G検定や生成AIパスポートを持っている人は、社内でもう珍しくなくなってきました。
その先にあるのは、AIを上手に使う資格ではなく、AIを止めたり監督したりする側に回る資格です。
2024年から動いているAIGPという国際資格がそれで、受験料は約12万円と重いのですが、出題範囲表だけなら今日タダで読めます。
AIを使う資格は増えたのに、AIを律する資格はまだ数えるほどしかありません
生成AIパスポートは受験料11,000円、G検定は13,200円で、どちらも日本語で受けられます。
受けやすいぶん、持っている人も増えました。
一方、AIを扱う組織の側には期限つきの宿題が積み上がっています。
EU AI Actは2024年8月に発効し、そこから段階的に適用が進んできました。
本来は2026年8月2日から高リスクAIの規制が動き出すはずでしたが、直前に発効したDigital Omnibusという改正で、単独の高リスクAIは2027年12月2日、製品に組み込まれたAIは2028年8月2日まで先送りされました。
この夏に実際に動いたのは、AIが生成したものだと分かるようにする透明性の義務と、当局側の執行体制が中心でした。
ただ、延期は撤回ではありません。
禁止されたAIの利用に対する制裁金は、世界売上高の最大7%というGDPRより重い水準のまま残っています。
しかもこの規制は日本企業にとっても他人事ではなく、AIを作って売る側だけでなく、社内でCopilotやGeminiを業務に使う「デプロイヤー」も義務の対象に入ります。
EU向けの事業や現地法人があれば、域外適用を受けます。
社内のAI利用を誰がどの基準で止めるのか。
それを決められる人の席が、期限つきで空いたままになっています。
AIGPとは、IAPPが認定する世界初のAIガバナンス資格です
AIGPはArtificial Intelligence Governance Professionalの略で、認定しているのはIAPPという国際団体です。
プライバシー分野のCIPPやCIPMといった資格を長く出してきた団体が、AIガバナンスの認定資格としては世界初を掲げて2024年4月に試験を開始しました。
認定の有効期間は2年です。
維持するには継続教育と更新の手続きが要るので、取って終わりではなく走り続ける前提の設計になっています。
4つの知識ドメインが問うのは、技術力ではなく統治の視点です
出題範囲は2026年2月2日に発効したBody of Knowledge v2.1で整理されていて、4つのドメインと13のサブドメインに分かれています。
- AIガバナンスの基礎になる考え方
- 法律や標準やフレームワークがAIにどう適用されるか
- AI開発をどう統治するか
- AIの導入と利用をどう統治するか
2番目のドメインには、EU AI Actだけでなく韓国のAI基本法や米国の州法、NIST AI RMF、ISO/IEC 42001までが入ります。
モデルの精度を上げる話は出てきません。
誰が責任を持ち、どこで止めるかを判断できるかどうかが問われます。
AIGPの試験は100問、3割がシナリオ問題で判断力を問われます
暗記だけで押し切れないのが、この試験の厄介なところです。
100問のうち3割ほどがシナリオ問題で、状況が示されたうえで「この場合どう判断するか」を選ばせる形式になっています。
用語カードで覚えた定義がそのまま答えにならない部分が、ここに集まっています。
持ち時間は2時間45分で、これに15分の休憩が付きます。
合わせて3時間と案内している資料もあるので、申し込むときに自分の受ける枠の表記を確認しておくと安心です。
採点は100点から500点に換算されたスコアで示され、300点以上が合格です。
500点満点の300点なので6割に見えますが、この点数は正答率そのものではありません。
受験はテストセンターに行くか、自宅からのオンライン監督で受けるかを選べます。
AIガバナンス人材の求人は年収1600万円、それでも人が足りていません
AIガバナンス協会は2026年6月5日に、AIガバナンス専門人材をAIGistと名付けて職能を確立するための1次レポートを公表しました。
会員企業への調査をもとにした内容で、役割の定義がまだ固まっておらず担い手も足りていない、という現状分析が中心です。
求人側の数字も出てきています。
AI・データガバナンスの担当者を年収上限1600万円で募集している国内の求人があり、全社横断のガバナンス方針をゼロから設計する役割で、情報セキュリティやデータガバナンスの実務経験が必須要件になっています。
ここは正直に書いておきます。
このレポートはAIGPのような海外資格を推奨しているわけではありませんし、国内の求人票にAIGP必須と書かれているものも、今のところ見当たりません。
日本ではまだ職能そのものが定義の途中です。
そこに国際的な共通言語で先に手を挙げる、というのが今のAIGPの立ち位置になります。
AIGPの受験料は約12万円、しかも試験は英語だけという現実
受験料はIAPPの非会員で799ドル、会員で649ドルです。
1ドル150円の概算で、約12万円と約9.7万円になります。
会員価格の方が150ドル安く見えますが、IAPPの年会費は295ドルなので、受験のためだけに入会すると合計では非会員価格を上回ります。
初回は非会員価格で見積もっておくのが現実的です。
費用の次に効いてくるのが言語です。
IAPPの資格にはフランス語版やドイツ語版が用意されているものもありますが、AIGPは英語だけです。
EU AI Actの条文用語もNISTのフレームワークも、英語のまま読むことになります。
さらに、認定を維持するには認定期間ごとに250ドル、日本円で約3.8万円の維持費と継続教育が必要になり、2年ごとの固定費として乗ってきます。
費用、英語、2年ごとの更新。
この3つを見たうえで、それでも受ける価値があるかを先に決めておきたい資格です。
AIGPの独学は、IAPPが無料公開している出題範囲表から始められます
いきなり12万円を払う必要はありません。
最初にやることは、IAPPが公開しているBody of Knowledgeと試験ブループリントを読むことです。
無料でダウンロードでき、4ドメイン13サブドメインの全項目と、どの項目から何問出るかの目安まで載っています。
これを英語のまま最後まで読めるかどうかが、いちばん安い適性チェックになります。
ここで手が止まるなら、受験料を払う前に英語の壁を先に片付ける順番です。
読み切れたら、次は毎日の反復に入ります。
AI Tutor付きの対策アプリなら、1日10問だけでも積み上がります
対策アプリのAIGP Exam Prep 2026は、2026年版のBody of Knowledge v2.1に対応した1500問以上を収録しています。
AI Tutorが付いていて、間違えた問題の用語をその場で聞き直せます。
EU AI Actでいうプロバイダーとデプロイヤーの違いのように、日本語の解説が薄い部分を英語のまま噛み砕いてもらえるのは独学で効きます。
1日10問なら、通勤の往路だけで終わります。
ただし、これはIAPPの公式アプリではなく独立系の教材です。
出題範囲の解釈がずれる余地は残るので、公式のBody of Knowledgeを手元に置いたまま使ってください。
本番の形式に慣れる段階まで来たら、IAPPが売っている公式の練習試験があります。
100問に解説が付いて非会員60ドル、日本円で約9,000円です。
受験料の1割以下で本番の出方を確かめられるので、申し込みボタンを押す前の最後の確認に向いています。
合格を保証できる勉強法はありませんし、この資格が日本で必須になる保証もありません。
それでも、AIを使う側から律する側へ回る入口は、無料の出題範囲表を1回読むところに置かれています。
今日はそこまでで十分です。




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