YouTubeを続けたいのに、企画、台本、素材集め、編集、投稿、分析までを一人で抱え、手が止まってしまう。
この教材は、そんな状態から抜け出すためのマニュアルです。
ここで作るのは、AIへ動画制作を丸投げする仕組みではありません。Codexのメインエージェントを「秘書」にして、その指揮下にリサーチ、企画、台本、制作、品質確認、分析などを担当するサブエージェントを配置します。
あなたは秘書へ目的と判断を伝える。秘書は必要な仕事を分け、適切な担当へ依頼し、結果を集め、運用ファイルを更新して報告する。
これが、この教材で目指すYouTube半自動運用です。
基本はCodexを使って説明しますが、考え方はClaude Codeなど、ファイルを読み書きできるAIエージェントにも応用できます。プロジェクト指示、つまり「その仕事専用のルール」を書くファイル名、サブエージェントの呼び出し方、許可設定などはツールごとに異なるため、実際に使う環境の最新仕様へ読み替えてください。
1. 専門用語はざっくり分かれば大丈夫
この教材では、AI社員へ仕事を任せるために、いくつか聞き慣れない言葉が登場します。
仕組みを暗記したり、自分でプログラムを書けるようになったりする必要はありません。ただし、社長として「社員がどの扉を開け、どんな権限で、どこへ記録しているのか」は、ざっくり理解しておきましょう。
- Markdown(マークダウン、拡張子は
.md)は、見出しや箇条書きを付けられるシンプルなメモ形式です。AIも人間も読みやすいため、方針や進捗を残す社内文書として使います - Git(ギット)は、ファイルの変更履歴を残す仕組みです。「いつ、どこを変えたか」をたどれる更新履歴付きの保管庫だと考えてください
- JSON(ジェイソン、拡張子は
.json)は、ソフトが読みやすい形で設定を並べたファイルです。申込書の項目を、機械が読める順番で書いたものに近いです - API(エーピーアイ)は、別のサービス同士が決められた方法で情報や操作を受け渡す窓口です。今回なら、AI社員がYouTubeの数字を受け取ったり、動画をアップロードしたりするために使います
- APIキーとは、APIの窓口を使うソフトを見分けるための鍵です。秘密情報として扱うものが多いため、会話や共有ファイルへ貼り付けません
- OAuth 2.0(オーオース2.0)とは、GoogleのパスワードをAIへ教えずに、「分析だけ」「アップロードだけ」と範囲を決めて許可する手続きです
- スコープとは、OAuth 2.0で許可する仕事の一覧です。会社の入館証に「資料室は入れるが、金庫室は入れない」と書くようなものです
- トークンとは、許可後に発行される一時的なデジタル通行証です。パスワードと同じように、他人へ見せてはいけません
- プロンプトとは、AI社員へ渡す依頼文や指示書です。この教材では、そのままコピーして使える形で用意します
- Google Cloud Consoleとは、GoogleのAPI・許可・利用状況を設定する管理画面です。Googleドライブのような保存場所ではなく、AI社員へ渡す権限を管理する場所です
この先で新しい用語が出たときも、初回に同じような補足を入れます。分からない場合は、その場で秘書へ「専門用語を使わず、今回何のために必要か説明して」と聞けば十分です。
2. この教材が向いている人
この教材は、次のような人を想定しています。
- Codexを少し触ったことはあるが、何を任せればよいか分からない
- AI社員やAIチームという考え方に興味がある
- YouTubeを始めたい、または投稿を続けられる体制を作りたい
- 毎回同じ説明をAIへ繰り返す状態から抜け出したい
- プログラミングより先に、実際の運用方法を知りたい
動画制作や、前に説明したAPIの専門知識がなくても大丈夫です。分からない言葉が出たら、その意味や必要性を秘書へ説明してもらいながら進めます。
3. この教材が向いていない人
一方で、この教材は次のような人には向いていません。
