金曜の夕方。議会答弁の原稿、パブコメの回答案、住民向けチラシの校正。
全部「来週月曜まで」。
公務員の仕事は住民のためにある。
でも、住民と向き合う時間より、文書を作る時間のほうが長いのが現実。
AIに行政判断は任せられない。当然。
でも「文書のたたき台」「チェックリスト」「わかりやすい言い換え」なら、かなり使える。
「前例がない」は理由にならない。まず、自分の業務から試してみよう。
文書をつくる
公文書のたたき台
一番時間がかかるのが「最初の1行」。
公文書のたたき台を作ってほしい。
■ 種類: [通知/依頼/報告/照会/回答]
■ 宛先: [○○市長/各課長/住民各位]
■ 件名: [件名]
■ 内容: [伝えたいことの概要]
■ 根拠法令: [あれば]
■ 発信元: [○○課○○係]
以下を含めて:
- 本文(です・ます調/記書きの構成で)
- 「記」以下の要点整理
- 添付資料が必要な場合のリスト
- 回答期限がある場合の催促文案
注意: 必ず所属の文書規程に合わせて修正すること。住民向けの「やさしい日本語」
行政用語をそのまま書いても、届かない。
以下の行政文書を、住民が読んで「自分に関係ある」と思える文章に書き直してほしい。
元の文書:
[公文書や制度説明を貼り付け]
対象: [高齢者/外国人住民/子育て世代/一般住民]
やってほしいこと:
1. 専門用語を日常語に置き換える(対照表つき)
2. 「結局、何をすればいいの?」が冒頭でわかる構成にする
3. よくある問い合わせを想定してFAQ 3つ
4. 問い合わせ先を目立つ位置に
条件: 正確さは落とさずに、読みやすくする。議会に備える
議会答弁の準備
想定質問は、多ければ多いほどいい。
議会で以下のテーマについて質問される可能性がある。答弁の準備を手伝ってほしい。
■ テーマ: [テーマ]
■ 関連事業: [事業名と概要]
■ 答弁者: [市長/副市長/部長]
■ 現状の数字: [わかる範囲で]
■ 過去の質問履歴: [あれば]
以下を出して:
- 想定される質問 5つ(追加質問含む)
- 各質問への答弁案(簡潔に、かつ根拠を示す)
- 答弁で使える数字やデータの整理
- 「ここを突かれたら痛い」ポイントと対策
- 再質問への備え
条件: 答弁は「結論→理由→今後の方針」の順で。パブリックコメントの回答
一件一件丁寧に、でも効率よく。
以下のパブリックコメントへの回答案を作ってほしい。
■ 計画/条例名: [名称]
■ 寄せられた意見:
[意見をまとめて貼り付け]
以下の構成で:
- 意見の分類(賛成/反対/提案/質問/その他)
- 各意見への対応方針(反映/一部反映/参考/対応困難)
- 対応方針の理由(住民が納得できる説明)
- 計画を修正する場合の修正案
- 公表用の一覧表フォーマット
条件: 「検討します」で逃げない。具体的に何をする/しないを明記。住民と向き合う
窓口対応のスクリプト
「たらい回しにされた」と言われないために。
以下の窓口対応のスクリプトを作ってほしい。
■ 来庁目的: [転入届/各種証明/相談/苦情]
■ 想定される住民: [初めての方/高齢者/外国人/困っている方]
■ 必要な手続き: [手続きの流れ]
■ 他部署との連携: [案内が必要な場合]
以下を含めて:
- 声かけの例(第一声で安心してもらう)
- 手続きの説明(3ステップ以内で)
- 「持ち物が足りない」場合の対応パターン
- 他の窓口に案内するときの伝え方
- クレームになりそうなときの初動住民からの苦情対応
怒っている人に、まず何を言うか。
住民からの苦情に対する対応案を整理したい。
■ 苦情の内容: [内容]
■ 住民の状態: [怒っている/困っている/不安/長期化]
■ 事実関係: [調査した結果]
■ 組織としての対応方針: [方針]
以下を出して:
1. 初動対応(最初の30秒で何を言うか)
