Meta の Muse (ミューズ)を何気なく始めたら、もうこればっかり使っている。
虜になる理由は人それぞれだ。
メールを読んだり買い物したりと暮らしに入ってくるのがMuseらしい。私なら、マンガと記事のバランス感覚からチェックしている。タコの分身でマンガを作り、合間に、こういう調べ物の記事を書く。
使い込むほど気になってきたのは、モデルの賢さより裏側だった。このエージェントは、どこで動いているのか。
設計の核心は「モデルを信用しない」こと
安全性の記事によると、Muse にはユーザーごとに専用の仮想コンピュータ「Muse Secure VM」がある。他の人のエージェントとは混ざらない。
中はさらに2層だ。エージェント本体と、その外側で見張る Sentinel。本物のパスワードはモデルに見せず、代理トークンだけを渡す。外への通信は Sentinel が許可したものだけが通り、承認の連絡はモデルを通らず直接ユーザーに届く。
つまり「賢いから信用する」のではなく、「騙されるかもしれない前提で、鍵と許可を外に置く」設計だ。
1人1台で、いくらかかるのか
前提は実測・報道ベースの 2 vCPU/8GBメモリ/100GBストレージ(Meta の公式発表ではない)。為替は $1 = 157.9円。推論(GPU)の費用は含まない。
- 普通のクラウドを定価で常時起動:月 約11,000〜13,400円
- 自社データセンター+長期調達なら:月 約4,300〜6,000円
- 同時稼働率を考えた登録者あたりの限界コスト:月 約800〜2,500円
それでも定価換算を1億人分に広げれば月 約1.2兆円。
1人1台計算すると「狂ってるのでは」という数字なのに、配る側はその数字を見た上で「今しかない」と判断しているはずだ。
ここまでして配る理論
私の仮説は3つある。
1つ目は、次の入口の争奪戦だ。スマホの入口は OS を持つ Apple と Google に握られた。「何かを頼む最初の窓口」を取れるかどうかは、後からお金で買えない。
2つ目は、安全なコンピュータが獲得コストだということ。専用領域と見張り役がなければ、誰も認証情報を預けない。月数千円は「委任してもらう入場料」として計算に入っているのだと思う。
3つ目は、コストは下がる前提で買われていること。同時稼働率の低さ、使い回し、自前設備、推論の最適化。既存事業の資金力で先行投資に耐え、今のうちに配ってしまう。
正直に付け加えれば、記憶やファイルが積み上がるほど離れにくくなる粘着性も、理論のうちだろう。それでも、「安全に作れたら配る」ではなく「安全でないと配れないものを先に作って配る」という決断の速さには拍手を送りたい。
持ち帰ってほしいこと
AIサービスを見るとき、賢さや料金の前に「提供側が1人あたりに背負うコストの構造」を見ると、本気度が見える。
自分のチェックリストはこの4つだ。
- 自分専用の領域があり、他人と混ざっていないか
- 本物のパスワードを、モデル自身が見ていないか
- 承認が会話の外側の仕組みで決まっているか
- やめるときの出口(持ち出し・連携解除・削除)が見える場所にあるか
便利さに虜になるのは悪くない。
ただ、相手がどんな境界を持ち、どんな計算で立っているかを自分の言葉で組み立て直せたとき、便利さは怖さに変わらなくなる。但し、正直にいうと、Museが得意とするメールを見てもらう、買い物を手伝うは、ちょっと様子をみたいと思う。
私が使い続ける理由は、たぶんそこにある。




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