タロットを自分で作ろうとして大アルカナを1枚ずつ生成していくと、3枚目あたりで手が止まります。線の太さも色の濃さも枠の形も、そろっていないからです。その「そろえたまま何枚も作る」という部分だけを解決してくれる仕組みが出てきたので、実際に使ったプロンプトごと置いていきます。
1枚ずつ作ると、なぜ絵柄がバラバラになるのか
画像生成に毎回同じ指示を書いているつもりでも、出てくる絵は少しずつ違います。言葉で「水彩風」と書いても、水彩のどの濃さなのか、にじみをどれくらい残すのか、枠を付けるのか付けないのか、そこまでは指定しきれないからです。
1枚だけならこれで困りません。困るのは組にしたときで、愚者は淡い水彩なのに星は輪郭のはっきりしたイラスト、月だけ背景が真っ黒、という状態になります。カードは1枚で完結するものではなく、並べたときにひとつの世界に見えて初めて手元で使えるものです。シャッフルして引いた瞬間に「この札だけ他人の絵だ」とわかってしまうと、そこで気持ちが切れます。
では、言葉で伝えきれない部分をどう渡せばいいのか。答えは単純で、言葉ではなく1枚目の絵そのものを渡します。
1枚の絵から、色と質感だけを取り出せます
Nano Banana 2は2026年2月26日にGeminiアプリで使えるようになった画像生成・編集モデルで、正式な名前はGemini 3.1 Flash Imageといいます。ここで効いてくるのが、ある画像のスタイルを別の画像の被写体に適用できる、という機能です。
公式に挙がっている例がわかりやすくて、花びらの色と質感をレインブーツに移す、蝶の羽の模様でドレスをデザインする、という使い方が紹介されています。移るのは色と質感とタッチだけで、被写体は入れ替わる。これはそのまま「同じ画風で違う札を描く」という作業になります。
もうひとつ、1つのワークフローの中で最大5人の人物の顔立ちと、最大10個のオブジェクトの整合性を保てる、という仕様も明記されています。大アルカナには人物が出てくる札が多く、杯や剣や杖といった小道具も繰り返し登場しますよね。同じ顔の人物が別の札にも出てくる、同じ形の杯が3枚にまたがって描かれる、という揃え方がここに乗ります。
使うにあたって先に知っておきたい条件が2つあります。1K解像度の生成は無料で、2Kは有料ユーザー向けです。そして画像生成は18歳未満でも使えますが、画像編集の機能は18歳以上に限られています。参照画像を渡して直していく作り方は編集の側に入るので、年齢の条件はここで確認しておいてください。
世界観を決める1枚目を作る
最初の1枚は、カードの絵を描くというより、この組全体のルールを決める作業です。ここで決めたものが残り21枚に効いてくるので、あとで変えたくならない程度には細かく書きます。
わたしは愚者から作ります。旅の始まりの札で、構図がシンプルなので画風の判断がしやすいからです。
タロットカードのイラストを1枚作ってください。
【カードの名前】THE FOOL(愚者)
【画面比率】縦長 2:3
【画風】水彩と色鉛筆を重ねた手描き風。線は細く、かすれを残す
【配色】生成り色の地に、くすんだ藍、枯草色、ほのかな金。彩度は低めに
【枠】内側に細い二重線の枠を1本。四隅に小さな星の装飾
【文字】カード下部に英字のカード名を小さく、セリフ体の大文字で
【構図】中央に主役を1つだけ置き、背景は余白を広く取る
【描くもの】崖のふちを歩き出す旅人。片手に小さな包み、足元に白い犬
【避けるもの】写真のような質感、強い影、3DCG、細かい書き込みの詰め込み出てくるのは、生成り色の紙にくすんだ藍と枯草色を薄く乗せたような、輪郭のやわらかい1枚です。枠の二重線と四隅の星、下部の小さな英字まで含めて、カードとしての体裁が整った状態で返ってきます。
ここで大事なのは、気に入るまでこの1枚だけを作り直すことです。2枚目に進んでから画風を変えたくなると、そこまで作った分がまるごと無駄になります。どこまで詰めれば先に進んでいいのか、目安は枠の太さと文字の大きさと余白の広さの3つで、これが納得できていれば同じ形があとに続きます。
2枚目からは、変えるところだけを書く
2枚目以降でやることは、画風の説明をもう一度書き直すことではありません。1枚目の画像を会話に添えて、引き継ぐものと変えるものを分けて伝えます。
添付した画像を参照してください。
線の太さ、かすれ方、配色、枠の二重線、四隅の星、文字の書体と位置、
