AIで語学学習は不要になるのか、Duolingo CEOの答え

えま
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@emma_ldn 6本

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「AI翻訳がここまで来たなら、もう英語を勉強しなくてもいいのでは」。

その疑問に、語学アプリ最大手Duolingoの共同創業者兼CEOルイス・フォン・アーンさんが、投資家の前で正面から答えていました。

その答えは、個人の学習のやり方にもそのまま効いてきます。

Duolingoが生成AIで1年に148コースを出せた理由とは?

2025年4月30日、Duolingoは148の新しい語学コースを一度に公開しました。

それまでの提供数を一気に倍以上にした、過去最大の拡張です。

フォン・アーンさんの説明が分かりやすいんです。

「最初の100コースを作るのに約12年かかった。それが今は、1年ほどで150近い新コースを作って公開できる」。

12年が1年になったわけです。

これまで採算が合わずに作られてこなかった言語の組み合わせが、一気に成立するようになった、という意味でもあります。

やり方自体はシンプルで、土台になる質の高いコースを1本しっかり作り、それを何十もの言語向けに素早く作り替える。

ゼロから言語ごとに組み上げるのではなく、1本を型にして展開するわけです。

結果として、スペイン語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・中国語という人気の7言語が、対応する28の表示言語すべてから学べるようになりました。

日本語の画面から選べる学習言語も増えています。

AIで語学学習の需要は減るのか、CEOはどう答えたか。

ノートとスマホが並んだ机の上で、翻訳アプリの画面と英語の書き込みを見比べている手元のイラスト

2026年9月9日、Citiが開いた投資家向けのカンファレンスで、「AI翻訳が発達したらDuolingoのビジネスは終わるのでは」という懸念が出ました。

フォン・アーンさんの答えはこうです。

そうなるという根拠は何もありません。私たちのユーザーの伸びは、むしろ加速しています。

注意したいのは、これが148コースの発表とは別の場での発言だということ。

148コースは2025年4月、この回答は2026年9月の投資家向けの発言で、時期も文脈も違います。

ひとつながりの話として語られがちなので、切り分けて読んだほうが正確です。

では「加速している」は本当なのか。

デイリーアクティブユーザー、つまり毎日使っている人の数の伸び率は、2025年は四半期ごとに49%、40%、36%、30%と下がり続けていました。

それが2026年4〜6月期は5,870万人で前年同期比23%増、伸び率が前の四半期から上向いたのは2年ぶりです。

水準そのものは2025年より低いままですが、直近の向きとしては発言を裏付けています。

この会社は2025年4月に「AI-first」を掲げた社内メモが広まってユーザーから強い反発を受けた経緯もあるので、CEOの言葉をそのまま成功談として受け取る必要はありません。

ただ、彼が挙げた根拠のほうは、学習者として知っておく価値があります。

AI翻訳が進んでも英語学習が減らないのはなぜか。

カフェの机に開いた英語のノートとイヤホン、横の吹き出しに会話文が書き込まれたイラスト

根拠は、ユーザーをきれいに半分に割るところにあります。

半分は趣味で学ぶ人、翻訳の精度は関係ない

ユーザーの半分は趣味で学んでいる人たちです。翻訳の精度が高いかどうかを気にしているとは思えません。

フォン・アーンさんが別の場でよく持ち出すのが、チェスの例えです。

コンピュータが人間より強くなったのは1997年で、そこから30年近く経ちますが、チェスを習う人はいなくなっていません。

強いソフトが存在することと、自分が指せるようになりたいことは、そもそも別の話なんですよね。

もう半分は自分の言葉で話す必要がある人

残りの半分は英語を学んでいて、本気で英語を身につけたいと思っている人たち。

ここは翻訳アプリでは埋まりません。

会議に割り込んで発言する、面接で聞かれたことに答える、食事しながら雑談する。

どれもスマホを一度挟むと成立しない場面です。

「訳せる」ことと「自分の口から出る」ことは、まったく別の能力なんですよね。

AIの進化で目減りするのは「訳す作業」であって、「話せるようになりたい」という需要ではない。

仕事で英語が要る人は後者の半分にいる前提で組み立てたほうがよくて、そう決めると次にやることもはっきりします。

Duolingoがやったことを、個人の英語学習でどう真似るか。

面白いのは、Duolingoが生成AIでやったことの中身です。

土台を1本作って、用途ごとに作り替える。

この発想、個人の学習にもそのまま持ち込めます。

私がよくやるのは、シャドーイング教材の自作です。

市販の教材は場面が自分と噛み合わないことが多いので、自分の仕事で実際に起きる場面から作ります。

同じ時間をかけても、定着の仕方がまるで違います。

手順はこうです。

  1. 場面を決める。「海外拠点との定例で遅れを報告する」のように、実際に起きることを1つ選びます
  2. AIチャットに英文スクリプトを書かせる
  3. 自分の言い回しを混ぜる。日本語で書いたメモをDeepLで英語にして、AIに「話し言葉として自然か」を直してもらうと、自分ごとの例文になります
  4. 音声で読み上げさせて、シャドーイングする
  5. 同じ場面をAI英会話で話してみる

2のプロンプトは、これくらい具体的に指定すると精度が上がります。

次の場面で使う英語のスクリプトを作ってください。

場面: 海外拠点との定例ミーティングで、進捗の遅れを報告して代替案を提案する
話者: 私(英語は中級。難しい単語は避けたい)
長さ: 60秒程度、8〜10文

条件:
- 書き言葉ではなく、自然な話し言葉にする
- 各文に日本語訳を付ける
- 使い回せる表現を3つ、理由付きで挙げる

ここまでで30分もかかりません。

Duolingoが148コースでやった「1本の型を多言語に展開する」を、「1本の型を自分の場面に展開する」に置き換えているだけなんです。

AI時代の英語学習で、何をAIに任せて何を自分で持つか。

AIに任せていいのは、教材づくり、訳と語注、発音のチェック、それから何度でも付き合ってくれる練習相手の役です。

ここに自分の時間を使う理由は、もうほとんどなくなりました。

自分で持つのは、口から出るまでの反復と、自分の言葉のストック。

ここだけは代わってもらえません。

フォン・アーンさんの二分論を個人に落とすと、こうなります。

翻訳の精度を気にしなくていい場面なら、AIに預けてしまえばいい。

自分の言葉で話したい場面がひとつでもあるなら、その練習は自分でやるしかない。

AI翻訳が進んだから勉強しなくていい、ではなく、AIがあるから練習量を増やせる。

私はそう受け取っています。

まずは英語が必要になる場面を1つ書き出すところから始めると、教材づくりまでは今日中に終わりますよ。