毎月引き落とされている有料ツール、全部言えますか。
使うのは1つの機能だけなのに、そのために年1万円以上払っている、という状態は珍しくないと思います。
そのツールを解約して、代わりをAIに作らせた人が海外で出てきました。
有料ツールを解約して、AIに自分専用アプリを作らせた人がいます
Ben Tossellさんという海外のAIニュースレターの書き手が、9月の頭に立て続けにツールを自作しています。
まず、写真の背景を消すツール。
長く使っていたremove.bgが年内で閉じると知って、同じことをするものを自分で作った、という流れでした。
次に、AIモデルの利用量がどこにどれだけ流れているかを追いかけるトラッカー。
そしてもう1本は規模が違います。
イングランドの地方議会の支出データを集めて地図で見られるようにしたサイトで、339議会のうち319議会分、行数にして1億700万行を集めています。
本人は「誰かのために作ったわけでも、お金にするつもりでもない。作るのが好きで、できるからやっているだけ」と書いています。
82億トークンと656のサブエージェント、この数字は真似できません
議会データの方は内訳が公開されていて、これがなかなかの数字です。
消費トークンは82億。
自分で打ったメッセージは235件で、その裏で動いたサブエージェントは656体。
データを集めるループはほぼ2日ぶっ通しで回り続け、支出データの置き場所は31か所を個別に調べています。
これが成立したのは、9月1日にAnthropicが出した最上位モデル、Claude Fable 5.1でキャッシュ読み込みの単価が4分の1に下がったからでもあります。
入力と出力の値段は据え置きで、長時間ぶん回すタイプの使い方だけが安くなった、という値下げでした。
それでも82億トークンは重いです。
いちばん安いキャッシュ読み込みの単価をあてても、API換算で30万円を超える量になります。
定額プランのいちばん上でも月3万円ほどなので、請求書がそのまま30万円になるわけではありません。
ただ、投入された量の桁は伝わると思います。
つまりこれは、「AIがあれば誰でもアプリが作れる」の証拠として持ち出すには重すぎる事例です。
ここを飛ばしていきなり真似しようとすると、最初の週末で心が折れます。
それでも有料ツールをやめて自作する流れは、もう日本にも来ています
日本にも近い話があります。
「国会議員マップ」というサイトで、小さな建設会社を経営しながら現場に出ている中島さんが、けがで現場を離れていた期間に作ったものです。
Claudeと国会会議録のAPIを組み合わせて、衆参の現職議員全員分の発言や投票記録を検索できるようにしていて、2026年5月に話題になりました。
こちらも余暇の個人開発で、収益は目的にしていないそうです。
Ben Tossellさんと共通しているのは、頼まれてもいないし、売るつもりもない、という点です。
「あったら便利だけど誰も作らないから、有料ツールを買う」という前提が、この2つの事例では崩れています。
最初の一歩は、今どの有料ツールにいくら払っているかを書き出すことです
自分ごとにするなら、作り方を調べるより先に明細を見る方が早いです。
置き換えの候補になりやすいのは、だいたいこの条件に当てはまるものです。
- 実質1つの機能しか使っていない
- 自分1人でしか使わない
- 月1,000円から3,000円くらい
- 扱うデータが自分の手元にある
もう1点、作る前に見ておきたいことがあります。
手元の標準機能で足りないか、です。
Macのプレビューには背景を消す機能がそもそも入っていて、Ben Tossellさん自身も「Macなら標準でできる」と認めた上で作っています。
払っているものを外す話なのに、無料でできることを見落として作り始めるのはもったいないです。
remove.bgの単体サイトは、12月1日で閉じるという案内が届いています
remove.bgは2021年からCanvaの傘下に入っていて、公開されているFAQには「背景除去の機能をCanvaへ統合している最中だ」という説明が並んでいます。
一方で利用者に届いている案内では、単体サイトは12月1日で閉じ、使い残した従量課金分のクレジットは失効、APIの移行先はLeonardo.Aiという扱いになっています。
「終了」という言葉だけが先に広まりがちですが、正確には単体のサイトが閉じてCanva側に寄る、という話です。
remove.bgに月1,400円ほどから払っているなら、解約するのか、Canvaに移るのか、自分で作るのかを年内に決めることになります。
非エンジニアに現実的なのは、656体のサブエージェントではなく1個の小さなツールです
ターミナルもGitHubも要りません。
Claudeのチャットで頼むと画面の右側に動くものが出てくるArtifactsで、足りてしまう場面がかなりあります。
作ったものには公開リンクを出せるので、同僚に渡して触ってもらうこともできます。
コツは、一度に完成させようとしないことです。
いきなり「経費精算アプリを作って」と頼むと、たいてい立派だけど欲しかったものとはずれたものが出てきます。
そうではなく、手元にあるファイルを1枚投げて「このCSVを貼り付けたら、勘定科目ごとの合計が出る画面にして」くらいから始めます。
出てきたものを実際に触って、「日付でも並べ替えたい」「この列は要らない」と日本語で言うだけで直ります。
この往復を4回か5回やると、だいたい自分の使い方に寄ってきます。
有料ツールの機能一覧と勝負しようとせず、自分が毎回やっている操作だけを再現する。
これができると、月1,000円台のツールはけっこうな確率で外せます。
うまくいかなくても、失うのは1晩です。
逆に自作に向かないのは、お金と個人情報が絡むツールです
ここは正直に線を引いておきます。
- 決済や請求に関わるもの
- 顧客や社員の個人情報を扱うもの
- 会社の複数人で使うもの
- 法令や制度の更新に追従が必要なもの(給与計算、年末調整、インボイス対応など)
動くものを作るのは早いのですが、動き続けさせるのは全部自分の仕事になります。
有料ツールに払っている金額の中身は、機能そのものより「壊れたら直してくれる人がいること」「制度が変わったら勝手に直り続けること」の比重が大きいです。
そこが必要な領域なら、払い続けた方が結局は安く済みます。
会社のPCで作ったものを業務に使うのも、情シスの許可が前提です。
今日やるなら、契約中のサブスクを1つ書き出すところからです
やることは3行です。
- 今月引き落とされた有料ツールを明細から1つ選ぶ
- その中で自分が実際に使っている機能を、1文で書く
- その1文をそのままClaudeに渡して、動くものが出るか見る
出てきたものが実用に耐えるかどうかは、触ればすぐ分かります。
解約するかどうかを決めるのは、そのあとで間に合います。


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