棚の設計図と材料リストをAIで作る道具8選

たくみ
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@sawdustlab ・ 4本

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棚を作ろうと決めても、図面を引いて材料リストを書き出すところで、週末の半日が消えていきませんか? 木工の設計図と材料リストをAIに手伝わせる道具を8つ集めて、図面・材料リスト・木取り図のどこを楽にしてくれるかで並べました。そのうちOpenSCADは本棚で実際に試したので、AIが書いたコードと出てきた部材表もそのまま載せます。

設計図、材料リスト、木取り図のどれを楽にしたいですか?

一口に「設計をAIに任せる」と言っても、楽になる場所は道具ごとにかなり違います。立体の図面が欲しいのか、買い出し用の材料リストが欲しいのか、合板からどう切り出すかの木取り図が欲しいのか。ここが決まると、8つのうち候補は2〜3個に絞れます。

道具
楽になるもの
AIの関わり方
料金
日本語
ShopSpec
材料リスト、木取り、組み立て順
木工の計算は専用エンジン、AI接続は試験版
公式で確認できず
公式で確認できず
Sawdust
3Dと作る手順
LLMで木工の設計をする
公式で確認できず
公式で確認できず
OpenSCAD
3Dと部材一覧
AIにコードを書かせる
無料
公式で確認できず
FluidCAD
3Dと寸法の調整
AIがモデルを読み書きする
無料
記載なし
FreeCAD
3Dと図面
AIにPythonを書かせる
無料
あり
Fusion
3Dと図面
公式の連携でClaudeから操作
個人の非商用は機能制限つきで無料
日本語の公式解説あり
Silhouette Modeling
既存の家具の3D
写真から寸法を推定する
高性能なAIの契約が前提
英語の記事のみ
CutListOptimizer
木取り図
AIは使わず計算で配置
基本無料
公式で確認できず

実際に動かしたのはOpenSCADだけで、ほかは2026年10月16日時点の公式サイトの記載で整理しています。

選ぶ前に知っておきたい声もあります。木工CADとAIについて話し合ったHacker Newsのスレッドで、家具を作っている人が「図面づくりで大事なのは完成品の絵ではなく、すべての部材がどう組み合わさるかを深く分かっていること」と書いていました。きれいな3Dより、部材の一覧と組み立ての順番が出るかどうか。僕もこの軸で8つを見ています。

棚や箱ものなら、木工専用のAIツールが近道です

作業台の上に広げた棚の設計図と、合板、メジャー、鉛筆が並ぶ木版画風のイラスト

ShopSpecは、本棚やキャビネット、工房の作業台のような箱ものに絞った設計ツールです。公式サイトには、1つの仕様から材料リスト、合板の割り付け、継ぎ手の詳細、組み立ての順番まで出すと書かれています。使う工具を登録しておくと、手元にない工具が要る工程に印が付く仕組みもあるようです。

開発者さんは先ほどのスレッドで、AIエージェントとつなぐ機能は試験版で、計算そのものはエンジン側がやると説明しています。DXFや、SketchUp Proで組み直すためのスクリプトにも書き出せるそうです。対応する家具の種類は限られるので、棚や収納箱を作りたい人向けです。料金と日本語対応は、公式サイトで確認できた範囲では分かりませんでした。

Sawdustは、LLMを使って木工の設計をする道具です。開発者さんは、物置を建てるときに頭の中のイメージを現実に合わせたくて作った、と話しています。サイトの説明では、3Dモデルだけでなく作る工程全体を見せる方針です。公式サイトで確認できたのはこの説明までで、料金や機能の細かいところは分かっていません。

AIにコードで描かせると、材料リストまで一度に出ます

方眼紙に描かれた本棚の寸法図と、横に置かれたスマホと木材の端材のイラスト

OpenSCADは、形をコードで書いて立体にする無料のソフトです。コードなら言葉で頼めばAIが書いてくれますし、寸法は数字で直せます。「本当にそんなにうまくいくの?」と思いますよね。試してみました。

Claudeには「幅800mm・高さ1200mm・奥行き250mm、厚さ18mmの合板、棚板は天板と地板を含め4枚で等間隔、側板2枚、背板なし」と伝えました。あわせて、部材ごとに module に分ける、寸法を先頭の変数にする、部材寸法を echo() で一覧に出す、最後に合計の板の面積を出す、と頼んでいます。1回の依頼で返ってきたのが次の約25行です。

// 本棚 (単位: mm)
W = 800;   // 外幅
H = 1200;  // 高さ
D = 250;   // 奥行き
T = 18;    // 板厚
N = 4;     // 棚板の枚数(天板・地板を含む)

inner_w = W - 2 * T;                  // 棚板の長さ(側板の間)
gap = (H - N * T) / (N - 1);          // 棚板どうしの内寸すき間(等間隔)

module side_panel() { cube([T, D, H]); }
module shelf_board() { cube([inner_w, D, T]); }

// 側板: 左右に2枚。棚板は側板の間に挟む(重なりなし)
side_panel();
translate([W - T, 0, 0]) side_panel();
for (i = [0 : N - 1])
    translate([T, 0, i * (T + gap)]) shelf_board();

// 部材一覧
echo("部材", "長さ(mm)", "幅(mm)", "厚さ(mm)", "枚数");
echo("側板", H, D, T, 2);
echo("棚板(天板・地板含む)", inner_w, D, T, N);
echo("棚板のすき間(mm)", gap);
area = (2 * H * D + N * inner_w * D) / 1e6;
echo(str("合計板材面積(m2): ", area));

