香港やマカオへの遠征チケット争奪戦を、AIの転売Bot検知が変え始めている

推し活実験室@あかり
推し活実験室@あかり

@akari_oshigoto 5本

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発売時刻の10秒前からスタンバイして、震える指でリロードして、開いた画面がもうSOLD OUT。

あの数十秒で削られる体力、相手が人間じゃなかった可能性があります。

アジア圏の公演で使われているチケットサイトに、その相手を購入の瞬間に弾く仕組みを持ったものが出てきました。

遠征のチケット争奪戦、あの徒労感の正体は転売Botかもしれません

転売Botは、発売開始と同時に申込フォームを自動で埋めて、決済まで一気に走らせるプログラムです。

私たちが座席表を見て「ここでいいかな」と迷っている数秒のあいだに、注文を何本も通していきます。

しかも1台で動いているとは限りません。

複数の環境から同時に叩けるので、こちらが1人で1枚を取りにいっているあいだに、向こうは並列で押さえにきています。

「回線が遅かったのかな」「もっと早くリロードしていれば」と自分を責めたこと、たぶん一度はあると思います。

でも人間の指の速度でプログラムと殴り合っていたなら、そもそも勝負が成立していません。

ここが分かるだけで、次の争奪戦の見え方が変わります。

日本の対策は、買ったあとに効く設計になっています

日本の電子チケットとAI検知型プラットフォームで、転売対策が効くタイミングの違いを示した図解

日本には2019年6月14日に施行されたチケット不正転売禁止法があります。

定価を超える転売と、転売目的でチケットを譲り受ける行為が禁止されていて、罰則は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方。

かなり強い法律です。

ただ、この法律が対象にする「特定興行入場券」の条件をよく見ると、興行主が販売時に購入者の氏名と連絡先を確認する措置を講じていること、が入っています。

誰が買ったかを記録して、あとから追いかけられるようにする設計なんですね。

一部の電子チケットで導入されている顔認証入場も同じ方向です。

事前に登録した顔写真と当日の来場者をAIが照合して、一致したときだけチケット画面が出る。

転売されたチケットで来た人を、入場のタイミングで止めています。

これはこれで強力です。

ただ、どちらも効きはじめるのはBotがチケットを買い切ったあと。

発売開始からの数十秒間、Botが正規ルートで在庫を持っていく行為そのものには、まだ手が入っていません。

抽選先行は速さ勝負を無効化してくれる分だけマシですが、一般発売や当日券は結局のところ先着です。

AIが見ているのは、人間らしくない操作のクセです

購入画面の操作の動きからBotらしさを見分けるAIのイメージ図

香港・マカオ・シンガポール・マレーシア・タイなどでK-POP公演のチケットを扱っているFantopiaというプラットフォームは、AIの行動分析でBotによる買い占めを識別して遮断する、と明言しています。

狙いは、チケットを本物のファンに優先して行き渡らせることです。

行動分析というのは、購入までの動きのクセを見る技術です。

人間はページを開いて座席を選ぶまでに必ず迷いが出るし、スクロールも入力もばらつきます。

Botはそこがきれいすぎる。

同じ動きを寸分違わず繰り返しますし、画面から画面への移動が人間の反射神経を超えています。

検知の具体的な条件は公開されていません。

出したら回避されるので当然なんですが、私たちの側からは中身が見えないまま信じるしかない、という部分は残ります。

もう1点が処理能力です。

1,000万人以上が同時にオンラインでも耐えられて、秒間数万件の注文をさばける、と説明されています。

サーバーが落ちて全員が仕切り直しになる、あの絶望が起きにくい設計ということです。

Botが弾かれて、サーバーも落ちない。

この2つがそろって、争奪戦がやっと人間同士の勝負に戻ります。

QRコードもグッズの現地受け取りも、同じアプリの中で完結します

偽造チケット対策としては、リアルタイムでQRコードを更新する方式が採られています。

画面のスクショを渡しても、その画像はすぐ無効になるということです。

グッズも同じアプリの中にあります。

公式グッズをオンラインで事前予約して、現地で受け取る流れです。

遠征で一番読めないのが物販列なので、開場前の数時間が丸ごと戻ってくると考えるとこれはかなり大きいです。

サイン会やファンミの枠も同じ場所に並びます。

注意点も書いておきます。

譲渡はアプリの転送機能で、受け取る相手の登録メールアドレスを入れる形。

ただし転送に対応していない公演もあるので、譲る前提で複数枚取るのは避けたほうが安全です。

本人確認書類は基本的に不要ですが、必要な公演もあってその場合はイベントページに書かれます。

チケットは払い戻しも交換もできません。

紙チケットの配送先は中国本土・香港・マカオに限られるので、日本から取るなら電子チケットの公演を選ぶことになります。

日本語非対応のまま、遠征勢はもう使い始めています

対応言語は簡体字中国語・繁体字中国語・英語・タイ語・ベトナム語・マレー語の6つ。

日本語はありません。

日本の公式代理店もなく、日本展開のアナウンスも出ていません。

それでも、日本のオタクはもう使っています。

マカオのアリーナ公演でフロア席を狙う人が整理番号の仕組みを質問していたり、香港公演のチケッティング手順を解説する動画が出回っていたり。

App Storeの日本版にもアプリのページがあって、普通にダウンロードできる状態です。

つまり今は、日本語の情報がほぼないまま手探りで突破している人たちがいる、という状況です。

ブラウザの翻訳を当てながら、整理番号が先着なのか抽選なのか分からないまま買っている。

ここは正直、快適とは言えません。

それでも、次の遠征先がアジア圏になったときにチケットの販売元を最初に確認する癖をつけておくと、当日になって「見たことのないサイトだ」と焦らずに済みます。

日本のチケッティングの常識が通用しない場所がある、と知っているだけで遠征の準備は1段階ラクになります。