球場の客席で紙コップを持つ自分、Kポップの会場の大型スクリーンにアップで映る自分。2026年は、韓国のAI写真加工で、球場やコンサート会場に入り込んだ写真が次々にタイムラインへ流れてきて、見るたびに「これ、自分の写真でも作れるの?」ってなりますよね。でも顔が別人になったり、頼んでいない文字やロゴが混ざったりしないか、不安も出てきます。
流行の時期を調べた4つの型を、同じ1枚の写真から3回ずつ作ってみました。先に決めた3つの条件を満たしたのは12枚中11枚で、顔は私の目には12枚とも元の写真と同じ人に見えました。外れた1枚は、中継画面に頼んでいない表示が入り込んだものです。
元の写真は、画像生成モデルのgpt-image-2で作った架空の人物の1枚です。
韓国のAI写真加工は、いつ流行ったのか?
「今年の流行」として紹介されている型にも、去年の冬のものが混ざっています。4つの型を、きっかけと確認できた時期で並べました。
野球観戦AIは、SNSに上がった5秒ほどの動画が始まりです。最初の投稿がInstagramだったかXだったかは報道で分かれているので、ここでは「5月初め」としています。JoongAng Dailyは5月7日の記事で、Xでの再生が報道の時点で1,490万回に達し、その後Xのコミュニティノートで「実在の女性ではない」と分かったと伝えています。
ジャンボトロン風は、野球観戦AIの派生として紹介する解説が複数ある型です。客席の自分が会場の大型スクリーン(ジャンボトロン)に抜かれる構図で、6月初めにはTikTokやInstagramでの流行を紹介する海外の解説記事も出ていました。ただ、韓国のSNSで先に流行ったことを示す韓国語の情報は見つけられず、韓国発とは言い切れません。
AI雪景色は今年の型ではありません。APPBANKが2025年11月4日に、Meituの雪加工が日本と韓国のSNSで話題になり、韓国ではアイドルの投稿にも広がっていると報じています。
韓国ギャル風は、韓国で日本のギャル文化が流行している流れを背景にした型と見られます。AFPBB(2026年7月6日)によると、韓国の検索サイトNaverでの「ギャル」の検索数は、3月の1.9万回から5月には4.4万回まで増えました。8月9日にはAll Aboutも、韓国で日本のギャル文化やギャル語が流行っていると伝えています。
フィルム風は、韓国でのフィルムカメラの再流行までは確かめられたものの、韓国発のAI加工という根拠が見つからず、フォトカード風は流行り始めた日付が確認できず、この2つは外して4選にしています。
韓国のAI写真加工を試す前に決めた3つの条件
元の写真は、私の自撮りでもみなさんの自撮りでもなく、架空の20代の女性の自撮り1枚です。正面を向いた黒髪のボブで、白いカットソー、背景は白い壁。実在の人物に似せない指示をつけて作り、「自分の写真」の代わりにしました。
成功かどうかは、次の3つをすべて満たしたら1回成功、と先に決めました。
- 顔が元の写真と同じ人に見える(顔立ちと、髪の長さや形。判定のとき、髪の質感は見ていませんでした)
- 頼んだ場面が成り立っている(球場の客席、コンサートの客席と大型スクリーン、雪の夜の縦3コマ、街角のスナップ)
- 破綻がない(実在のロゴやチーム名らしきものが出ない、文字や数字、手指が崩れていない)
判定は、620px幅に縮小した画像を私が目で見て決めました。数値で測ったものではなく、画面の隅の小さな文字までは見ていないので、「私にはこう見えた」の記録として読んでください。
生成にはgpt-image-2を品質mediumで使い、元の写真を参照画像として渡すimages.editで、4つのプロンプトを3回ずつ、合計12枚作りました。3枚ずつ並行して作り、1枚あたりの生成時間は26.6〜30.4秒です。費用は1枚8円前後と見積もっています。1枚約0.05ドルの単価を1ドル150円で換算した数字で、請求額を確かめたものではありません。ChatGPTやGemini、Dreamina、Meituのアプリ画面では試していません。
