面接でAIを使っていいのか、志望企業の募集要項を読んでも書いていないことがほとんどです。
ところが海外企業の方針を並べてみると、使ったら選考終了という会社と、むしろ使ってくださいと言い切る会社が同じ年に共存していました。
どちらに当たるかで正解が真逆になるので、面接前に確かめる方法まで整理しておきます。
面接官の81%が、候補者のAI利用を疑ったことがある
技術面接のプラットフォームを運営するinterviewing.ioが、現役の面接官67人に聞いた調査があります。
うち52人はFAANGと呼ばれる大手テック企業の所属です。
結果は、81%が「この候補者、AIを使っているのでは」と疑った経験があると回答しました。
実際に見つけたことがある人も約3分の1います。
さらに75%が、AIの助けがあれば本来なら落ちる候補者も通ってしまうと考えていました。
背景にあるのは、面接中にリアルタイムで答えを出すAIツールの普及です。
画面の外で面接官の質問を聞き取って、模範解答を候補者側の画面に表示する。
プロンプターのような使い方ができてしまうので、企業側が黙っていられなくなりました。
一覧で見る、企業ごとに真逆のAI面接ルール
2025年から2026年にかけて表に出てきた方針を並べると、こうなります。
禁止から必須まで、同じ時期の話とは思えない振れ幅が一直線に並んでいます。
正直、ここがいちばん驚いたところでした。
使ったら選考終了、禁止に振り切った企業
Amazonは社内向けのガイドラインで、明示的に許可された場合を除いて面接中に生成AIツールを使わないよう候補者に求めています。
守らなかった場合は選考から外れる可能性がある、とはっきり書かれています。
理由として挙げられているのは、不公平な優位性が生まれることと、本当の実力が測れなくなることです。
面接官向けには、見分け方のサインまで共有されています。
質問を受けている最中にタイピングしている、自然に答えるというより読み上げている、視線が画面の別の場所に泳いでいる。
このあたりが挙がっています。
Goldman Sachsは学生向けの選考案内メールで、ChatGPTを含む外部ソースの使用を選考プロセス中は禁止すると通知しました。
検索エンジンまで名指しされています。
その代わり、決算資料や企業理念を読み込んで準備してきてほしい、というのが会社側の言い分です。
EYも、選考アセスメントでの生成AI利用は認めていません。
ルールを作るより対面に戻す、というもう一つの答え
禁止と書いたところで、オンライン面接では守られているかどうか確かめようがありません。
そこで別の手を打った企業があります。
GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイさんは、ポッドキャストで少なくとも1回は対面の面接ラウンドを戻すと話しています。
McKinseyも採用担当に、候補者と最低1回は対面で会うよう求めるようになりました。
McKinseyが挙げた理由が印象に残りました。
クライアントと組むうえで核になる、判断力や共感、創造性、つながりといった自動化できない資質を見るには、顔を合わせる必要がある。
不正対策というより、そもそも面接で何を見たいのかという話に立ち戻っています。
Gartnerの調査では、採用リーダーの72.4%が不正対策として対面面接を実施していると回答しました。
もう一部の企業だけの話ではありません。
むしろ使ってくださいと言い切った企業もある
逆方向に振り切ったのがCanvaです。
2025年6月、エンジニアリングブログで「面接でAIを使っていい。というより、使ってほしい」と公表しました。
対象はバックエンド、フロントエンド、機械学習のエンジニア職。
技術面接でCopilotやCursor、Claudeなど、候補者が普段使っているツールをそのまま持ち込ませます。
面白いのは、問題のほうを作り替えたことです。
従来のアルゴリズム問題をやめて、曖昧で複雑な、現実の開発に近い課題に変えました。
見ているのは、どこでAIを使うと判断したか、AIが出したコードの問題に気づいて直せるか、本番に出せる品質か検証できるか。
AI経験が浅い候補者は、コードが書けないからではなく、AIをどう導けばいいかの判断ができずに苦戦したそうです。
Metaも2025年10月から、オンサイトのコーディング面接2枠のうち1枠を、AI利用前提の形式に置き換え始めました。
CoderPad上でファイル一覧とエディタとAIチャットの3画面が並び、GPTやClaude、Gemini、Llamaから使うモデルを選べます。
同じ会社の中でも、方針は割れている
「じゃあ会社ごとに覚えればいいのか」と思いますよね。
ところが、そう単純でもありませんでした。
対面を戻したはずのGoogleは、2026年5月にGeminiを使わせるコーディング面接のパイロットを発表しています。
ジュニアとミドルのソフトウェアエンジニア職が対象で、米国の一部チームから始まりました。
評価するのはプロンプトの書き方、出力の検証、デバッグの力です。
対面回帰とAI前提化を、同じ会社が並行して進めています。
McKinseyも同じです。
対面面談を必須にしながら、一部の新卒候補者には自社のAIツールをケース面接で使わせるパイロットを走らせました。
もっと分かりやすいのがAnthropicです。
2025年5月に応募プロセスでのAI利用を全面禁止したのに、7月には方針を変えました。
履歴書やカバーレターの推敲、企業研究、想定問答の練習はOK。
ライブ面接と持ち帰り課題は原則NG。
理由は、自分たちは毎日Claudeを使っているのでAIとうまく協働できる人を採りたいから、でした。
全面禁止から一部解禁まで、たった2か月です。
会社名でルールを覚えても当てになりません。
職種でも、選考ステップでも、受ける年でも変わります。
志望企業のスタンスを、面接前に確かめる方法
やることはシンプルで、募集要項と選考案内メールのAI利用に関する記載を必ず読むところから始まります。
Amazonのように、規定への同意を求める形式を取っている企業もあります。
読み飛ばしておいて、後から知らなかったでは通りません。
書いていなければ、リクルーターにメールで質問します。
口頭で聞くと言った言わないになるので、文面で残るやり方が安全です。
「選考中のAIツール利用について、御社の方針を教えていただけますか」の一文で足ります。
回答が得られないまま本番を迎えるなら、禁止と見なして動いてください。
特に監視ツール付きのオンライン試験なら、迷う余地はありません。
一方で、安心してもらいたいこともあります。
準備段階でのAI利用を止めている企業は、調べた範囲では見当たりませんでした。
企業研究、想定問答の練習、職務経歴書の推敲。
ここでAIを使うことは、禁止に振り切ったAmazonもGoldman Sachsも問題にしていません。
むしろGoldman Sachsは、その分しっかり準備してきてほしいと言っています。
最後に、僕がずっと外さないようにしている一線があります。
AIが出した答えは、必ず自分の言葉に直してから使う。
この工程さえ挟んでおけば、どの会社のルールに当たっても慌てずに済みます。




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