形の崩れないAI画像は、参照写真の集め方で決まるか。

プロンプト画伯
プロンプト画伯

@promptpainter ・ 67本

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昔の電卓やガラケーをAI画像にしてみたら、ボタンの数が合わない、画面がやけに大きい、どこかで見た別の機種に似ている。そんな仕上がりにモヤっとしたことはありませんか?

実在の物を描かせるとき、形が合うかどうかはプロンプトの長さより、機種の決め方と参照写真の集め方で差がつきます。87台のデバイスをAI画像で並べたサイトの作り方を材料に、ChatGPTやGeminiで同じ手順を踏む方法をまとめました。

87台のデバイスを参照写真つきのAI画像で並べたサイト

AIニュースレター「Ben's Bites」を書いているベン・トッセルさんが、2026年9月25日に制作記を公開しました。1976年から2026年までの87台のデバイスを年代順に並べたサイトで、画像はすべて、記事中ではAstraと呼ばれている画像生成モデルで作られています。訪問者は「持っていた」「欲しかった」を投票でき、制作記の時点で1,455票が集まっていました。

出発点の指示は、かなりざっくりしたものです。「子どものころの忘れられたデバイスのサイトを作りたい。リアルに見えて、本来の用途で使えそうに見えるように」。サイトはCodexで作り始めてFactoryで仕上げ、ベンさんが送ったメッセージは40通、制作は午前中で終わったそうです。

見どころは、後から台数を足した工程です。最初に作った分は2000年代あたりで止まっていたため、2009年から現在までの分をサブエージェント(仕事を手分けする子のAI)に作らせています。そのとき1台ごとに、次の順で進めさせました。

  1. 実在の機種を特定する
  2. その機種の参照写真を見つける
  3. その機種そのものの画像を新しく生成する

たった3段階ですが、この順番に形が崩れない理由が詰まっています。

AI画像の形が崩れるのは、機種を決めていないから?

「昔の電卓」とだけ書いたメモから描いた輪郭のぼやけた電卓と、型番のメモと写真を添えて描いた輪郭のはっきりした電卓を並べたイメージ

「80年代の電卓腕時計」とだけ頼むと、モデルは記憶の中にある無数の電卓腕時計を混ぜたような絵を返しがちです。それらしく見えるのに、ボタンの数も液晶の位置も、どの実機とも一致しない。こうなる原因として一番大きいのは、描く対象が1台に決まっていないことだと私は見ています。

制作記には、1984年のカシオのデータバンクCD-401を描かせたプロンプトも引用されています(途中の「…」も制作記の表記のままです)。

Subject: silver Casio Data Bank CD-401 (1984), matching the silver metal bracelet model shown in reference. Square silver case, black calculator face with four small silver memory buttons ABOVE the rectangular gray LCD, twelve small silver calculator buttons BELOW it… Exact reference layout, not later DBC model.

中身を分けると、型番と発売年、参照写真のどの仕様か(銀のメタルバンド)、ボタンの数と液晶から見た上下の位置、そして最後に「後継のDBCモデルではない」という除外が入っています。ABOVEとBELOWだけ大文字なのは、位置関係を取り違えてほしくないという意図の表れでしょう。

あなたが描きたい物は、型番まで言えますか? 言えないなら、プロンプトを書き直す前に機種を1台に決めるのが先です。

参照写真の集め方は、正面と寄りと「違う機種」

机の上に電卓の正面写真、ボタン部分の拡大写真、よく似た別機種の写真を並べ、付箋で分けている作業風景のイメージ

型番が決まったら写真を集めます。手元にあるのが、斜めから撮った写真や手に持った写真ばかりになっていないでしょうか? 形を伝える資料としては、次の3種類がそろうと強いです。

1: 正面から全体が写った写真。ボタンの配置と縦横比の基準になります。斜めの写真は奥のボタンが小さく写るので、配置の手本には向きません。

2: 崩れやすい部分の寄り。ボタンの並び、端子、ヒンジ、刻印など、全体写真ではつぶれて見える部分です。

3: 間違えやすい兄弟機や後継機の写真。こちらはモデルに渡すためというより、違いを言葉にするための資料です。CD-401のプロンプトにある「not later DBC model」は、この比較があって初めて書ける一行です。

型番で画像検索すると、中古ショップやオークションの出品写真に正面と寄りがそろっていることがあります。ただ、拾った写真は形を確かめるための資料です。できた画像を仕事で使うなら、ロゴや製品デザインの扱いは別に確認してください。

写真を渡す先は、ChatGPTならチャット欄への添付で足ります。9月8日に公開されたChatGPT Images 2.5について、OpenAIは参照写真の被写体を保つ力と、編集の指示に従う精度が上がったと説明しています。

Geminiアプリでも複数の画像をアップロードして、それをもとに新しい画像を作らせられます。生成後に「Proでやり直す」を選ぶとNano Banana Proで細部を足して作り直せますが、こちらはGoogle AIプランの加入者向けです。

部品の位置まで書くプロンプトの型

写真を渡しているのに、なぜ配置まで言葉で書くのか。写真には色も光も背景も丸ごと入っていて、どこを厳密に守ればいいかはモデル任せになるからです。文字で書いた部分が「ここは変えないで」という指定になります。

CD-401のプロンプトを日本語の型にすると、こうなります。角括弧の中を、集めた写真を見ながら埋めてください。

対象: [メーカー名] [型番]([発売年])。添付した正面写真と同じ色と仕様。
全体: [本体の形]、[素材と色]。縦横比は実機どおり。
配置: [液晶などの基準になる部品]の上に[部品A]が[数]個、下に[部品B]が[数]個。
細部: [寄り写真で確かめた部分]は[形、色、刻印の有無]。
除外: 後継の[似た型番]ではなく、添付写真の配置どおりに。
仕上げ: 白い背景の商品写真風、正面から。

埋めるときは、数を「いくつか」で済ませず数字で書きます。位置も「上」「左端」だけで終わらせず、何から見た上なのかまで書く。そして1行には1つの要素だけを入れます。こうしておくと、崩れたときにどの行を直せばいいかがすぐ分かります。

崩れた部品だけ直す、AI画像の部分編集

型どおりに書いても、ボタンが1個多い、刻印の文字が崩れた、ということは起きます。ここで全体を作り直すと、合っていた部分まで変わってしまいます。

ChatGPTなら、画像を開いて選択ツールで直したい部分をなぞり、その部分への指示だけを書けます。選んだ範囲の外が少し変わることもあるので、直したあとは前の画像と見比べてください。Geminiアプリでも、生成した画像やアップロードした画像の一部をプロンプトで直せます(画像の編集は18歳以上が対象です)。

選んだ部分だけ直してください。液晶の下のボタンは[数]個を[段数]段で並べます。ほかの部分は変えないでください。

ここで使う言葉は、プロンプトの型の「配置」や「細部」の行をそのまま流用できます。最初に1行1要素で書いておいた効き目が、直す段階で出てきます。

参照写真を探す前に、型番を1つ書き出す

形の崩れないAI画像に近づく順番は、ベンさんの工程と同じです。機種を決める、写真を集める、それから描かせる。

最初の一歩は、描きたい物の型番をメモに1つ書き出すことです。次に、正面の写真、崩れやすい部分の寄り、似た別機種の写真を1枚ずつ探し、プロンプトの型の角括弧を埋めます。ここまでなら10分もかかりません。

実家にあった電話機か、学生時代のデジカメか。あなたは最初に何を描きますか?