- AIへ一度指示するだけで、動画が自動的に作られて収益が発生する仕組みを求めている
- チャンネルの方針や企画を考えず、すべての判断をAIへ丸投げしたい
- 完成動画の確認や、公開前の最終承認をしたくない
- 短期間で大量の動画を作ることだけを目的にしている
- YouTubeや使用する素材の規約、著作権を確認するつもりがない
- AIの出力に間違いがないと考え、事実確認や品質確認を省きたい
- 最初から複雑な完全自動化を作りたい
この教材で目指すのは、人間が何もしなくてよい完全自動運用ではありません。
AI社員へ準備、制作、確認、記録を任せながら、チャンネルの方向性や公開に関する重要な判断は人間が行う「半自動運用」です。
AIを魔法の自動販売機としてではなく、一緒に運用を改善していくチームとして使いたい人に向いています。
4. 半自動運用はAIチームで作る
4-1. 人間と秘書とサブエージェントの役割
この運用には、三つの立場があります。
「人間」は、チャンネルの所有者であり最終決定者、いわば「社長」や「CEO」です。
「秘書役のメインエージェント」は、人間の窓口です。依頼を受け、現在の方針と進捗を確認し、仕事を分け、必要なサブエージェントへ任せ、結果をまとめます。運用中に増えた情報を適切なファイルへ反映し、「何を更新したか」「次に何を判断してほしいか」まで報告します。
「サブエージェント」は、秘書から渡された範囲だけを担当する専門スタッフです。
たとえば、次のような担当が考えられます。
- リサーチ担当は、企画に必要な情報と根拠を集める
- 企画担当は、視聴者とチャンネル方針に合う動画案を作る
- 台本担当は、言葉と画面の流れを設計する
- 制作担当は、素材整理や動画制作を進める
- 品質確認担当は、事実、権利、映像、投稿内容を点検する
- 分析担当は、公開後の数字を比較し、改善案を作る
毎回すべての担当を動かす必要はありません。秘書が作業内容を見て、独立して進められる仕事だけをサブエージェントへ渡します。
この段階で「サブエージェント? よく分からない……」となるかもしれませんが、安心してください。
「人間」は窓口である「秘書役のメインエージェント」とチャットをするだけです。いつもChatGPTにチャットする感覚のままで構いません。
あとは「秘書」が依頼内容に応じて「サブエージェント」へ作業を振り分けます。「人間」が一人ひとりの担当へ指示を出したり、作業の途中経過をすべて把握したりする必要はありません。
社長が、各社員の細かな作業工程まで直接管理せず、責任者から要点の報告を受けるイメージです。
4-2. なぜメインエージェントだけでは足りないのか
ここで、「そもそもなぜサブエージェントなんかが必要なのか?一つのAIだけでは駄目なの?」という疑問を持たれる方がいるかも知れません。
単発の短い仕事なら、メインエージェントだけでも十分です。
しかし、YouTube運用は長く続きます。企画の相談、調査結果、台本、素材情報、制作中の試行錯誤、確認記録、公開後の数字が、同じ会話へ次々に増えていきます。
これは、一人の秘書の机へ全部署の資料を積み上げ続けるようなものです。
資料が増えるほど、大切な方針や今回の指示が埋もれ、別の企画の情報を混ぜたり、確認すべきルールを見落としたりしやすくなります。さらに、秘書自身が調査や制作へ追われると、全体を見て判断する役割まで弱くなります。人間に置き換えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
「いやいやAIは機械なんだから、人間と違っていくらでも処理できるんじゃないの?」と思うかもしれません。しかし実際には、抱える情報が多くなればなるほど、どの情報が今の作業にとって重要なのか、本来の目的は何だったのかを見失う傾向があります。これは人間の秘書が資料の山に埋もれて優先順位を見誤るのと、驚くほどよく似た現象です。
そこで、作業用の机を分けます。
リサーチ担当には調査に必要な情報だけ、台本担当には視聴者と構成のルールだけ、品質確認担当には完成条件と確認項目だけを渡します。各担当は余計な情報に振り回されにくくなり、自分の仕事へ集中できます。
