肌の悩みを話すだけでコスメが決まる、AI相談の作り方。

NONOKA
NONOKA

@nk_glow 4本

サムネイル

ドラッグストアの化粧水の棚の前で20分立ち尽くして、結局いつものを買って帰る。

あの時間をAIとの5分の会話に置き換える伝え方を、プロンプトごと置いていきます。

実はいま、海外の美容大手が押さえにきているのも、まさにこの「棚の前で迷っている時間」なんです。

海外の美容大手は、なぜコスメ選びの入口にAIを置き始めたのか?

セフォラが2026年3月24日に、ChatGPTの中で動くアプリを公開しました。

チャットで肌の悩みや好みを伝えると、同社の商品カタログから候補を出してくれるというもの。

会員アカウントを連携すれば購入履歴も踏まえた提案になります。

今のところ米国でのパイロット提供で、決済までアプリ内で完結させるのは今後のアップデート予定だと公式の発表に書かれています。

動いているのはセフォラだけではありません。

2026年6月にパリで開かれた技術見本市のVivaTechで、ロレアルの最高デジタル・マーケティング責任者であるアスミタ・デュベイさんが「LLMが美容との出会いの入口になりつつある」と話しています。

同社によると、ChatGPT上でやり取りされる会話の5%が美容に関するものだそうです。

コンサル大手のBCGと業界紙のWWDが米国のビューティー購買層5,000人に聞いた調査でも、4人に3人が美容やウェルネスの調べ物にAIチャットを使ったことがあり、25%は「AIが一番の情報源」と答えています。

ただ、ここで終わると日本のわたしたちには1ミリも関係ない話になってしまいます。

セフォラは2001年に日本から撤退していて、そもそも日本に店舗がありません。

アプリのほうも、日本のわたしたちがすぐ試せるものではないんです。

それでも、向こうで起きていることは手順に翻訳できます。

手持ちのChatGPTに何をどう伝えるかを変えるだけなんです。

スキンケアの相談をAIにするなら、「乾燥してます」では足りません

スマホのチャット画面に肌の悩みを書き込んでいる手元と、洗面台に並ぶ化粧品ボトル

「最近乾燥してるんですけど、いい化粧水ありますか」と聞くと、返ってくるのはたいてい教科書みたいな一般論です。

セラミド配合のものを選びましょう、洗顔後すぐにつけましょう、あたりで止まる。

AIがサボっているのではなく、判断する材料がそれしかないんです。

伝える情報を4つ足すだけで、返ってくるものが変わります。

時間帯ごとの肌の変化、悩みが出る場面、今使っているアイテム、避けたいもの。

この4つが揃うと、AIは「一般的な乾燥肌向けの話」ではなく「あなたの肌の傾向」から書き始めます。

わたしの肌について相談させてください。

・肌の変化: 朝は口元がつっぱる、夕方はTゾーンだけテカる
・悩み: 小鼻の毛穴が目立つ、季節の変わり目に頬がかゆくなる
・今使っているもの: ドラッグストアのさっぱりタイプの化粧水と乳液だけ
・困っている場面: 夕方にファンデが小鼻でよれる
・避けたいもの: 強い香り

この情報から、わたしの肌がどういう傾向にありそうか整理してください。
そのうえでケアの方向性を3つ、優先順位をつけて教えてください。
断定ではなく「こういう可能性がある」という書き方でお願いします。