Debianのコンテナに入れたOpenSCAD 2021.01で読み込ませると、エラーなしで0.055秒で形ができました。出てきた部材一覧がこちらです。

ECHO: "部材", "長さ(mm)", "幅(mm)", "厚さ(mm)", "枚数"
ECHO: "側板", 1200, 250, 18, 2
ECHO: "棚板(天板・地板含む)", 764, 250, 18, 4
ECHO: "棚板のすき間(mm)", 376
ECHO: "合計板材面積(m2): 1.364"

棚板の長さが800mmでなく764mmになっているのがポイントなんですよ。側板2枚ぶんの36mmを引いて、側板の間に挟む寸法にしてくれています。合計1.364m2も、手で計算した側板0.6m2と棚板0.764m2の和と一致しました。面白いのは、書いたClaudeの側にはOpenSCADがなく、棚板の位置を手計算で見直してから渡してきたことです。

先頭の5つの数字を変えれば、幅600mmの棚にも5段の棚にも作り替えられます。ただ、寸法線の入った図面や、合板からの切り出し方は出ません。画面のないコンテナだったので、立体の見た目も画像では確かめられませんでした。

FluidCADは、画面で描く操作とJavaScriptのコードを行き来できる無料のCADです。MITライセンスのオープンソースで、Mac、Windows、Linuxで動きます。AIとつなぐと、AIがモデルを読み書きし、面の寸法を測り、スクリーンショットで仕上がりを確かめられると公式は説明しています。描いた形がそのままコードになるので、コードだけだと形が想像しにくい人の次の候補になります。

使い慣れたCADにAIをつなぐなら?

FreeCADは、無料のオープンソースの3D CADです。日本語を含む30以上の言語に対応していて、Pythonで操作できます。この「Pythonで操作できる」のが効いていて、AIにPythonを書かせれば部材を作る作業を任せられます。スレッドの質問者さんも、FreeCADをAIとつなぐ仕組みを今後の候補に挙げていました。DXFやSTEPでの書き出しにも対応しています。

Fusionには、2026年4月にAutodeskとAnthropicが発表した公式の連携があります。Fusionの設定で「Fusion MCP サーバ」(AIからFusionを操作するための窓口)を有効にし、Claude Desktopの拡張機能から「Autodesk Fusion」を入れると、言葉で頼んでスケッチや形を作ったり直したりできます。個人の非商用利用なら機能制限つきで無料ですが、発表では対象を「Fusionのサブスクリプション利用者」としていて、無料の個人用で使えるかは確認できませんでした。

今ある家具は、写真から3Dに起こせます

実家の古い棚と同じものを作りたい。そんなときに使えるのが、ヤンネ・アラタロさんが個人サイトで公開している「Silhouette Modeling」という方法です。ツールというより、AIへの頼み方の工夫にあたります。

いろいろな角度から撮った家具の写真をAIに渡し、「天板は65cm角」のように実寸を1つだけ教えます。AIが寸法を変えられる3Dモデルを作り、写真の輪郭と重なるように寸法を詰めていく仕組みです。直線が多く、脚や棚板で同じ寸法を使い回す家具が得意で、1点あたり10〜20分ほどかかったそうです。アラタロさんはOpenAIの月額約1.5万円(100ドル)のプランを使っていて、性能の低いモデルでは難しかったとも書いています。

木取り図は、AIより計算の道具に任せます

さっきの本棚、板の面積は1.364m2でした。サブロク板(910×1820mm)は1枚で約1.66m2なので、1枚で足りそうに見えますよね。ところが長さ1200mmの側板と764mmの棚板をどう並べるかで、1枚に収まるかどうかが変わります。

CutListOptimizerは、部材の寸法と板の大きさを入れると、無駄の少ない切り出し方を計算してくれるサイトです。中身はAIではなく最適化の計算で、使う面積と無駄になる面積、切る回数まで出ます。のこぎりの刃の厚みをmmで設定でき、結果はPDFや画像で保存できます。基本は無料で、有料プランのほか、3日間だけ使い放題にする約740円(4.90ドル)の支払いもあります。AIが出した部材一覧をここに入れれば、図面から木取り図までがつながります。

AIの寸法で切る前に、紙で確かめたいこと

AIの出した数字で、いきなりのこぎりを入れていいのか? 切る前に一度、部材表を紙に書き写して、電卓で確かめてください。今回の本棚でも、合計の面積を手で計算し直して、AIの数字と合うのを見てから先に進みました。

材料の実寸も確かめておきます。1×4材の断面は、名前から想像する寸法と違って19×89mmです。合板の厚みも表示と少し違うことがあるので、買ってきた板を測ってからAIに伝え直すと、寸法の狂いが減ります。単位はmmで頼み、出てきた数字にインチが混ざっていないかも見ておきましょう。

棚がどれだけの重さに耐えるか、壁にどう固定するかは、AIの出力では判断できません。板の厚みや金具、壁の下地で変わるので、金具の説明書やホームセンターの売り場で確かめるのが確実です。

経験で選ぶなら、どこから始めるか

  • 初めて棚を作る人は、ShopSpecで箱ものの材料リストが出るかを見てみる。合板の切り出しはCutListOptimizerで決める
  • コードを読むのに抵抗がない人は、OpenSCADをAIに書かせる。数字を変えるだけで別サイズの棚になる
  • 画面で描きたい人は、FluidCADかFreeCAD
  • Fusionを使っている人は、公式のClaude連携を試す。無料の個人用で使えるかは先に確かめる
  • 作りたいものが手元にある人は、Silhouette Modelingの考え方で写真から起こす

まずは作りたい棚の幅・高さ・奥行きと板の厚みを、紙に4つ書き出してみてください。その4つの数字をAIに渡すだけで、部材の一覧が返ってきます。あとは紙で確かめてから切る。それで週末の作業台に向かう時間が増えるはずです。