AI日記アプリに渡す前に、人名と病名だけは書き換えておきたい

AI手帳術@ふみ
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@fuminote ・ 10本

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AI日記アプリに何を書いてよいか迷ったら、人名と病名だけ書き換えてから渡す方法があります。5つのAIジャーナリングアプリの条文を読むと、日記を学習に使うと書いたアプリは見つかりませんでしたが、条文を読めた4つでは、AI機能を使うと本文がアプリとは別のAI会社に送られていました。書き換えの対応表を紙の手帳に1ページ残しておけば、AIとの振り返りはそのまま続けられます。

5つのAIジャーナリングアプリで、日記が渡る先を条文で並べました

読んだのは、各社のプライバシーポリシー、利用規約、AI機能の説明ページです(2026年10月20日時点。ReflectAIは条文を読めていません)。アプリは動かしていないので、ここに並ぶのは各社が文章で約束している内容です。

アプリ
日記を処理するAIの会社
学習への利用
削除したあと
Rosebud
OpenAI、Anthropic、Google、AWS、Groq
学習への言及なし(品質評価に実際のやり取りをAIで見ると記載)
最大30日バックアップに残る
Mindsera
OpenAI、Anthropic、Google
使わないと明記
バックアップ等のため限定的に残りうる(日数の記載なし)
Innerly
OpenAI
使わないと明記
サーバーから完全に消すとFAQに記載
Day One
OpenAIなど(AI機能を有効にした場合のみ)
許可しない限り使わない
5日間の復元期間のあと削除
ReflectAI
OpenAIのGPT-4o-mini(開発者の投稿)
ポリシー原文を見つけられず
確認できず

「AIに学習されるから、日記に個人的なことは書かない方がいい」という説明をよく見かけます。でも今回読んだ範囲では、学習に使うと書いたアプリはありませんでした。Mindseraは日記の内容を "not used to train or improve AI models" と明記しています。Rosebudは使うとも使わないとも書いていませんが、実際のやり取りをAIで見て品質を評価しているとは書いています。ReflectAIは条文そのものに辿り着けませんでした。

そのかわり、条文を読めた4つでは、AI機能を使うと日記の本文が運営会社の外のAI会社へ出ていきます。Innerlyのポリシーは、振り返りを返すAIは "must run in the cloud" と書いています(ただし同社のApp Store説明は端末内で動くとしていて、食い違いは後で触れます)。Day Oneは、AI機能を使うときだけです。紙の手帳の言葉は手帳の中にとどまりますが、AI日記の言葉は、条文どおりなら、AI機能を使う間、アプリの会社とAI会社の手を通ります。ReflectAIは条文を読めていないため、確認できていません。

匿名化と書かれていても、日記の本文にある人名は残ります

日記の文章からアカウント情報だけが外され、人名を含んだ本文がAI会社へ届く流れの図解

Rosebudのポリシーには、AI会社に渡すデータは匿名化していると書かれています。読み進めると、渡すのは "only the contents of journal entries"、つまり日記の本文だけで、アカウントの名前やメールアドレスを付けないという意味だと読めます。本文中の人名を消すとは書かれていないので、人名は残って渡ると考えられます。

たとえば「課長の佐藤さんに会議で詰められて、帰りに胃が痛くなった」と書いたとします。外れるのは書き手のメールアドレスで、「佐藤さん」と「胃が痛い」は本文としてそのまま届きます。匿名になるのは書いた人のほうで、書かれた人ではありません。

Rosebudは、AI会社とは処理後すぐにデータを捨てる契約(Zero Data Retention)を結んでいると説明しています。それでも日記はアプリ側のデータベースに保存され、削除しても最大30日はバックアップに残ります。本文に人名がある限り、その名前も日記と同じ場所に、同じ期間置かれます。

もう1つ、日記に出てくる人は、そのアプリの規約に同意していません。自分のことは自分で決められても、同僚や家族の名前は本人の知らないところで渡っていきます。私は、人名を書き換えるいちばんの理由はここにあると考えています。

病名の扱いは、AI日記アプリの条文にほとんど書かれていません

手帳の見開きに、病名の代わりに体の様子を書き込んでいる手元のイラスト

日記の本文に書いた病名をどう扱うか、名指しで決めている条文は、読んだ中ではMindseraだけでした。ほかのアプリは近い記述があっても、向いている方向がアプリごとに違います。

