(料理、返礼品など)は、各社が何人で見積もっているかを確かめる。社によって人数が違うときは、私が書いた人数の見込みに合わせて、見積もりに書かれた単価だけを使って計算し直す。単価が書かれていなければ計算しない。
6. どの社の見積もりにも載っていないけれど、かかるかもしれない費用(火葬料、式場の使用料、お寺へのお礼、霊柩車、心付けなど)を書き出し、それぞれ誰に確かめればよいかを添える。
7. 全部の項目を、下の基準で「外せない」「家族で選べる」「葬儀社に確認」に分ける。

【分けるときの基準】
・搬送、安置、棺、火葬に必要な手続きのように、なければ葬儀そのものができないものは「外せない」。ただし、その中でも数量や品のランクを選べるものは、その部分だけ「家族で選べる」にする。
・祭壇の大きさ、花、料理や返礼品の品と数、遺影の仕立てなど、故人や家族の考えで変えられるものは「家族で選べる」。
・外してよいのか分からないもの、上限を超えたときの金額が書いていないもの、「一式」の中身が分からないものは、迷わず「葬儀社に確認」にする。推測で「外せない」「選べる」に入れない。
・合計が安いほうがよいとは考えない。合計の差が、プランに含まれる範囲の違いから来ていないかを先に見る。
・火葬場の空き待ちで日数が延びそうなときは、日数で増える項目を優先して確認に回す。
・互助会の積立があるときは、積立でまかなえる範囲と、差額がいくらになるかを、互助会の契約書か担当者に確かめる項目にする。

【出力の形】
次の順で、見出しは【 】で書いてください。
1. 今夜、葬儀社に聞くこと:5つまで。電話でそのまま読める丁寧な言い方で、1つ1行。
2. 項目の並べ表:「項目|A社|B社|違い|分け方(外せない/家族で選べる/葬儀社に確認)」の表。金額は見積もりに書いてある数字だけ。書いていなければ「記載なし」。
3. 見積もりに載っていないかもしれない費用:項目と、確かめる先(葬儀社、お寺、市区町村の窓口など)。金額は書かない。
4. 家族に見せる比べ方:400字以内。冒頭に、金額の話を切り出すときの一言を1つ入れる(「決める材料をそろえておきたくて」のような、責めない言い方)。家族で決めることを3つまでに絞る。
5. 分からなかったこと:貼った内容から読み取れなかったことを箇条書きで。

【やらないこと】
・見積もりにない金額や、世間の相場を書かない。計算は貼った単価と人数だけで行う。
・どの社に頼むべきかを決めない。「おすすめ」も書かない。
・値引きの交渉文を作らない。
・宗派や土地のしきたり、お布施の額を決めつけない。お寺や親戚に確かめる形にする。
・健康保険などから出る葬祭費や埋葬料、相続のときの葬儀費用の扱いは、金額や可否を判断しない。市区町村の窓口、加入先の健康保険、税理士や税務署に確かめるよう書く。
・「お得」「激安」「コスパ」は使わない。

【題材の例(架空の話です)】
架空の喪主(50代)が、92歳の義父を見送る。家族葬で、呼ぶのは30人ほどの見込み。火葬場は混んでいて、3日後と言われた。
A社:家族葬プラン44万円(祭壇、棺、遺影、搬送10kmまで、安置2日、ドライアイス2日を含む)。料理は1人3,500円、返礼品は1個1,000円で別。火葬料は「別途」。
B社:家族葬プラン52万円(式場使用料と料理20人分を含む)。返礼品は別。安置の日数とドライアイスの記載はない。
ほかに、義母が昔入った互助会の積立が18万円ある。

出来上がりは、今夜葬儀社に聞くこと、項目の並べ表、見積もりに載っていないかもしれない費用、家族に見せる比べ方(400字以内の文章)、分からなかったこと、の順で返ってきます。

架空の葬儀の見積もりを並べ直してみると

架空の葬儀の見積もりを並べ直してみると

Claudeで試したときは、架空の題材を貼りました。85歳の実母を見送る喪主が、A社の一日葬プラン(38万5,000円と別料金の項目)と、B社の家族葬基本セット(46万2,000円、日数の記載なし)の見積もりを持っている設定です。親族20人ほど、火葬場は2日後、浄土真宗で、兄から通夜のことを言われている、という状況も添えました。

同じ行にそろった見積もり項目と、葬儀社に確かめる項目

「受付設営」と「受付」、同じものだと思いますか? 並べ表は19行になりました。名前が違う項目の扱いが分かる4行を抜き出します。右端の列は、外せない、家族で選べる、葬儀社に確認、のどれに当たるかです。

項目
A社
B社
違い
分け方
遺影(A社「遺影写真」、B社「遺影」)
プランに含む
プランに含む
名前は違うが同じ中身として並べた。仕立ての記載はどちらもなし
家族で選べる
安置(A社「安置施設」、B社「安置料」)
プランに含む(1日)。延長 1日11,000円
プランに含む(日数・場所の記載なし)
B社は日数と延長料金が書いていない。火葬まで2日あるので日数で増える
外せない(日数と延長分は葬儀社に確認)
受付設営
プランに含む
書いていない
B社の「受付」と同じか確認
葬儀社に確認
受付
書いていない
プランに含む
A社の「受付設営」と同じか確認
葬儀社に確認