2. 事実確認の伝え方(言い訳に聞こえない表現で)
3. 回答文案(口頭用と文書用の両方)
4. 再発防止の説明
5. フォローアップの計画
条件: 「申し訳ございません」の安売りはしない。誠実さが伝わる対応を。政策を考える
新しい施策の提案
「予算がない」と言う前に、筋のいい企画を。
以下の課題に対する施策を一緒に考えてほしい。壁打ち相手として。
■ 課題: [課題]
■ 背景データ: [人口動態/住民アンケート/他自治体の事例など]
■ 対象: [住民全体/子育て世代/高齢者/事業者]
■ 予算制約: [あれば]
■ 議会や首長の温度感: [わかれば]
以下を出して:
- 施策案 3つ(コスト小→大の順)
- 各案の期待効果と実現可能性
- 先行事例(他自治体でうまくいった例)
- 予算要求の根拠になる数字
- 「なぜ今やるのか」のストーリー
条件: 「やってもいいけど、効果がない施策」にならないよう、アウトカム指標を明確に。計画の見直し
総合計画、○○ビジョン、△△プラン。増え続ける計画をどう整理するか。
以下の行政計画の見直しを手伝ってほしい。
■ 計画名: [計画名]
■ 期間: [○年度〜○年度]
■ 現在の進捗: [達成/未達の項目]
■ 環境の変化: [人口減少/コロナ後/DX推進など]
以下を出して:
- 見直すべきポイント(優先度順)
- 数値目標の妥当性チェック
- 実態と乖離している部分の指摘
- 新たに盛り込むべきテーマ
- 住民説明用のダイジェスト(A4 1枚に収まるもの)業務を回す
異動の引き継ぎ資料
4月1日、後任が困らないために。
異動に備えた引き継ぎ資料のフレームを作ってほしい。
■ 担当業務: [業務リスト(3〜5個)]
■ 引き継ぎ期間: [日数]
■ 後任の経験: [同分野の経験あり/初めて/未定]
以下を含めて:
- 業務ごとの概要と年間スケジュール
- 「これだけは知っておいて」リスト(各業務3つ)
- 関係者マップ(庁内キーパーソン・外部の連絡先)
- 過去にトラブルになったことと対処法
- 引き継ぎ初日に読むべき資料リスト
条件: 「口頭で」ではなく「読めばわかる」レベルで。庁内調整のメール
他部署を動かすのが、一番難しい。
庁内の他部署に協力を依頼するメールを書いてほしい。
■ 依頼内容: [内容]
■ 相手部署: [部署名]
■ 背景: [なぜ協力が必要か]
■ 期限: [期限]
■ 自分の立場: [主管課/事務局/依頼される側]
条件:
- 「お忙しいところ恐れ入りますが」だけで終わらない
- 相手にとってのメリットも示す
- 具体的に何をしてほしいかを3行以内で
- 回答期限と回答方法を明記
- 200文字以内業務改善の提案
「ずっとこうやってきた」を疑う。
以下の業務の改善案を考えてほしい。
■ 業務名: [業務名]
■ 現在のやり方: [手順を簡単に]
■ かかっている時間: [時間]
■ 課題: [非効率な点/ミスが起きやすい点]
■ 制約: [条例/規則/システムの制限]
以下を出して:
- 改善案 3つ(すぐできる/少し時間がかかる/大きな変更が必要)
- 各案の削減効果(時間or工数)
- 「制度上できない」のか「やってないだけ」なのかの仕分け
- 上司を説得するための説明メモ(A4半分)
条件: 「DX」と言いたいだけの改善案にしない。公務員がAIを使うときの3つのルール
- 個人情報は入れない ― 住民の氏名・住所・マイナンバーは絶対にNG
- AIの出力は「たたき台」 ― 法令根拠の確認、数字の裏取りは自分でやる
- 判断は自分で ― AIが書いた文章でも、決裁を通すのは自分の責任
この3つさえ守れば、公務員こそAIで楽になれる職種。
まずは、一番面倒な文書作成から試してみてください。
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