ココナラのAI導入カテゴリに出品したものの、価格を下げないと問い合わせすら来ない。
あるいは、今から出したところで埋もれるだけではないか。
会員550万人・累計出品100万件のうち、AI導入カテゴリだけで5,105件。
この市場で出品1件にいくら落ちてくるのか、手数料22%を引いた手取りまで計算しました。
ココナラのAI導入カテゴリに並ぶ出品は5,105件
会員登録数550万人、累計の出品サービス数100万件。
流通総額は2025年8月期で172億2,833万円、前期比8.8%増。
これがココナラという場の全体像です。
このうちAI導入・生成AI活用相談のカテゴリに並んでいるのが5,105件です(2026年5月時点)。
ChatGPTの社内活用支援、画像生成の代行、AI記事制作の代行あたりが中身になります。
5,105件が多いのか少ないのかは、この時点では判断できません。
ただ、運営側の動きは参考になります。
2026年7月3日のお知らせでは「出品数が少ない今がチャンス」という見出しを掲げて、AI動画生成、AI音楽・ナレーション生成、AI学習用データの提供といったカテゴリが新しく増設されました。
読み違えたくないのは、そのチャンスが誰にとってのものかです。
プラットフォームの収益は流通総額に手数料を掛けたものなので、出品が増えて購入者の選択肢が広がること自体が運営の利益になります。
出品者一人あたりの取り分が守られるかどうかは、まったく別の話です。
流通総額172億円を出品数で割ると1件あたりいくら残るか
割り算をします。
172億2,833万円を累計出品100万件で割ると、1件あたり年17,228円。
月に直すと1,436円です。
ここから販売手数料の22%が引かれるので、出品者の手元に残るのは年13,438円、月に均すと約1,120円になります。
もちろん乱暴な平均です。
累計出品数には販売を止めたサービスも含まれるので、いま動いている出品はもっと少ない。
現役の1件あたりの実額は、この数字より上に来ます。
それでも桁の感覚は掴めます。
放っておけば月に数万円が落ちてくる、という場所ではありません。
そして平均は平均でしかありません。
実績と評価が積み上がっている出品ほど選ばれるので、流通は上位に寄ります。
5,105件の下半分は、月1,120円すら回っていないと考えたほうが現実に近いです。
流通総額の伸びが前期比8.8%だったことも押さえておいてください。
パイは伸びていますが1桁台です。
出品がそれより速いペースで増えれば、1件あたりの取り分は下がります。
販売手数料を引いた手取りを時給に直す
ここは正確な数字が公開されています。
出品者にかかる販売手数料は22%(税込)。
内訳は手数料20%に消費税を乗せたものです。
ビデオチャットで提供するサービスだけは27.5%になります。
購入者にも別途5.5%(税込)がかかります。
買う側と売る側の両方から取る設計です。
購入者が10,550円払って、出品者に届くのは7,800円。
差額の2,750円は、購入者が払った金額の約26%にあたります。
これを時給に直します。
1万円でAI導入の相談を受けるとして、事前ヒアリングに1時間、資料と設定手順の作成に3時間、説明に1時間、その後の質問対応に1時間。
合計6時間で手取り7,800円なので、時給1,300円です。
しかもここに営業の時間が入っていません。
提案文を書いて返信して、を5件繰り返して1件受注しているなら、時給はさらに落ちます。
なぜAI導入カテゴリだけ価格が下がりやすいのか
理由は3つあります。
1. 参入に必要なものがほぼない
主要な生成AIの有料プランは月数千円で、資格も設備も要りません。
イラストや動画編集のカテゴリなら技術の習得に年単位かかりますが、AI導入相談は昨日始めた人も同じ棚に並びます。
供給が詰まるのが速いカテゴリです。
2. 新規参入者に値下げ以外の武器がない
検索結果で購入者が比べるのは、価格、実績件数、評価の3つ。
このうち新規参入者が今日動かせるのは価格だけです。
出品の始め方を解説する記事では、実績がつくまで相場の7割から始めるやり方が定番として紹介されています。
全員がそれをやれば、相場そのものが7割まで下がります。
3. 最低価格の下限が低い
カテゴリによりますが、ココナラの最低サービス価格は低いところで500円からです。
下限が低いということは、体力のある出品者がそこまで下げられるということでもあります。
裏付けもあります。
ココナラは一部のカテゴリで最低販売価格を引き上げる措置を取っていて、その理由として挙げられているのが、最低価格での出品を繰り返す人が増えて質が落ちる傾向でした。
値崩れは、運営が制度で止めにいくレベルで起きている現象です。
これはココナラだけの話でもありません。
クラウドワークスは2026年9月期第1四半期の営業利益が前年同期比マイナス84.4%で、会社自身が理由を「AIによるワーカー需要の変化」と説明しています。
それでも単価が取れている出品者は何を売っているか
価格を保てている出品が売っているのは、「AIの操作」ではありません。
- 業種と業務を名指しする。「AI導入相談」ではなく「整骨院の予約電話をAIで受けるところまで」のように絞ると、5,105件の中で比較される母数が自分から数十件まで落ちます
- 納品後に残るものを含める。設定だけでなく、社内向けの手順書と、担当者が変わったときの引き継ぎまで。ここが入ると「誰でもできる作業」から外れます
- 責任範囲を先に書く。どこまでやってどこからが別料金かを明示しておく。安い出品ほどここが曖昧で、値引き交渉の余地を自分で作っています
逆に「使い方を教えます」「プロンプトを作ります」のように操作そのものを売っている出品は、5,105件の中で価格でしか区別がつきません。
そして下限は500円まで開いています。
単価の分かれ目そのものは、ココナラに限らずAI副業全体で同じ形で起きています。
今から出品するか続けるかを決める2つの判断基準
参入を迷っている人と、すでに出していて伸びない人とでは、見るべき数字が違います。
これから出すなら、判断は「時給1,300円を実績への投資として払えるか」です。
実績ゼロから始めるなら最初の数件は相場より安く出すことになるので、時給はここからさらに下がります。
それを授業料として払えるなら、出す価値はあります。
今月の家計に効かせたい副収入としては向いていません。
すでに出していて伸びないなら、月の売上を出品数で割ってみてください。
出てきた数字が1,120円前後なら、それは平均どおりです。
出品ページの書き方が悪いのではなく、5,105件の中で平均的な位置にいるというだけ。
文言を直すより、カテゴリと業種の絞り込みを変えるほうが効きます。
どちらにしても、22%という固定コストは交渉できません。
この22%を外して単価を作る話は別で整理しているので、合わせて読んでみてください。
今日できることを1つだけ挙げるなら、AI導入カテゴリを価格の安い順に20件開いて、自分が出そうとしているサービスと同じものが何件あるかを数えることです。
同じものが並んでいるなら、勝負するのは価格になります。
並んでいないなら、それが5,105件の中で選ばれる理由になります。






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