「遺影写真」と「遺影」、「安置施設」と「安置料」は同じ行にそろいました。「受付設営」と「受付」は、似ていても別の行に置かれ、「同じか確認」と書かれています。推測で1行にまとめないのです。分からないものは分からないまま、葬儀社への質問に回ります。

今夜、葬儀社に聞くこと

B社の見積もりに安置とドライアイスの日数が書いていない点は、聞くことの1番目になりました。

【B社】基本セットの安置料とドライアイスは何日分まで含まれていて、超えた場合は1日あたりおいくらになりますか。

聞くことは5つで、電話でそのまま読める言い方になっています。「一式」の行も、中身を聞く質問に変わりました。

【A社】式場使用料とマイクロバスの「一式」には何が含まれているか(バスは何人乗りで、どこからどこまでか)を教えていただけますか。

見積もりの見方に自信がなくても、この文面を読み上げれば、聞き漏らしたくない点を電話で確かめられます。

見積もりの合計で比べるのは、答えがそろってから

料理と返礼品の別料金は、見込みの20人で計算し直されていました。この架空の題材では、A社の料理が88,000円、B社が110,000円です。表の下には、次のような計算が付きました(一部を抜粋)。

- プランの差:B社がA社より77,000円高い
- A社で別料金、B社ではプランに含むもの:霊柩車33,000円+式場使用料55,000円+返礼品20個分33,000円=121,000円
- A社の安置とドライアイスは、1日延びるごとに11,000円+8,800円=19,800円増える(何日延びるかは質問1・2の答え待ち)
- B社の安置・ドライアイスの日数、通夜の有無、火葬料が分かるまでは、合計では比べない

プランの金額だけならB社が高く見えます。ところがA社の別料金3つを足すと、その差を上回ります。それでもどちらが安いとは書かず、日数と通夜の有無が分かるまで合計では比べない、で止めています。数字を検算すると、どれも貼った単価と人数から出したもので、一致しました。

合計の安さで先に決めてしまわずに済みます。聞いた答えがそろったら、もう一度並べます。

葬儀のお金の話を、家族にどう切り出すか

葬儀のお金の話を、家族にどう切り出すか

お金の話を家族の前でどう始めるかは、迷うところです。金額の話をするのは冷たいことじゃないと思います。決めるのは家族なので、材料はそろえておきたいんです。

家族に見せる比べ方は、この一言で始まっていました。

「決める材料をそろえておきたくて、二社の見積もりを同じ並びにしてみたの。一緒に見てもらえる?」

家族で決めることは、通夜をするか、料理と返礼品を何人分にするか、花と祭壇をどのくらいにするか、の3つに絞られていました。兄に言われた通夜の件は、1番目に入っています。

通夜をするか。親戚にどう思われるかという心配も含めて話したい。A社は一日葬なので、通夜を足すと何が増えるかを聞いておく。

花は、家族で選べる項目として3番目に置き、母のことを思い浮かべながら決めたい、と家族の話し合いに戻していました。長さは、400字以内の指定に対してほぼ上限いっぱいでした。

葬儀の見積もりで、AIに決めさせないこと

依頼文の【やらないこと】には、どの社に頼むべきかを決めない、おすすめを書かない、値引きの交渉文を作らない、世間の相場を書かない、が入っています。試したときも、どの社がよいかは書かれませんでした。

お布施や公的な給付は、確かめる先に聞く

お布施の額や宗派のしきたり、健康保険などから出る給付(葬祭費や埋葬料)、相続のときの葬儀費用の扱いも、AIには判断させません。代わりに確かめる先を書かせます。お布施やしきたりはお寺や親戚、葬祭費と埋葬料は加入している保険によって名前も窓口も変わるので市区町村の窓口か加入先の健康保険、相続での扱いは税理士か税務署です。

見積もりに載っていないかもしれない費用も、15項目が確かめる先付きで出ました。

項目
確かめる先
火葬料(A社は「市の規定による」、B社は記載なし)
市区町村の窓口または火葬場、払い方は葬儀社
お寺へのお礼(何に対してか、通夜・葬儀・火葬のどこまでお願いするか)
お寺
心付け(渡すかどうか、渡す相手)
葬儀社、親戚

見積もりから読み取れなかったこと

最後に、貼った内容から読み取れなかったことが14項目並びました。たとえばこんな行です。

両社の金額が税込か税抜か
B社のプランが通夜を含む二日間の式か、一日の式か

税込か税抜かは、金額を比べる前に確かめたい点です。電話で聞いた答えは、この一覧の横に書き足しておくと整理しやすくなります。

ここに載せた出来上がりは、架空の題材1つで1回試したものです。実際の見積もりでは、「葬儀社に確認」の行と読み取れなかったことの一覧を持って、最後は葬儀社やお寺、家族に確かめてください。

今夜の最初の一歩は、社名ごとに項目名と金額を書いてあるとおりに写すところからです。写し終えたら、依頼文と一緒に貼れば、今夜葬儀社に聞くことの一覧が手元に残ります。