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Higgsfieldで長編映画を作る方法 3億円AI映画の舞台裏

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数十秒のクリップは作れるけれど、長編は別の世界の話。

動画AIの手触りって、ずっとそんな感じでしたよね。

その線引きが2026年8月10日に崩れました。

110分のAI長編映画「The Cully Hill Boys」が、YouTubeで無料公開されています。

公表された数字を全部開けてみたら、驚いたのは映像の出来ではなく、製作費3億円の使い道のほうでした。

The Cully Hill Boysとは 110分の長編をAIだけで作った実例

Higgsfield AIのプラットフォーム上で、Seedance 2.5を使って作られた110分の長編映画です。

項目
内容
上映時間
110分
公開
2026年8月10日 YouTubeで無料公開
総製作費
約200万ドル(約3億1500万円)
制作チーム
28人
制作期間
約4週間
ロケーション
100ヵ所以上
制作アセット
約1000点

Higgsfieldはこれを「実在キャストによる初の110分AI長編映画」としています。

数字で一番おかしいのは制作期間です。

28人が約4週間で110分。

Higgsfieldが掲げているSeedance 2.5の上限は「1テイク30秒、1パスで参照50点」なので、6,600秒を埋めるには単純計算でも220本のクリップが要ります。

実際の映画のカットは数秒単位ですから、生成した動画は数百から千本の単位になっているはずです。

制作アセット約1000点という数字とも、だいたい辻褄が合います。

ただ、この製作で本当に効いているのは規模のほうではありません。

製作費3億円の半分がAI計算コストだった

水彩で描いた 映画の予算が機材やスタッフから計算資源へ移っていく天秤のイラスト

総製作費 約200万ドルのうち、約100万ドルがAI計算コストでした。

半分です。

従来の映画で予算の半分を持っていくのは、機材とロケとスタッフの人件費。

そこがまるごと計算資源に置き換わっています。

割り算してみます。

約100万ドルは日本円で約1億5750万円、110分は6,600秒。

映像1秒あたり、約2万4000円です。

ここで勘違いしないでほしいのが、これは「1秒2万4000円で売っています」という値段表ではないこと。

採用されたカットの裏には、没にした生成が山ほどあります。

その全部が同じ財布から出ていて、総額を完成尺で割ったのがこの数字です。

つまりAI映像制作で請求されるのは、納品した尺ではなく試した回数なんですよね。

ここを取り違えると、個人でも法人でも予算の立て方をまるごと間違えます。

実在の人を演じさせるために契約で決めた3つのこと

水彩で描いた 俳優の写真と声が契約書を通ってデジタルの姿になるイラスト

出演したのは実在の人物です。

本人から高解像度の写真と音声を提供してもらい、デジタル上に再現しています。

そのうえで契約に書いたのが、報酬と利用範囲と脚本承認の3つ。

報酬と利用範囲は想像がつくと思います。

引っかかってほしいのは脚本承認のほうです。

顔と声を貸すことと、その顔に何を言わせるかは、まったく別の許諾なんですよね。

写真を1枚もらえば、技術的には何でも喋らせられてしまう。

だからこそ、何を喋らせるかの承認を先に取っている。

ここを契約の項目として立てたのが、この製作でいちばん誠実だった部分だと思っています。

個人がこの技術を使うときも、線の引き方は同じです。

自分の顔か、使う範囲を書面で決めた相手の顔だけ。

「参照画像に混ぜるだけならバレない」を一度でも越えると、完成した映像を公開できなくなるリスクが残り続けます。

制作プロンプトとキャラクターシートが全部公開されている

ここからが個人にとって一番おいしい話です。

この映画、制作に使ったプロンプト、キャラクターシート、アセット、製作ログが、Higgsfield上でそのまま公開されています。

完成した110分より、こっちのほうが読む価値があります。

映像作品は結果しか見せてくれませんが、製作ログには過程が残るからです。

見に行くなら、優先はこの3点。

  1. キャラクターシートにどんな項目が並んでいるか。顔と声を固定するのに必要な情報の細かさがわかります
  2. 参照50点をどう配分しているか。どのカットに何を渡すかの割り振りが、設計そのものです
  3. 同じシーンを何回撮り直しているか。さっきの単価の中身が見えます

3億円の制作現場のバックヤードが丸ごと置いてある状態なので、教材としては反則みたいな密度です。

個人が同じ設計で作るなら 縮めるべき3つのポイント

110分は無理でも、設計の順番だけは縮小して持ってこられます。

1. 顔と声を先に固定する

作りたい絵から入らず、キャラクターシートを1枚作るところから始めます。

顔の角度、髪型、服、声の質。

これを先に決めて参照として固定しておかないと、カットが変わるたびに別人が出てきます。

110分で一貫性が保てたのは、この工程を最初に置いたからです。

2. ロケハンを参照画像に置き換える

ロケーション100ヵ所以上と聞くと大作の話に見えますが、飛行機に乗って100ヵ所回ったわけではありません。

場所の情報を参照画像とプロンプトで持っているだけです。

個人でも、よく使う舞台を5ヵ所ぶん参照セットとして作り置きしておけば、同じことができます。

シーンのたびに背景を考え直す時間が丸ごと消えます。

3. 尺より先に試行回数を設計する

さっきの単価で3分の短編を同じ密度で作ると、約430万円換算になります。

個人がそのまま真似できる数字ではありません。

なので削るのは尺ではなく、試行回数のほうです。

参照を固めてから生成に入る、プロンプトは短い尺で確かめてから本番に伸ばす。

順番を変えるだけで、没にする本数が変わります。

Higgsfieldの登録から実際のプロンプト設計までは、こちらにまとめてあります。

まとめ 3億円の制作から持ち帰れるもの

持ち帰れるものは3つあります。

  1. 予算は尺ではなく試行回数で決まる。1秒2万4000円は、失敗まで含めた総額の割り算です
  2. 人の顔を使うなら、報酬と利用範囲だけでなく脚本承認まで決める
  3. 絵から作らず、キャラクターシートと参照セットから作る

3億円という数字だけ見ると、自分には関係ない話に思えます。

でも中身を開けると、金で殴った部分と順番の設計で効いた部分がきれいに分かれていて、後者にはお金がかかりません。

まずはキャラクターシート1枚から。

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