「2026年最新」と書かれた画像生成AIの比較記事を開くと、だいたい1世代前のモデルが並んでいます。しかも厄介なのは、モデル名は合っているのに、その名前が指す中身のほうが入れ替わっているパターンです。この数ヶ月で誰が上がって誰が消えるのか、勢力図として整理しました。
前日に更新された比較記事が すでに1世代古い
国内の比較記事で、更新日が昨日になっているものを開いてみました。掲載9モデルの中に DALL-E 3、Stable Diffusion の SDXL、FLUX.1 が並んでいます。更新日は1日前、中身は数世代前です。
Nano Banana も載っていましたが、無印のほうでした。無印は10月2日に止まります。そこには触れられていません。
問題は、これが手抜きではないことです。名前が生き残っているせいで、古い情報が古く見えない。
置き換わっている関係を並べると、こうなります。
FLUX.2 [dev]左の列を1つでも使っているなら、その設定は現行を指していません。
この4ヶ月で新王者に上がった3モデル
上がった順に並べると、4月、5月、7月です。
- GPT Image 2 は
gpt-image-2-2026-04-21。4月21日のAPI公開で、条件を積み上げたプロンプトの追従精度はここが強い。文字の位置と色と書体を同時に指定するような、制約が3つも4つも重なる商用の絵で効きます。
- Nano Banana 2 は
gemini-3.1-flash-image。5月28日リリースで状態は Stable、停止は早くても2027年5月28日です。上位にgemini-3-pro-imageの Nano Banana Pro があるので、Flash で数を回して詰めたい1枚だけ Pro に上げる分け方ができます。
- Midjourney V8.2 は7月24日からデフォルト。入れ替わりの速さが一番わかりやすいのがここで、V8.1 が現役だったのは6月10日から7月23日までの6週間だけでした。
3つとも別の場所で首位を取っていて、同じ土俵で殴り合っているわけではありません。「どれが一番いいか」で選ぶと答えが出ないのは、そのためです。
8月17日 Imagen 4は Ultra ごと消える
退場側の主役はこれです。公式の文言は「All Imagen models are deprecated and will shut down as early as August 17, 2026」。
止まるのは4つです。
imagen-4.0-generate-001imagen-4.0-fast-generate-001imagen-4.0-ultra-generate-001imagen-3.0-capability-001
Gemini Developer API と Agent Platform Gemini API の両方に適用されるので、呼び出し経路を変えて延命する手は使えません。
面白いのは3番目です。Ultra という最上位の名前を持ったまま消えます。名前の格と寿命に、何の関係もない。
そしてもうひとつ、無印 Nano Banana の gemini-2.5-flash-image も10月2日に止まります。Imagen 4 からここに逃げると、2ヶ月で2回移行することになります。
退場するのは品質が落ちたからではなく、提供側が世代をまとめて畳んでいるからです。だから「まだ十分きれいに出る」は、残る理由になりません。
隠れツール枠から主要勢力に上がった2つ
台頭は新モデルだけではありません。ずっとあったのに、立ち位置のほうが変わったものが2つあります。
Ideogram は長いこと「画像の中に文字を入れたいときだけ呼ぶ」補助ツールでした。3.0 で日本語を含む多言語の精度が上がり、2026年6月の 4.0 では文字描画のベンチマークで0.97というスコアが報告されています。補助で呼ぶ道具ではなく、文字が入る案件の主軸に置ける側へ移りました。ただし日本語は英字ほど安定しないので、そこは正直に見積もったほうがいいです。
Z-Image Turbo のほうは、自前で回す帯の話です。オープンウェイトの基準は長く FLUX.2 [dev] の32Bパラメータでしたが、こちらは6Bで Apache 2.0。8 NFE で1秒を切る推論、しかも16GB VRAM の民生GPUに収まります。Alibaba AI Arena のヒト選好評価では、オープンソース勢の中で最上位という結果が報告されています。
この2つに共通しているのは、「できることが増えた」ではなく「置ける場所が増えた」という上がり方です。勢力図が動くのは、新モデルが出た時だけではありません。
なぜ4ヶ月で入れ替わるのか 理由は3つ
構造のほうを見ておくと、次に何が起きるかが読めるようになります。
- 停止日を先に切る運用に変わりました。Nano Banana 2 ですら「早くても2027年5月28日」と停止予定が書かれています。出た瞬間から終わりが決まっている前提で、乗り換え計画を持つことになります。
- デフォルトの差し替えが月単位です。Midjourney V8.1 の現役期間は6週間でした。バージョンを明示していなければ、こちらは何も触っていないのに、ある朝から出力が変わります。
- 自前運用の必要スペックが下がりました。32Bから6Bへ、16GB VRAM で動くところまで来ています。参入できる人が増えれば、比較対象そのものが増える。
3番目が一番効きます。勢力図が荒れているのは上位が入れ替わっているからではなく、盤面に乗る駒が増え続けているからです。
結局 今日から使うならどれか
用途で切ると、迷う場面はそんなに多くありません。
- APIで組んでいるなら
gemini-3.1-flash-imageへ。まずimagen-4.0でリポジトリを検索して、抱えている作業量を先に把握する - 絵そのものの格を上げたいなら Midjourney V8.2。バージョン指定が V8 のままになっていないか確認する
- 条件が多い商用画像なら GPT Image 2。文字入りとレイアウト指定はここが安定する
- 画像を社外に出せない案件なら
FLUX.2 [dev]か Z-Image Turbo。16GB VRAM で足りるなら後者から試すほうが早い - 画像の中に文字を入れるなら Ideogram 4.0。日本語は英字ほど安定しない前提で組む
迷ったら「作った絵をどこに置くか」で先に分けると早いです。社外に出せるかどうかで、候補が半分になります。
まとめ 次に勢力図が動くのは10月2日
10月2日に無印 Nano Banana が止まり、FLUX 3 の画像版は「数週間以内」と言われたまま日付が切られていません。
覚えておくと得なのは1点だけです。モデルを愛称で覚えないこと。
Nano Banana も Imagen 4 も、名前は生き残ったまま中身と寿命が別々に動きました。愛称で管理していると、動いたことに気づけません。設定ファイルに書くのも、比較記事から拾うのも、モデルIDとバージョン番号のほうです。
センスじゃない、言語化だ。勢力図で言語化すべきなのはモデルの序列ではなく、いま動いている設定が何を指しているか、のほうでした。


💬 コメント
ログイン か 会員登録 するとコメントできます