プロンプトには4本とも、顔を添付した写真のまま変えないよう求める一文を入れています。チーム名・グループ名・ロゴ・衣装を実在のものにしない指示は野球とジャンボトロンに、画面の中に文字を入れない指示はジャンボトロン・雪景色・韓国ギャル風に書きました。野球観戦AIには「文字は入れない」とは書いておらず、スコア表示のチーム名を「A」と「B」の1文字に絞る指示だけを入れています。
この記事の「直し方」は、どれも試していない候補です。「顔を変えない」「文字は入れない」の一文を抜いた比較もしていないので、その一文が効いたかどうかは、この記事のどこでも言えません。
じゃあ、自分の写真でも同じ結果になるのか? これは確かめていません。今回の元写真は正面で顔がはっきり写った1枚なので、横顔や帽子、逆光だと変わる可能性があります。同じ条件で試すなら、正面で顔に影がかかっていない1枚を選び、上の3つで見ていくと、今回の結果と比べやすくなります。
12枚のうち、条件を満たしたAI写真加工は11枚でした
成功の数だけ見ると、4つの型にそれほど差はありません。差が出たのは崩れ方の種類で、野球観戦AIは文字とロゴ、雪景色は髪の質感、韓国ギャル風は背景でした(雪景色と韓国ギャル風は、これらを成功の条件に入れていないので3/3です)。つまり型を選ぶのは、どこを確認する役を引き受けるかを選ぶことでもあります。
冒頭で不安だった顔は、この条件では私の目には崩れて見えませんでした。作ったあとに目を凝らすべきなのは、顔より画面の端や髪、服、背景のほうです。
野球観戦AIは、中継画面の文字が一番の落とし穴です
発端の動画が見破られたきっかけも、中継画面の表示でした。JoongAng Dailyによると、スコア表示の打者はすでに引退した選手で、投手とは同じ時期にプレーしていなかったため、ファンが組み合わせの不自然さに気づいたそうです。応援バナーの文言や、実際には行われていない試合のスコアも指摘されています。作例を架空の人物にして、AIで作ったと明記しているのもそのためです。
この記事に載せている作例3枚は、どれもgpt-image-2に架空の人物の写真とプロンプトを渡して出てきたものです。ChatGPTやGeminiの画面で作ったものではないので、アプリで同じ文を入れても同じ絵になるとは限りません。
添付した自撮りの人物が、韓国のプロ野球のナイトゲームを観客席で観戦している写真を作ってください。テレビ中継のカメラが客席の1人を映したような構図で、ナイター照明、背景には応援する観客たち、手には紙コップ。画面の下に中継風のスコア表示を入れてください。スコア表示のチーム名は「A」と「B」の1文字だけにして、実在のチーム名・ロゴ・選手名・ユニフォームは使わないでください。顔・髪型・服は添付した写真の人物のまま変えないでください。成功した2回目と3回目は、ナイター照明の客席で紙コップを持つ人物と、後ろで応援する観客が収まりました。画面の下には、AとBのチーム名に点数、イニング、アウトカウントが並ぶ中継風のスコア表示。顔は私の目には元の写真のままなのに、スコア表示が1本入るだけで一気に中継の画面っぽくなるのが、この型の面白いところです。
外れたのは1回目です。右上に、中継局のものらしき「LIVE」のロゴが入りました。ロゴは使わないでと書いていたのに、です。同じ画面には、頼んでいない韓国語の中継表示(「캐스터」「해설」、キャスターと解説の意味)も出ていました。そのまま上げていたら、実在の局の中継画面に見えてしまうところです。
成功に数えた2回目にも、頼んでいない「9말」(9回裏)や「OUTS」という表示が入っています。チーム名を「A」と「B」に絞っても、中継らしく見せるための文字はAIが勝手に足してきます。観客のシャツにも崩れた文字がありましたが、小さく写っていたので、私は成功に数えました。
直し方の候補は、スコア表示そのものを頼まないか、「AとB、点数以外の文字は入れない」と書き足すかの2つです。スコア表示を残すなら、SNSに上げる前に画面の四隅まで拡大して確かめるのが、今のところ一番確実です。
ジャンボトロン風は、スクリーンの中の顔まで揃いました
ライブ会場の大型スクリーンに、客席の自分が抜かれる。ライブに通っている人なら、一度は想像したことのある場面じゃないですか?
