「AIエージェントが営業をやる」と聞いて、自分の仕事がどこまで残るのか気になっていませんか?
2026年9月11日、SalesforceはAgentforceに職種別のAIエージェント7体を加え、アウトバウンド営業のHunterやインバウンド対応のPiperに名前と持ち場を与えました。
7体の役割を仕分けると、営業から手放す仕事と人に残る仕事の境目がはっきり見えてきます。
Agentforceの職種別AIエージェント7体と、それぞれの持ち場
Salesforceはこの7体を「job-ready」、つまり最初から職種ごとの仕事を持たせたエージェントと呼んでいます。
7体は3つに分かれます。営業の持ち場にいるHunterとPiper、顧客対応のCarter、Casey、Fin、社内の裏方のPaigeとMarshallです。
あなたの一日で、いちばん時間を取られている作業はどれでしょうか? リスト作り、メールの1通目、問い合わせへの折り返しのどれかなら、それはHunterとPiperの守備範囲に入っています。
HunterとPiperが引き取る、営業の前半戦
Hunterは、リサーチから提案の準備までを週単位で回す
Hunterの公式ページに並ぶ仕事は、狙う会社と担当者の洗い出し、優先順位づけ、相手に合わせたアプローチ文面の作成と送信、フォローアップ、商談レコードの更新、提案書の準備、売上予測の確認の手伝いです。
新人が最初の半年で覚えてきた仕事が、ほぼそのまま入っています。
ここが面白いところなんですが、Hunterは1回の指示で終わる道具ではありません。
Salesforceが「long-horizon runtime」と呼ぶ実行環境の上で、会話をまたいで文脈を覚え、計画を保ったまま何週間も動き続けます。
「失注しかけている商談を立て直して」と頼むと、それを測れる目標に置き換えて計画を組み、新しい情報が入るたびに直していく使い方が紹介されています。
発表では、Perkという会社のパイプラインの60%をHunterが作っているという数字も出ています。
Piperは、問い合わせの見極めと日程調整まで引き受ける
Piperは、自社サイトに来た見込み客に24時間話しかけ、見込みの度合いを見極めて、担当営業のカレンダーに商談を入れるところまで進めます。
会話の中身はSalesforceのレコードに自動で残るので、営業が受け取るのは記録つきの商談です。
日本では2026年6月から日本語で稼働しています。
Salesforce Japanのブログでは、同社の公式サイトの画面右側でPiperを試せると案内されているので、インサイドセールスの方は一度自分で問い合わせてみると、任せられる範囲が肌でわかるはずです。
2体が引き取る仕事を並べると、次のとおりです。
- 狙う会社と担当者のリストづくり
- 相手に合わせたアプローチの1通目とフォローアップ
- 問い合わせへの一次対応と見込み度の見極め
- 商談の日程調整
- 商談レコードの作成と更新
顧客対応と社内の裏方を担う、残り5体のAIエージェント
Carterはネットショップの接客係で、商品探しから比較、チャット内の決済までを1つの会話で済ませます。
個別の製品ページは案内されていないため、詳細は発表ページで確認できます。
Caseyは音声やSMS、WhatsApp、Webチャットの窓口を受け持ちます。
FAQや返品、アカウント管理に加えて、人の担当者へ引き継ぐ流れも最初から組み込まれています。
Finは、Salesforceが2026年6月に買収で合意したFin(旧Intercom)の顧客対応エージェントです。
発表では、AnthropicのサポートでFinが会話の79%を人の手を借りずに解決していると紹介されています。
Paigeは社内のITと人事の窓口で、Slackや社内ポータルに来た従業員の依頼に答えます。
Carterと同じく、情報は発表ページにまとまっています。
Marshallは、サプライチェーンのバックオフィス業務を決まった手順どおりに動かし、すべての操作を記録として残す役です。
Salesforceが買収したRegrelloの技術が土台になっています。
営業の目線で見ると、商品の細かな質問や購入後の問い合わせは、この5体のうちCarter、Casey、Finが先に受ける形になります。
営業に残る仕事は、承認ボタンの先にあります
7体の設計を読むと、AIが手を止める場所が決まっています。
Hunterの公式ページには、アプローチの送信や提案書の送付のように顧客に届く行動は、担当者の承認を必須にできると書かれています。
Piperを紹介するSalesforce Japanのブログは、人は「クロージング」という最も人間的な仕事に集中できる、とはっきり書いています。
AIが商談を連れてきて、人が決めてもらう。
この分担で設計されているんです。
仕分けると、営業に残る仕事は3つです。
- 反論処理。「予算は来期です」「今のやり方で困っていません」と言われた瞬間に、相手の本音を探り直す仕事
- クロージング。迷っている相手の決断を後押しし、次の一歩を約束してもらう仕事
- 送る前の判断。AIが書いた文面や提案書を、この相手にこのタイミングで出していいかを決める仕事
「検討します」と言われたとき、次の一言がすぐに出てきますか?
見落とされがちなのが、新人の練習の場です。
これまで新人は、テレアポやメールの数をこなす中で断られ方を覚え、切り返しを身につけてきました。
その前半戦をAIが引き取ると、手元に届くのは温まった商談ばかりになり、本番までに断られる経験が減ります。
残る仕事の比重は上がるのに、練習の場は減っていく。
新人営業にとっての落とし穴はここだと、私は見ています。
反論処理とクロージングは、AIロープレで型にする
場数が減るなら、練習の場を自分で作ればいいんです。
ChatGPTやClaudeのような対話AIにお客様役を頼めば、同じ反論を何度でも浴びられます。
コピペで始められるひな形を置いておきます。
あなたは従業員200名の製造業の購買担当者です。Webサイトから問い合わせをしてきて、今日が初回の商談です。
私は営業担当として、クラウド型の在庫管理サービスを提案します。
次のルールでロールプレイをしてください。
- 途中で「予算は来期にならないと出ない」「今のExcel管理で特に困っていない」の2つの反論を、自然なタイミングで出す
- 私の切り返しが弱いときは、言い方を変えて同じ反論をもう一度出す
- 私が日時の入った次の約束を取り付けたら、ロールプレイを終える
- 終了後、反論処理とクロージングの2項目を10点満点で採点し、改善点を1つずつ挙げる練習では、答えを暗記するより「質問で返す」型を体に入れるのが近道です。
「今のExcelで困っていない」と言われて「では資料だけ置いていきます」と引くと、商談はそこで止まります。
「月末の棚卸しは、何人で何時間くらいかかっていますか?」と数字を聞き返せば、相手が自分で課題に気づく入口が開きます。
最初の1週間は、反論を1つに絞って5往復だけ回してください。
同じ反論に3回続けて切り返せたら、別の反論を1つ足します。
AIエージェントが商談を連れてくる時代でも、最後に「お願いします」と言ってもらうのは人の仕事です。
あなたがいちばん言われたくない断り文句は何でしょうか? 今日はその一言だけを、AIに10回言ってもらうところから始めましょう。



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