最後の1行は毎回入れてほしいところです。

AIは聞かれると言い切りたがるので、こちらから「可能性として書いて」と指定しておくと、読んでいて安心できるトーンに落ち着きます。

自分の肌を数値で把握しておきたいなら、先に診断ツールを通しておくと話が早いです。

ビオデルマは顔写真から17項目ほどをスコア化する無料の肌チェックを出していますし、アットコスメには肌質診断とパーソナルカラー診断が無料で並んでいます。

顔写真をアップロードするかどうかは、わたしは毎回ちょっと考えます。

使うなら、画像の扱いについての記載だけは先に見ておくのがおすすめです。

それと、こうした公式ツールが出す候補は基本的にそのブランドやサイトの取扱商品の中からです。

今使っている別ブランドの乳液まで含めて横断で相談できるのは、汎用のAIチャットの側なんです。

肌診断の結果を買い物用プロンプトに変える3つのポイント

予算と買う場所を書き込んだメモと、色見本のカードが並ぶ机の上

ここからが本題です。

肌診断の結果をそのままAIに貼っても、返ってくるのは成分の話で止まります。

棚の前で使える形にするには、買い物の条件を3つ足してください。

1: 予算を数字で入れる。

上限を言わないと、1,000円台と1万円台のものが同じリストに並びます。

「3,000円まで」と書くだけで候補の顔ぶれが変わります。

2: 買う場所を指定する。

ドラッグストアなのか、公式ECなのか、デパートのカウンターなのか。

取り扱いの場所が違うと、そもそも見に行けません。

3: 入れ替えなのか買い足しなのかを言う。

今の化粧水を1本置き換えたいのか、今のケアに足したいのかで、提案されるカテゴリーが変わります。

さっき整理してもらった肌の傾向をもとに、化粧水の候補を出してください。

・予算: 3,000円まで
・買う場所: ドラッグストアで買えるもの
・今の状況: 今の化粧水を1本入れ替えたい(買い足しではない)
・避けたいもの: 強い香り

候補は3つまで。それぞれ「なぜわたしに合いそうか」を1行で添えてください。
最後に、店頭で確認したほうがいい点も教えてください。

出力の形まで指定してしまうのがコツです。

候補を3つに絞らせると比較できる量になりますし、「なぜ合いそうか」の1行と「店頭で確認する点」があれば、そのまま売り場に持っていける買い物メモになります。

パーソナルカラーも一緒にAIへ渡すと、色の提案はどう変わるのか?

肌の悩みはスキンケア寄りの条件で、パーソナルカラーはメイク寄りの条件です。

片方だけだとリップやファンデの相談が「この色が人気です」に流れがちなんですが、両方渡すと肌質と色域と予算の3つで絞り込みが始まります。

聞き方はシンプルで大丈夫です。

パーソナルカラー診断ではイエベ秋でした。さっき整理してもらった肌の傾向とこの色域を両方ふまえて、ドラッグストアで買えるリップの候補を3つ出してください。

この聞き方をするようになってから変わったのは、売り場で試す本数です。

以前は気になった色を片っ端から手の甲に塗って分からなくなっていたんですが、今は3本に絞って唇で見比べるだけになりました。

もちろん、AIが出した色が正解ではありません。

パーソナルカラーの診断結果自体、光の当たり方や撮影環境で変わります。

最終的に「顔が明るく見えるか」を決めるのは鏡の前の自分で、AIは試す順番を決めてくれる相手くらいの距離感がちょうどいいと思っています。

AIが出したコスメの候補を、そのまま買っていいのか?

これだけは言っておきたいのですが、AIが挙げた商品名をそのままカートに入れるのはおすすめしません。

まず、その商品名が今も存在するとは限りません。

コスメはリニューアルや廃番が多いので、公式ECで検索して現行品として売られているかを確認してください。

そのついでに全成分表示を見て、AIが「合いそう」と言った理由と実際の中身が噛み合っているか、避けたいものが入っていないかもチェックできます。

そして、肌につける前のひと手間です。

店頭にテスターやサンプルがあるなら使わせてもらう、通販なら少量サイズから試す、初めてのアイテムは腕の内側などで先に様子を見る。

ここはAIがどれだけ丁寧に説明してくれても代わりにはなりません。

肌の赤みやかゆみが続いているときは、AIに相談する前に皮膚科です。

AIができるのは候補を絞ることであって、肌の状態を診断することではありません。

この線引きだけ引いておけば、あとは気楽に使えます。

今日は、この1行を送るところから

いきなり完璧なプロンプトを書こうとしなくて大丈夫です。

ここ2週間で肌について困ったことを、思いつくまま3つ書き出して送る。

「夕方にファンデがよれる」「頬だけかゆい」「小鼻の毛穴が気になる」くらいで十分で、足りない情報はAIのほうが聞き返してくれます。

そのやり取りをメモに残しておくと、次からは貼り付けるだけで再開できます。

わたしは季節の変わり目ごとに整理し直しているんですが、夏の終わりと冬の入口では返ってくる答えがはっきり違って、そのたびに発見があります。

棚の前で20分迷う代わりに、その20分で自分の肌を言葉にしてみる。

買い物が変わるのは、たぶんそのあとです。