実在のグループ名や推しの名前を入れたくなる気持ち、わかります。でもプロンプトには入れないでください。アイドル本人の顔に寄せると、肖像権やパブリシティ権に触れかねません。グループ名やロゴも、商標として登録されていることが多く、使い方によっては問題になることがあります。衣装を本物に寄せていくと、名前を書かなくても特定の誰かに似てしまうおそれもあります。なのでこのプロンプトでは、コンサートを「架空のアイドルのもの」にして、名前とロゴと衣装をまとめて外しています。
添付した自撮りの人物が、大きなコンサート会場の客席でペンライトを持って盛り上がっている写真を作ってください。客席から撮ったスマホ写真のような雰囲気で、会場の巨大スクリーン(ジャンボトロン)にその人物の笑顔のアップが映っています。画面の中の顔も、添付した写真の人物のまま変えないでください。コンサートは架空のアイドルのもので、実在のグループ名・メンバー名・ロゴ・衣装は使わず、画面内に文字は入れないでください。成功は3回中3回でした。ペンライトを持って客席にいる人物と、巨大スクリーンに映る笑顔が、毎回同じ人に見えます。1枚の中に同じ顔が2か所出てくる場面なので、顔が残るかを見るのにちょうどいい型です。2回目は、ピンクのペンライトを胸の前に持った自撮り風で、奥のスクリーンに同じ顔のアップ。会場の紫の照明も重なって、めっちゃ映えます。
4つの中では、崩れがいちばん少なかったのがこの型です。プロンプトには「画面の中の顔も、添付した写真の人物のまま変えないでください」と「画面内に文字は入れない」を書いていて、スクリーンにも会場にも文字は出ませんでした。
AI雪景色は、3回とも髪が雪で濡れたような質感に変わりました
去年話題になったMeituの雪加工にも、雪景色を3コマで見せるフィルターがありました(APPBANK、2025年11月4日)。このプロンプトでは、その3コマという形をもとに、韓国ドラマのワンシーンっぽい雪の夜を、引き、上半身、アップの縦3コマにする構図を自分で決めています。
添付した自撮りの人物が、韓国ドラマのワンシーンのような雪の降る夜の街にいる、縦に3コマ並んだ写真を作ってください。1コマ目は傘をさして立つ全身の引き、2コマ目は雪を見上げる上半身、3コマ目は顔のアップです。3コマとも同じ人物で、街灯のオレンジの光と白い雪、少しフィルムっぽい柔らかい色にしてください。顔・髪型は添付した写真の人物のまま変えないでください。文字や看板の文字は入れないでください。縦3コマの構成は毎回そろい、文字も出ませんでした。2回目は、オレンジの街灯の下で透明な傘をさした白いロングコート姿から始まって、3コマ目のアップまで同じ人に見えます。エモさでいえば、4つの中でいちばんです。
気になったのは髪です。元の写真はまっすぐな黒髪のボブなのに、3回とも雪で濡れたような、少しウェーブのかかった髪になりました。「顔と髪型は変えないで」と頼んだうち、変わったのは髪の質感だけで、顔は同じ人に見えます。判定のとき髪の質感は見ていなかったので、結果は3/3のままです。まっすぐなボブが自分の持ち味の人は、ここがいちばん印象の変わるところかもしれません。
服も、元の白いカットソーからコートとマフラーに変わりました。服を固定する指示は入れていないので、AIが場面に合わせて着替えさせた形です。雪の夜にカットソー1枚より自然なので、私はこの着替えは歓迎でした。いつものボブのまま残したいなら、「髪は乾いたまっすぐなボブのまま」と書き足すのが候補です。
韓国ギャル風は、街並みから韓国とは分かりません
ギャル文化の流行そのものは報道で確かめられましたが、AI写真の型としてどこまで広がったかは分かっていません。確認できたのは、海外のプロンプト集サイトCaratに「K-Gyaru Street Selfie」というテンプレートが6月9日付で載っていることまでです。
添付した自撮りの人物が、ソウルの街角で撮った韓国ギャル風のストリートスナップ写真を作ってください。日本のギャル文化を取り入れた韓国の流行のイメージで、少し盛った髪、ピースサインのポーズ、ローライズのデニムとカラフルなアクセサリー、昼間の自然光、スマホで撮ったような少し粗い質感です。顔は添付した写真の人物のまま変えないでください。実在の人物には似せず、文字・ロゴ・看板の文字は入れないでください。街角のスナップとしては、どの回も成立しました。手指の破綻もありません。
ところが、「ソウルの街角」と書いたのに、背景からは韓国だと分かりませんでした。看板の文字を入れない指示にしたので、街並みで韓国らしさを出す材料がなくなったんだと思います。中でも3回目は、電柱と黄色と黒のポールが写っていて、日本の路地に見えました。ソウルのスナップとして上げるなら、背景だけで韓国と伝わるとは期待しないほうがよさそうです。