  • Mindsera: 日記の本文にも健康情報などの特別な種類の個人情報が含まれうると明記し、明示的な同意が必要な場合は同意を取ると書いている(WHOOPやOuraと連携したデータも同様)
  • Rosebud: AI会社と、米国の医療情報の基準(HIPAA)に沿った契約を結んでいると説明
  • Innerly: ポリシーに健康データの記述はなく、規約で医療の助言や診断の代わりではないと断っている
  • Day One: HealthKitの連携データについての記述はあるが、日記本文の病名についての記述は確認できず
  • ReflectAI: 条文を読めておらず確認できず

日記に書いた通院日や薬の名前、診断名が、健康データとして特別に守られるのか、ふつうの日記本文として扱われるのか。Mindsera以外の条文からは読み取れませんでした。

個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、一般の利用者に向けて、入力した個人情報が「生成AIの機械学習に利用されることがあり」と書いています。そのうえで、利用規約やプライバシーポリシーを確かめて、入力する内容を判断するよう求めています。法律で禁じられているわけではないので、決めるのは書く本人です。体調の記録の残し方そのものは主治医と相談する領域なので、ここでは日記に書く言葉の置き換えだけを扱います。

説明文と条文が食い違うAI日記アプリは、書き換えを一段厳しくします

InnerlyのApp Storeの説明文は、AIは端末の中で動くと書き、暗号化の鍵について "Only your devices have the key" と、運営者も日記を読めないとしています。一方、同じアプリのプライバシーポリシーは、AIはクラウドで動き、提供元はOpenAIだと書いています。AIの返事を作るときだけの例外なのか、どちらかの文章が古いのか、公式の文章からは判別できませんでした。

対照的なのがDay Oneです。AI機能を使うときは、端末で日記をいったん復号してからAI会社に送ると、自分から書いています。端末の外では読めない暗号化をオンにしていても、AIに渡す瞬間だけは鍵を外すということです。例外まで書いてあるアプリは、条文どおりに受け取ってよいと私は考えています。

ReflectAIは個人開発のAndroidアプリで、開発者はFirebaseとGPT-4o-miniで作ったとProduct Huntで説明しています。ただ、プライバシーポリシーの原文は見つけられず、確認できませんでした。

条文が読めない、または説明が食い違うアプリに日記を預けるなら、人名と病名に加えて、勤務先や住んでいる街の名前も書き換えておくと、渡る手がかりをさらに減らせます。人名と病名を書き換えても、出来事や体調の様子から人が分かる場合は残るので、書き換えは渡る言葉を減らす工夫と考えてください。

人名はイニシャルに、病名は体の様子に。AI日記の書き換え辞書を手帳に残します

書き換えのルールは、手帳の最後のページに対応表として書いておきます。アプリには書き換えたあとの言葉だけを入れ、元の名前は紙にだけ残します。

元の言葉
AI日記に書く言葉
課長の佐藤さん
上司のS
姉の美咲
姉
片頭痛
頭が重い日
〇〇クリニック
病院
胃腸炎で通院
お腹の調子が悪くて通院

辞書を作るときに気をつけたいのは3点です。

  1. 同じ人には毎回同じ書き換え語を使います。呼び名が日によって「S」「上司」「Sさん」と揺れると、AIからは別の人に見えて、誰との出来事で気分が沈むのかを拾えなくなります。
  2. 関係性は残します。「S」だけより「上司のS」のほうが、AIは場面をつかみやすくなります。
  3. 病名は、その日の体や気分の様子に置き換えます。振り返りで知りたいのは病名より、その日をどう過ごしたかのほうです。

辞書は最初から全部埋めなくて大丈夫です。日記によく出てくる3人と、通っている病院を1つ書けば、1ページの半分も埋まりません。手帳に辞書があれば、AI日記のアプリを乗り換えても同じ書き換え語をそのまま使えます。

読んだ原典

  • Mindsera: https://mindsera.com/privacy-policy
  • Innerly: https://innerly.app/privacy 、https://apps.apple.com/app/id6474980636
  • Rosebud: https://help.rosebud.app/about-us/privacy-policy
  • Day One: https://dayoneapp.com/privacy-policy/ 、https://dayoneapp.com/guides/labs/ai-features/
  • 個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月): https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/230602kouhou/