秘書は大量の途中経過を抱えず、各担当から要点と成果物だけを受け取ります。そのため、メインの会話には、チャンネル方針、人間の決定、現在地、最終成果物という大切な情報を残しやすくなります。
担当を分ける利点は、ほかにもあります。
- 調査と素材確認など、互いに待つ必要がない仕事を同時に進められる(サブエージェントは複数のAIが同時に作業できる)
- 制作担当とは別の担当が確認するため、思い込みや見落としを発見しやすい
- 一つの担当が間違えても、その結果を秘書が確認してから全体へ反映できる
- 担当ごとに使う資料と道具を絞れるため、今回やるべき仕事が明確になる
つまり、メインエージェントの能力が低いから分けるのではありません。秘書を調査、制作、確認で手いっぱいにせず、方針の管理、仕事の割り振り、結果の統合に集中させるために分けます。
ただし、簡単な作業まで何でもサブエージェントへ任せる必要はありません。担当を増やすほど、確認や取りまとめの手間とAIの利用量も増えます。秘書が一人ですぐ終えられる仕事はそのまま行い、独立して進められる仕事、専門的な確認が必要な仕事、途中情報が多くなる仕事だけを分担します。
4-3. 秘書へ残す仕事
秘書役のメインエージェントは、単なる連絡係ではありません。運用全体の文脈を持つ責任者です。
秘書へ残す仕事は次のとおりです。
- 人間(あなた)から目的と制約を聞く
AGENTS.md(AI社員が守る共通ルールのファイル)やチャンネル方針を確認する- 今回の作業を分解する
- サブエージェントへ担当範囲と完成条件を伝える
- 複数の結果に矛盾がないか確認する
- 採用案を一つにまとめる
- 方針、進捗、数字、判断履歴をファイルへ反映する
- 人間(あなた)へ更新内容と確認事項を報告する
メインの会話には、目的、決定、承認事項、最終成果物を残します。大量の検索結果、途中の試行、検査ログなどはサブエージェント側で処理し、秘書は要点だけを受け取ります。
4-4. 人間へ残す仕事
人間が担当するのは、能力の問題ではなく責任のある判断です。
- 誰に何を届けるチャンネルなのかを決める
- チャンネル方針の大きな変更を承認する
- AIが出した事実や強い表現を確認する
- 素材の利用条件、著作権、肖像、商標を確認する
- 操作対象のGoogleアカウントとチャンネルを確認する
- 完成動画を実際に見て品質を判断する
- 公開、予約、削除、権限変更を承認する
- 次に採用する改善策を決める
大切なのは、「AIに何ができるか」ではなく、「誰が何に責任を持つか」を最初に決めることです。
5. 最初は三段階で進める
5-1. 第一段階は秘書と記録を作る
最初に作るのは、自動投稿の仕組みではありません。
秘書役を決め、チャンネルの方針、現在の進捗、次の仕事、判断履歴をファイルへ残せる状態を作ります。企画や台本はAIチームが作り、投稿操作は人間が行います。
5-2. 第二段階は制作を分担する
1本分の流れが見えたら、リサーチ、台本、素材整理、制作、品質確認をサブエージェントへ分担します。
秘書は担当を割り振り、結果をまとめ、動画ごとの制作フォルダを更新します。完成動画は人間が確認します。
5-3. 第三段階は投稿と分析をつなぐ
制作が安定したら、非公開アップロードや数値取得を仕組み化します。
公開後は、数字を分析担当が整理し、秘書が改善案と判断履歴を次の企画へつなげます。公開は人間の承認後に行います。
まずは第一段階だけで十分です。動画を1本も作っていないうちから、複雑な自動化を組む必要はありません。
6. ここから有料部分
ここからは、秘書型AIチームの仕事場を実際に作り、企画、制作、品質確認、YouTubeアナリティクスの取得、非公開アップロード、予約投稿までつなぐ実践編です。
画面操作や許可が必要な場面では人間が判断し、それ以外の準備、確認、記録更新は秘書へ任せる流れで進めます。
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