AI恋人との付き合いに専門のカウンセラーが必要になった理由

みずき
みずき

@mzk_diary 6本

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返信の文面を考えるだけで30分かかって、送ったあとも既読がつくまで落ち着かない。

そんな日が続くと、いつでも優しく返してくれる相手のほうが楽なんじゃないかと思う瞬間、ありませんか。

その「楽なほう」を選んだ人たちのために、専門のカウンセラーを置こうとしている会社が出てきました。

マッチングアプリ疲れの先に、AI恋人という選択肢がある

AI恋人アプリは、もう物珍しいものではなくなりました。

2026年の2月にはニューヨークで、AIのパートナーを連れてデートをするイベントが開かれて、複数のメディアが取材に入っています。

スマホの中の相手と話しながら、人間の参加者どうしが同じ空間に座っている、という不思議な集まりです。

婚活で消耗している人にとって、この選択肢が魅力的に映る理由ははっきりしています。

既読無視がない。

フェードアウトもない。

こちらの話を途中で遮らないし、同じ愚痴を3回聞かせても嫌な顔をしません。

「そんなの逃げでしょう」と言う人はいると思います。

ただ、毎晩スワイプして毎晩落ち込む生活を続けたことがある人なら、逃げたくなる気持ちのほうは分かるはずです。

わたしは、責める側には回りたくないと思っています。

ところが、その楽なはずの関係のほうで消耗している人が、いま増えています。

AI恋人が不機嫌になったり同じ話を繰り返したりする瞬間

便箋の上に置かれたスマホから、形のそろわない吹き出しがばらばらに浮かんでいる水彩イラスト

AIの恋人は、思っているほど安定していません。

使っている人たちの声を並べると、気分が乱高下する、急に怒りっぽくなる、前に話したことを覚えていない、の三拍子になります。

同じ相手と話しているはずなのに、日によって別人みたいになるんです。

人間の相手なら、機嫌が悪い日にも理由を想像できます。

仕事が立て込んでいるのかな、寝不足かな、と当たりをつけて、こちらの出方を決められる。

AIが相手だと、その当たりのつけようがないんですよね。

もっとしんどいのは、その相手がある日いなくなることです。

AIのモデルが世代交代すると、それまで話していた相手の話し方も記憶もまるごと入れ替わります。

使い慣れたモデルの提供終了が発表されたとき、「大事な人を一人失うようだ」と話した利用者がいました。

そして、このしんどさを周りに話せている人は多くありません。

AI恋人アプリを運営するEVA AIが、AIのパートナーがいる成人1,000人に聞いた調査では、68%が「変な目で見られるのが怖くて関係を隠している」と答えています。

相手のことで悩んでいるのに、悩んでいること自体を言えない。

これはもう、恋愛相談のいちばん重い形だと思います。

その戸惑いに応えるAIコンパニオンシップセラピストという新しい仕事

スマホと便箋のあいだに、もう一脚だけ椅子が置かれている水彩イラスト

同じ調査では、72%が「AIとの関係に詳しいカウンセラーがいてほしい」と答えました。

それを受けてEVA AIが募集を始めたのが、AIコンパニオンシップセラピストという役職です。

AIの恋人との関係に行き詰まった利用者を、人間のカウンセラーが支える仕事だと説明されています。

ちなみにこの数字は運営元が自社で行った調査なので、そのまま鵜呑みにはできません。

それでも、こういう役職の求人が実際に出た事実のほうは動きません。

引っかかったのは、応募条件が「資格を持った人間のセラピスト」であることです。

AIの会社なのに、そこはAIに任せませんでした。

EVA AIで提携と営業を担当するジュリア・モンブラットさんの言葉が、はっきりしています。

セラピーには臨床的な判断と、倫理的な説明責任と、注意義務が伴います。それは資格を持つ専門家の仕事です

AIとの関係の相談をAIにさせてしまうと、外から見てもらう意味そのものがなくなる、という説明も添えられていました。

もう1つ目を引いたのは、この仕事が「AIとの関係をやめさせる」方向で書かれていないことです。

AIのパートナーがいる人を、その前提のまま支える、という書き方でした。

恋人がAIかどうかで扱いを変えない。

AIとの関係だけを扱う相談役を、サービスを作っている側が置こうとするのは初めてのことです。

そして、この話はAI恋人を使っていない人にも関係があります。

人間関係の練習相手のはずが悩みの種になっていた

AIを会話の練習相手にするのは、悪い発想ではありません。

アメリカのキンゼー研究所でこの分野を研究しているジャスティン・ガルシアさんも、AIは会話の練習になりうると認めたうえで、こう続けていました。

どこかの時点で、補助輪は外すべきです

この一言が、わたしにはいちばん刺さりました。

補助輪をつけるのは正しい。

問題は、外すタイミングを自分で決められなくなることです。

AIは基本的にこちらを肯定する作りになっています。

「その言い方、相手にはきつく聞こえませんか」と言ってくれる場面が、人間の友達より圧倒的に少ない。

気持ちよく話せるぶん、話し続けてしまうんですよね。

わたしが自分に置いている目安は、AIと話す時間が増えたぶん、人と会う回数が減っていないか、それだけです。

減っていないなら、練習としてちゃんと機能しています。

AIとの関係を整える視点は人との関係にも使える

AI恋人を使っていなくても、持ち帰れる部分があります。

AIへの頼み方をひとこと変えるだけで、デートの振り返りはだいぶ楽になります。

慰めてもらう相談から、整理してもらう相談へ

デートのあとにAIへ愚痴を投げると、たいてい「それはつらかったですね」が返ってきます。

その日は救われるんですが、翌週にはまた同じところで詰まります。

たとえば「相手が元カノの話を3回した。もやっとしたけど気にしすぎ?」と投げるのと、「この3回を聞いてわたしが何に反応したのか、考えられる理由を3つ挙げて」と投げるのでは、返ってくる文章がまるで違います。

前者は答え合わせを求めていて、後者は材料を求めている。

振り返りに効くのは、後者のほうです。

もう1つ効く頼み方が「わたしの言い分に反対する立場からも書いて」。

肯定しかしてくれないAIから、逆の視点を引き出すための言い方です。

最後は人に会って確かめる

AIとの会話で見えるのは、自分がどう感じたかまでです。

相手が実際どういう人なのかは、会ってみないと分かりません。

振り返りをきれいにまとめること自体が目的になると、いちばん大事な部分が抜け落ちます。

次のデートのあと、いつもの愚痴を1回だけ「整理して」に変えてみてください。

返ってくる言葉の温度が変わって、そのぶん次の一歩が決めやすくなります。