料理はおいしかったのに、皿の端に暗い影がかかっていて、インスタに上げずにいるごはんの写真はありませんか? 影や暗さだけを、写真を直せるAI(画像編集AI)に頼む言い方と、料理そのものが変わってしまう手前の線を、同じ1枚で確かめました。「おいしそうにして」とだけ頼んだ回は、とんかつが網の上に載り、皿も漬物も入れ替わった別の定食になっています。
「もっと盛って」とAIに頼んだら、写真ごと入れ替わった
題材は、私が撮っただめな1枚です。とんかつ、せん切りキャベツ、ポテトサラダ、からし、ご飯、豚汁、漬物を、木のテーブルの上で真上から撮りました。
見るからにだめな写りでしょう(笑)。皿の左側からテーブルにかけて暗い影がかかり、白い皿の左側が灰色にくすんで見えます。料理はそろっているのに、この影のせいで写真全体が暗い印象になっています。
加工する前の元の写真です。点線とラベルは後から入れた印で、点線の中が直したい影です。
OpenAIの画像生成モデル gpt-image-2 に、この写真を依頼文だけ変えて5回頼みました。
いちばん欲張ったのは、「もっとおいしそうに盛って」「衣をサクサクに」「量も増やして」「湯気も」「プロの料理写真みたいに」と並べた回です。返ってきた写真はテーブルが暗い色になり、湯気が足され、紫キャベツ、レモン、パセリが加わっていました。皿もとんかつの形も変わり、真上から撮ったはずが斜めからの構図になっています。
左が元の写真、右がAIで加工したものです。テーブルの色と写真の角度から違います。
右の写真を、自分が食べた定食として上げられますか?
「そりゃ盛ってと言えばそうなる」って思いますよね。頼んだのは盛ることなので、ここまでは想像どおりです。意外だったのは、盛ってと言わなかった回でも料理が変わったことでした。
「おいしそうにして」とAIに一言だけ頼むと、定食は残る?
一言だけなら、変わるのは明るさくらいだと思いませんか?
依頼文は「おいしそうにして。」の一言だけにしました。返ってきたのは、別の定食です。
とんかつは揚げ物を置くバットの網の上に載り、皿の形と大きさが変わりました。漬物の中身も別のものになり、器の並びも入れ替わっています。衣は赤みの強い色になり、豚汁にはねぎが増えていました。
左が元の写真、右がAIで加工したものです。網、皿の形、漬物、器の並びを見比べてください。
ご飯と豚汁が並ぶ定食という骨組みは残っていても、皿の上は別の日の別のとんかつに見えます。これをインスタに上げると、食べていない定食の写真を載せることになります。
「おいしそう」の中身を書かないと、AIは影を消すより、料理と器を描き直す方向に動きました。盛っての回と一言の回の2つを見る限り、私はそう受け取っています。振り返ると、直したいのは影なのに、依頼文では影の話を一言もしていませんでした。
「衣をこんがり」とAIに頼むと、揚げ色が別物に
次は直す場所を絞り、「ご飯をつやつやに、とんかつの衣をもっとこんがりさせて」と頼みました。器の並びと構図は元のまま残ったものの、とんかつの衣が赤みの強いオレンジ色に変わっています。
左が元の写真、右がAIで加工したものです。とんかつの衣の色を見てください。
この衣の色、元と同じとんかつに見えますか? 揚げ色が変わると、並びが同じでも別の日に揚げたとんかつに見えると私は感じました。
料理には触れず、色だけを頼んだ回もあります。「明るさと色だけを、昼間の自然光のような色に」と書き、料理と器と構図は変えないでと並べました。料理の形は元のままでしたが、写真全体が白っぽくなり、テーブルの木も明るく薄い色になっています。
左が元の写真、右がAIで加工したものです。テーブルの木の色と、写真全体の温かみを比べてください。
別の料理とまでは言えません。ただ、写真全体が白っぽくなり、食べたときの印象とは離れました。影を名指しして、変えないものを並べた回で、やっと元の定食が残りました。
影だけ薄くして、とんかつはそのまま
影だけを薄くするよう頼んだ回は、冒頭の写真で点線で囲んだ影が消えて、全体が明るくなりました。とんかつの衣と切り口、ポテトサラダ、キャベツ、からしを拡大して元と並べても、同じに見えます。
左が元の写真、右がAIで加工したものです。皿の左側とテーブルの影を見てください。
影が消えた分、皿の白がそのまま見えるようになりました。派手な変化ではありませんが、料理は元のままです。
自然光の色に頼んだ回との違いは、依頼文の書き方にあります。
- 直す対象を「皿とテーブルにかかっている暗い影」と名指しした
- 「色の温かみは残し、白っぽくしないで」と書いた
- 変えないものに、料理の量と形と色、器、テーブルの木の色、構図まで並べた
- 最後に「湯気や飾りは足さないで」と書いた
今回は、ここまで書いた回だけ料理が変わりませんでした。私が試したときは1枚30秒ほどで返ってきたので、気になったら依頼文を少し変えて何度か頼み直せます。
影だけ薄くする依頼文
皿とテーブルにかかっている暗い影だけを薄くして、全体を少し明るくしてください。色の温かみは残し、白っぽくしないでください。とんかつ・ご飯・キャベツ・ポテトサラダ・からし・漬物・豚汁の量と形と色、器、テーブルの木の色、構図は変えないでください。湯気や飾りは足さないでください。依頼文を自分の写真用に書き換えるところ
あなたの写真の影は、どこにかかっていますか? 書き換えるのは次の3か所だけです。
「色の温かみは残し、白っぽくしないでください」「量と形と色」「構図は変えないでください」「湯気や飾りは足さないでください」の4つは、書き換えずに残してください。
料理写真の加工、どこから先は別の料理になる?
今回の5回から引ける線は、AIに任せてよいのは影と明るさまで、というものです。
上げる前には、元の写真と並べて、主役の料理を拡大して見比べます。とんかつなら衣です。
4枚のうち、元の衣と同じに見えるのはどれですか?
左から元の写真、影だけ薄くしたもの、自然光の色にしたもの、衣をこんがりさせたもので、元以外はAIで加工したものです。
元と影だけの版は同じ衣で、自然光の色の版は白っぽく、こんがりの版は赤みの強いオレンジ色です。影だけの版は、衣が元と同じに見えます。一方で、衣の色が変わった写真は、1枚だけ見ていると見逃しやすいと私は考えています。
盛った写真を上げると、その日に食べたごはんの記録ではなくなります。もう1つ、今回はどの依頼文も1回ずつしか試していないので、同じ文で頼んでも毎回同じ結果になるとは限りません。
影のせいで止まっている1枚は、カメラロールのどのあたりにありますか? 影の場所と料理の名前だけ書き換えて送り、返ってきたら主役の料理を拡大して元と見比べてから上げてください。








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