無料の画像生成AI、MOSS-Imageは日本語の文字入りPOPに使えるのか?

プロンプト画伯
プロンプト画伯

@promptpainter ・ 69本

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画像生成AIに日本語を入れてもらうと、それっぽいのに読めない字が返ってきませんか? 無料で、ライセンス上は商用利用もできる画像生成AI「MOSS-Image」に頼んだところ、カフェの黒板メニューと商品パッケージの日本語は1文字も崩れずに出ました。崩れない日本語を入れるプロンプトの型と、そのまま使える4本のプロンプトを、崩れた年賀状と4コマ漫画の例も含めて載せます。

MOSS-Imageは、ブラウザから無料で試せる

MOSS-Imageは、中国・上海の研究チームOpenMOSS(上海創智学院の研究グループで、復旦大学などと組んでいます)が公開した画像生成モデルです。動かしたのはHugging Faceの公式デモで、選べるモデルのうち、厳選したデータで追加学習した版のSFT(もう一方は事前学習のみのBase)を選びました。GPUもインストールも要らず、プロンプトを貼ってRunを押すだけで、1枚に50〜80秒ほどかかります。

無料で作れる枚数は多くありません。ログインなしでは2枚作ったところで止まり、「あと23時間52分待ってください」という意味のエラーが出ました。Hugging Faceの無料アカウントでログインすると3回作れて、4回目には1日の上限に達した表示と、月9ドル(約1,400円)で枠が8倍になるPROの案内が出ています。

試作を何十回も回したい人ですか? それなら無料枠ではすぐ足りなくなるので、1回ごとのプロンプトを練ってから押すのがおすすめです。

もう1点、デモのページ(〜.hf.space のアドレス)を直接開くと、ログインしていてもログインなしの枠で数えられました。アカウントの枠を使うなら、huggingface.co のSpaceのページから開いてください。

黒板メニューのプロンプトと、崩れなかった日本語

A cozy Japanese cafe chalkboard menu standing on the sidewalk, warm afternoon light. The chalkboard is handwritten in Japanese:
"本日のおすすめ
栗のモンブラン 580円
ほうじ茶ラテ 480円"
カフェの黒板メニュー。本日のおすすめ、栗のモンブラン580円、ほうじ茶ラテ480円の手書き文字

サイズは1024×1024、シードは42で、49.6秒でした。「本日のおすすめ」「栗のモンブラン 580円」「ほうじ茶ラテ 480円」の3行が、チョークの手書き風の字で1文字も崩れずに出ています。漢字、ひらがな、カタカナ、数字、円記号が混ざった行でも、改行の位置まで指定どおりでした。つまり、品名と値段が混ざった店頭POPの文字でも、このプロンプトの文字の部分を差し替えるだけで試せます。

型はシンプルです。場面の説明は英語で書き、入れる文字はコロンのあとで改行して、かぎ括弧ではなく " で囲みます。公式のUSERGUIDEは英語のプロンプトを勧めていて、改行を思いどおりにしたいなら \n か実際の改行をプロンプトに入れるよう書いています。3行が3行のまま出たのは、この改行が効いたからだと私は見ています。

デモの入力欄で改行するときは、Enterではなく Shift+Enter です。Enterだけでは改行が入りませんでした。

意外だったのは、頼んでいないコーヒー豆やドリンクのグラスのイラストまで、黒板に描き足されたことです。指定した文字は守られた一方で、空いた場所はAIが自分で埋めてきました。

画像生成AIで作った商品パッケージは、小さい文字まで読めた

Product packaging photo: a rectangular paper gift box of Japanese rice crackers placed on a light wooden table, soft natural daylight, studio product photography, shallow depth of field.
The box design is minimal, matte off-white paper with a yellow yuzu fruit illustration on the right side.
Large bold black Japanese text on the front of the box reads:
"ゆず塩せんべい"
Below it, a small green label reads:
"国産米使用"
In the lower left corner, small black text reads:
"内容量 12枚"
木のテーブルに置いたオフホワイトの紙箱のせんべいの商品写真。箱の正面に大きな黒文字で「ゆず塩せんべい」、その下の緑のラベルに「国産米使用」、左下に小さく「内容量 12枚」。箱の手前に本物のゆずが置かれている

サイズは1280×1024、シードは12で、64.4秒。箱の正面の「ゆず塩せんべい」、緑のラベルの「国産米使用」、左下の小さな「内容量 12枚」の3か所が、どれも正確でした。写真の質感も商品撮影らしく、パッケージ案のラフとしてそのまま見せられる仕上がりです。

黒板との違いは、文字の置き方です。黒板は3行をまとめて1か所に書かせましたが、こちらは場所の違う3つの文字を、それぞれ「どこに、どの大きさで、何色で」の1文と、そのあとの行の文字だけに分けました。いちばん小さい「内容量 12枚」まで読めたので、文字が何か所もあるときは、この分け方から始めると迷いません。

絵のほうは、AIなりに読み替えられました。「箱の右側にゆずのイラスト」と書いたのに、出てきたのは箱の手前に置かれた本物のゆずの写真と、箱の上面の小さなゆずのマークです。

