「今週末どこか行きたい」で止まるとき、止まっているのは行き先じゃなくて日付のほうだったりします。カレンダーを開いて予定の隙間を目で追って、金曜は何時に上がれるか数えて、そこで力尽きる。この「空き日を数える」工程をまるごとAI側に渡せるのか、カレンダー接続型の旅行AIを調べてみました。
決まらないのは行き先じゃなくて、日付のほうでは?
弾丸旅の段取りって、行き先を決めるところは実はそんなに時間がかかりません。京都か金沢か、で悩んでいる時間は楽しい時間なので、あれは計画の負荷にカウントされないんですよね。
詰まるのはその手前です。カレンダーを開いて、今月あと何日空いているのかを目で数えて、金曜の夜に出られるのか土曜の朝からなのかを確定させる。ここは楽しくないのに手間だけかかるので、多くの人が「また今度でいいか」に流れます。
AIに旅程を頼むときも、同じ壁が残っていました。「11月8日から10日で金沢」まで自分で決めてからでないと投げられない。つまり日付を決める作業は、これまでずっと人間側に残っていたわけです。
空き日を数える手順のうち、どこがAI側に渡るか。
自分でやると、手順はだいたいこうなります。1. カレンダーを開いて先の1カ月を眺める。2. 2日以上続けて空いている枠を探す。3. その前後の予定の終了時刻と開始時刻を見る。4. 出発できる時間と帰ってこないといけない時間を割り出す。5. ようやく航空券サイトに日付を入れる。
カレンダーに接続するタイプのAI旅行エージェントは、この1から4を引き取る設計になっています。予定表そのものを読んで、空いている枠を見つけて、その前後の予定に合わせて出発便と帰着便の時間帯を絞る。人間に残るのは5の「候補を見て選ぶ」ところだけです。
その代表格が Stardrift です。サンフランシスコの Kopfkino, Inc. が作っているAI旅行プランナーで、チャットで相談すると航空券とホテルを横断して探し、編集できる地図付きの旅程にまとめてくれます。公式サイトではフライトと鉄道を、航空会社や出発時刻の好みで絞れることも挙げられています。
これの何が嬉しいか。「朝9時に打ち合わせが入っている日に、朝6時発の便を提案されない」という状態になることです。空き日を数える作業が消えるというより、空き日の判定基準ごと渡せる、と言ったほうが近いです。
カレンダーの何が読まれているのか。
仕事の予定表をAIにつないで大丈夫なのか、気になりますよね。確認できた範囲だけ書きます。同期先として名前が挙がっているのは Google カレンダーと Outlook の2つです。加えて Gmail をつなぐと予約確認メールを自動で検出して旅程に取り込めますが、こちらはベータ扱いと明記されています。
一方で、予定表のどの項目まで読み取るのか、つまり件名だけなのか参加者や場所まで見るのかは、公式ページに具体的な記述が見当たりませんでした。仕事のカレンダーをそのままつなぐかどうかは、ここが分からない前提で判断したほうがいいです。
私が安全だと思うのは、個人用のカレンダーだけをつなぐやり方です。仕事の予定は「終日ブロック」として個人カレンダー側に薄く写しておけば、空き日の判定には十分効きます。会議の中身をサービス側に渡さずに、日付の形だけを渡せます。
日本発の便は出るのか?
羽田や成田から乗れるのか。ここが一番聞きたいところだと思うので正直に書くと、確認できませんでした。
公式には対応国や航空会社のカバレッジ一覧が公開されていません。フライト検索の説明には「主要航空会社の多くと、多数の地域系キャリアを横断して探す」とある程度で、日本発の便がどこまで拾えるかを示す一次情報は見つかりませんでした。日本国内を周遊するプランニングの例は公式ブログにありますが、それは「日本の中をどう回るか」であって「日本から出発できるか」の証明にはなりません。
なので今のおすすめは、日付の確定までをAI側に任せて、航空券の最終確認は普段使っているサイトでやる分担です。空き日と出発可能な時間帯さえ出してもらえれば、そこから先の検索は3分で終わります。面倒だったのは数えることであって、検索そのものは面倒じゃなかったはずなんですよね。
無料の範囲と、有料になるライン
基本的な旅程づくりは無料で使えます。アカウント登録も無料で、フライトを検索して候補を比べて旅程を組むところまでは費用がかかりません。
そのうえで Pro プランがあり、月9.99ドル(約1,500円)または年99.99ドル(約15,000円)と案内されています。週末旅を年に数回組むだけなら、無料の範囲で足ります。iOSアプリも無料で配信されていて、アプリ側でも予約メールの取り込みや旅程の共同編集が使えます。
英語でのやり取りが面倒なら、どうするか。
Stardrift は現状、英語のみです。App Store の対応言語も英語だけで、公式サイトにも日本語版はありません。「Find me a weekend trip from Tokyo in November」くらいの英文を書くのが苦にならないなら問題ないですが、そこで止まるなら別の手があります。
日本語のまま「カレンダーを見て空き日を出す」だけをやらせるなら、Gemini と Google カレンダーの連携で足ります。「今月、2日続けて空いてる日はいつ?」と聞けば、予定の入っていない枠を拾って答えてくれます。旅行専用の機能ではないので運賃やホテルまでは出ませんが、冒頭で詰まっていた「日付を確定させる」工程はこれでも抜けます。
日付さえ出てしまえば、そこから先は使い慣れたツールに渡せばいいです。候補日を3つもらって、いつもの航空券サイトに入れて、安いほうを取る。英語を避けたまま、手間の重い部分だけ削れます。
予定表がそのまま旅程になる日、ならない日
自分はこのやり方が向くほうなのか。判断はカレンダーを開けば一瞬で付きます。
向くのは、予定が読める形でカレンダーに入っている人です。会議も私用も全部入れていて、空白が本当に空白を意味しているなら、空き日の判定はAIのほうが速いし正確です。
向かないのは、カレンダーがスカスカな人です。予定を頭で覚えている派だと、空白の日に実は用事が入っていて、出てきた候補日を順に潰していくことになります。それなら自分で数えたほうが早いです。
つまりこれは旅行ツールの話というより、自分のカレンダーがどれだけ現実を写しているかのテストでもあります。今週末が決まらない人は、まず来月の予定をカレンダーに全部入れてみてください。空き日は、数える前から見えているかもしれません。



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