韓国っぽさが出ていたのは、背景より人物のほうです。ビーズのアクセサリー、カラフルなバッグ、ピースサインといった小物とポーズが、その空気を作っていました。
文字を入れない指示と、韓国らしい街並みは両立しにくい、というのが私の見立てです。ハングルの看板を入れるには文字を許すことになり、野球観戦AIで出たような、頼んでいない文字やロゴが入るリスクもついてきます。
もう1つ、服の丈です。3回ともおへそが見える丈になりました。プロンプトの「ローライズのデニム」に引っ張られたようです。SNSに上げるつもりなら、「ローライズ」を外すか、トップスの丈を指定するのが候補です。
AI写真加工が崩れたときに最初に疑う3か所
顔が別人に見えるとき
まず元の写真を疑ってください。顔が崩れたら、正面で顔がはっきり写った写真に替えるのが最初の候補です(横顔や帽子、逆光は試していません)。プロンプト側では、顔を変えないよう求める一文が入っているかを確かめます。今回は12枚とも顔が元の写真と同じ人に見えました。
頼んでいない文字やロゴが出たとき
こちらはプロンプトを疑います。余計な文字とロゴが出たのは、スコア表示を頼んだ野球観戦AIだけでした。「文字は入れない」と書いたジャンボトロン風と雪景色の6枚には、文字が出ていません。韓国ギャル風も、目で見た範囲では目立つ文字は出ていません。文字を頼むなら、出たものを四隅まで拡大して確かめてください。
作り物っぽさが強いとき
ここは判定基準に入れていないので、検証から言えることはあまりありません。候補は、プロンプトに撮り方を書くことです。今回も「スマホで撮ったような少し粗い質感」「少しフィルムっぽい柔らかい色」と書いています。元の写真は、美肌補正の強くかかったものを避けるのも候補です。
AI写真加工のよくある質問
ChatGPTだけで作れますか?
ChatGPTのアプリで作れるかは、確かめていません。今回試したのは、OpenAIの画像生成モデルgpt-image-2です。ChatGPTでは2026年9月8日に「ChatGPT Images 2.5」が発表されていて、参照写真への忠実さや生成の速さが良くなったとされています(Impress Forest Watch)。アプリの今のモデルでは、この記事とは仕上がりが違う可能性があり、同じ文がそのまま通るかも確かめていません。
プロンプトは日本語の普通の文で、貼る前に書き換える必要のある記法は使っていません。無料プランで何枚作れるかも、ここでは確かめていません。
実在のアイドルの顔でやってもいいですか?
避けてください。人の顔には肖像権があり、芸能人の場合はパブリシティ権も関わるので、AIで作った推しの顔をSNSに上げると、本人や事務所の権利を侵害しかねません。自分の写真なら、権利の面で気にすることはぐっと減ります(背景に他の人が写っていないことが前提です)。
SNSに上げるときAIと書くべきですか?
私は書くのをおすすめします。野球観戦AIの発端の動画は、AIで作ったと書かれないまま広がり、あとからコミュニティノートで実在の女性ではないと指摘されました。自分の写真でも、球場に行っていない日の1枚が「観戦してきた」と読まれることはあります。キャプションに「AIで作成」と一言添えておけば、その誤解は避けやすくなります。
動画にできますか?
今回は静止画だけで、動画にするところは試していません。
まとめ 韓国のAI写真加工は今の季節に合う型を1つだけ選ぶ
4つの型は、流行った時期も季節もばらばらです。全部作るより、今の予定や季節に合う1つを選ぶほうが、SNSに上げる場面まで想像しやすくなります。
どの型から始めますか? 迷ったら、次の基準で選んでみてください。
- 顔がちゃんと残るかを先に確かめたいなら、3回とも画面の中の顔まで同じ人に見えたジャンボトロン風
- 冬の投稿を先に用意しておきたいなら、去年は11月初めに話題になったAI雪景色
- 中継のスコア表示ごと楽しみたいなら野球観戦AI。上げる前に画面の四隅を拡大して確かめる
- 服や小物で遊びたいなら韓国ギャル風。韓国らしさは背景より小物で出す
同じ条件で自分の写真を試すなら、最初は1つの型を2〜3枚。今回も野球観戦AIは3回に1回外れました。顔を見たあと、画面の四隅、髪、服、背景の順に確かめてください。今回の12枚で気になった点は、どれもそのどこかに出ていました。



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