余白の取り方は、そのまま引き継いでください。
変えるのは中身だけです。
【カードの名前】THE STAR(星)
【描くもの】夜の水辺にひざをつき、両手の水差しから水を注ぐ人物。
空に大きな星が1つ、小さな星が7つ
【人物】1枚目の旅人と同じ顔立ち、同じ髪色にする
【守ること】枠と文字は1枚目と同じ大きさ。背景の彩度も1枚目に合わせる返ってくるのは、モチーフは夜の水辺なのに紙の質感と線のかすれは愚者とまったく同じ、という1枚です。並べても浮きません。
人物が出てくる札では、顔立ちを揃える指定を入れておくと効きます。愚者の旅人と星の人物と節制の人物が同じ顔をしていると、22枚が1人の物語に見えてきます。杯や剣を繰り返し出すつもりなら、同じように「1枚目と同じ形の杯」と書き足してください。
同じ要領で、月なら「水辺から道が奥へ伸び、両脇に塔が2つ、空に月」、太陽なら「向日葵の垣根の前に子どもと白い馬」と、中身の行だけを差し替えていきます。1枚あたりにかかるのは、指示を書く数十秒だけです。
途中で世界観が崩れたときの戻し方
それでも、10枚を超えたあたりで枠が太くなったり、文字の位置が下がったりします。会話が長くなると最初の1枚の影響が薄まるからです。
崩れたら全部作り直しでしょうか。その必要はなくて、崩れた1枚だけを基準の1枚に合わせて直します。
1枚目(基準)と、直したい画像を添付しています。
直したい画像を作り直さず、次の点だけを1枚目に合わせてください。
- 枠は細い二重線に戻す。太さは1枚目と同じ
- 下部の英字はセリフ体の大文字。高さと位置を1枚目に合わせる
- 背景の彩度を1枚目まで下げる
- 主役の大きさは画面の高さの3分の2に収める
構図とモチーフは変えないでください。直すのはどこか、を箇条書きで切り出すのがコツです。「1枚目に揃えて」とだけ伝えると構図まで寄っていってしまい、せっかくの絵が別物になります。
わたしは3枚おきに、基準の1枚と最新の1枚を並べて見るようにしています。崩れは少しずつ進むので、10枚まとめて見てから気づくと直す手間が増えます。
作ったカードは、どこまで自由に使えるのか
ここは線を引いておきます。既存のデッキ、たとえばライダー版の絵をそっくりそのまま再現させる、という作り方はおすすめしません。絵そのものの著作権とは別に、商標やパッケージの見た目の扱いという話が残るからです。手元で使うだけならともかく、それを商品にするとなると個別に確認が必要になります。
一方で、自分で決めた画風とモチーフから作った新しい絵を、自分用に印刷して使う分には、問題が起きにくい使い方です。厚手の紙に印刷して角を落とすだけで、それらしい手触りになります。
販売まで考えている場合はどうなるのか。生成した画像の扱いはサービスの利用規約で決まるので、Geminiの規約を読んだうえで判断してください。ここは断定できる部分ではありません。
自作タロットについてよくある質問
無料で作れますか
1K解像度の生成は無料で使えます。より大きなサイズで書き出したい場合は有料ユーザー向けの2Kが必要です。手元で使うカードサイズなら1Kで足りることが多いです。
22枚そろえるのにどれくらいかかりますか
1枚目の画風を決めるところに時間がかかり、そこから先は1枚あたり数分です。わたしは画風の確定に1時間ほど使い、残りの21枚はその日のうちに終わりました。一気に作らず、1日3枚ずつ進めても構いません。
絵が描けなくても作れますか
描く作業は出てきません。決めるのは、どんな色でどんな線の世界にするか、そして各札に何を置くかです。むしろ、自分が何に惹かれるのかを言葉にする時間になります。
自作したカードだと占いの精度は変わりますか
カードは象徴を並べた道具なので、精度という言い方はここではしません。ただ、自分で選んだモチーフが描かれている札は、意味を思い出す手がかりが増えます。既製品の絵を調べながら読むのと、自分が置いた白い犬を見て考えるのとでは、出てくる言葉が変わります。
紙に印刷するときのサイズは
一般的なタロットは縦12センチ前後です。生成時に縦長2対3で指定しておくと、印刷したときに切り落とす部分が少なく済みます。
自分の手を動かして作った22枚は、引くたびに、なぜこのモチーフを選んだのかを一緒に思い出させてくれます。まずは愚者を1枚、納得いくまで作り直すところから始めてみてください。



コメント
ログイン か 会員登録 するとコメントできます