Claude CodeとCodexとCursorに同じ課題を投げると、3体が同じ外部サービスを選んでくるのは42%だけでした。
残りの58%は、決済もデータベースも音声APIも、平気で答えが割れます。
しかも16,893回分の実測データを追っていくと、いちばん名前を出されているサービスが1回も選ばれていない、みたいな逆転がゴロゴロ転がっていました。
3体で答えが割れる理由は、調べ方がそもそも違うからです
まず規模から。
Armatureが公開したコーディングエージェントのツール選定調査は、75リポジトリ、10言語、1,163通りのプロンプトで16,893ランを回しています。
そこから有効と判断された5,292セッションが公開されていて、対象は51コードベースの18分野。
ちなみにArmatureは、プロダクトをエージェントに選ばせるための解析を売っている会社です。
出どころとしてはそこを踏まえて読む必要がありますが、母数と手順の開示はかなり具体的でした。
その5,292セッションを分野と言語のマスに落としたとき、3体が同じツールを指したのは42%でした。
半分以上のマスで意見が割れている。
理由は性能差というより、調べ方の違いです。
- Codexはほぼ毎回ウェブ検索する(94%のセッション)
- Cursorはセッションの2/3をウェブ情報で決めている
- Claude Codeは事前知識で決めがちで、ウェブを見るのは30%程度
さらにClaude Codeは「外部サービスを使わず自前で実装する」判断がCodexとCursorのほぼ2倍で、19%対10%。
Claude Codeは学習時点の記憶で殴り、Codexは毎回ググり直す。
同じ課題でも答えが揃わないの、当たり前なんですよね。
決済はStripeが10戦9勝、PayPalは139回名前が挙がって0回です
分野別に見ていくと、決済だけは割れませんでした。
Stripeが10回中9回勝っています。
負けたのはEUの規制まわりで、その領域に特化した事業者のほうが強い場面だけ。
僕もClaude Codeに決済を投げることがありますが、聞く前からStripe前提のコードが出てきます。
面白いのは負けた側です。
PayPalはセッション中に139回も名前が挙がっているのに、採用は0回。
しかもその139セッションのうち124回をStripeが持っていっています。
Adyenも175回言及されて採用3回。
名前は知られている、候補にも挙がる、でも最後に選ばれない。
エージェントの選定は知名度ではなく、実装しやすさで決まっています。
データベースはNeonが66%、いちばん名前が挙がったのはSupabaseでした
データベースはNeonが66%を取り、次点はAzureやAWSのネイティブなサービスでした。
ここもねじれています。
データベースで最も多く言及されたのはSupabaseで、242回。
言及数トップなのに、勝ったのはNeonです。
Supabaseは認証もストレージもリアルタイム同期も入っていて、それが強みのはずなんですが、「データベースを1つ選べ」という文脈では束ねてあることが効きませんでした。
用途が絞られた場面では、機能が多いことが加点にならない。
人間の技術選定でも同じことは起きているはずです。
ファイルストレージはAmazon S3が45%で、AzureとGCPが20%ずつでした
決済とデータベースは勝者が過半数を取っていましたが、ストレージは1位でも45%止まりでした。
Amazon S3が45%、Azureが20%、GCPが20%。
S3は強いんですが、圧勝ではありません。
ストレージはどこでも同じことができるので、エージェント側も決め手を持てなかったんだと思います。
決済がStripe一強だったのと対照的で、この温度差はそのまま「任せていい領域」と「自分で決めるべき領域」の線引きに使えます。
メールはResendが35.6%、Pythonだけ24戦22勝でSendGridが取ります
メール送信APIはResendが35.6%、Postmarkが27.4%で追う形でした。
ただしこれ、言語で結果がひっくり返ります。
Pythonのリポジトリに限るとSendGridが24戦22勝で、ほぼ独占です。
リポジトリの言語が変わるだけで勝者が入れ替わるの、けっこう怖い話だと思っています。
そしてこの分野には、いちばん刺さった事実がありました。
Mailgunは無料プランに書いてある「1-day retention」という表記を読まれて、Postmarkに負け続けていたそうです。
料金表の細字1行が採用率を動かしている。
人間なら読み飛ばすところを、エージェントは全部読んで比較してきます。
音声APIは3体が3つとも違うものを選んで、きれいに割れました
一致率42%という数字の意味がいちばんよく分かるのが、この分野でした。
- Claude Code は Twilio
- Codex は OpenAI Realtime API
- Cursor は Vapi
3体とも別の答えです。
音声まわりは定番がまだ固まっていない分野で、エージェントが頼れる事前知識も薄いはずです。
そこに各自の調べ方の違いがそのまま出た、というのが僕の見立てです。
裏を返すと、使うエージェントを変えるだけで技術スタックが変わるということでもあります。
チームでバラバラのエージェントを使っていると、新しい分野ほど提案が揃わなくなる。
名前がよく挙がるサービスと、実際に選ばれるサービスは別物です
この調査で持ち帰るべきなのは、勝者の一覧よりもこの逆転だと思っています。
- LangChain 194回言及されて、採用は4回
- Netlify 152回言及されて、採用は6回
- PayPal 139回言及されて、採用は0回
言及されるほど選ばれるなら、LangChainは194回のうちもっと勝っているはずでした。
エージェントが読んでいるのは記事での露出量ではなく、ドキュメントの導入手順と料金表の細部です。
Mailgunがretentionの1行で落ちたのが、いちばん分かりやすい証拠だと思います。
自分の関わっているサービスがエージェントに選ばれるかどうかを知りたいなら、まず公式ドキュメントの最短導入手順を読み返してみてください。
エージェントが最初に見るのは、そこです。






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