ここまでは通った例です。役に立つのは、むしろ次の2枚の失敗のほうかもしれません。

年賀状で起きた、日本語の文言が勝手に短くなる失敗

A Japanese New Year greeting card (nengajo) for 2027, the Year of the Sheep. Flat illustration style with soft pastel colors: a fluffy cute white sheep wearing a small red scarf sits among plum blossoms and pine branches, with a golden sunrise behind it. Clean cream background, plenty of margin.
At the top center, large elegant brush calligraphy in black reads:
"謹賀新年"
Below the sheep, smaller neat text in dark red reads:
"本年もよろしくお願いいたします
令和九年 元旦"
赤いマフラーの白い羊が梅と松の間に座り、後ろに日の出が描かれた年賀状。上部中央に毛筆風の「謹賀新年」、羊の下に「本年もよろしくお願いします」「令和九年 元旦」の文字

サイズは1024×1536、シードは11で、80.7秒。上部中央の毛筆風の「謹賀新年」と、下の「令和九年 元旦」は正確でした。羊、梅、松、日の出も指示どおりです。

ところが、指定した「本年もよろしくお願いいたします」が「本年もよろしくお願いします」になっていました。「いた」の2文字が抜けています。字形はきれいに整っているので、ぱっと見では誤りに気づけません。

この2文字の違い、印刷に回す前に気づけますか? 同じ設定で1回前に作った1枚も、画面の縮小表示で見るかぎり「お願いします」でした。読めない字はすぐ分かりますが、読めるのに違う字は、見る側が疑ってかからないと素通りします。

MOSS-Imageの4コマ漫画、縦書きの吹き出しは半分崩れた

A four-panel Japanese manga page (yonkoma), black and white screentone style, vertical layout of four panels.
Panel 1: A tired office worker girl stares at her laptop late at night. Speech bubble: "締め切り、明日だ…"
Panel 2: She opens an AI chat app with sparkling eyes. Speech bubble: "AIに頼もう!"
Panel 3: The screen shows a long list of questions. Speech bubble: "質問が多い…"
Panel 4: She falls asleep on the desk while the cat types on the keyboard. Speech bubble: "にゃー"
モノクロのトーン調の4コマ漫画。夜にノートパソコンへ向かう女性の縦書きの吹き出しに「締め切り、明日だ…」、最後のコマでは机で眠る女性の横で猫がキーボードを叩き「にゃー」。2コマ目と3コマ目の台詞は文字が崩れている

サイズは1024×1536、シードは7で、81.0秒。モノクロのトーン調で、4コマの割り、会社員の女性、猫まで指示どおりに描かれました。台詞の向きはプロンプトで指定していませんが、吹き出しの台詞は縦書きで出ています。

1コマ目の「締め切り、明日だ…」と4コマ目の「にゃー」は、縦書きでも正確でした。崩れたのは残りの2つです。2コマ目の「AIに頼もう!」は「I」が横棒のような記号になり、「A-に頼もう!」と読めます。3コマ目の「質問が多い…」は2列に割れて「問が多」「質…い…」の順に並び、「質」の下の文字は意味のない形でした。

見落とせないのが、指定していない文字です。2コマ目のスマホの画面と、3コマ目のノートパソコンの質問リストには、日本語に見えるのに意味の通らない文字の並びが出ました。たとえば「接当的5ネワはに前さめる会い方メにか?」。遠目には自然なので、拡大されて初めてばれる崩れです。

日本語を崩さないプロンプトの書き方

4枚で指定した文字は13か所で、正確に出たのは10か所でした。通った例と崩れた例の違いから、今回の範囲で言えることを並べます。

  1. 場面は英語で書き、文字はコロンのあとで改行して " で囲む。黒板の3行も、年賀状の2行も、改行の位置は指定どおりに出ました。
  2. 場所の違う文字は、場所と大きさと色を1文ずつ決めて分ける。パッケージの3か所は、この書き方で全部通っています。
  3. 吹き出しの台詞は、縦書きで1列に収まる長さにして、アルファベットを混ぜない。今回の4コマでは吹き出しが縦書きになり、崩れたのはアルファベット混じりの台詞と、2列に割れた台詞でした。「にゃー」と「締め切り、明日だ…」は、今回は縦書きでも通りました。
  4. 文字が入りそうな物を、頼んでいないのに描かせない。スマホやパソコンの画面には、意味のない文字が出ました。人に見せる画像なら、構図から外すほうが無難だと私は考えています。

どの書き方でも、最後の読み合わせは省けません。年賀状のように、字形はきれいなまま文言だけ変わることがあるからです。

出てきた画像の文字、プロンプトと一字ずつ見比べていますか? 長い挨拶文や値段の入った行ほど、指定した文字列の横に画像を並べて、頭から順に読み合わせてください。

MOSS-Imageを商用で使う前に確かめること

モデルカードによると、MOSS-Image-SFTの重みと推論コードはApache License 2.0で公開されていて、このライセンスは商用利用を認めています。ただ、私が確かめたのはライセンスの記載までです。生成した画像の権利関係を法的に調べたわけではないので、店頭や商品に使うなら、そこは自分の用途に照らして確認してください。

日本語は、公式の対応言語に明記されていません。USERGUIDEは英語を推奨し、中国語ほか他の言語にも対応するとしていて、モデルカードの言語も英語と中国語です。ここに書いた結果は、4本のプロンプトを各1回(年賀状だけ2回)生成した範囲のもので、シードを変えれば、通った文字が崩れることも、その逆もありえます。

短い文字を、場所を決めて頼めば、MOSS-Imageの日本語はかなり通ります。そのうえで最後の一字は人の目で確かめる、というのが4枚から出した結論です。まずは黒板メニューのプロンプトの3行を、自分のお店のメニューに差し替えて、1枚作ってみてください。