サムネイル

「いいモノを作る」以外の仕事が、増えすぎていないか ― 製造業のAI活用プロンプト

なごみ
なごみ

2026/03/10

  • 0

先日、ある工場の現場リーダーがこんなことを言っていた。

「朝6時に出勤して、まず不具合報告書を仕上げて、8時から朝礼。ライン動かしながら生産日報を書いて、午後は協力会社への依頼文。帰ってきたらヒヤリハット報告書。……いつモノ作ってるんだっけ?」

製造業の本業は「いいモノを作る」こと。
でも実際は、手順書、報告書、分析資料、教育計画……「書く仕事」が現場を圧迫している。

AIにラインは動かせない。品質の最終判断も、安全管理も、人の目と手が必要。
でも「不具合報告書の構成」「なぜなぜ分析の整理」「朝礼のネタ出し」なら、現場に立つ時間を取り戻せる。

書類を片づける

作業手順書を書く

新人が「見てわかる」マニュアル。言葉で説明するより難しい。

製造現場の作業手順書を一緒に作ってほしい。

■ 作業名: [作業名]
■ 目的: [何のための作業か]
■ 必要な工具・材料: [リスト]
■ 作業時間の目安: [○分]

以下の構成で:
- 準備(チェックリスト形式で)
- 手順(番号付き、各ステップ1行。「なぜそうするか」も一言)
- 注意点(安全面・品質面に分けて)
- 完了確認(「こうなっていればOK」の基準)
- よくあるミスと対処

新人が一人で見て作業できるレベルで。図や写真が必要な箇所は[図: ○○]と書いて。

不具合報告書のたたき台

「何が起きて、なぜ起きて、どうするか」。書くたびに2時間かかる。

製造不具合の報告書のたたき台を作ってほしい。

■ 発生日時: [日時]
■ 発生場所: [ライン/工程]
■ 不具合の内容: [何がどうなったか]
■ 発生数量: [数]
■ 原因(推定): [わかっている範囲で]
■ とった対処: [何をしたか]

以下を含めて:
- 概要(3行以内で全体像がわかるように)
- 発生状況(時系列で)
- 原因分析(なぜなぜ分析の形で)
- 対処内容と結果
- 再発防止策
- 他ラインへの水平展開の要否

日報を「上司が1分で読める」形にする

毎日書く日報。でも「で、何が言いたいの?」と返されることがある。

今日の製造日報を整理してほしい。

■ 生産実績:
  - 計画: [数量]
  - 実績: [数量]
  - 達成率: [%]

■ 今日あったこと: [箇条書きでざっくり]

以下の構成で:
- 生産実績(計画比で良し悪しを一言)
- 品質状況(不良率や気になった点)
- 設備の稼働状況
- 特記事項・トラブル
- 明日の予定と注意点

上司が1分で読めるボリュームで。数字は明確に。

原因を掘り下げる

なぜなぜ分析を壁打ちする

「なぜ?」を5回繰り返す。でも一人でやると、途中で堂々巡りになる。

以下の不良について、なぜなぜ分析の壁打ちをしてほしい。

■ 不良の内容: [具体的に]
■ 発生状況: [どの工程で、どのように]

なぜ1から順に深掘りして、「もうこれ以上分解できない」ところまで行ってほしい。
各ステップで「本当にそれが原因?他の可能性は?」と自問する形で。

最後に:
- 真因(これが根っこだと思うもの)
- 対策案を3つ(実現しやすい順に)
- 「この分析で見落としているかもしれないこと」

設備故障の分析レポート

「また同じところが壊れた」を繰り返さないために。

設備故障の分析レポートを整理してほしい。

■ 設備名: [設備名]
■ 故障内容: [何が壊れたか]
■ 停止時間: [時間]
■ 修理内容: [何をしたか]
■ 過去の故障履歴: [あれば]

以下を出して:
- 故障の概要
- 原因の推定(複数の可能性があれば並列で)
- 対策(暫定と恒久を分けて)
- 予防保全への提言
- 部品交換の推奨時期

「次に壊れる前にどうするか」が見える形で。

人に伝える

朝礼を「毎日同じ話」にしない

3分の朝礼。でも毎日同じ内容だと、誰も聞かなくなる。

製造現場の朝礼で話す内容を考えてほしい。

■ 今日の生産計画: [内容]
■ 注意事項: [品質/安全/納期など]
■ 連絡事項: [あれば]
■ 最近ヒヤリとしたこと: [あれば]

