端材を撮ると、AIが作れる物を教えてくれた。

たくみ
たくみ

@sawdustlab 2本

サムネイル

作業台の下のコンテナに、切れ端がたまっていく一方なんですよ。捨てるには惜しいのに、この長さで何が作れるのかが毎回思いつかない。その端材をスマホで撮るだけで、作れる物のほうから提案が返ってくる仕組みが出てきました。

端材の箱の前で、毎回同じところで手が止まります

棚を一本組むと、必ず中途半端な長さが残ります。40センチくらいのSPF材が3本、幅の違う合板の切れ端が数枚、といった具合です。

問題は、この状態から作れる物を考えるのがけっこう難しいことなんですよね。作りたい物を先に決めてから木材を買うのは簡単ですが、手元の材料から逆算するのは、寸法をメモして並べ替えて、足りるか足りないかを頭の中で組み上げる作業になります。休日の朝にそれをやる気力が残っているかというと、正直あやしい。

結果どうなるかというと、端材はコンテナに戻ります。そして次の休日にまた新しい木材を買ってきて、また端材が増える。この循環、心当たりありませんか。

端材を撮ると、作れる物のほうから提案が来ます

端材を並べた作業台をスマホで撮影している手元

2026年9月にベータ公開されたWoodplans.aiというサービスが、この向きの入力に対応しています。

入力の方法は3通りあります。作りたい物を文章で書く、既存の家具を撮って分解図を逆算させる、そして手元の木材を撮って何が作れるかを選ばせる。公式ページでは3番目を「あなたの端材をAIに見せると、最適な作り方を選ぶ」と説明しています。

僕が面白いと思ったのは、この3番目だけ矢印の向きが逆だという点です。ほかの2つは「作りたい物」が先にあって、そこから材料と手順に落ちていきます。端材からの入力は「手元にある物」が先にあって、そこから作れる物の候補が返ってくる。何を作るか決まっていない状態のまま、スタートできるわけです。端材の箱の前で手が止まるのは、まさにその「何を作るか」が決まらないからなので、噛み合いは良さそうです。

返ってくる内容も、アイデア出しで終わりません。公式ページに挙がっているのは、部材ごとに名前と寸法が付いたカットリスト、技量レベルに合わせた番号付きの手順、組み立ての図面、完成状態のフォトリアルなイメージ、そして印刷向けのPDFです。ねじの長さ、スパン、組み立て時のクリアランスは、図面を出す前に検証しているとも書かれています。

切る前に確かめたい3点

寸法を書き込んだ設計図のメモとメジャーが並ぶ作業台

では、出てきた図面をそのままのこぎりに持っていっていいのか。僕はおすすめしません。設計はAI、切って組むのは自分の手という分担でやっている以上、自分の手が動く前のチェックだけは自分でやる必要があります。端材からの提案は特に、画像から読み取った手元の寸法が前提になるので、確かめる価値があります。

1. 幅と厚みが、手元の端材と噛み合っているか

長さは切れば合わせられますが、幅と厚みは後から足せません。ここが合っていない図面は、その時点で作り直しになります。

ややこしいのは、SPF材の名前と実寸がずれていることです。2×4材は断面が2インチ×4インチではなく、乾燥と表面加工を経た実寸で約38mm×89mm。1×4材は19mm×89mmです。図面側が名前どおりの寸法で組んでいると、板を重ねる枚数やねじを打つ位置が数ミリずつずれていきます。

出てきたカットリストの幅と厚みを、手元の端材にメジャーを当てた実測値と突き合わせる。これだけで、切ってから気づく事故はかなり減ります。

2. 組み立ての順番で、締められなくなるねじがないか

図面のとおりに切れたのに、組む段になって電動ドライバーが入らない。箱物を作ったことがある人なら、一度は経験があるはずです。

番号付きの手順が出てくるということは、順番そのものも提案されているということです。手順を上から読みながら、各ステップで打つねじに対して工具が入る空間が残っているかを、頭の中で組み立ててみてください。特に、四方を板で囲む工程の直前は要注意です。その1ステップを前に持ってくるだけで済む話が多いので、切る前の5分で見ておく価値があります。

3. 単位と樹種が、近所の棚と噛み合っているか

Woodplans.aiが出力をインチで出すのかミリで出すのかは、公式ページの記載からは確認できませんでした。海外発のサービスなので、インチ表記で返ってくる可能性は頭に入れておいたほうがよさそうです。最初の1枚を出した時点で、単位がどちらで書かれているかを確かめるのが確実です。

樹種も同じです。図面がウォールナットやオークの厚板を前提に組まれていたら、ホームセンターで同じ物を探すところから休日が終わります。提案された樹種が近所で買える物かどうかは、自分の生活圏を知っている自分にしか判断できない部分です。

似たことができるアプリと、どう使い分けるか

スマホで完結する近いツールとして、TimberTinkerがあります。

こちらは3Dで設計を組んで、材料ごとにまとめたカットリスト、木目の方向、合板のシート割付までアプリ内で扱えるのが売りです。AndroidはGoogle Play版が出ています。

では、どちらを開くべきか。分かれ目は「作りたい物が決まっているかどうか」だと思っています。作る物が決まっていて、寸法を詰めながら3Dで確認したいならTimberTinker。作る物が決まっていなくて、手元の端材から候補を出してほしいならWoodplans.ai。入り口がまるごと違うので、対立するツールというより、段階が違う道具として両方持っておくのが良さそうです。

無料の3クレジットで、まず1枚だけ出してみる

Woodplans.aiは登録時に3クレジットが無料でもらえて、クレジットカードの登録も要りません。

有料のProは、ベータ公開記念のセールで月9.90ドル(約1,500円)。通常価格は月50ドル(約7,500円)と書かれているので、8割引ということになります。年払いは99ドル(約1.5万円)で、こちらも月10クレジットが付きます。セールの終了時期は明示されていないので、気になるなら無料枠だけでも早めに触っておくのが安全だと思います。

最初の1枚に使うなら、端材の箱をひっくり返して、作業台の上に全部並べてから撮るのがおすすめです。木材が重なっていると、画像から寸法を読み取る側が判断しづらくなります。並べて、撮って、返ってきたカットリストの幅と厚みをメジャーで確かめる。ここまでが、切る前の作業です。

今週末は、のこぎりを出す前にコンテナをひっくり返すところから始めてみませんか。