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深津貴之が語る、生成AIに足りないのは名作を作る力ではなく選ぶ力

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画像生成AIで同じプロンプトを100枚回したあと、どれを選ぶかで30分固まったことはありませんか。

全部それなりに見えてきて、逆にどれも選べなくなる、あの感覚です。

その正体を真正面から言葉にしている論考が、先日noteに上がっていました。

深津貴之さんがnoteに書いた、生成AIでワンピを超えられるかという問い

書いたのは深津貴之さんです。

note株式会社のCXOで、株式会社THE GUILDの代表取締役。

横須賀市のAI戦略アドバイザーやStability AI Japanのアドバイザーも務めていて、「深津式プロンプト」を考案した人でもあります。

2026年8月24日に公開されたタイトルが「生成AIでワンピを超える大ヒット名作を生成できるか?」でした。

先に押さえておきたいのは、この記事がAIの生成能力を否定する話ではないことです。

深津さんは「めちゃくちゃ面白い漫画のプロットを書いて」と頼めばそれっぽい作品は出てくるし、性能が上がれば面白い作品も作れるようになる、と書いています。

つまり生成側は認めたうえで、じゃあ何が足りないのかを詰めていく構成なんですよね。

そしてその答えが、画像生成をやっている身にはかなり刺さる場所にありました。

傑作を作る能力と、傑作を見つける能力は別

水彩で描いた 壁に並ぶ無数の絵の中から、虫眼鏡とスポットライトで1枚を選び出す様子のイラスト

AIが名作を出す確率について、深津さんはゼロだとは言っていません。

「確率的に名作が生まれる可能性は微小ながらある」が、我々人類もAIも、無数の作品からその大当たりを確実に選別する手段を持っていません。

出るかもしれない、でも出たときに「これだ」と拾い上げる手段を、人間の側もAIの側も持っていない。

そこから出てくるのがこの一文です。

「傑作を作る能力と、傑作を見つける能力は別」だったりします。

詰まっているのは生成ではなく、選別のほうだったわけです。

100枚の中に1枚だけ本当に良いものが混ざっていても、選べなければ存在しないのと同じなんですよね。

冒頭の「どれも選べなくなる感覚」の正体は、腕が足りないのではなく、評価する手段を持っていなかったことでした。

ワンピースと比べる時点で、比較の設計が壊れている

水彩で描いた 小さな新芽と、何十年もかけて育った大きな古木を並べたイラスト

記事の中でいちばん気持ちよかったのが、そもそもの比較の立て方を疑う部分でした。

深津さんは、私たちがこういう比べ方をしていると書いています。

「人類が何千万回も試行錯誤した末に残った歴史的異常値」vs「生成AIがいま1回出した作品」

ワンピースやドラゴンボールや鬼滅は、人類が何十年もコンテンツを作りまくった結果、生存競争を勝ち抜いたトップランカーです。

対する生成AIの出力は、いま1回引いた結果。

これを深津さんは「世紀末覇者とデビュー前新人を比べているわけですね」と表現しています。

しかも人類側は、1人の才能が単発で当てているわけでもありません。

ネームを作る、編集者が見る、直す、連載会議を通す。

作品が世に出るまでに、社会全体で生成と選抜が何段階も繰り返されています。

AIは単発生成、人類は無限生成。

同じ土俵に見えていたものが、試行回数も選抜回数も桁が違う勝負だったわけです。

この視点は、自分の生成物をプロの作品と並べて落ち込むときにも、そのまま効きます。

必要なのは、生成から再選抜まで7段階を回し続ける環境です

では不可能なのかというと、深津さんの結論はそこではありません。

記事では、回すべきループがこう示されています。

生成 → 評価 → 選抜 → 改稿 → 市場投入 → 反応 → 再選抜

生成して終わりではなく、市場に出したあとの反応をもう一度選抜に戻す。

7段階が閉じて初めてループになる設計です。

そのうえで、現状では3つの壁が立っていると挙げられています。

  • AIの作った作品が名作かどうかを、再現性をもって評価する方法がない
  • AIの作る100万コンテンツを評価する、スケーラブルな仕組みがない
  • AIの作った名作も、結局は「市場ガチャ」と戦う必要がある

市場ガチャというのは、作品の強さとは別に、発売された時代や競合作品や掲載媒体や口コミやアニメ化といった不確定要素の束のことです。

これらが解決しなければ「AIがワンピースを超えるヒット作を生み出す」というのは、まだ未来のお話になる。

産業レベルの話としては、ここが着地点になっています。

このループを、自分のプロンプト作業の大きさまで縮める

7段階のループは、出版産業のスケールを外しても形が壊れません。

個人の画像生成ワークフローに縮めて置くと、こうなります。

**評価を、生成より先に書く。

**

いちばん効いたのがこれでした。

生成してから良し悪しを判断すると、目が慣れて基準のほうが動きます。

プロンプトを書く前に、採用条件をテキストで3行だけ決めておく。

光源は左上から、人物の視線はカメラ外、背景の彩度は主役より低い。

この3行を先に置いておくと、100枚を上から順に落としていくだけの作業に変わります。

**選抜に配分する時間を、先に確保する。

**

生成が速くなった分、時間はほぼ全部プロンプト修正に吸われがちです。

生成30分なら選抜も30分、くらいの割り振りを最初に決めてしまう。

作る能力と見つける能力が別の技術なら、練習時間も別に要るはずなんですよね。

**落とした理由を、1行残す。

**

改稿の工程がここに当たります。

落とした画像に「手の指」「背景の建物のパース」とだけ書いておくと、次のプロンプトに載せる語彙がそこから出てきます。

捨てた99枚は、理由を書いた瞬間から次の生成の材料に変わります。

**出して、反応を取る。

**

市場投入と再選抜です。

手元で選んだ1枚と、SNSに出して伸びた1枚は、けっこうな確率で一致しません。

自分の評価軸のズレは、外に出さないと補正できないんですよね。

一発で当てにいくのをやめる

この論考を読んで一番変わったのは、生成回数の増やし方ではなく、選ぶ工程への態度でした。

傑作は偶然当てるものではなく、大量に出したうえで選び抜くもの。

そして選び抜く力は、プロンプトを書く力とは別の技術です。

次に画像を生成するとき、プロンプトを開く前に採用条件を3行書いてみてください。

それだけで、100枚の前で固まる時間がだいぶ短くなります。

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