2026年6月から7月にかけて、オープンウェイトLLMのリリースラッシュが起きています。
1週間で3〜4本が発表される勢いで、全部追いきれなくなっていないでしょうか。
ここでは私が普段触っている8本を、パラメータ規模とライセンスと得意分野で並べて、最後に「今インストールすべき1本」まで指名します。
2026年夏の主要オープンウェイトLLM比較表
表を眺めると、7月ラッシュだけで主要モデルが4本増えたことが分かるはずです。
ここから1本ずつ、どこに効くのかを見ていきます。
Kimi K3 Moonshot AI
- パラメータ規模: 2.8兆のMoE、Kimi Delta Attention 採用、コンテキスト長1M
- ライセンス: Modified MIT(K2 系列の慣例で、K3 も同ライセンスでの公開予定)
- 特徴: 2026-07-16 の発表で Hacker News では 2,093 ポイントを獲得。ただし重み本体の完全公開は 2026-07-27 予定で、記事執筆時点ではまだ Moonshot のクラウド経由でしか触れません。今すぐダウンロードして自宅で動かせるわけではない点は要注意です。
- 向いている用途: 汎用チャット、コード生成、エージェント動作。7/27 以降にセルフホストの選択肢へ加わる想定です。
GLM 5.2 Zhipu
- パラメータ規模: 総パラメータ約 753B、アクティブ約 40B、コンテキスト長1M
- ライセンス: MIT(重み・コードともに公開済み)
- 特徴: 2026-06-13 公開。IndexShare と呼ばれる sparse attention でコストを抑えつつ、1M コンテキストが実用速度で動きます。非力なマシンでも軽量量子化すれば動く事例が Hacker News 936 ポイントで話題になりました。コストと品質のバランスが今夏の中では頭一つ抜けている印象です。
- 向いている用途: コーディング、エージェント業務、実運用でコストを絞りたい場面。
Qwen3.8 Alibaba
- パラメータ規模: 総パラメータ 2.4 兆の MoE、Qwen ファミリーで初めて1兆パラメータを超えるマルチモーダルモデル
- ライセンス: プレビュー中(オープンウェイトでの公開を予告、時期は未定)
- 特徴: 2026-07-19 発表で、Kimi K3 から 3 日遅れでのお披露目です。Alibaba 側は「Claude Fable 5 に次ぐ」と自己ベンチマークで主張していますが、独立ベンチはまだ出ていません。プレビュー版は Alibaba 製品経由で試せます。
- 向いている用途: マルチモーダル用途、重み公開後は大規模タスクの本命候補。
Inkling Thinking Machines Lab
- パラメータ規模: 総パラメータ 975B、アクティブ 41B、コンテキスト長1M、テキスト・画像・音声・動画のマルチモーダル
- ライセンス: Apache 2.0(重みは Hugging Face 公開済み)
- 特徴: Mira Murati さん(元 OpenAI CTO)率いる Thinking Machines Lab の初プロダクションモデルで、2026-07-15 公開。学習データは45兆トークン。Thinking Machines 自身は「最強のモデル」ではなく「ファインチューニングの基盤」として設計したと明言しています。
- 向いている用途: 自社データで作り込みたい場面、Apache 2.0 が必要な商用ワークロード。
MiniMax M3
- パラメータ規模: 総パラメータ約 428B、アクティブ約 23B、コンテキスト長1M
- ライセンス: オープンウェイト(Hugging Face 公開)
- 特徴: 2026-06-01 公開。MiniMax Sparse Attention (MSA) という設計で、1M コンテキスト時のトークン当たり計算量を前世代の 1/20、prefill を 9 倍以上、decode を 15 倍以上高速化したと発表されました。SWE-Bench Pro 59.0% でクローズドモデル系を上回るスコアを叩き出しています(自社発表、独立検証はこれから)。
- 向いている用途: コーディングエージェント、長文コード読解、コスト効率の良いフロンティア運用。
NVIDIA Nemotron 3
- パラメータ規模: Nano (31.6B / active 3.6B)、Super (120B / active 12.7B)、Ultra (550B / active 55B) の 3 ライン
- ライセンス: Nano / Super は NVIDIA Nemotron Open Model License、Ultra のみ OpenMDW License Agreement v1.1
- 特徴: 2025-12 から 2026-06 にかけて Nano、Super、Ultra が順次公開。Mamba と Transformer のハイブリッド MoE アーキテクチャで、同等規模の Transformer と比べてスループットが優れています。Ultra は 2026-06-04 にリリースされました。
- 向いている用途: オンプレ GPU での大量推論、スループット命の業務基盤。
DeepSeek V4 Pro
- パラメータ規模: 1.6T MoE、アクティブ 49B、コンテキスト長1M
- ライセンス: MIT(重み・コード両方)
- 特徴: 2026-04-24 公開。Compressed Sparse Attention と Heavily Compressed Attention を組み合わせたハイブリッド設計で、1M コンテキストで前世代 V3.2 比 FLOPs 27%、KV キャッシュ 10% まで削減しています。夏ラッシュの直前に出た春モデルですが、今も現役の主力です。
- 向いている用途: 長文脈が必要な業務システム、コスト効率良く大規模タスクを回したい場面。
gpt-oss OpenAI
- パラメータ規模: gpt-oss-120b(アクティブ 5.1B)と gpt-oss-20b(アクティブ 3.6B)の 2 種類、コンテキスト長 131,072
- ライセンス: Apache 2.0
- 特徴: OpenAI 初のオープンウェイトモデル。120B は 80GB GPU 1 枚で動き、20B は 16GB メモリのエッジデバイスでも動作します。ベンチマークは o4-mini 相当(120B)、o3-mini 相当(20B)。ChatGPT や OpenAI API では提供されず、自前ホスティング前提です。
- 向いている用途: ローカル運用、エッジ推論、Apache 2.0 が必要な商用組み込み。
結局 今インストールすべき1本
私の使い分けは4パターンです。
ローカルやエッジで動かしたい場合、gpt-oss-20b が第一候補になります。
16GB メモリで動くこの水準のモデルが Apache 2.0 で出ている意味は大きく、ノートPCのローカル LLM 用途はほぼこれ1本で決着します。
コーディングエージェントで攻めるなら、MiniMax M3 か GLM 5.2 の二択です。
MiniMax M3 は SWE-Bench Pro のスコアが飛び抜けており、GLM 5.2 はコストと品質のバランスが優秀。
前者は攻めのフロンティア、後者は守りの実用で使い分けます。
長文脈で大規模タスクを回したい場合は、DeepSeek V4 Pro を推します。
1M コンテキストの効率が抜群で、コード読解・法務文書・議事録要約などの長文業務にストレスなく耐えます。
カスタムモデルを育てたいなら、Inkling が本命です。
Thinking Machines がファインチューニング基盤として設計したと明言している通り、Apache 2.0 で商用利用も含めて自由度が高く、自社データでチューニングして育てるならこれが素直な選択肢になります。
Kimi K3 は 7/27 の重み公開後にリストが変わる可能性があります。
Qwen3.8 も同様で、Alibaba が正式に重みを出したタイミングで再評価が必要です。
夏ラッシュはまだ続きます。
次の1本が来る前に、いま動くモデルから触ってみてください。





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