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Claudeに校正を頼むと透かしは残るのか、分かれ目は書き直しの量です

AI脱社畜
AI脱社畜

2026/08/19

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送る前のメールをClaudeに直してもらう。

あの文章、AIが書いたものだとバレてしまうんでしょうか。

ここ数日「校正を頼んだだけでも透かしが残る」という話が一気に広まりましたが、公式の説明を読むかぎり、そこは少し違います。

校正だけなら、印はほとんど付きません

Anthropicが8月11日に、Claudeが生成した文章に見えない透かしを入れると発表しました。

8月14日には仕組みの解説も出ています。

多くの人が引っかかったのが、「じゃあ自分で書いた文章を直してもらった場合はどうなるのか」でした。

ここについて、公式の説明はこう書いています。

人が書いた文章をClaudeが校正した場合、返ってくるのは軽く手を入れただけのもので、単語のほとんどは書いた本人のもの。

だから透かしが引っかかる先がほとんどない、と。

てにをはと誤字を直してもらった程度なら、印はほぼ付きません。

騒がれ方に対して、拍子抜けするくらい素っ気ない答えです。

ただし、ここには続きがあります。

分かれ目は、どこまで書き直してもらったかです

透かしは、Claudeが選んだ単語にしか乗りません。

これが原理のすべてです。

だから、同じ「直してもらう」でも結果が変わります。

頼み方
Claudeが選んだ単語
透かし
誤字と助詞だけ直して
ごくわずか
ほぼ残らない
全体的に読みやすくして
文の組み立てごと
残る
このメモをメール文にして
ほぼ全部
しっかり残る

ただ、私たちが普段やっているのは下の2行のほうです。

「もう少し丁寧な言い方にして」と頼んだ時点で、Claudeは文を組み直します。

返ってきた文章に並んでいる単語は、もう自分が選んだものではありません。

自分では校正を頼んだつもりでも、実際には書き直しを頼んでいる。

その自覚があるかどうかが、この話の本体です。

長さの条件もあります。

透かしが乗るのは、ある程度の長さがある文章だけです。

目安は200トークンより長いものから、という数字が出ています。

トークンというのは、AIが文章の量を数えるときの単位です。

一行の返信や短い一言は、そもそも対象になりません。

校正だけ頼んだ原稿と、まるごと書き直してもらった原稿を並べて比べているイラスト

透かしの正体は、単語の選び方をわずかにずらす仕組み

あとから文字を埋め込んでいるわけではありません。

AIが文章を書くとき、次に置く単語を候補の中から選んでいます。

なかには、どちらを選んでも文として成立する場面があります。

透かしは、その「どちらでもいい」場面だけを狙って、鍵に沿った側を選ばせる仕組みです。

Anthropicが挙げている例だと、grey と overcast のような、どちらも曇り空を書くときに使える単語同士。

この偏りが文章全体に散らばると、鍵を持っている側だけが「この単語の選び方はClaudeの癖だ」と後から判定できます。

技術としては、Google DeepMindが開発したSynthID-Textという方式がベースになっています。

ここを嫌がる人もいます。

文章を書く人からすると grey と overcast は別の言葉であって、判定の都合で入れ替えられるのは表現に手を入れられているのと変わらない、という批判です。

この言い分、私はかなり筋が通っていると思っています。

軽い手直しでは消えません。消えるのは全部書き直したときです

「なら消せばいい」と思うかもしれません。

公式の説明では、少し手を入れた程度では完全には消えないとされています。

消えるのは、単語を全部置き換えるレベルまで書き直したときだけ。

コピー&ペーストでも残りますし、Claudeに翻訳させた文章にも乗ります。

翻訳は単語をまるごと選び直す作業なので、当然そうなります。

ここで冷静に考えたいのが、「全部書き直す」にかかる手間です。

単語を全部入れ替えるところまでやるなら、それはもう自分で書いたほうが早い。

透かしを消すための書き直しは、透かしを消す以外に何も生みません。

時間だけが減ります。

透かしを消せるという触れ込みのツールもさっそく出てきていますが、私は手を出さないつもりです。

消えたかどうかを自分で確かめる手段がない以上、お金と時間を払って「たぶん消えた」を買うだけになります。

今のところ、判定できるのはAnthropicだけです

不安をあおる話が増えているので、事実を1つ置いておきます。

現時点で透かしを判定できるのはAnthropicだけです。

鍵を持っているのが同社しかいないからです。

検出用のAPIを提供する予定はあると発表されていますが、詳細はこれから決めるという段階です。

送られてきたメールを上司がその場で判定にかける、という世界にはまだなっていません。

EUの規制が発端なので、日本にも同じものが届いています

なぜ急にこうなったのか。

EUのAI法の第50条が8月2日から効力を持ち、AIが作った文章には機械が読める印を付けることが求められるようになりました。

Anthropicは7月に、この透明性についての行動規範に署名しています。

日本だけ対象外にはなっていません

グローバルに同じモデルを動かしているサービスなので、EU向けだけ挙動を変えるより、全部に入れてしまうほうが早いのだと思います。

結果として、日本で働く私たちの手元にも同じ変化が届いています。

適用は8月2日以降にEUで公開されたモデルから始まり、それより前のモデルにも移行期間のうちに広げるとされています。

発表の中に、透かしをオフにする方法の案内はありません。

隠すより、前提にしておくほうが楽です

では結局どうするか。

私は「バレないように気をつける」という方向を選ばないことにしました。

理由は倫理の話ではなく実利で、隠す前提で使うとAIに頼む量を毎回自分で削ることになるからです。

それは単純に仕事が遅くなります。

代わりにやっているのは3つです。

  1. 中身の責任は自分で持つ。誰が単語を選んだかより、書いてある内容が正しいかどうかのほうが、あとで問題になります
  2. まるごと生成させた文章は、自分の言葉で一度通す。透かし対策としてではなく、そのほうが読みやすい文章になるからです
  3. 聞かれたら普通に答える。「言い回しはAIに整えてもらいました」と言って気まずくなる職場なら、直すべきは文章ではなく職場のほうです

透かしは、こっそり誰かを暴くために作られた装置ではありません。

AIが書いた文章が世の中に増えすぎたことへの、社会側の後始末です。

しばらく付き合うことになります。

だったら消し方を探すより、自分がどちら側の使い方をしているかを分かっているほうが、ずっと気が楽です。

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