以下の流れで(合計3分以内):
1. 挨拶と体調確認(10秒)
2. 安全の一言(30秒。具体的なエピソードで)
3. 今日の目標と重点注意(1分)
4. 連絡事項(30秒)
5. 締め(10秒)

「またいつもの話か」と思われない工夫を入れて。

協力会社への依頼文

外注先に「何を、いつまでに、どのレベルで」を明確に伝える。

協力会社への加工依頼文のたたき台を作ってほしい。

■ 依頼内容: [加工内容]
■ 数量: [数]
■ 納期: [日付]
■ 図面番号: [番号]
■ 特記事項: [注意点]

以下を含めて:
- 依頼の背景(なぜ今回お願いするか)
- 具体的な仕様
- 品質基準(ここは絶対守ってほしいライン)
- 検査方法
- 納品時の注意

丁寧だけど曖昧さのない文面で。

顧客クレームへの初動対応

クレームが来た。まず何を言うか、何を書くか。

顧客クレームへの初動対応文を作ってほしい。

■ クレームの内容: [内容]
■ 影響範囲: [数量/期間]
■ 現時点でわかっていること: [状況]

以下を含めて:
- お詫びの言葉(誠意が伝わる、でも過度な約束はしない)
- 現状の説明(わかっていること、まだ調査中のこと)
- 今後の対応予定
- 次の報告タイミング

「この会社はちゃんと対応してくれる」と思ってもらえるトーンで。

現場を育てる

生産性改善のアイデアを出す

カイゼン提案。ネタが尽きたら壁打ちする。

以下の作業の改善アイデアを一緒に考えてほしい。

■ 作業内容: [作業の説明]
■ 現状の問題: [時間がかかる/ミスが多い/疲れるなど]
■ 制約条件: [予算/スペース/設備など]

5つくらいアイデアを出してほしい。各アイデアに:
- 改善の内容(具体的に)
- 期待できる効果(時間/コスト/品質のどれに効くか)
- 実現の難しさ(高/中/低)
- 必要な投資の目安

「明日からできるもの」と「少し時間がかかるもの」を混ぜて。

新人教育のカリキュラム

「何から教える?」がいつも悩ましい。

製造現場の新人教育カリキュラム(3ヶ月)の骨子を作ってほしい。

■ 配属先: [部署/ライン]
■ 新人のバックグラウンド: [未経験/経験者など]

以下のフェーズで:
- 1ヶ月目: 基礎(安全教育、基本動作、ルールの理解)
- 2ヶ月目: 実践(OJT、基本作業、ラインに入る)
- 3ヶ月目: 応用(一人作業、トラブル対応、判断力)

各週のゴールと「ここまでできたらOK」の確認方法を。
教える側が忙しくても回せる形で。

ヒヤリハット報告をちゃんと書く

「怪我しなかったからOK」じゃない。次に怪我するかもしれない。

ヒヤリハット報告書のたたき台を作ってほしい。

■ 発生日時: [日時]
■ 発生場所: [場所]
■ 状況: [何をしていて、何が起きそうになったか]
■ 事故にならなかった理由: [何が幸いだったか]

以下を含めて:
- 状況の説明(第三者が読んで場面が浮かぶように)
- 潜在的なリスク(「もしこうなっていたら」のシナリオ)
- 対策案(すぐやること/中長期でやること)
- 他の現場でも同じことが起きないか

「報告して終わり」にならないよう、次のアクションが見える形で。

製造業でAIを使うときの3つのルール

  1. 図面や設計情報はAIに入れない ― 機密情報は伏せる。「アルミ部品の切削加工、寸法精度±0.05mm」程度の一般的な条件まで
  2. AIの分析は「出発点」 ― なぜなぜ分析も改善案も、現場の実態と照らし合わせて使う。机上の空論で終わらせない
  3. 書く時間を減らして、考える時間を増やす ― 報告書や手順書のたたき台をAIに作らせて、浮いた時間は改善活動に使う

いいモノを作るのは、人の仕事。
でも「いいモノを作るための書類」は、AIに手伝ってもらっていい。

現場で使ってみた感想、ぜひ教えてね!

会員登録して機能を使おう

この機能を利用するには、無料の会員登録が必要です。
お気に入りの記事を保存して、あとで読み返しましょう!