金曜の夜、行き先だけ決まっていて旅程は白紙。
この状態から検索画面に話しかけるだけで、フライトも宿も食事も入った1枚の旅程表が返ってくる機能が、Canvasという名前で動きはじめています。
ただし今の日本からは使えませんし、仮に使えたとしても、出てきた表のまま出発できるかは別の話です。
検索が旅程を作るとは、どういうことか。
AIモードに旅の条件を話すと、Create with Canvasというボタンが出てきます。
押すと画面の横にパネルが開いて、そこに旅程が組み上がっていく。
中身はフライトとホテルのリアルタイムな検索データ、Googleマップの写真とレビュー、それにウェブ全体から拾った情報です。
面白いのは、できあがった旅程を会話のまま直せるところ。
「予算をもう少し上げたい」と打てばパネルの中身が組み替わりますし、行き先が決まっていなければ写真をアップロードして「こういう場所に10日間行きたい」と頼むこともできます。
作りかけで閉じても履歴から再開できて、共有リンクを渡せば同行者が編集して返してくれる。
つまり、予約サイトを7つ開いてタブを行き来しながら突き合わせる、あの30分を丸ごと消しにきている設計です。
旅程づくりで本当にしんどいのは決めることではなく、決めるための材料を集めて並べ直す工程なので、そこを潰しにいくのは筋がいいと思います。
登場したのは2025年11月。
最初は米国のデスクトップで、しかもGoogle Labsの実験に参加している人しか触れませんでした。
2026年4月には米国の全ユーザーに開放されています。
ただし対象は今も米国での英語の検索で、日本語環境はまだ入っていません。
今の日本で旅程づくりに使えるのはどれか。
ここがややこしいところで、Googleの旅行まわりの機能は、ひとつずつ提供範囲が違います。
日本から触れるものと触れないものを分けると、こうなります。
AIモードそのものは日本語で普通に使えます。
「金曜21時に東京を出て1泊2日、温泉と朝ごはんが目的」くらいの条件を投げれば、行き先の候補と大まかな時間割は返ってきます。
旅程の骨組みまでなら、ここで作れる。
お得なフライトのほうは、行き先も日付もまだ決まっていない人向けの機能です。
「12月の3連休でどこか暖かいところ、直行便だけ」と話しかけると、条件に合う目的地と日付を向こうから提案してくる。
300社以上のパートナーの在庫から探してくれます。
弾丸旅とは相性のいい考え方ですが、まだベータ版で、複数都市をまわる検索や5人以上のグループ検索には対応していません。
惜しいのがホテルの価格追跡で、これは全世界向けに出ているのに、対応言語が英語とスペイン語しかありません。
日本語で使えるようになるまでは、もう少し待ちです。
結局、日本から今できるのは、行き先を絞ることと骨組みを出すところまで。
そこから先、1枚の旅程表に固めて持って出られる状態にするのは自分の手です。
そして埋めるべき場所は、だいたい決まっています。
AIが組んだ旅程が、ほぼ確実に落とす3か所
旅程をAIに生成させると、Canvasだろうが日本語のAIモードだろうがChatGPTだろうが、同じ場所が抜けます。
週末弾丸旅の旅程を組むたびに毎回直しているのが、この3か所です。
1: 移動の実時間
AIは「京都駅から嵐山まで20分」と書いてきます。
合っています。
ただしそれは電車に乗っている時間であって、改札まで歩く時間も、次の1本を待つ時間も、降りてから店にたどり着く時間も入っていません。
実際には倍近くかかる。
1日に4回移動すれば、それだけで1時間以上ずれます。
夕方の予定が押していくのは、たいていここが原因です。
2: 最終電車
AIの旅程は「20時 夕食」で気持ちよく終わります。
でも、その店から今夜の宿に帰れるかどうかまでは見ていません。
都心の感覚で組まれた時間割を地方に持っていくと、路線によっては最終電車が21時台に出ていきます。
2日目も同じで、最後の予定と帰りの新幹線や飛行機の最終便のあいだに何分残っているかは、まず計算されていない。
弾丸旅で一番痛いのがここです。
3: 開店時刻
弾丸旅は朝がすべてです。
1泊2日で回れる数はもともと限られているので、朝イチの1軒が閉まっていると、その日の時間割が丸ごと後ろにずれます。
AIが持っている営業時間はウェブ上の情報の寄せ集めなので、定休日が変わっていたり、開店が11時のはずが11時半だったりする。
「そんな細かいこと」と思うかもしれませんが、30分は弾丸旅では1軒ぶんです。
この3つ、直すのに15分もかかりません。
乗り換え案内で実時間を引き直して、終電を1回調べて、朝イチで行く店の営業時間を公式の告知で確かめる。
それだけです。
でも直さないと、AIが出した旅程は最後まで「よくできた読み物」のままで、出発できる旅程にはなりません。
任せる線を、どこに引くか。
Canvasが日本に来たら、骨組みの精度は確実に上がります。
フライトと宿が実データで入って、店の評価がマップから引かれて、会話で組み替えられて、同行者と共有できる。
ここまで揃うと、候補を集めて並べる作業を人間が抱えている理由はほとんどなくなります。
一方で、公式の説明にある「宿泊先からの移動時間をふまえて提案する」は、そのまま「終電に間に合う」を意味しません。
移動時間を織り込むことと、その日の最後の1本に乗れることは、別の計算だからです。
車で動く前提の土地で磨かれた最適化が、鉄道で動く日本の週末旅にそのまま効くかどうかは、日本語環境で提供されてから確かめるしかありません。
なので、線はこう引いています。
候補出しと並べ替えはAIに投げる。
人間が最後に見るのは時刻だけ。
乗り換え込みの移動時間、最終電車、開店時刻の3つです。
次にAIで旅程を組んだら、出てきた表の時刻に3回だけ赤を入れてみてください。
それだけで、読み物だった旅程が持って出られるものに変わります。



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